映画のメモ帳+α

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汚名

汚名(1946 アメリカ)

汚名原題   NOTORIOUS
監督   アルフレッド・ヒッチコック
原案   アルフレッド・ヒッチコック
脚本   ベン・ヘクト
撮影   テッド・テズラフ
音楽   ロイ・ウェッブ
出演   ケイリー・グラント イングリッド・バーグマン
      クロード・レインズ ルイス・カルハーン

第19回(1946年)アカデミー賞助演男優(クロード・レインズ)、脚本賞ノミネート

アルフレッド・ヒッチコック監督の『汚名』はケイリー・グラントイングリッド・バーグマンの2大スターを迎えて作られたサスペンス映画。ヒッチコック作品で男女ともに大スターを起用したのは『汚名』がはじめて。何度も繰り返される濃厚なキス・シーンも話題となりました。



物語
アリシア(イングリッド・バーグマン)父親にドイツのスパイ容疑がかけられ、売国奴の娘として世間から冷ややかな目で見られていた。そんなアリシア、FBI捜査官のデブリン(ケイリー・グラント)が接近。アリシアの父がナチの残党セバスチャン(クロード・レインズ)と親しかったことから、セバスチャンに接近し情報を収集してほしいという依頼だった。アリシアはブラジルにわたり、デブリンを愛していながらも、セバスチャンの求婚に応じてまで情報収集を続ける。やがてアリシアは屋敷の酒造のワイン瓶に組織の秘密を発見した。だが、セバスチャンが倉庫の様子から秘密がばれたこと、そしてアリシアがアメリカのスパイだったことに気づく...

ケイリー・グラント、イングリッド・バーグマン2大スター共演!でも...あることに気づきませんか?そう、2人ともイメージと違う役を演じている。まず、バーグマンが酔っ払い女...これはミスキャストという声も結構あり、あの淀川長治氏もそれに近いことをいっています。ただ、この映画、バーグマンありきの企画だったらしく、かつ最初の設定は娼婦だったらしいでっせ。バーグマン以上に違和感あるのがケイリー・グラント。ほとんど笑顔も見せず、終始物憂げな表情、彼独特の軽妙さが全く出ていません。この役、ケイリー・グラントである必要がほとんどないような....。『汚名』、(特に前半は)会話主体であり、後半も"地味なサスペンス"なため、スター・オーラのある人じゃないと観客の関心をつなぎとめるのが難しい。適役かどうかより、スター性のほうが大事だったんでしょう。

 以下の記事はネタバレしています。未見の方はご注意ください。

また、映画のマクガフィンに原爆の材料となるウラニウムを使ったことが話題になりました。これは広島への原爆投下約1年前に考えられたアイデア。プロデューサーは戦時中の話というだけで嫌がり、原爆をネタにするなんてばかげていると映画の企画をまるごと他社に売り飛ばしてしまった。ヒッチコックと脚本家ベン・ヘクトは、撮影前にノーベル賞物理学者ロバート・ミリカン博士を訪ね、原爆の威力について説明を求めた。だが、博士は「わしを監獄に送る気かね」と語り、原爆なんか絶対につくれないと力説した。それがきっかけでヒッチコックは3カ月間FBIの尾行を受けるはめになったそうです。原爆だろうが何だろうが、たかが映画のネタじゃないか?ヒッチコックの考え方は浮世離れしてたようで...。

『汚名』、批評家やファンなどの人気投票ではベスト10に入ることもあるかな、レベルの人気なんですが、この映画を絶賛している人は結構多く、いわゆる通好みな映画のようです。ヒッチコック本人もお気に入りの一本にあげたこともあるようですし、何せあのトリュフォーが一番好きな映画とやたら絶賛している。でもね例の対談集をよ〜く読むと...ちょっと引用してみます。

「(セバスチャン役の)クロード・レインズが子男であること、長身のイングリッド・バーグマンよりもずっと背の低い男であることも、重要な心理的要因となっているのではないでしょうか。自分よりもずっと背の高い女に恋をする小さな男というのは、それだけですでにとても感動的です。」

