映画のメモ帳+α

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イースター・パレード

イースター・パレード(1948 アメリカ)

イースター・パレード原題   EASTER PARADE
監督   チャールズ・ウォルターズ
製作   アーサー・フリード
原作   フランセス・グッドリッチ アルバート・ハケット
脚本   フランセス・グッドリッチ アルバート・ハケット シドニー・シェルダン
撮影    ハリー・ストラドリング
音楽   ジョニー・グリーン ロジャー・イーデンス
作詞作曲 アーヴィング・バーリン
出演   フレッド・アステア ジュディ・ガーランド
      ピーター・ローフォード アン・ミラー ジュールス・マンシン

第21回(1948年)アカデミー賞ミュージカル映画音楽賞受賞

イースター・パレード』は2大ミュージカルスター、フレッド・アステアジュディ・ガーランドの唯一の共演作。もともとはジュディ主演で企画され、共演はジーン・ケリーでした。ところが、ケリーは自宅の裏庭でフットボールを練習中にケガをして出演不可能に。ケリーは自らアステアに代役を依頼し、アステアとジュディの初共演が実現しました。アステアは『ブルー・スカイ』(1946)以降、引退宣言により映画出演はありませんでしたが、製作アーサー・フリード、楽曲アーヴィング・バーリン、共演ジュディ・ガーランドという魅力に抗うことができず出演を承諾。2年ぶりの銀幕復帰となりました。(のち、アステアは"本当にこの企画を断らなければならないほどケガがひどいのか?"とケリーに確認の電話を入れたとか)ジュディ・ガーランドはそれまでアステアに会ったことがなく、撮影前はややナーバスになっていたらしいですが出来上がった作品では息もぴったり。興行的にも大成功し、この2大スターにとっても代表作のひとつとなりました。



物語
1912年。イースター・パレードを翌日に控えた日、ダンサー、ナディーン(アン・ミラー)は好条件の契約を手にしたため、ドン(フレッド・アステア)とのパートナー関係を一方的に解消してしまった。やけになったドンは酒場にいき、どんな踊り子でもナディーンレベルに育て上げて見せると意気込み、その日舞台に立っていた踊り子ハンナ(ジュディ・ガーランド)に声をかける。ハンナはほぼ素人に近かったが、ドンの指導により舞台に立つようになるが...

冒頭、アステアが"Happy Easter"を歌う場面からスタート。『スイング・ホテル』(1942)で"Happy Horiday"という言い回しを定着させましたが、明らかに二番煎じ狙いです。(笑)着飾った女性が次から次へと出てくるのは『ブルー・スカイ』でもみられた演出。アーヴィング・バーリンってこういうの好きなんでしょうね。後半の"The Girl on the Magazine Cover"(1915)でも同じようなパターンが出てきます。

アステアがおもちゃ屋に入り、復活祭でのプレゼント用にうさぎのぬいぐるみを買い求めようとする。ところが、小さな男の子がそれを抱きしめていた。そこでアステアは"Drum Crazy"を歌い、子供にドラムをかわせ、この子からうさぎのぬいぐるみを奪い取ろうとします。大のオトナのすることじゃありません(笑)。楽しい場面ですが、アステアがスーツに白い靴を履いているのが気になった。ダンスシューズなんでしょうけど、微妙に違和感。ヒッチコックの『見知らぬ乗客』でも見かけましたが、アメリカではこーいうの普通なんでしょうか?あんまりつっこむと『シリアル・ママ』みたいになっちゃうのでこの辺でやめときますが。



アン・ミラー扮するナディーンは野心たっぷりの女。"ただのダンサーで終わりたくない"とアステアを袖にして好条件の契約に飛びつく。アステアは"It Only Happens When I Dance with You"で君との踊りでしかできないことがあると歌い、ミラーを説得しようとしますがなしのつぶて。パートナーに逃げられたアステアはやけ酒に走る。まあ、"It Only Happens When I Dance with You"はその後、別の場面でもう一度使われます。アステア映画ではよくあるパターン。

easter parade 1948 1アステアは安酒場の踊り子のダンスをみて、"この女たちの誰でも、ナディーン並のダンサーに育てることができる"と豪語、たまたま目があったジュディ・ガーランド扮するハンナに声をかけ、オーディションの誘いをかける。その後、ジュディは酒場でもうひと仕事。"I Want To Go Back To Michigan (Down On The Farm)" (1914) を歌います。"雌鳥の声がなつかしい。朝4時に起こしてくれる。ミシガンに帰りたいわ"という歌。歌い終えたあと、ジュディは職場を後にする。

