映画のメモ帳+α

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パラダイン夫人の恋

パラダイン夫人の恋(1947 アメリカ)

パラダイン夫人の恋原題   THE PARADINE CASE
監督   アルフレッド・ヒッチコック
原作   ロバート・ヒッチェンス
脚本   デヴィッド・O・セルズニック ジェームズ・ブリディ
撮影   リー・ガームス
音楽   フランツ・ワックスマン
出演   グレゴリー・ペック アリダ・ヴァリ
      アン・トッド ルイ・ジュールダン
      チャールズ・ロートン チャールズ・コバーン
      エセル・バリモア レオ・G・キャロル

第20回(1947年)アカデミー賞助演女優賞ノミネート(エセル・バリモア)

パラダイン夫人の恋』はアルフレッド・ヒッチコック監督にしては珍しい法廷もの。はるか昔、はじめて観たときにはそれなりに楽しんだが、久しぶりに見返すとミスキャスト、脚本など粗が目立ちヒッチコックの演出にも今ひとつ冴えない。興行的にも失敗している。




物語
夫を毒殺した罪でパラダイン夫人(アリダ・ヴァリ)が起訴された。事件を担当した弁護士アンソニー・キーン(グレゴリー・ペック)は、調査をすすめるうち、彼女は召使アンドレ・ラトゥール(ルイ・ジュールダン)との間に何らかの関係があることを知る。キーンは夫人の美しさに心を奪われており、彼女の無罪を勝ち取るため裁判を強引にすすめていく。一方、キーンの妻ゲイ(アン・トッド)は夫が被告に恋していることに気づいていた。

まず、ヒッチコック本人が認めているように、主要登場人物がことごとくミスキャスト。グレゴリー・ペックが演じた英国の弁護士は当初、ローレンス・オリビエかロナルド・コールマンを想定していたという。オリビエは『ハムレット』、コールマンは『二重生活』の準備中だったため出演は叶わなかった。(2人ともそれでオスカーをとっているから出演しなくてよかった)さすがにそんな役をグレゴリー・ペックじゃねえ。『白い恐怖』といい当作といいグレコリー・ペックはヒッチコック映画にはそぐわないというのがヒッチファン共通の認識。ペックの演技自体も(ラスト場面の表情をのぞいて)今ひとつだが、脚本にも問題あり。どーみてもこの弁護士、ただのイカレポンチ。かつ、ラストの"お詫び"場面は不要。その後、弁護士をやめる決意をする描写があればわかることだし、だらだらと説明的でいらいらする。また、タイトル・ロールのパラダイン夫人を演じたアリダ・ヴァリはミスキャストというほどではないが、演技にメリハリが乏しくひたすら堅い。(ヒッチコックは当初、この役にグレタ・ガルボを出演させようとしていた。ガルボは同時期、『I Remember Mama』という映画の企画も断ったことから、ガルボは"殺人者と母親役はやらない"方針だと噂された) アリダ・ヴァリといえば、名作『第三の男』や『夏の嵐』、『かくも長き不在』などで好演し、あの淀川長治氏も"立派な、立派な女優"といっていた。この映画のヒロインは,ぶっきら棒でわがままな女性にしか見えず、それがドラマを弱めている。あと、ラトゥール役のルイ・ジュールダン。自分はそれなりに良いと思ったが、ヒッチコックはロバート・ニュートンのような荒々しいイメージの俳優を使いたかったらしい。確かに線の細いイケメンが演じる役じゃないかも。キーン弁護士の妻を演じたアン・トッドもややチャーム不足。批評家には好評だったようだが。

オスカー俳優3人が今イチな主要キャストを支えます。まず、『巌窟の野獣』に続き、2度目のヒッチ作品出演となったチャールズ・ロートン。ロートン演じる判事は、キートン弁護士の妻に色目をつかうが軽くあしらわれてしまい、その腹いせに?裁判ではキートンに厳しくあたる...とトリュフォーも解釈しているし、おそらくそういう意図で脚本も書かれているのだろうが、キーン弁護士の弁論がはちゃめちゃなので常識的対応にしか見えない。脚本は当初、ヒッチと妻アルマが原案を書き、それに基づいて劇作家ジェームズ・ブリディが執筆した。だが、出来が今ひとつだったため、何と製作者のデヴィッド・O・セルズニックが脚本をリライト。その脚本は全部いっぺんにではなく2日おきに少しずつ届けられたため、ヒッチコックは全体像がつかめず非常にやりづらかったと語っている。物語の流れが悪く感じられたのはそのためだろう。

キーンより先に弁護を頼まれるサーモン役はチャールズ・コバーン。そして、チャールズ・ロートンの妻役にはエセル・バリモア。彼女の見せ場はラスト近くロートンに語りかける場面のみで出演時間も少ないが、これでアカデミー助演女優賞ノミネート。他のキャストは皆エセル・バリモアの引き立て役だったのか?(笑)

ヒッチコック カメオ出演場面「パラダイン夫人の恋」でのヒッチコック・カメオ出演場面!

0:36 チェロを抱えてカンバーランド駅を出る。

パラダイン夫人の恋 ヒッチコック カメオ

ヒッチコック映画のレビューで出演俳優についてずらずら書くなんて通常しないのだが、うーんこの映画語りどころがないんですね。前述のとおり脚本に難あるし、映像的見どころもない。物語全体として焦点がぼやけている感がある。法廷もので"謎とき"が主体かと思えば、キーン弁護士とパラダイン夫人、パラダイン夫人と召使ラトゥール、そしてキーン弁護士と妻...メロドラマ要素を詰め込み過ぎているため、結果として謎解きもドラマも中途半端に終わった。キーン弁護士の無茶苦茶な弁論に辟易するばかりで、サスペンスも生まれようがない。『パラダイン夫人の恋』、物語を追いかけている分にはそこそこ楽しめるが、ヒッチコック映画としては失敗作であろう。
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1000 Frames of The Paradine Case (1947)


2014.08.02 Saturday | 00:33 | A・ヒッチコック | comments(0) | trackbacks(0) |

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2017.11.21 Tuesday | 00:33 | - | - | - |

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