映画のメモ帳+α

音楽映画、アカデミー賞関連の記事に力を入れています。
ゾンビ、スタートレック、ヒッチコック監督作、ドキュメンタリー映画のカテゴリーもあり。
映画300字レビュー、はじめました。
※TB、コメントともに承認制とさせていただいております

<< メリィ・ウィドウ(1934) | TOP | ショウ・ボート (1936) >>

ロバータ

ロバータ(1935 アメリカ)

ロバータ(1935)原題   ROBERTA
監督   ウィリアム・A・サイター
原作   アリス・デュア・ミラー
原作戯曲 オット・ハーバッハ
脚色   ジェーン・マーフィン サム・ミンツ アラン・スコット
撮影   エドワード・クロンジェイガー
音楽   マックス・スタイナー
作詞   ジミー・マクヒュー ドロシー・フィールズ
作曲   ジェローム・カーン
出演   アイリーン・ダン フレッド・アステア
      ジンジャー・ロジャース ランドルフ・スコット
      ヘレン・ウェストリー クレア・ドッド ルシル・ボール

第8回(1935年)アカデミー賞歌曲賞ノミネート("Lonely to Look at")

映画『ロバータ』はフレッド・アステアジンジャー・ロジャースの共演3作目。アリス・デュア・ミラーの小説「ロバータのガウン(Gowns by Roberta)」を原作としたブロードウェイ・ミュージカル『ロバータ』の映画化である。全部で10作の共演作があるアステア&ロジャースだが、意外にもブロードウェイ・ミュージカルの映画化は本作と『コンチネンタル』の2本のみ。かつ、本作で2人は助演に近い役どころで、配役序列トップは6度のアカデミー賞ノミネート歴をもつアイリーン・ダン。"Yesterdays"や"Smoke Gets in Your Eyes"のしっとりとした名曲はアイリーンが歌い、楽しいダンスナンバーはアステア&ロジャースと振り分けされている。その結果、アステア&ロジャース作品としては全体的にバランスがよく、ミュージカルが苦手な人でもしっくりとくる仕上がりとなっている。




物語
ジョン(ランドルフ・スコット)は元フットボールの選手。婚約者ソフィー(クレア・ドッド)に振られたため、友人のハック(フレッド・アステア)のジャズ・バンドがパリに遠征するのに同行している。彼は伯母ミニー(ヘレン・ウェストリー)を訪れる。ミニーはパリの有名ブティック、ロバータの経営者であった。ロバータで主任をつとめるステファニー(アイリーン・ダン)はロシアから亡命してきたプリンセスだが、ジョンはそれとは知らず彼女に魅かれている。ハックはロバータで伯爵夫人ウェンカと称する女性に出会うが、その正体は彼と同郷のリッチー(ジンジャー・ロジャース)だった。リッチーは仕事にあぶれたハックのバンドを自分が勤務しているキャバレーに紹介、ハックとリッチーのダンスが評判を呼ぶ。ミニー伯母さんが急死したため、ジョンはロバータの仕事を引き継ぐが、ファッションに疎いジョンはステファニーに共同パートナーとしてロバータに残ってもらうよう依頼する。ところがソフィーが突然ジョンのもとを訪ねてくる。ジョンに恋していたステファニーは落胆し、ロバータに訪れたソフィーに対し、ジョンが嫌っていた露出度高めの衣装をすすめる。ソフィーはその衣装を気に入り、ジョンとのデートに着用。ジョンは激怒し、2人の仲は終わってしまう。かつステファニーがソフィーにこの衣装を勧めたことを知り、彼女を罵倒して行方をくらます。ステファニーも辞職し、ロバータは大ピンチ。ハックとミニーが代わりに新作発表会の準備をするが、ステファニー不在ではうまくいかず...。

映画では1933年のオリジナル舞台から4曲起用され、映画用に2曲が新たにつけ加えられています。
またアステア&ロジャースの役は舞台にはなかったもの。これが本作を魅力的なものにしています。

では楽曲の紹介にうつります。

 Let's Begin
どうなるかわからないけどとにかく始めようという歌。
2番でキャンディ・キャンディード(Candy Candido)がヅラをかぶり、キモイ女の声(笑)で歌うのがポイント。
キャンディは(ふざけた名前だ)ラジオ番組やアニメの声優などで活躍した人。
誰だ、こいつと思ったのですが、声優さんと聴いて納得。



実はこのあと、アイリーン・ダン扮するステファニーがメイ伯母さんへの子守唄として
"Russian Lullaby"という曲を歌っています。作曲はジェローム・カーン。あれ、同じタイトルの曲、アーヴィング・バーリンにもあったよな。

 I'll Be Hard to Handle(気難しくなりそう)
私はとびっきり世話のやける女よ
怒ったら怖いの。
椅子やテーブルを投げつける
気の向くまま気が向かなくたってわがままなの。
お気をつけて

という内容。ジンジャー・ロジャースがコメティッシュに歌います。
彼女の歌声にはこういう曲が似会う。
歌うだけでダンスはありませんが、いかにもミュージカルっぽい楽しい曲です。



でもエラ・フィッツジェラルドなんて人が歌うと....。
Ella Fitzgerald ft Nelson Riddle Orchestra - I'll Be Hard To Handle (Verve Records 1963)

何かご立派な感じになってしまう。

1952年のリメイク版ではアン・ミラーがこの曲で踊りまくります。
Ann Miller - I'll Be Hard To Handle - from 'Lovely To Look At' - 1952

