映画のメモ帳+α

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踊る騎士

踊る騎士(ナイト)(1937 アメリカ)

踊る騎士(1937)原題   A DAMSEL IN DISTRESS
監督   ジョージ・スティーヴンス
脚本   P・G・ウォードハウス アーネスト・パガノ S・K・ローレン
撮影   ジョセフ・オーガスト
音楽   ジョージ・ガーシュウィン
出演   フレッド・アステア ジョージ・バーンズ
      グレイシー・アレン ジョーン・フォンテイン レジナルド・ガーディナー

第10回(1937年)アカデミー賞ダンス監督賞(ハーミス・パン)受賞。室内装置賞ノミネート

ミュージカル映画で隆盛を誇ったフレッド・アステア、ジンジャー・ロジャースのコンビも『有頂天時代』(1936)あたりから人気に陰りがみえはじめ、『踊らん哉』(1937)でその傾向がいっそう顕著になってきます。アステアはいったんロジャースと離れて映画を撮ることを決意、相手役にまだ脇役女優だったころのジョーン・フォンテインを抜擢してつくりあげたのが『踊る騎士(ナイト)』です。楽曲を手掛けたのは『踊らん哉』同様、ジョージ・ガーシュウィン。"A Foggy Day"、"Nice Work If You Can Get It"というスタンダード曲を生み出したものの、作品は不評で興行的にも失敗。アステアは次作『気儘時代』ではまたロジャースとのコンビに戻ることになります。なお、本作が全米公開された4カ月前に、ジョージ・ガーシュウィンは亡くなっています。

物語は、ロンドンを訪れたアメリカ人ダンサー、ジェリー(フレッド・アステア)が城に住む貴族女性アリス(ジョーン・フォンテイン)に恋をするというもの。当時、まだ主演級の女優ではなかったジョーン・フォンテインの抜擢には驚きます。当初、ルビー・キーラー、ジェシー・マシューズ、ベティ・グレイブル、キャロル・ロンバードらが候補にあがりましたがかなわず、歌やダンスの能力よりも"貴族に見える"ことを重視し、最終的にはジョーン・フォンテインに決定した。確かに気品はありますが...。プレミア上映の際、彼女の後ろにいた女性が「あの女のダンスはひどい!」と叫んでいたんだそーな。フォンテインは「この映画は私のキャリアを4年後退させた」と冗談ぽく語っている。

さて、ジンジャー・ロジャースの穴を埋めるべく?起用されたのは、ジョージ・バーンズとグレイシー・アレンの夫婦芸人コンビ、バーンズ・アンド・アレン。ジョージ・バーンズはアステアが彼らを起用したがっていると知ると、ボードビルダンサーを雇ってダンスレッスンをしたという。アステアは彼らとの共演を楽しんだと伝えられている。グレイシー・アレンのけたたましい声って何か面白い。

では曲紹介です。

★  I Can't Be Bothered Now
株が下がったって関係ない。
踊っていれば満足だから邪魔するなという歌。

車に逃げ込んだアリスを隠したため、
警官に連行されそうになった後、
ファンの群れに紛れ込み、リクエストにこたえて踊る。

そのまま踊りながらバスに乗り込み、逃げきってあっぱれというオチ。



 The Jolly Tar and the Milkmaid
城に紛れ込んだアステアがおばさまコーラスに紛れ込んで歌います。
"乳搾りの娘さん、僕と結婚してください"
"私は3人の子持ちよ"
陽気な船乗りは"それでもかまわない。僕の奥さんになって。僕にも3人の妻がいるんだ"
という内容。アステアは踊らないけど、この場面結構好き。



★  Put Me to the Test(I've Just Begun to Live)
I've Just Begun to Live(始まったばかり)の掛け声のあと
アステアとバーンズ・アンド・アレンが3人で踊る場面で使われるインスト曲。
はたきを使ったタップダンス。

実はアイラ・ガーシュウィン、この曲に詞をつけていたのですが採用されず。
後日、その歌詞にジョローム・カーンが曲をつけ、『カバーガール』(1944)に使われています。
Put me to the Test. a scene from Cover girl.




