めまい
めまい(1958 アメリカ)
原題 VERTIGO
監督 アルフレッド・ヒッチコック
原作 ピエール・ボワロー トーマス・ナルスジャック
脚色 アレック・コッペル サミュエル・テイラー
撮影 ロバート・バークス
音楽 バーナード・ハーマン
出演 ジェームズ・スチュワート キム・ノヴァク
バーバラ・ベル・ゲデス トム・ヘルモア
ヘンリー・ジョーンズ エレン・コービイ
レイモンド・ベイリー リー・パトリック
第31回(1958年)アカデミー賞美術監督・装置賞・音響賞ノミネート
『サイコ』と『めまい』はアルフレッド・ヒッチコック監督映画で、時間が経てばたつほど評価があがってきた作品。ともに今ではヒッチコックの最高傑作という評価が定着している。だがこの2作は多少、事情が異なる。『サイコ』は劇場公開時、大変な話題となり大ヒット。ヒッチコックもアカデミー監督賞にノミネートされるなど一定の評価をえた。当時、娯楽映画を芸術作品として評価する姿勢が根付いていなかったゆえ、評価されていないように見えただけ。でも『めまい』は違う。批評も芳しくなく、興行的にも"損をしなかった程度"で、ヒッチコック本人も失敗作と認めている。だが、年々評価はうなぎのぼりとなり、2012年英国映画協会(BFI)が選ぶ『世界の批評家が選ぶ偉大な映画50選』で半世紀にわたって1位をキープしていた『市民ケーン』を引きずり落とし、1位に上り詰めた。"とにかく脳裏に焼き付くほど怪しくて気だるく、特異な性癖を表現した詩的な作品"であることがその理由。The Top 50 Greatest Films of All Time(BFI)
『めまい』はヒッチコック全作品の中で最も"研究対象"となっている作品としてもよく知られている。
原題 VERTIGO
監督 アルフレッド・ヒッチコック
原作 ピエール・ボワロー トーマス・ナルスジャック
脚色 アレック・コッペル サミュエル・テイラー
撮影 ロバート・バークス
音楽 バーナード・ハーマン
出演 ジェームズ・スチュワート キム・ノヴァク
バーバラ・ベル・ゲデス トム・ヘルモア
ヘンリー・ジョーンズ エレン・コービイ
レイモンド・ベイリー リー・パトリック
第31回(1958年)アカデミー賞美術監督・装置賞・音響賞ノミネート
『サイコ』と『めまい』はアルフレッド・ヒッチコック監督映画で、時間が経てばたつほど評価があがってきた作品。ともに今ではヒッチコックの最高傑作という評価が定着している。だがこの2作は多少、事情が異なる。『サイコ』は劇場公開時、大変な話題となり大ヒット。ヒッチコックもアカデミー監督賞にノミネートされるなど一定の評価をえた。当時、娯楽映画を芸術作品として評価する姿勢が根付いていなかったゆえ、評価されていないように見えただけ。でも『めまい』は違う。批評も芳しくなく、興行的にも"損をしなかった程度"で、ヒッチコック本人も失敗作と認めている。だが、年々評価はうなぎのぼりとなり、2012年英国映画協会(BFI)が選ぶ『世界の批評家が選ぶ偉大な映画50選』で半世紀にわたって1位をキープしていた『市民ケーン』を引きずり落とし、1位に上り詰めた。"とにかく脳裏に焼き付くほど怪しくて気だるく、特異な性癖を表現した詩的な作品"であることがその理由。The Top 50 Greatest Films of All Time(BFI)
『めまい』はヒッチコック全作品の中で最も"研究対象"となっている作品としてもよく知られている。
※ 以下の記事はネタバレしています。未見の方はご注意ください。
〜物語〜
刑事スコッティ(ジェームズ・ステュアート)は、墜落事故で部下を死なせてしまったショックで高所恐怖症になり、高いところに上るとめまいが起こるようになった。警察もやめ、ぶらぶらしていたところ、友人のエルスター(トム・ヘルモア)から妻マデリン(キム・ノヴァク)の尾行を頼まれる。尾行を続けているうち、マデリンは若くして不慮の死をとげた自分の先祖カルロッタの亡霊にとりつかれているようであることがわかった。投身自殺を図ろうとした彼女を救ったことをきっかけに、スコッティはマデリンと恋仲になる。マデリンはかつてカルロッタが自殺を図った教会に行き、鐘楼につながるらせん階段を上っていく。スコッティは後を追うが、高所恐怖症によるめまいが原因で塔まで登れない。女の身体が塔から落下。マデリンは自殺とみなされたが、このショックでスコッティのめまいはますますひどくなる。そんな最中、ジュディ(キム・ノヴァク・2役)に出会う。ジュディはマデリンに瓜二つ。スコッティはジュディを追いかけ、ヘアスタイル、服装などマデリンそっくりにジュディを仕立て上げていく。だが、ジュディのネックレスをみてあることに気づく。マデリンとジュディは同一人物ではないかと疑ったスコッティはジュディを例の教会に連れ出してみる。 〜