この曲のあと、アステアとロジャースがまるで会話しているかのようなタップダンス合戦が披露されます。
コンビ3作目にして既に名人芸の域。

 Yesterdays
過ぎ去った日々よ
幸せな甘い日々
激しく燃え上がったロマンス
それが私の人生だった。

という過去をなつかしむ歌。

ステファニーがメイ伯母さんに子守唄として
この曲を歌う。
メイ伯母さんはそれを聞きながら亡くなってしまう。



ノーテンキなアステア&ロジャース映画の中で"死"が出てくるとは思わなかったのでドキリ。
この曲も1933年舞台版のオリジナル曲ですが
今やジャズ・スタンダードとして定着。ありとあらゆる人がこの曲を録音しています。Yesterdays (1933 song)
一番有名なのは、やっぱりビリー・ホリデイ。
この曲の歌詞といいメロディといい、ビリーの声とぴったりマッチするんですよね。
Billie Holiday - "Yesterdays"

でもこの映画のアイリーン・ダンのような歌い方でもこの曲はちゃんと活きる。
色づけがかなり違ってもそれぞれきちんと響くものが名曲とあり、スタンダードとなる。
個人的に好きな曲のひとつ。

 I Won't Dance
いつも私とのダンスを断るのね。
踊ってくれたら魅力的な男になれるのに。
とくにコンチネンタルは素敵よ。

踊りたくないんだ、キミとはね。
気が乗らない。ダンスは得意じゃないし

という掛け合いの歌。



1933年の舞台版には含まれていない曲だが、
この映画のための新曲というわけでもない。
本来は1934年、ロンドンでのミュージカル" Three Sisters"のために作られた歌ですが
舞台がコケてしまったため、この曲を映画『ロバータ』の中で起用することになりました。
見事陽の目をみて、今やジャズ・スタンダード。

 Smoke Gets in Your Eyes (煙が目にしみる)
なぜ自分の恋が本物だとわかる?
自分の内部からあふれてくるものは否定できないよ

"恋は盲目だ。
恋の炎が燃え上がる時
その煙が目にしみる"
と人は言う。

でも私はふられてしまった。

泣いているのか、と人は聞く。
私は笑いながら答える。
"(恋の)かわいらしい炎が消えてしまったから
その煙が目にしみているんだ"

という内容。
アイリーン・ダンがしっとりと歌います。



このあとアステアとロジャースがペアで踊ります。

今やジャズ・スタンダードというよりポップス・スタンダード。
もう、オールデイーズの代表格といえる曲です。
Smoke Gets in Your Eyes(youtube)

一番有名なのはプラターズが1959年にリバイバル・ヒットさせたもの。
Platters - Smoke Gets In Your Eyes
映画『オールウェイズ』(1989)でもJ.D.サウザーが歌っています。

"煙が目にしみる"というフレーズは本当に粋ですね。
ちなみに"煙が目にしみる"は喫煙者が無駄に愛用します。
この曲での煙とはタバコじゃないぞ(笑)。

個人的にはこの熱海な雰囲気が苦手。このくらいがちょうどいい。
Teresa Teng ~~ Smoke Gets In Your Eyes

テレサ・テンは何を歌っても上手いなあ。でも、ちょっとおサレすぎるかな。

Lovely to Look At
今宵、あなたを目にすることがうれしくて
とアイリーン・ダンが歌ったあと
行方をくらましていたジョン(ランドルフ・スコット)が現れるという
予定調和。



その後、ファッション・ショーが行われ
アステアがこの曲をまた歌った後、"Smoke Gets in Your Eyes"のメロディにのせて
2人がダンスを披露。



この映画のための新曲で、アカデミー歌曲賞にノミネート。
1952年のリメイク版のタイトルにもなりました。
でも結局、他の曲に存在感で負けている印象。

映画『ロバータ』はアステア&ロジャース作品の中では映画としてもきちんとまとまっており、大物女優アイリーン・ダンとの共演やファッション・ショー的要素など他作にない特色もある。かつ、名曲ぞろい!にもかかわらず、アステア&ロジャースの代表作として名前があがることもミュージカル映画史などでとりあげられることもほとんどない。
その理由として考えられるのは

・アステア&ロジャースの役は元舞台にはなく、映画用につけ加えられたもの。
"Yesterdays"や"Smoke Gets in Your Eyes"などの有名曲はアイリーン・ダンが歌っており、2人はサブキャラのイメージが強い。
・MGMが本作の権利をRKOから買い取り、リメイク版"Lovely to Look At"(1952)が製作されたとき、 MGMはリメイク版を定着させるため本作をしばらく観ることができない状態にしてしまったという。まだビデオやDVDが普及していた時代でなかったため忘れられてしまった?

こんなところでしょうか。

ちなみに1933年のオリジナル舞台はさほど評判にならなかった。その理由としては作曲のジェローム・カーンが演出まで手掛けてしまったこと。良い作曲家が良い演出を出来るとは限らない。途中で演出家は変更されたがそれでも持ち直せなかったという。となると、この映画『ロバータ』が魅力的なのはアステア&ロジャースによるものが大きい。メインではないため、肩の力を抜いてのびのびと演じており、2人のケミストリーは他のどの作品よりも良いように思える。映画『ロバータ』はミュージカル映画ファンならぜひとも観ておきたい作品です。
人気blogランキングこの記事が参考になりましたら左のバナーにクリックお願いします!

スポンサーサイト


2017.06.24 Saturday | 00:02 | - | - | - |

コメント

コメントする









この記事のトラックバックURL

http://moviepad.jugem.jp/trackback/797

トラックバック

▲top