映画のメモ帳+α

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白い恐怖

白い恐怖(1945 アメリカ)

白い恐怖原題   SPELLBOUND
監督   アルフレッド・ヒッチコック
原作   フランシス・ビーディング
脚本   ベン・ヘクト アンガス・マクファイル
撮影   ジョージ・バーンズ
音楽   ミクロス・ローザ
出演   イングリッド・バーグマン グレゴリー・ペック
      レオ・G・キャロル ジョン・エメリー ウォーレス・フォード
      ロンダ・フレミング マイケル・チェーホフ


第18回(1945年)アカデミー賞劇・喜劇映画音楽賞受賞。作品、監督、助演男優(マイケル・チェーホフ)、撮影(白黒)、特殊効果賞ノミネート

アルフレッド・ヒッチコック監督『白い恐怖』は精神分析を題材とした作品。サルヴァドール・ダリがデザインに携わった夢分析場面が話題となった。原題のSPELLBOUNDとは"呪文で縛られた、魔法にかかった、魅せられた、うっとりした"という意味。なんで邦題は「白い恐怖」?まあ、スキーのサスペンス場面があるからでしょうけど。今のご時世、白い恐怖というタイトルを聞くと...ヤクチュウの話じゃありませんのでご安心を(笑)



物語
「緑の園」という名の精神病院の院長マーチソン博士(レオ・G・キャロル)に変わって、エドワーズ博士(グレゴリー・ペック)が新任としてやってきた。女医のコンスタンス博士(イングリッド・バーグマン)は研究一筋だったが、若くてハンサムなエドワーズに一目ぼれしてしまう。だが、彼は白地に縞の模様を見ると発作を起こすという癖をもっていた。コンスタンスは彼が偽物であることに気づき問いただすと、自分は過去の記憶がない。おそらくJ.Bという頭文字をもつ男で本物のエドワーズ博士を殺し、彼に成り澄ましてここにきたんだろうと語った。手術中に失神したことから彼の素性は他の人にも疑われ、本当のエドワーズ博士は行方不明となっていることが判明する。J.Bは逃走する。コンスタンスは彼の無実を信じ、記憶を呼び起こすことによってそれを証明しようと彼の後を追いかけるが...

ヒッチコック映画において、女が階段をのぼれば何かが起こる。
白い恐怖

おなじみのサスペンス場面!
白い恐怖

デヴィッド・O・セルズニックは自分のサイコセラピーの経験をこの映画のベースにしたいと考えていて、彼の分析医をアドバイサーとして撮影現場に連れていた。分析医はセラピーがどのように行われるかヒッチコックに話したところ、ヒッチコックの反応は「たかが映画だよ」。夢の場面の再現でダリがキテレツなアイデアを次から次へと出したため、当初20分近くになった。映画には使えない題材も多く、最終的には2分程度の長さにカットされている。

白い恐怖 ダリ 夢1白い恐怖 ダリ 夢2白い恐怖 ダリ 夢3
白い恐怖 ダリ 夢4白い恐怖 ダリ 夢5

夢の内容は以下のとおり

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賭博場のような場所。壁の代わりに大きな目の描かれたカーテン。男が大きなハサミでカーテンを切っている。裸同然の女がやってきてみんなにキスしてまわる。最初に僕のところへ。(女はコンスタンスに似ていた)あごヒゲの男とトランプをしていた。めくったらクラブの7。男が言った「21で俺の勝ちだ」だが、カードは白紙。店主がやってきて"ここは俺の店だ。まだやったら殺す"とイカサマを責めた。ビルの屋根にヒゲの男がいた。僕は気をつけろと叫んだが、男はゆっくり落ちていった。屋根に店主がいた。煙突の背後に隠れ、手には車輪。彼は車輪を落とした。僕は走っていた。大きな翼が追いかけてくる。捕まる寸前に斜面の下に着いた。逃げ切れたかどうか...。
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店主が犯人、車輪は銃でしょうね。夢分析、してみます?
ところで、泡立て器だったら何を意味するの?...まあ、大体想像つきますけど。

そして扉は次々と開きます。ただ、2人がキスするだけより、ずっとイメージが広がりますね。
 白い恐怖3

音楽はミクロス・ローザ。ミクロスはあのジェリー・ゴールドスミスに影響を与えたといわれる作曲家で、アカデミー作曲賞に17回ノミネートされ、『白い恐怖』を含む3回受賞している名匠。ミクロスは『白い恐怖』を自身のベストワークのひとつと考えているが、ヒッチコックは気に入っておらず「バーグマンがグレゴリー・ペックに一目ぼれする場面で、バイオリンのオーケストラ演奏が入る。あれ、最低だろ」と語っている。はい、最低です(笑)。全体的に仰々しすぎるし、物語に合っていない。なんでこれがオスカー獲ったのか不思議でしょうがない。


ヒッチコック カメオ出演場面「白い恐怖」でのヒッチコック・カメオ出演場面!

白い恐怖  ヒッチコック カメオ

上映から38分すぎごろバイオリンケースを片手に、タバコを吸いながらエンパイア・ホテルのエレベーターから出るオッサン。

『白い恐怖』、はるか昔に観たときには面白かった。何で不評だったんだろうと訝しく思った。当時、自分が精神分析や絵画に興味があったため、"ダリのデザインで夢分析なんてcool"と単純に思ったのだろう。×年ぶりに見返してみると...思ったほどじゃなく、ヒッチコックの映画では退屈な部類に入る。結局、謎は夢分析の内容で解かれることから、必然的に説明的場面が多くなるし、グレゴリー・ペックの演技がひどく下手なのも痛い。ペックの役、ヒッチコックの第一希望はケイリー・グラント、第2希望はジョセフ・コットンだったという。まだ経験の浅い俳優だったグレゴリー・ペックは、ヒッチコックに何度も演技指導を頼んだが、ヒッチコックは「何もしなくていい」としか言わなかったとかW。これはヒッチコックが悪いんです(爆)。でも、こういう"俳優が何かをしようとするのを嫌う"監督って結構いますよね。ウディ・アレンとかもそうかも。

ちなみにバーグマンの死後、5年たってグレゴリー・ペックがインタビューで『白い恐怖』の撮影中、バーグマンと"愛し合っていた"ことを告白。2人とも既婚者。"2人とも若かった。いけないことだと思い、すぐ別れたけどね"と語っている。この映画から約4年後、バーグマンはロベルト・ロッセリーニとの不倫で大スキャンダルを起こすことになる。バーグマンは過去有名カメラマンロバート・キャパとも不倫関係にあったと噂されており...この映画の台詞に出てくる"教科書みたいな女"ではなかった。ヒッチコックはバーグマンについて「ものすごくきれいだが、ものすごくアホだ」とこきおろしたことがあるんですが...。ミステリーとしては、犯人はブルロフ博士かも、との"思わせぶり"が上手い程度。ブルロフ博士を演じたマイケル・チェーホフは実際、バーグマンの演技の先生であり、映画同様、子弟関係にあった。ブルロフ博士の"恋愛中の女は、最も知能指数が低い"(We both know that the mind of a woman in love is operating on the lowest level of the intellect!)という台詞には笑いました。それにしてもヒッチコック映画って堅物女が怪しげな男にあっさり恋をするというパターン多いですね。ヒッチコックは『白い恐怖』ですら、「いつもの亭主狩り(マン・ハント)物語だよ」と言っています。
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1000 Frames of Spellbound (1945)


2014.07.31 Thursday | 02:24 | A・ヒッチコック | comments(0) | trackbacks(0) |

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2017.05.25 Thursday | 02:24 | - | - | - |

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