一晩あけて軽率な行動を反省したアステアはジュディが来ないことを祈っていたが彼女は本気にしてしまった。ジュディ扮するハンナは足に目印のガーターをつけないと右左の区別もつかないような子だったが、引き返せなくなりアステアはしぶしぶ彼女にレッスンをつける。ハンナはアステア扮するドンから「街を歩いていて男に振り向かれたことがあるか?今、試してみよう」と言われた。男は次々と振り返って彼女に視線を注ぐ。「すごいじゃないか」感心するドン。実のところ男たちが振り向いた理由は...ベタだけど面白い。

easter parade judy lips

ドンとハンナはレッスンを重ね、ついにショーを行う。アンコールはかからず意気消沈。その後、偶然アン・ミラー扮するナディーンに出会い「あの娘(=ハンナ)に私の猿マネをさせないで」と毒づかれる。ドンはその言葉でショーが受けない理由を悟り、ハンナに彼女本来の田舎くさい、ハツラツとした魅力を出させることを決意する。

ある雨の日、ハンナはドンの親友のジョナサンと街で出くわし、ジョナサンはハンナに一目ぼれ。"A Fella with an Umbrella"で"僕はこうもり傘をもったただの男。雨が2人をひきあわせてくれた。"と歌い彼女をくどきます。ちなみにジョナサンを演じたピーター・ローフォードってただの男どころか、かなりキナ臭いお方だったようで。ピーター・ローフォード(wiki)。ジュディ扮するハンナは"こうもり傘を持った男はみんな彼女がいるのよ。あなたが愛にあふれた女性を見つけられるように私が手伝ってあげるわ"と軽くいなします。はっきりいうとこの曲今イチ。ミュージカル映画における雨の歌といえば何といっても『雨に唄えば』でジーン・ケリーが歌った"Singin' in the Rain"を思い起こします。さすがのアーヴィング・バーリンも雨の歌で"Singin' in the Rain"を超える曲は生み出せなかったようです。

さて、ドンから路線変更を命じられたハンナが "I Love a Piano"(1915)を歌いはじめるころから映画は活気を帯びてきます。"Snookey Ookums" (1913) 、"The Ragtime Violin" (1911) "When the Midnight Choo-Choo Leaves for Alabam'" (1913) と既存曲が続きます。まあ、1912年という時代設定ですからね。"Ragtime Violin"や"When the Midnight Choo Choo Leaves for Alabam'"は『世紀の楽団』(1938)でも使われていました。特筆すべきは"When the Midnight Choo Choo Leaves for Alabam'"でかなりアップテンポにアレンジされていて、何よりアステアが楽しそう。こんな楽しそうなアステアは他にないかも。



共演のジュディ・ガーランドは本作撮影時、遅刻や体重増加を抑えるための薬の飲みすぎで不調と相変わらずの問題児ぶりだったそうだが、アステアは自伝においてその点には全く触れず、ジュディを"素晴らしい"とベタぼめ、撮影は"最も楽しかったことのひとつ"にあげている。のち、『ブロードウェイのバークレー夫妻 』(1949)でジュディとの再共演がオファーされた際、ふたつ返事でOKしたという。(結局、ジュディは降板)アステアにとっては遅刻などの問題より、歌唱・ダンススキルのほうが重要だったのだろう。ジュディ・ガーランドなら相手役として申し分なく伸び伸びやれる!そんなところだろう。アステアとジュディの共演が本作一本だけなのは残念だ。(『ジーグフェルド・フォリーズ』(1946)に2人とも出演しているが、同じ場面での登場はなく、厳密な意味での共演とは言えない)

そのあと、アン・ミラー扮するナディーンが"Shakin' the Blues Away"(1927) を歌い踊ります。得意のタップダンスを惜しげもなく披露。あんなにクルクル回って目が回らないかしらん、と素人は単純に思ったりします。でもすごいのが靴音。ハイヒール(ダンス向けに作られたものでしょうけど)で踊るんですが、コトコトコトコトと軽やかで小気味良い。アステアもジーン・ケリーなどと比べると軽快なダンスで知られていますが、それでも男だからか少しドタッが入っているような気がするので、このコトコト音は脅威でした。彼女クラスになると靴音ひとつも音楽というかアートやね。いや〜すごい、すごい。



