映画のメモ帳+α

音楽映画、アカデミー賞関連の記事に力を入れています。
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ロッキー・ホラー・ショー

ロッキー・ホラー・ショー(1975 イギリス)

ロッキー・ホラー・ショー原題   THE ROCKY HORROR PICTURE SHOW
監督   ジム・シャーマン
原作   リチャード・オブライエン
脚本   ジム・シャーマン リチャード・オブライエン
撮影   ピーター・サシツキー
音楽   リチャード・ハートレイ
出演   ティム・カリー バリー・ボストウィック
      スーザン・サランドン リチャード・オブライエン
      ジョナサン・アダムス ミート・ローフ
      チャールズ・グレイ パトリシア・クイン


ミュージカル劇『ロッキー・ホラー・ショー』は1973年、6月19日Royal Court Theatreで初日を迎えた。バイセクシャルで女装愛好家の男が人造人間の筋肉男を製造するという内容が度肝を抜き、1930年後半から1970年代初頭までのB級SF、ホラー映画に対するトリビュートとなっている物語は好評。1974年にはロサンゼルスでも上演され成功をおさめた。ところが、映画公開前にブロードウェイで舞台を上演したところ「けばけばしく演出過剰」「時代遅れ 下品 野暮」と酷評をあびた。雲行きが怪しくなった状態で、映画版『ロッキー・ホラー・ショー』は当初、"普通の映画"と同じように公開された。批評は芳しくなく、興行的にも舞台が成功したLAですら大コケ。ところが、1976年のエイプリルフールよりニューヨークで深夜上映をはじめたところ観客が登場人物のコスプレをしてきたり、上映中に掛け声を出したり小道具を使ったり、大騒ぎのイベントと化した。"観客参加型映画"として有名になったことで舞台、映画ともに今でもロングラン記録を更新中。2005年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録され、映画史において独自のポジションを確立した。なお、日本では舞台、映画とも『ロッキー・ホラー・ショー』という表記だが、原題において舞台は"The Rocky Horror Show"、映画は"The Rocky Horror Picture Show"と区別される。



物語
ブラッド(バリー・ボストウィック)とジャネット(スーザン・サランドン)は恩師スコット博士(ジョナサン・アダムス)に婚約の報告をするため車を走らせた。その途中、嵐で道に迷ってしまい車もパンク。電話を借りようと近くの古城を訪れるが、そこでは奇妙なパーティが行われていた。城主フランクン・フルター(ティム・カリー)は女装趣味のバイセクシャルでブロンド、筋肉質の美男「ロッキー」(ピーター・ハインウッド)という人造人間を創ったばかり。フランクンはブラッドとジェネットの双方と強引に関係をもつ。その後、ジャネットがロッキーの肉体に惚れこんで...

ミュージカルらしく歌はてんこ盛り。ここを参照しながら、曲とともに映画について語ってみます。

HE ROCKY HORROR PICTURE SHOW lips1.サイエンス・フィクション/2本立て Science Fiction, Double Feature (リチャード・オブライエン)
昔のオールディーズっぽい、どこか懐かしさが漂う曲。映画冒頭で曲がフルコーラス流れるのは珍しい。舞台っぽい、それともB級っぽい?この歌は舞台ではマジェンダ役のパトリシア・クインが歌っている。彼女は映画版ではこの歌を自分が歌えないことを知り、「持ち歌を取りあげられてまで出演したくない」と断った。だが、接待漬けになり映画のセットをみせられて陥落。リチャード・オブライエンいわく、"パトリシアを推薦したが「原作者なんだから君が歌うべきだ」と言われしぶしぶ承諾"とのこと。ほんまかいか。冒頭の唇はパトリシアのもの。口パク係に降格です。一番にこそ"私たちの立場を教えてくれた"とか"人造人間をつくった"とか映画の内容をほうふつさせる表現もありますが、基本的には単なるネタの羅列(笑)。ちなみにネタ元となっている映画は以下のとおり。「地球の静止する日」(1951) 、「超人対火星人 (Flash Gordon) 」(1936)、「透明人間」(1933) 、「キング・コング」(1933)、「It Came from Outer Space」(1953)、「Doctor X」(1932)、「Tarantula」(1955)、「人類SOS!」(1962)、「Night of the Demon」(1957)、「地球最後の日」(1951)。本作で一番有名な曲だけど、1回聞いただけでネタ元が全部わかる人ってどれだけいるんだろ?どの歌詞がどれに該当するかはここ(英語)を参照。それにしても深夜の2本立てなんて歌詞がこの曲にあるんだから、この映画も最初から深夜でやればよかったのに
Science Fiction/double Feature Lyrics

