映画のメモ帳+α

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二人でお茶を

二人でお茶を (1950 アメリカ)

二人でお茶を原題   TEA FOR TWO
監督   デヴィッド・バトラー
原作   フランク・マンデル オットー・ハーバック
      ヴィンセント・ユーマス エミル・ナイトレイ
脚本   ハリー・クローク
撮影   ウィルフリッド・M・クライン
音楽   レイ・ハインドーフ
出演   ドリス・デイ ゴードン・マクレー
      ジーン・ネルソン イヴ・アーデン
      ビリー・デウルフ パトリス・ワイモア

1950年に公開された『二人でお茶を』はワーナーが当時売り出し中だったドリス・デイ主演のミュージカル映画。1924年にデトロイトで、翌年ロンドンおよびブロードウェイで行われヒットした舞台『ノー・ノー・ナネット』を原作としている。1930年1940年に続いて3度目の映画化である。他愛のない話だが、興行的には成功をおさめている。




物語
1929年、恐慌の影響で金持ちのマクス(S・Z・サコール)も無一文になる。彼の財産相続人である姪のナン(ドリス・デイ)はそんなことも露知らず、歌とダンスのレッスンに励んでいた。ナンの元彼ビリー(ビリー・デ・ウルフ)は自分のショー一座が財政難に苦しんでいたため、なんとかナンに出資させようとやっきになる。ナンは一座の歌手ジミー(ゴードン・マクレー)に恋しており、ジミーもナンの才能を買ってショーに出演することを進める。ビリーはこの話にのり、ナンを主演に抜擢するから金を出せとせがむ。ナンはマクスに交渉。自分が48時間すべての質問に"ノー"と言い続ければ金を出すという約束を強引にかわした。ラリーの市場はナンの豪邸で練習をはじめる。ナンとジミーの関係も深まっていくが、ジミーの求婚にたいしてもナンは"ノー"と言わざるをえなかった。ナンは約束を守りぬいたが、肝心のマクスは無一文で...

まあ、それにしても"ザ・凡庸"とでもいいたい作品。見事なほどフックがない。観終わった翌日には内容のみならず、この映画を見たことすら忘れてしまいそうです。ナンが常に"ノー"と言わなければいけないという設定にも無理があるし、それ自体をコメディとしてうまく生かせていない。衣装は地味でダンスも凡庸。派手なダンス場面もあるが、ただ踊っているだけで観ていて面白くない。そして楽曲もつまらない。最大の売りである映画タイトル曲"TEA FOR TWO(二人でお茶を)"も効果的に使われているとは言い難い。でもオリジナルの『ノー・ノー・ナネット』3回目の映画化だし、1971年のリバイバル公演ではトニー賞4部門受賞している舞台です。となるとオリジナルはそこそこ面白いはずなんだけど、何で映画は...どうも舞台の内容をかなり脚色しているようです。『ミュージカルへの招待』(宮本啓著 丸善ブックライブラリー)を参照するとオリジナルはこういう内容だったらしい。

箱入り娘のナネットと聖書出版業者社長の父親を中心に、ナネットの男友達、父親の愛人らが入り乱れテンヤワンヤ。何をしても父親からノーと言われ続けていたナネットが、トムという男と婚約、"イエス、イエス、ナネット"になるというお話。

これはこれで面白くなさそうですが(笑)、映画はもっと面白くなくしたんでしょう。監督、脚本家、振付師、今イチな才能が結集。でも映画は大ヒットしました。

この映画の楽曲リストは以下のとおり。

"I Know That You Know"
"Crazy Rhythm"
"I Only Have Eyes for You"
"Tea for Two"
"I Want to Be Happy"
"Do Do Do" by
"Oh Me! Oh My!"
"Charleston"
"Here In My Arms" - Doris Day
"No, No, Nanette" - Doris Day and Gene Nelson

"Tea for Two" 以外では"I Want to Be Happy"が比較的有名です。
”幸せになりたい。君を幸せにするまでは僕は幸せになれない"という内容。
この映画では↓こんな感じなんであんまり印象に残らない。