トリュフォーが背の低さにコンプレックスを抱いていたことは有名。
背の高い男のインタビュアーがやってくると邪険に扱ったというエピソードもあります。
誰の"重要な心理的要因"?アンタのだろ?(爆)
トリュフォーがやたら『汚名』を絶賛するのはここが原因だという説が濃厚です。
背の低い男が物語の重要な要素にはとてもみえないんですが...。
映画の解釈に正解はありません、はい。

『汚名』を最初に観たとき、面白かったけど覚えている内容はケーリー・グラントとイングリッド・バーグマンがやたらめったらぶちゅぶちゅしていたくらい。『汚名』ってそんなによかったっけ...。久しぶりに再見して、"ああ、なるほどこういうことか"とわかった、ような気がします。

前半は会話ばかりで物語がすすみ、"ああ、やっぱりたいして面白くないじゃん"と思いましたが、中盤過ぎから"地味なサスペンスの連続"。他の映画のように、派手な見せ場はなく、渋めの演出。バーグマンが倉庫の鍵を盗み、パーティ中にそっとグラントにわたすその過程。シャンパンの減り具合を気にしながら、倉庫をあさるグラント。だが、ワイン瓶を割ってしまい...クロード・レインズにばれないようにひやひやしながら中身の採集をする。隠れてバーグマンとキスをしていたようにごまかしその場は繕うが、結局はばれてしまう。バーグマンがスパイであったことも...。だが、アメリカのスパイを嫁にもらったことがばれたら、セバスチャンはスパイ仲間から消されてしまう。よってコーヒーに少しずつ毒を盛り"体調が悪い"ことにして妻を殺そうとする。

毒をもられてはじめて出てくるヒッチコックシャドウ?
汚名1汚名2

そしてラスト。例によって階段を降りながら
秘密がばれるのか?誰が殺されるのか?固唾をもって見守ります。
でもセバスチャン(クロード・レインズ)は本当にアリシア(イングリッド・バーグマン)を愛していた。
たぶん、デブリン(ケーリー・グラント)よりも...。
サスペンスとエモーションの融合が見事です。
そして、ラスト、ドアが閉まる。セバスチャンは無事だったのか、それとも殺されたのか?
ヒッチコック映画としては珍しく余韻を残して終わる
ラスト場面だけでみればヒッチ作品中、ベストでしょう。

汚名 ラスト1汚名 ラスト2

ヒッチコック カメオ出演場面「汚名」でのヒッチコック・カメオ出演場面!

1:00 クロード・レインズの邸宅で催された大きなパーティにて、シャンパンを呑んですぐ退場。わかりやすい!

汚名 ヒッチコック カメオ

『汚名』は派手な見せ場よりも、ストーリー展開による地味なサスペンスの積み重ねでつないでいる作品。ビジュアル的にも大スター2人のキス場面ばかりが目立つため、物語が記憶に残りにくい。よってヒッチコックのベスト作品は?などと訊かれたらすぐに出てこないのでしょう。キスをフェイクの手段として使用するなど、サスペンスとエモーションをうまくからませているし、悪役も人間味があって魅力的。絶賛する人が意外と多いのも納得できる傑作です。
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1000 Frames of Notorious (1946)


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2017.09.24 Sunday | 00:22 | - | - | - |

コメント

>派手な見せ場よりも、ストーリー展開による地味なサスペンスの積み重ねでつないでいる作品

そうですね。ラストの余韻も含め、大人な作品 だと感じました。

らしくない役ケイリー・グラントが演じている意味は、クロード・レインズとの対比ではないかと思うのですが…いかにもな俳優のはずのケイリー・グラントが嫌な奴に見えてくる…という意味で。

イングリッド・バーグマン。超絶美しい!
私は、ヒッチコック監督と女性の好みが似ているようです。
2014/08/01 11:17 AM by パール
『汚名』のクロード・レインズはヒッチコック映画の中で最も人間味のある悪役でしょう!

ヒッチコック映画を2回みても大部分は1回目と印象が変わらないのですが、2回めにしてぐっとよくなったのはこの『汚名』と『めまい』です。逆にガタ落ちしたのは次のアップする作品です(笑)。
2014/08/01 10:31 PM by moviepad

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