ヒッチコック映画で特に好きな作品は?と聞かれると『バルカン超特急』、『疑惑の影』、『サイコ』と答えていた。実は『めまい』も頭に浮かんでいたのだが、得体のしれないイメージが強すぎて結局除外した。『めまい』の評価がすこぶる高いことを知ったのはかなり後のこと。納得できるような、できないような...。そして今回、久しぶりに『めまい』を再見した。初見の時とイメージはほぼ同じ。これが歴代映画のNo.1?わかるような、わからないような。『めまい』は言葉で魅力を綴るのが難しい。余韻として残るのは"もやもやしたイメージ"だけだからだ。
『めまい』のストーリー自体は、よくみると比較的ありふれたミステリーである。
そこで、この"もやもや感"を生みだしているのは何か?を自分なりに考えていた。
大きくわけると以下の3つである。
1.高所恐怖症とめまい、この2つが組み合わさったことが醸しだす異様なイメージ
2.死人に寄せる想いが徐々にエスカレート、ヒッチコックいわく"屍姦"
3.主演のジェームズ・スチュワート、キム・ノヴァクがもたらす、ある種の違和感
これを順番に述べていくことにする。
★ 高所恐怖症とめまい
まず冒頭。ソウル・バスによるタイトル・デザインが強烈だ。
目のクローズアップ。血を連想させる深紅。やがて瞳の奥から渦巻き状の回転。
この渦巻きはヒッチコックが提案し、ソウル・バスが抽象的な心理画に仕上げた。
この強烈なイメージをバーナード・ハーマンの音楽が華麗に彩る。
催眠術的な音楽、と評されているが少し脅しが入っている気もする。
何度も何度も同じフレーズが回転するように流れる。
まさにめまいのイメージで聞き続けていると気絶しそう。
冒頭、犯人を追う過程で主人公スコッティは窮地に追い込まれる。
『海外特派員』、『逃走迷路』、『泥棒成金』などヒッチコック映画おなじみのシチュエーション。
落ちたのは別の人。
その後、スコッティがどうやって助かったのかよくわからないのですが、まあ気にしないでおきましょう(笑)。
Officer Down (1958)
冒頭で"めまい"と"高所恐怖症"のイメージが強烈に植え付けらます。
特にめまいの渦巻き状のイメージは強く、スコッティが逃げ出したマデリンを追いかけてサンフランシスコの街を車で運転する場面ですら、道路がめまいのようにうねり落下していくようなイメージを醸しだしています。
"めまい"と"高所恐怖症"のイメージは、スコッティがマデリンを追いかけて教会のらせん階段をかけのぼる場面までつながっていく。
まずは、この映像。
ヒッチコック映画に階段はつきものですが、このアングルだと渦巻がた = めまい にみえる。
ここでドリーズーム(Dolly zoom)という、とってもいやらしい撮影技法を使っているのです。
これがどーいうものかというと
・台車などでカメラを引きながら、レンズはズームインする。
・逆にカメラを近づけながら、レンズはズームアウトする。
これを続けて行うことにより、撮影対象の大きさは一定に保ったままで背景の奥行きが変化する。
こんなイメージです↓クリックしてください。
ヒッチコックはこのらせん階段をこのドリーズームで撮影しました。
主人公スコッティからみたらせん階段を表現するため。
つまり、スコッティはめまいを起こしているので、らせん階段がこのように見えてしまうということなのです。
そのいやらしい映像をご覧ください↓
このdolly zoomという撮影法はこの『めまい』で使われたことにより有名になったので、"Hitchcock zoom" とか"Vertigo effect"などと呼ばれることもあります。
スコッティはめまいにより鐘楼まで登ることができず、その結果マデリンは...。
The Bell Tower (1958)
スコッティのめまい症状はますますひどくなり、こんな悪夢も見るようになります。 Scottie's Nightmare (1958)