アン・ミラーの役は当初シド・チャリースが演じる予定でしたが、ジーン・ケリー同様?ケガで降板。こいつら問題児ジュディ・ガーランドと共演したくなくてわざとケガしたのか(爆)。当初アーヴィング・バーリン大先生はこれまでB級ミュージカル映画にしか出演していなかったミラーの起用に反対したそうです。(バーリン先生が関わったミュージカル映画がA級と呼べるのか多少疑問が残りますが)でも、この映画での彼女をいたく気に入ったらしいです、はい。

さて、ジュディ・ガーランドがピアノの弾き語りで"It Only Happens When I Dance With You"で歌い、ドンとハンナがお互いに好意を持っていることを確認します。そのあと、ステージでこの映画一番の見せどころ、アステアが"Steppin' Out with My Baby"を披露。歌詞は"僕が輝いて見えるのはデートの前だから。彼女と出かけるんだ"という他愛のない内容ですが、メロディがいいですね。ただ、アステアの音程がやや不安定なのが気になる。アステアの場合、"崩して歌う"というより"単に音程を外しただけ"に聞こえる。
Fred Astaire. Steppin' out with my baby.
ジュディ・ガーランドは内心"ワタシが歌えばよかったのに"とか思っていそう。



アステアはバラードよりも"Puttin' On the Ritz"などアップテンポの曲になると歌手としての弱さが出ますね。フツーは逆なんですけど。この場面の最大の見どころはアステアのスローモーションダンス!スローでもアステアのダンスは華麗で美しい!



"Steppin' Out with My Baby"はスタンダード・ナンバーとなっています。アステア映画からは多くのスタンダードが生まれていますが、主としてジャズ・スタンダード。ただし、この"Steppin' Out with My Baby"はポップス・スタンダードでしょうね。トニー・ベネットのヴァージョンが有名です。"Stepping Out With My Baby" - Tony Bennett

実はこの曲、この年のアカデミー歌曲賞にノミネートすらされませんでした。第51回(1978年)アカデミー賞授賞式でサミー・デイヴィスとスティーヴ・ローレンスがアカデミー賞歌曲賞にノミネートすらされなかった名曲をメドレーで歌いましたが、その中に"Steppin' Out with My Baby"も含まれています。Steve Lawrence/Sammy Davis Jr. - Not Even Nominated

続いてアステア、ジュディの2人がルンペン風の衣装で歌う"A Couple of Swells"。



ニオイのカップル...というか臭いカップル!
ジュディ・ガーランドのコメティッシュな魅力が存分に出ています。
アステアは帽子とズラで別人みたい。
ジュディは自分のショーでもこの曲を披露。Judy Garland - A Couple Of Swells (The Judy Garland Show)

パフォーマンスで楽しいのはここまで。あとはアン・ミラーがオペラみたいな歌い方をするRichard Beaversを従えて踊る”The Girl on the Magazine Cover"(1915) 本当つまらない曲です。そのあと、アン・ミラーが客席にいたアステアの手をひいて強引に即興ダンス。ジュディは憮然として立ち去り、昔勤めていた安酒場へ。そこで"現実の世界に2番目はない。私に次の恋はない"と 切々と歌う"Better Luck Next Time"。で、予定通り2人は仲直りし、"Easter Parade"(1933) を歌いながら復活祭へ。

実はこれらの他にジュディ・ガーランドが男物のタキシードにトップハット、網タイツ姿で"Mr. Monotony"を歌う場面が撮影されていたのですが、ジュディ演じるハンナのキャラクターに会わないということでボツに。その映像は"That's Entertainment! III" (1994)で観ることができます。ミュージカル映画なんだから、キャラクターに会わなくたってぶちこみゃいいのにねえ(笑)
Mr. Monotony Deleted Footage こうやって聞いてみるとキャラクターというより映画全体のトーンに合わないかも。

『イースター・パレード』はフレッド・アステアとジュディ・ガーランドの唯一の共演作。ジュディ主演で企画されていたこともあり、ジュディの魅力が満載ですがアステアも楽しそうで何より。アステア映画の中では作品として最もきちんとまとまっている作品のひとつ。代役で登場した作品が代表作になってしまう。フレッド・アステアという人はやっぱり"持っている"んでしょうね。
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2017.05.25 Thursday | 00:18 | - | - | - |

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