2.ダミット・ジャネット Dammit, Janet (ブラッド、ジャネット)
ブラッドがジャネットにプロポーズするだけの歌ですが、アメリカの観客、DVDで観客の音声を聞くとこの曲で手拍子している人がいた。ちなみにこの曲においては"oh brad"と歌ったあとに"oh shit"と言われており、他にもブラッドの登場場面でよく"ASS HOLL"という声がかかっていました。ブラッド君、嫌われ者(笑)。スーザン・サランドンとバリー・ボストウィックは映画版のオリジナルキャスト。この2人だけがアメリカ人俳優である。Dammit Janet Lyrics

3.フランケンシュタインの屋敷に There's a Light (Over at the Frankenstein Place) (ブラッド、ジャネット、リフ・ラフ)
車がパンクし、とりあえず電話を借りたい2人は不気味な建物の灯に希望をみようとしますが、リフラフとそのコーラス隊はフランケンシュタインの城では暗闇が待っているよ!と彼らのその後を暗示しています。Over At The Frankenstein Place Lyrics
この曲に入る直前、ジャネットが新聞を頭に雨の中を歩く場面では「カサ買えよ!このドケチ」とチャチャを入れるのがお約束事のようです。面白い?アラン・パーカー監督『フェーム』(1980)にも描かれています。実際もこんな感じなのかな。



4.タイム・ワープ The Time Warp (リフ・ラフ、コロンビア、マジェンタ、ナレーター&ザ・トランシルヴェイニアンズ)
"The Time Warp" はオリジナル舞台が当初わずか40分だったため、時間稼ぎのため作られた曲。トランシルバニア人たちは、『オズの魔法使』のマンチキンたちをモデルとしており、『オズ〜』にならって、スローで録音したものを早回しにして録音した。このくらいのテンポなら普通でも歌えるだろ、と思っていたけど舞台版の映像などみると...うーん、やっぱり表現力が違う。早回しのほうが良いです。

the time warpDrinking those moments when The blackness would hit me.
And the void would be calling.
(暗闇にうちのめされ空虚感にさいなまれた時、その瞬間を飲み干してやった)

いい詞ですね。それにしても"I remember doing the Time Warp."を"タイムワープを踊ったことを思い出す"としたDVDの訳は間違いというか...映像には合っているけど"踊った"わけじゃないよね。何はともあれ個人的にはこの曲が一番好き。

The Time Warp Lyrics

5.スイート・トランスヴェスタイト Sweet Transvestite (フランクン・フルター)
ティム・カリーが"私の格好に驚かないで。外見で判断しないでね。私はだたのかわいい女装愛好家なの。真昼はさえない男だけど夜になれば達人よ、性の違いなんて忘れたわ"と歌います。"タイム・ワープ"からこの曲へ続く流れはこの映画の肝というか、クライマックスです、早すぎ(笑)。ティム・カリーは圧巻ですね。特別イケメンではないんだけど、女装が映える顔。バイセクシャルで女装愛好家、下手な役者がやると必要以上にめめしく演じたりするんだけど、ティム・カリーはさじ加減というか、その"真ん中具合"が見事。話し方はエリザベス2世と自分の母親を参考にしたとか。ちなみにこの映画版でフランク役、あのミック・ジャガーが演じたがっていたそうです。まあ、彼も女装メイクが映えそうな顔ではありますね。

Sweet Transvestite

Sweet Transvestite Lyrics

6.ダモクレスの剣 The Sword Of Damocles (ロッキー)
ロッキー誕生の場面はカクテルを創っているような、虹色のイメージで撮影された。
ダモクレスの剣とは何ぞや?という方はこちら。糸うんぬんの歌詞はここからきているんですね。
歌はたいしたことないけど、コロンビア、リフラフ、マジェンタの変な振り付けが楽しい。
これ、真似している人多いだろうな。ロッキー役のピーター・ハインウッドはなかなかいい味を出しているが、もともと役者ではなくこれが最初で最後の映画出演。今は骨董商をしているそうだ。

Sword Of Damocles Lyrics

Charles Atlas7.男にしてあげる I Can Make You A Man (フランクン・フルター)
この曲は1940〜1950年代にかけて頻繁に見かけたチャールズ・アトラスの筋肉マン広告にインスパイアされたもの。フランクンがロッキーの手をひいて「チャールズ・アトラスの保証書つきよ」と言ったあと歌われます。2回目に歌われる場面で"チャールズ・アトラスを手にとってみたい"と歌詞の中にも出てきますね。 "In just seven days, I can make you a man,"(7日で十分 1人前の男にしてあげる)そのまんまでんな。

