映画のメモ帳+α

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踊る海賊

踊る海賊(1948 アメリカ)

踊る海賊(1948)原題   THE PIRATE
監督   ヴィンセント・ミネリ
原作   S・N・バーマン
脚本   アルバート・ハケット フランセス・グッドリッチ アニタ・ルース
      ジョセフ・L・マンキウィッツ ジョセフ・ザン ウィルキー・マホーニー
撮影   ハリー・ストラドリング
音楽監督 レニー・ヘイトン
作曲   コール・ポーター
音楽   アルフレッド・ニューマン ウェルナー・ジャンセン
出演   ジュディ・ガーランド ジーン・ケリー
      ウォルター・スレザック グラディス・クーパー ニコラス・ブラザース

第21回(1948年)アカデミー賞ミュージカル映画音楽賞ノミネート

踊る海賊』はジュディ・ガーランドジーン・ケリー2大スター競演作。監督は当時、ガーランドと結婚中だったヴィンセント・ミネリ。楽曲はコール・ポーターが手掛けた。この布陣にも関わらず興行的に失敗。MGMは本作から1カ月後に公開された『イースター・パレード』の大ヒットでその赤字を埋めたと言われている。



物語19世紀、カリブ海のある島で、マニュエラ(ジュディ・ガーランド)は市長ペドロ(ウォルター・スレザック)と結婚させられることになった。マニュエラは噂されている海賊マココこそが自分の恋人にふさわしいと信じていた。結婚を目前に控えたある日、サーカス団員セラフィン(ジーン・ケリー)に口説かれた。セラフィンは自分こそがマココだと嘘をつき、彼女の心を射止める。本当のマココは市長ペドロであり、ペドロは自分の正体を隠し通していた。セラフィンはペドロがマココであることを知っており、ペドロを脅した。マニュエラを失いたくないペドロは市長の権限で兵を差し向け、マココになりすましたセラフィンを処刑させようとする。

1942年に上演されたS・N・バーマンの戯曲『海賊』を映画化した作品。これだけの好条件が揃っているのに大コケ。そんなにひどい作品かと思いきや、そうでもない。(批評は賛否両論だった)傑作とまではいいかねるが、ミュージカル映画としての一定水準はみたしている。じゃあ、なぜコケたかというとそれがよくわからないのである。無理矢理理由を探すなら、ジュディ・ガーランドとジーン・ケリーのケミストリーが今ひとつ、ジーン・ケリーの海賊役が微妙にミス・キャスト。彼はラテン系の役はあまりはまらない。歌も5曲しかなく、うち4曲はソロ。2大スターが揃って歌い踊るのは最後の最後にチラっとだけ。『イースター・パレード』が楽曲も多く、アステア・ジュディの共演場面がはつらつとしてすこぶる魅力的だったことを考えると理由はこのあたりにありそうだ。

では、その楽曲群を見ていくことにする。

 "Nina"
女性の名は皆、ニーナに統一してあらゆる女性を口説きまくるジーン・ケリー
ニーナ、キミに魅せられた、夢中だ
そのあとダンス。このパフォーマンスはあんまり面白くない。

この後、ジュディに逢って、ニーナと呼ばず、名前を聞く。
「バカ男と結婚するな。君を手に入れる男は馬鹿に決まっている
結婚させたくないばかり、こんなこと言ったら殴られますそ。

 "Mack the Black"
ジーン・ケリー扮するセラフィンが観客からひとりを選んで催眠術をかけようとする。
実験台には穢れのない人がいいとのたまひますが、何故か穢れだらけのジュディを選びます。
当然失敗します。
催眠術にかけられたジュディは海賊マココを称える歌を勇ましく歌う。この場面が一番楽しい。



歌なしの"Pirate Ballet"でジーン・ケリーが踊る場面。
情熱の炎?The Pirate Ballet (1948) Gene Kelly & Judy Garland

ジュディはバラードも2曲歌っています。ケリーに向かってあらゆる物を投げつけまくった後、「本心じゃないのよ」と倒れた彼を抱き寄せながら歌う"You Can Do No Wrong"、ラスト、ケリーが処刑されそうになる前、催眠術をかけられたふりをして歌う"Love of My Life"。ともに熱唱だけど、曲が短すぎて印象薄し。

 "Be a Clown"
be a clown 1948処刑される前の最後のパフォーマンス、そしてラストと2度歌われます。最初、ジーン・ケリーと一緒に踊っているのはニコラス・ブラザーズだが、彼らが黒人であるというだけの理由で、メンフィスなどアメリカ南部一部の都市では"Be a Clown"がカットされて公開されてしまった。ちなみにこの曲はこの映画で、というよりは『雨に唄えば』のドナルド・オコナーが歌った"Make 'Em Laugh "にもろパクられたことのほうが有名かもしれません。コール・ポーターはアーサー・フリードと友人だったため、訴訟を起こしていない。

この映画のことを語る時、どうしても『イースター・パレード』を思い出す。
何故ならこの2作、MGM、アーサー・リード製作、ジュディ・ガーランド主演という共通点があるだけでなく、『イースター・パレード』はもともと本作同様、ヴィンセント・ミネリ監督、ジーン・ケリー共演で進められていた企画だったからです。この頃、すでに体調、精神状態ともすぐれなかったジュディは精神分析医から「夫と一緒に仕事をしないほうがよい」という助言を受け、監督をチャールズ・ウォルターズに変更させた。またジーン・ケリーはケガのため出演できなくなり、ケリー本人が連絡をとってフレッド・アステアに代役を頼んだといういきさつがあります。『イースター・パレード』は興行的に大成功。変更が良い方向に働いた。また、コール・ポーターより(『イースター・パレード』を手掛けた)アーヴィング・バーリンのほうが"大衆受けする"曲づくりが上手だったこともある。コール・ポーターの伝記映画『五線譜のラブレター DE-LOVELY』(2004)の中で、"バーリンのように知的すぎない曲がかける?"と言われたポーターが、この映画ラストに登場する"be a clown"を歌い踊る場面が出てくるが、実際、ポーターはそういうことを言われていたのかもしれぬ。映画の成功不成功はいろいろと紙一重ですねえ。
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2017.10.23 Monday | 00:09 | - | - | - |

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