その後、遊園地での場面にうつり
5分で願いがかなう、愛のトンネルというヘンテコなものに入って
アリスにキスをしようとしたジェシーがひっぱたかれます。

★  Stiff Upper Lip
ちょっとした歌を聞かせてあげる
覚悟をきめて、オデブさん
困った人に元気を上げるの
正しいと思うなら戦うこと

という内容。歌うはグレイシー・アレン

その後
この映画一番の見どころが登場します。
遊園地の"安全"とかかれているアトラクションに入った3人。

グレイシー・アレンのリズムを刻みながら円を描くような動き、鏡にうつったアステア、バーンズ・アンド・アレンのダンス、シュールで良い。




 Things Are Looking Up
愛にめぐりあって運が上向いてきたという歌。
ワルツ風の曲。

この映画でのアステアの歌は上手く感じる。
ガーシュインの曲は歌いやすいのかな。
フォーティンは踊れないから簡単なダンスです。
優雅な踊りのアステアにフォーティンが引きづられているだけのように見えます。



 A Foggy Day (霧の日)
アステアが森、霧の中で

僕はよそもので孤独だった。
でも霧の町を歩いてた時
突然君があらわれた
霧のロンドンに太陽の光が輝き始めた。

内容はシンプルだけど歌詞だけでイメージが膨らむ名曲。
ロンドンの街で歌われていないのはご愛嬌(笑)。
本来、これが普通なんだけど、
最近、洋邦楽ともに、情景描写に乏しく
歌詞だけみても全くイメージがうかばない曲ばかりが垂れ流されているので
こういう"王道"を聴くと逆に新鮮。

ジャズのスタンダード曲。誰もかれもみんなこの曲を吹きこんでいます。A Foggy Day
こういう詞もメロディもしっかりした曲は変なひねりが入るより
普通のボーカルで聞きたい!ということでアステアが一番いいような気がします。上手くはないけど。



で、なぜこの曲、アカデミー歌曲賞にノミネートすらされてないの?
ここでもしっかり歌われています。アカデミー賞にノミネートされなかった名曲をメドレーで披露された"Not Even Nominated"。7分15秒どろからSteve Lawrenceが歌います。ワン・フレーズだけですが(泣)。
Steve Lawrence/Sammy Davis Jr. - Not Even Nominated

 Nice Work If You Can Get It
可能性があるならやってみようという歌。
アステアがThe Stafford Sistersと一緒に歌う。
サビがキャッチーで一回聴いただけで耳にこびりつきます。

オリジナルがコーラスつきだったとは!
この曲もスタンダードとなっており、誰もが歌っています。Nice Work If You Can Get It
正直いってこの曲、誰の歌で聞いてもあんまり好きじゃなかった。
この映画のThe Stafford Sistersのコーラス版を聴いて、はじめて良い曲だと思いました(笑)。
コーラスでさらっと歌ってくれたほうが詞やメロディが活きる曲。
ソロボーカルだと大体くどく、ばたくさくなるので苦手。この曲を聴くならボーカル抜きがよい。
セロニアス・モンクとか。(これはこれで結構くどいが)
Thelonious Monk - Nice Work If You Can Get It

あと、執事を演じるレジナルド・ガーディナーが"情熱を抑えきれずに"アリアを歌う場面がありますが、これいる?
Damsel in Distress - Aria of Keggs

映画『踊る騎士(ナイト)』、主要キャスト以外にもおせっかいな少年執事(コミカル・リリーフの役をうまくはたしていない)、伯爵に見えない、庭仕事を好むアリスの父、こうるさいアリスの伯母、アステアを目の敵にするが実はオペラへの情熱を隠し持っている執事ケグス、音楽好きのレジーなどいろんなキャラクターをまぶしているのだが、どれも脚本にうまく活かされていない。またアリスの"気が変わりやすい"性格もうざったいだけで、ドラマとして散漫な印象を受ける。ラストはアステアのドラムを蹴りながらダンス。足さばきはすごく見ごたえはあるが、ソロだと地味でやや物足りない。『踊る騎士(ナイト)』、映画全体としてはあまり面白くないが、部分的な見所はたくさんあるという奇妙な作品。アステアファンはもちろん、ミュージカル映画好きは観ておいて損はない。ところで現在、"A DAMSEL IN DISTRESS"、窮地の乙女とでも訳せようか。なぜ踊る騎士に...。アステアは騎士役じゃないよ!
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2017.03.12 Sunday | 00:24 | - | - | - |

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