I Can Make You A Man Lyrics

8.ホット・パトゥーティー~ブレス・マイ・ソウル Hot Patootie- Bless My Soul (エディ)
"ナイーヴでいい子だけど筋肉がない"エディの歌です。Hot Patootieは俗語でセクシーな女という意味。うーん、ロック・ミュージカルということで本物のロッカーをいうことでミートローフが登場したんでしょうけど...。この曲、およびこの場面が個人的には一番つまらない。それにDVD映像特典でミートローフさん、たいして面白くない話を長々と話しすぎ...。

Hot Patootie - Bless My Soul Lyrics

9.タッチ・ミー Toucha-Toucha-Touch Me (ジャネット)
まあ、何とも露骨な歌詞。"ヘビーなペッティングなんて諦めていたけど、今はそのやり方が知りたいの"だって。良い子は閲覧禁止(笑)。
"I wanna be dirty"と歌われたからか、ブラの上からとはいえ、ロッキー君、ジャネットの胸もろに揉んでまんがな。

Toucha-Toucha-Touch Me 1       Toucha-Toucha-Touch Me 2
ジャネット役のスーザン・サランドンは下着姿が多く、暖房を頼むと"アメリカの映画俳優は文句ばかり"と言われ、肺炎寸前になったそうです。おー、劣悪環境。

スーザン・サランドン、今やオスカー女優。政治的発言も多く本作のイメージとは正反対の方向でキャリアを構築してきた。『ロッキー・ホラー・ショー』について"キャリアの中でも特別な作品。未知の領域に挑戦できた。孤独な子供たちの役に立っていたことがファンレターでわかった。"とスーザンらしいコメント。"よくインタビューで私がこの作品に出演してしまった弁解を引き出そうと誘導尋問される。パワーがあって好きよ。出演を後悔なんかしていない。出演作の中でも後世に残したい一本"と語っている。でもスーザンってあまり変わらないですね。もともと老け顔とでもいいましょうか、純情娘を演じるのは多少無理がありました(笑)。

Touch-a, Touch-a, Touch Me Lyrics

10.エディ Eddie's Teddy (スコット博士、コロンビア)
エディの生い立ちを語る歌。
スコット博士の低音ボイスとへんてこな動きしか覚えていません(笑)。

Eddie Lyrics

11.プラネット・シュマネット Planet Schmanet (フランクン・フルター)
フランクン・フルター様が逃げるジャネットを追いかけまわし"ジャネット、賢くおなり"と諭す歌。マスタードで頭冷やせるんかい?
音波装置でスコット博士、ブラッド、ジャネット、コロンビアらが次々と石膏にされます。ボディラインが妙にリアル。

Planet Schmanet, Janet Lyrics

12.フロア・ショー
世界をバラ色に染めて Rose Tint My World /Don't Dream it Be it / Wild & Untamed Thing
(コロンビア、ジャネット、ロッキー、ブラッド、フランクン・フルター、スコット博士、リフ・ラフ)

さてフロア・ショーです。コロンビア、ジャネット、ロッキー、ブラッドの4人がみんなフランクンの服装をして"Rose Tint My World”を歌う。このあたりで、もーこの映画にはついていけない!と思う人と、すっかり見慣れてしまった人に分かれるでしょう。ここを乗り越えた人には次の"Don't Dream it Be it"、フランクンを含めた5人がプールの中で乱交する場面がお待ちかねです。プールの底の神に触れているということらしいですが...。「夢をみるな。夢になれ」はこの作品で伝えたかったことだそうです。夢は見るものでなく叶えるものだ、掴むものだなどはあまりにもありふれたメッセージですが、夢になれって???ようは女装のことですね。女になりたいなら女の格好をして女に...。夢になれという表現、ピンとくる人とこない人がいるでしょう。この"Don't Dream it Be it"は多くの性倒錯者が利用している通信販売の広告から拝借した表現だそうです。次の"Wild & Untamed Thing"はありがちなロック。

Rose Tint My World Lyrics

Don't Dream It - Be It Lyrics

Wild And Untamed Thing Lyrics

13.ゴーイング・ホーム I'm Going Home (フランクン・フルター)
この場面はフランクンの幻想ですね。"どこに言っても同じ扱い。私は帰る"とゴスペルもしくはブルースっぽく歌いあげます。もしこの作品に本気で感情移入している人がいるなら、ここは泣き所です。まあ、その後マジェンダに「おセンチね」と一蹴されるんですが。