真ん中の映像をみて、『スター・トレック4/ 故郷への長い道』のタイムワープ場面を思いだした。もちろん、スター・トレックがパクったんですが(笑)。
"めまい"と"高所恐怖症"のイメージは作品全体を支配します。
ただし、めまいにはもうひとつ意味がある。もちろん、恋煩いによるめまいです。
★ 死人に寄せる想い
この映画に独特な色をつけているのは、この死人に寄せる想いです。
まずは、マデリンが自分の曽祖母にあたり若くして自殺したカルロッタに自分を重ねる。
墓参りにいき、美術館にある彼女の肖像画の前にたたずむ。
彼女の夫いわく"死んだものが生きたものにとりついている"状態だ。
Uncanny Resemblance (1958)
やがてマデリンはゴールデンゲートブリッジに出向き、身をなげる。
ゴールデンブリッジは悪名高きドキュメンタリー映画『ブリッジ』でとりあげられているとおり、知る人ぞ知る自殺の名所。
この『めまい』が自殺の名所化に一役買ってはいないよね、たぶん。
Saving Madeleine (1958)
スコッティは彼女を救い出し、知らず知らずのうちに彼女に恋をしはじめる。
どさくさにまぎれて、裸にしちゃった。
だが、彼女の心理状態はますます不安定になっていき、ついに教会の鐘楼から身を投げた(ことになっている)。
スコッティのめまいはますますひどくなり、こんな幻覚をみたりする。
マデリンと瓜二つの女、ジュディをみかけたとたんストーカーまがいに彼女を追いかけ、デートを申し込む。彼女の髪型、服装などをマデリンそっくりに仕立てていく。髪の色はブロンドに!髪型はアップに!
変態オヤジの要求はどんどんエスカレートしていく。髪をあげたジュディはまるで亡霊のようにご降臨。
SHOCKING Hidden Meaning of VERTIGO
"死人が乗り移っていた女"を愛した男。その女が死ぬと、男が別の女をその"死人が乗り移っていた女"に仕立てて愛そうとする。
物語全体を覆う、"死人を蘇らせて愛そうとする、尋常ならざる欲望"は映画を別次元の世界に導いていく。
★ ジェームズ・スチュワート、キム・ノヴァクは微妙にミス・キャスト?
『めまい』はヒッチコック映画としてみると興行的には失敗だった。ヒッチコックはその原因を「ジェームズ・スチュワートが老けすぎていたから」の一言で片づけている。まあ、ヒッチコックって成功は自分の手柄、失敗は俳優のせいにするのがならわしですから(笑)。批評家も「ジェームズ・スチュワートはロマンスを演じるには年をとりすぎている」と評している。確かに見ている間は抵抗あるんですね。顔は塗りたくって何とかごまかしても、キス場面のときの首のシワとか。それにこれまで一度も悪役を演じたことがなく、アメリカの良心みたいなイメージのジェームズ・スチュワートが異常性愛男を演じている。しかし、その違和感が作品のイメージを拡げるのにひと役買っています。主人公スコッティは警察を辞めた失業者なのにいつもスーツを着ている。不安をあおるような場面ではパープルのスーツ。ヒッチコックは色使いも見事です。
ジェームズ・スチュワートは自分が出演したヒッチコック映画4作のうち『ロープ』だけ自分がミスキャストのように感じると語っている。本人は『めまい』に満足しているんですね。ジェームズ・スチュワートは『めまい』の次作『北北西に進路を取れ』に出演を熱望しましたが、ヒッチコックに断られてしまった。グラントのほうが若く見えると判断されたんですね。ケーリー・グラントはジェームズ・スチュワートより4つ年上だけど...。
演出も批判をあびました。特に不評だったのはジュディが途中で種あかしをしてしまうところ。
実はこの直前にジュディが「以前も知らない男とデートした。ひっかけられたのよ」という、ほのめかしがあるのですが、まあこれだけで勘づく人は少ないでしょうね。
問題のフラッシュバック場面です。
ヒッチコックは最後までこのフラッシュバックを入れるかどうか悩んだらしいです。ヒッチコック映画において、"主人公が知らない情報を先に観客に与えてしまう"のは王道パターン。観客はそれをふまえた上でヒッチコックの映像演出を楽しんでいる。個人的には『めまい』のこのフラッシュバック、ありだと思いますが。最後までもったいつけたところで、"衝撃の結末"と言えるほどでもないし。
えー、予想できなかったでしょ!?