でもこれ、ジャズ・スタンダードなんです。しかもモダン・ジャズの時代になってからよくとりあげられるようになったとか。歌では"Tea for Two" のほうに分があるけど、演奏ものではこっちのほうが人気だそうです。

あとは"Crazy Rhythm"。1928年のブロードウェイ・ミュージカル"Here's Howe"のためにアーヴィング・シーザー、ジョセフ・メイヤー、ロジャー・ウォルフ・カーンによて作られ、これもジャズ・スタンダード。・Doris Day - CRAZY RHYTHM

さて、「二人でお茶を」("Tea for Two")です。この曲が作られたのは1924年(発表は1925年)作曲のヴィンセント・ユーマスがアーヴィング・シーサーのアパートにやってきてピアノを弾き、今すぐ詞をつけろとシーサーをせかした。仕方なくシーサーはたったの5分で歌詞をつけて渡した。翌日、シーサーが書き直そうとしたところ、ユーマスが「このままでいい」と断固受け付けなかったという。その歌詞とは、"2人でお茶を飲んで幸せな結婚生活を。子供は2人。君には男の子、僕には女の子..."といったシンプルなもの。5分で書いたようなお手軽な歌詞です。それがスタンダードになるんですから世の中わかりません。"君をひざにのせて(Picture you upon my knee)"、今のご時世ならセクハラおやじの歌認定です。Tea For Two Lyrics

1958年にはトミー・ドーシー楽団がチャチャにアレンジして大ヒット。TOMMY DORSEY Orch.- Tea For Two - Cha Cha, arr.& cond. by Warren Covington

今ではジャズ・スタンダードとなっていて、カーメン・マクレエとサミー・デイヴィス・ジュニアをはじめデュエットとしても多く録音されています。カーメンにしては歌いあげてるな。もっと抑えて歌ったほうがいいのに!Sammy Davis, Jr. & Carmen McRae Tea For Two

ボーカルものでもっとも有名なのは本作のドリス・デイをのぞけば、映画『真夜中のジャズ』の中で披露されているアニタ・オデイ。決定版とも言われています。元がどんな曲かさっぱりわからないのはさすがアニタ(笑)Anita O'Day Tea For Two

どちらかというと5分で書いた歌詞はすっとばされ(笑)粋なメロディが好まれている模様。
ピアノマンが好んで取り上げるのは納得。アート・テイタムのはいいですね。
Art Tatum's Tea for Two (1933)



セロニアス・モンクもとりあげてます。Thelonious Monk - Tea for Two (1956)
何じゃこりゃと思ったらまだ違うのもあって原曲のコード進行に手を入れて、旋律を複雑にして"Skippy"というタイトルで発表しているそうだ。

バド・パウエルのは個人的に苦手...。さすがにここまでくると同じ曲には聞こえません。Bud Powell plays Tea For Two

ベニー・グッドマンのやつは良いです。Benny Goodman - Tea For Two

これらの粋な演奏を聴いたあとで、本作のドリス・デイを聞くと


うーむ、だせえ(笑)。彼女も録音しなおしています。
Doris Day - Tea for two

"Tea for Two"、メロディは美しく、独自の解釈を入れられる余白もある。
ジャズマンの腕の見せ所のような曲ですね。

さて映画ですが、せっかくこの曲使っているんだからもうちょっとお洒落に撮ってほしかった。
どうせめちゃくちゃな話なんだから、浮いたっていいじゃない!
素材の良さにかまけ、製作サイドの手抜き感が伝わってくる。でも映画は大ヒット...。

映画『二人でお茶を』はタイトルで想像できるとおり他愛のない映画。出来が悪いというよりはつまらない。暇つぶしでみても退屈。この映画をきっかけにスタンダード曲"Tea for Two"をいろいろ聞き比べてみるとよござんしょ、って感じですね。
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2019.08.18 Sunday | 00:21 | - | - | - |

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