映画のメモ帳+α

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ロープ

ロープ(1948 アメリカ)

映画 ロープ原題   ROPE
監督   アルフレッド・ヒッチコック
原作   パトリック・ハミルトン
脚本   アーサー・ローレンツ
潤色   ヒューム・クローニン
撮影   ジョセフ・ヴァレンタイン  ウィリアム・V・スコール
音楽   レオ・F・フォーブステイン
出演   ジェームズ・スチュワート ファーリー・グレンジャー
      ジョン・ドール セドリック・ハードウィック
      コンスタンス・コリアー ジョアン・チャンドラー
      イディス・エヴァンソン ディック・ホーガン ダグラス・ディック
      
アルフレッド・ヒッチコック監督の『ロープ』は、パトリック・ハミルトンの舞台劇を映画化。1924年に起こった「レオポルドとローブ事件」を"ゆるく"参照している。全シーンをワンショットでつなげ、映画と現実の時間進行を全く同じにする野心的試みが話題となった。ヒッチコック初のカラー映画である。




物語
ニューヨークのアパートの一室。大学を卒業したばかりのフィリップ(ファーリー・グレンジャー)とブラントン(ジョン・ドール)は同級生デイビットを殺し、死体を衣装箱に入れておいた。殺人が行われたその部屋で被害者の父(セドリック・ハードウィック)、恋人(ジョアン・チャンドラー)、被害者の親友で恋仇だったケネス(ダグラス・ディック)、伯母(コンスタンス・コリア)、担当の大学教授(ジェームズ・スチュアート)を招いてパーティを開く。死体を入れた衣装箱の上に食事を並べて、皆に食べさせたり、殺人に使ったロープで本をしばって父親に贈ったり、2人はスリルと優越感に浸っていくが...

ヒッチコックの映画には舞台原作が多い。台詞の多い戯曲はヒッチコックらしさに欠けることも多いが、『ロープ』は、まるで舞台の生中継を観ているような迫力がある。生中継に近い"ワン・ショット撮影"で行われたからだ。ヒッチコックとしては最初から最後までぶっ通しで撮りたかったのだろうが、撮影フィルム1巻が10分程度しかないため、現実には不可能。そのため、1フィルムの終わりを人物の背中にするなどフィルムのつなぎ目が目立たないように工夫。最初から最後までノンストップでつながっているように見せた。上映時間は80分。午後7時半から午後9時15分までという時間設定。時間の流れそのままに物語は進んでいく。そのため映像にはリアルな緊張感がみなぎっており、ヒッチコックの他の舞台原作映画とは一線を画す出来となった。ちなみに本作の美術監督は『市民ケーン』を手掛けたペリー・ファーガソン。穏やかな人柄ながら、新しい試みに積極的な人だったと言われている。

たとえ"ワン・ショット撮影"でも死体の入った衣装箱、出入りするお手伝いだけを映し、会話だけが聞こえてくる演出などは妙にスリリング。

ロープ1

映画化にともなって、舞台版にかなり脚色を加えている。
主人公ルパートの設定もかなり違うようだ。舞台版では29歳の教師らしい。
また、女性3人とケネスの役は舞台にはない。

話のネタ元であるレオポルドとローブ事件についても、男性2人が自分たちの優位性を示すために殺人をおかしたという設定だけをいただいた感がある。実際の事件において、男性2人は同性愛関係だった。映画でもそれを匂わす場面はあるが、露骨な描写はない。それでも、"同性愛だ"、"嫌でも事件をほうふつさせる"としていくつかの地域では上映禁止となっている。

疑惑の影』にも効果的な殺人方法を議論する男2人が出てくるが、それをさらに発展させた物語ともいえる。ヒッチコックはいつかレオポルドとローブ事件を映画化したいと思っていたのだろうか?映画のなかで山ほど人を殺して、人を楽しませてきたヒッチコックがこういう映画をつくる...ある種の自己弁明かな。

ヒッチコック映画には、"これはヒッチコックのスタイルではない"と評される映画が結構多い。逆にいうと、これぞヒッチコック!と言われる映画は意外なほど少ない。それはヒッチコックが常に今までやったことのないことに挑戦している証である。ヒッチコック映画、実際はかなりバリエーション豊かなのだが、ファンは皆自分が好きな映画を"ヒッチコックスタイル"だと思い込んでいるふしがある。

『ロープ』はジェームズ・スチュワートのヒッチコック映画初出演作だが、彼は自分の出演したヒッチコック映画の中でこの作品が唯一気に入らないらしい。自分がミスキャストのように思えるから、だという。ヒッチコックの第一希望はケイリー・グラントだった。ジェームズ・スチュワートもケイリー・グラントも共に4作ヒッチコック映画に主演しており、ヒッチ映画の2大スター男優。ヒッチコックは同じ英国人ケイリー・グラントをより好んだように見えるが、作品的にはジェームズ・スチュワートのほうが恵まれている。他の3作は『裏窓』、『めまい』、『知りすぎていた男』だしね。

ヒッチコック カメオ出演場面「ロープ」でのヒッチコック・カメオ出演場面!

ロープ ヒッチコック カメオ2
開始2分ごろ、手前を歩いているオサン

ロープ ヒッチコック カメオ
54分ほとから3分近く、後ろにある赤いネオンサインがヒッチコックのトレードマークだとさ。わかるか、こんなもん(笑)

『ロープ』はいかにも舞台の映画化という雰囲気だが、批評、興行的にも成功している。独特の緊張感はまさにヒッチコックサスペンス!物語を最後まで見ると"あれ、意外と単純な話だな"と思ったりもするが、このイカレた物語は製作から70年近くたった今のほうがより響く。失敗作と見る人も意外と多いが、個人的には『ロープ』はヒッチコックの傑作のひとつだと思う。
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1000 Frames of Rope (1948)


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2017.05.25 Thursday | 00:16 | - | - | - |

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