まあ、強いて言うなら"独白"箇所があまりに昼メロっぽすぎる。
フラッシュバック映像だけで十分わかるのでは?と思わなくもないですが...。
『めまい』は製作の段階でトラブルが続いています。
脚本の完成に2年かかり、ヒッチコック本人が胆のう手術をするなど撮影開始予定は大幅に遅れ、かつ、当初マデリン/ジュディ役を演じる予定だったヴェラ・マイルズが妊娠を理由に撮影延期を申し出たため、役はキム・ノヴァクに変更されました。
ヒッチコックは前作『間違えられた男』で起用したヴェラ・マイルズを気に入り、"ポスト・グレース・ケリー"にしようとご執心だったことは有名です。でも結局『ピクニック』、『愛情物語』とヒット作に連続出演、映画会社が"ポスト・リタ・ヘイワーズ"として売り出し中だったキム・ノヴァクの起用が決まります。グレース・ケリーからリタ・ヘイワーズに変更...どんなイメージの役やねん(笑)。
ヒッチコックはマイルズの妊娠に激怒、彼女の"降板"に大変失望したというのが定説ですが、脚本のからみで撮影開始予定が大幅に遅れていたため、スケジュール的にヴェラ・マイルズを待つことは可能だった。にも関わらずヒッチコックはマイルズをあえて使わずキム・ノヴァクに変えてしまったのが実情のようです。カルロッタの肖像画もヴェラ・マイルズの顔で製作されており、ヒッチコックがマイルズに執着していたことは否定できませんが、最終的にはプロデューサーとしての判断を優先したというところでしょうか?
どれがお好み?左から映画本編のカルロッタ像(キム・ノヴァク)、幻のヴァラ・マイルズ版、そして映画にもネタとして登場するスコッティの女友達ミッジ版
キャスティングをめぐってのエピソードは『めまい』研究者の大好物(笑)。ゆえに諸説が乱れ飛んでいます。ヒッチコックはヴェラ・マイルズへの執着心が捨てきれないのか、たびたび"キム・ノヴァクはミス・キャストだった"と語っています。これは撮影当時、キム・ノヴァクとの間に衝突があったと言われ、その嫌な思い出がもたらしたコメントという見方が支配的。大部分の評論家が"キム・ノヴァク ミスキャスト説"を否定。トリュフォーも"キム・ノヴァクの演技は素晴らしかった"と絶賛しています。
ただ、ここで留意しておかなければならぬことがあります。
それは
・キム・ノヴァクはヒッチコック好みの女優とは正反対(外見だけで十分セクシー)。
・キム・ノヴァクの演技力は"そこそこ"レベル。
の2点です。本来なら弱点となりうる要素ですが、『めまい』に限って言えばそれが逆に良かった。前述のジェーム・スチュワードの微妙なミス・マッチぶりもそうなのですが、その弱点がかえって物語の不可解性、神秘性を高め、映画独特の雰囲気をさらに高めている。
ヒッチコックは『めまい』のヒロイン像に関しても、従来の"見た目は清楚、知的。情熱的な要素を内面にひそめているブロンド女性"という、彼好みの女性をイメージしていました。そう、イングリッド・バーグマンやグレース・ケリーといったタイプです。ヒッチコックはマリリン・モンローのような、外見からして"セックスの塊"のような女優には関心を示しません。最初からセクシーでは面白くない、という理由です。キム・ノヴァクはどちらかというとモンロータイプの女優です。
こんな服装をしても、どこか野暮ったいというか田舎臭さを残している。
"知的で洗練されている"イメージともやや異なります。
Kim Novak in Vertigo (1958)
キム・ノヴァクがもつ、中途半端であいまいなイメージを演出によってさらに深めていきます。
ます、映画の1/3が終わるころまでキム・ノヴァクには台詞がない!これにより謎・神秘性が生まれてきます。
これも計算ずくですが、ブロンドの髪に似会わないグレースーツ。ばっちり似会う白のコート。
似会う、似会わない、双方のイメージを差し出すことにより、ヒロイン像があいまいになり、完璧でない分、不思議な感覚を呼び起こします。
見るからにノーブラ。『めまい』が評論家オジサンから絶大な支持を得ている大きな理由のひとつです(爆)。
でも素直じゃないヒッチおじさんはこーいうのはあまりお好きじゃないようです。
冒頭、肩ひものないブラジャーをジェームズ・スチュワートが物珍しそうにながめる場面がありますが、これはキム・ノヴァクに対する嫌みでしょう(笑)。ヒッチコックは「キム・ノヴァクはいつもノーブラでそれを誇りにしていた」と苦々しく?語っています。
しかし、ヒッチコックが嫌う"外見だけでセクシー"な要素が加わったことで、『めまい』は他のヒッチコック映画とは一線を期す、独自の魅力を醸しだしたのです。
後半、ジュディが登場してから何となくもやもやした気分になる人も多いのではないでしょうか?