I'm Going Home Lyrics

14.スーパー・ヒーロー Super Heroes (ブラッド、ジャネット、ナレーター)
"真実を探し求めた努力を神は知っている"とブラッドは歌います。彼が探し求めた真実って電話のこと?(爆)
スーパーヒーローは肉を食って生き延びるとジャネットは歌います。うーん、最後にしては曲も短く意図するものがよくわからない。まあ、デカダンスな雰囲気を味わえば良しとしよう。

Super Heroes Lyrics

最後、"サイエンス・フィクション/2本立て"のあと、"タイム・ワープ"のインストが流れる。さあ、現実世界にタイムワープですよ、というメッセージを感じとれなくもないが、これって単に舞台のカーテンコールで使っていた音楽をそのまま使ったのでは?うーん、映画なので"サイエンス・フィクション/2本立て"で余韻を残して終わったほうがよい。

さて、曲の人気ですが、歌詞を参照したmetrolyricsを見るとアクセス数は"The Time Warp"が圧倒的でそのあとは、" Science Fiction, Double Feature","Sweet Transvestite"、"Toucha-Toucha-Touch Me"あたりが続き、あとはドングリの背比べ。まあ、予想どおり。米国での公開当時、「曲が皆同じに聞こえる」という批評があったそうだ。確かに...。ロックとバラードの2パターンぐらいしかなく、全部メジャーコードっぽい曲。"Science Fiction, Double Feature"、"Time Warp"、"Sweet Transvestite"、"Toucha-Toucha-Touch Me"などインパクトがある曲が前半に集中しているため、後半になると食傷気味。

さて、この映画観た人の反応はたぶん以下の3パターンにわかれると思う。
1.熱狂し、何度もこの映画を観て、イベントに足を運ぶ
2.そこそこ面白かったけど熱狂まではしない。
3.退屈、気持ち悪い

筆者は2に属します。この映画、ずっと観たいと思いつつ、何故か長い間未見でした。絶対面白いだろうな、たぶん好みだろうと思いつつ、パンドラの箱をあけるように恐る恐る観てみると..."こんなもんかあ、まあまあ面白かったけど期待したほどじゃない。"というのが正直な感想。時代のせいもあるでしょうね。今なら(本作の影響か)この手の映画ってそんなに珍しくない。当時はかなり斬新だったでしょうから。

ティム・カリーいわく"「フリークス/神の子」に続くカルト・ムービー"。プロデューサーのルー・アドラーは「我々は普通の映画を作った。カルトにしたのは観客」と語り、この物語を「カルト宗教みたいな話」と思ったそうです。それは正しいですね。映画よりもこの映画の熱狂的ファンが苦手という声もあります。"絶対に面白い"と価値観を強要するような雰囲気があるそうです。ただ、この映画での劇場パフォーマンス、お決まりのつっこみ、小道具などいろいろあるようですがそれほど厳密なものではないらしい。日本の某ロックバンドのファンなんて、ファン歴の長さで鉢巻きの色が違い、"この曲は盛り上がる。この曲は黙って聞く"など軍隊並みの規律があるらしいです。それでいて聞く歌は"自由になりたい、束縛されたくない"。こっちのほうがよっぽどカルトですね。

ファンクラブ会長 「2〜3回みるといろんなことに気づき、歌いたくなる。2000回みてみるのやめた。たぶん3000回はみた。」どひゃ〜。

映画『ロッキー・ホラー・ショー』は(ミュージカル映画全般に言えることですが)もろに舞台チックで映画的とは言えない作り。でも記事を書くために2回、3回とみると...だんだん面白くなってきた。やばい。リチャード・オブライエンは「(ニクソンのテープを使ったのは失敗としながらも)時代遅れにならなかったのは流行を取り入れていないから。衣装なども当時の衣装ではない。」と語っています。それがロングランの秘訣でしょう。DVDで歌の部分だけを見ようとしたところ、それでも1時間は楽にかかりました。まさにミュージカルですね。映画というよりは長編の音楽ビデオとしてみればかなり楽しめます。でもこの映画の面白さってやっぱり劇場で体感しなければわからないんでしょうか?一度参加してみたいものです。ただし、ちょっと遠巻きに見てる程度で(笑)。
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2017.03.12 Sunday | 00:08 | - | - | - |

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