それは前半のマデリンとジュディ、話し方も外見も同じような、違うような...。
ジュディの独白、つまり種明かしがあったあとも何かむずむずした気分が残ります。
キム・ノヴァクの演技が妙に中途半端なのです。でも、それが作品の不可解性を深めている。
脚本のサミュエル・テイラーは「もし2役を完璧に演じ分けることができる女優が演じていたら、『めまい』はこれほどの傑作にはならなかっただろう」と語っています。キム・ノヴァクは知的とも洗練させているともいいがたく、セクシーといってもマリリン・モンローほどの華やかさがあるわけでもない、演技力もそこそこ...焦点がぼやけ完璧でないがゆえに、かえって想像力をかきたてられる。
『めまい』は女優キム・ノヴァクにとって代表作となりました。
キム・ノヴァクは『めまい』以外にも、『ピクニック』、『愛情物語』、『ねえ、キスしてよ』、『クリスタル殺人事件』などの出演作があるのですが、結果的に『めまい』一本で映画史に名を刻むことになりました。第86回アカデミー賞受賞式にプレゼンターとして登場。legend(伝説)と紹介されています。伝説という言葉は"『めまい』の主演女優"ゆえに使われた言葉でしょう。
ちょっと休憩。
「めまい」でのヒッチコック・カメオ出演場面!
0:11 グレーのスーツで前を横切るオサン。ひねりがなさすぎる登場で面白くない(笑)。
ところで、『めまい』には別のエンディングも用意されていました。
ミッジ(バーバラ・ベル・ゲデス)が真犯人エルスターの追跡をはじめたというニュースをラジオで聞いている。部屋にスコッティが入ってきたので、彼女はラジオを消す。2人は一杯飲みながら黙って部屋の窓をみつめる、というもの。
ちなみに、ヒッチコックの女友達ミッジは原作にない役柄で、物語があまりにも非現実的な方向にいきすぎないために作られたキャラクターだそうです。これはこれで悪くないが、鐘楼にのぼったスコッティが立ちすくむ場面で終わるオリジナル版のほうが刹那的でよい。この場面は彼が"高所恐怖症によるめまい"を克服したことも示していて、冒頭の描写とがっちりつながってくる。
ロバート・バークス(撮影)、バーナード・ハーマン(音楽)、ソウル・バス(タイトルデザイン)、衣装(イデス・ヘッド)...『めまい』はいつもながらの一流スタッフを携えて、衣装、色使い、カメラワーク、音楽...完璧なお膳立てのもと、高所恐怖症、めまい、死者に対する尋常ならざる想い...といった不安定で漠然としたイメージが物語をおぼろげに彩ります。さらに主演2人の微妙なミスマッチ感がその不安定さをさらにかきかてる。それらが混ざり合った結果、他に類をみない独特のムードを醸しだした作品となりました。ヒッチコック映画の中でもっともアート映画っぽい作品ゆえ異色作ではありますが、最高傑作のひとつです。妖しくて儚くて、めまいがするほど美しい映像!
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1000 Frames of Vertigo (1958)
スタートレックにはびっくりです(笑)。
スーツ姿でも隠せないキム・ノヴァクの色っぽさは半端
ないです。「自分好みに変えたい」おじさんの気持ちが良くわかる…(笑)
つところで、主人公の恋人(ミッチ?)とはどうなってしまったのかが、謎でした。
別のエンディングがあったということは、忘れられてしまったわけではなかったんですね。