映画のメモ帳+α

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三十九夜

三十九夜(1935 イギリス)

原題   THE 39 STEPS
監督   アルフレッド・ヒッチコック
原作   ジョン・バカン
脚本   チャールズ・ベネット アルマ・レヴィル イアン・ヘイ
撮影   バーナード・ノールズ
音楽   ルイス・レヴィ
出演   ロバート・ドーナット マデリーン・キャロル
      R・マンハイム ペギー・アシュクロフト マイルズ・メイルソン

間違えられた男、スパイ、場所の移動、手錠....アルフレッド・ヒッチコック監督の『三十九夜』は、これぞヒッチコックというエッセンスに満ちた作品。前作『暗殺者の家』よりサスペンスonlyでやっていくことに決めた彼が、次作にて既にヒッチコック・ワールドを確立しているのは見事である。『三十九夜』はヒッチコックが敬愛する作家ジョン・バカンの『三十九階段』が原作。邦題が『三十九夜』になったのは"階段"では妙味にかけるから、ということらしい。(個人的には階段のほうがいいと思う)1999年に英国映画協会による"20世紀の英国映画トップ100 (BFI Top 100 British films) "では4位にランクされるなど、今なお、高い評価を獲得している。



物語
カナダから帰国したばかりのハネイ(ロバート・ドーナット)は、記憶の達人Mr.メモリーのショーを観ていた。そこに銃弾が撃ち込まれたため、舞台から逃げ去った。そのとき、謎の女アナベラ(ルチー・マンハイム)に救いを求められ、自宅に連れ帰る。女は"自分は国際スパイで、英国の国防秘密を売ろうとしているスパイを追跡中、敵に感づかれ、命を狙われている。敵の首謀者はスコットランド高原に居る、小指の無い男”と語った。ヘネイがひと眠りした間、女はナイフで刺されて倒れていた。「私の変わりにスコットランドにいってください」と言い残して命を絶った。警察に届ければ、自分が確実に犯人だと思われる。そのスパイを捕まえるしか自分の潔白を証明できないため、ハネイはスコットランドに向かう。新聞に名前が出てしまい、列車の中で、同席した女(マデリーン・キャロル)にキスをして逃れようとするなど行く先々で悪戦苦闘することになる。



ヒッチコックらしさにあふれた作品ですね〜。まず、冒頭、Mr.メモリーのエピソードでぐっとつかんできます。ここに銃が打ち込まれて、サスペンス劇場がはじまるのですが、このMr.メモリーという設定がお遊びではないところがヒッチコックらしい。彼いわく、"チャールズ・ベネットと一緒に脚本を書いた。(クレジットは妻のアルマ・レヴィルです)どんなディテールもおろそかにせず、台詞なしで徹底的に書き込むことをこのころからやっている"という。確かに、この作品、細かいディテールが物語をうまくつなげています。あっちにいっては災難、こっちに逃げても災難、エンタメ追跡劇の基本をふまえながら、途中、ちょっとロマンティック・コメディもどきの描写で休憩し、(だらだら引き延ばさないのがポイント)そして最後までサスペンス一直線。新聞とか手錠とかの小物の使い方もうまい。ハネイが教授のふりをしたスパイ団のボスの家で銃に撃たれた。その後しら〜と生きている!農家の家からかりたコートのポケットに讃美歌集が入っていて、そこに銃弾がうちこまれたため一命をとりとめたというオチは反則すれすれ(笑)。ひとつの手錠に男女2人がつながれたまま、民宿にとまらざるをえない設定は見事。何せ手錠でつながれているのだから、一緒に寝るはめになる。男がストッキングを脱がす場面が何ともエロティンク。手錠につながれたままなので脚に触れざるをえない。

三十九夜 1

それにしてもハメイ役を演じたロバート・ドーナットはかっこいい。クールなのに表情豊か。冒頭、スパイ女との場面で煙草をくわえながら料理をする姿も様になっている!こーいうの、今の時代だったら変な団体からクレームがくるのかもしれません(笑)。のち『チップス先生さようなら』(1939)でアカデミー主演男優賞を受賞したのも納得。ヒッチコック映画にぴったりの俳優だが、出演はこの1作のみ。『サボタージュ』の刑事役をオファーしていたが諸事情で実現せず。もう、2〜3作ヒッチコック映画で彼を観たかった。

三十九夜 2

それにしても英国人の男性というのは、前作の『暗殺者の家』のレスリー・バンクスといいロバート・ドーナットといい、どんな危険が迫ってもあわてふためくことなくとっさに機転がきくものなんでしょうか?即興で演説までしてしまうし。この演説場面、一瞬、間違って手錠がついたままの右手をポケットから出してしまうのですが、これって細かいサスペンス演出?それともこれで素性がばれたってことかな。演出意図がややわかりにくかった。

ヒッチコック カメオ出演場面「三十九夜」でのヒッチコック・カメオ出演場面!
ロバート・ドーナットとルチー・マンハイムが劇場から逃げ出した際、通りかかるおっさん。始まって7分ぐらいの箇所。これはわかりにくい。ごみを投げ捨てるリアクションでここにいるよ!と教えてくれます。
三十九夜
とにかく、『三十九夜』は細かいディテールで楽しませてくれる、ヒッチコックらしさにあふれた傑作。手錠を物語上の小道具としてこんなに巧く使っている映画はそうそうない。ヒッチコックは台詞を重視していない人だけど、この映画ではかなり洗練されている。ラストはちょっとご愛嬌?もし身のまわりにヒッチコック作品を観たことがない人がいれば、最初にお勧めするヒッチ作品の有力好捕でしょう。間違っても『サイコ』なんて勧めてはいけませんよ!あれはヒッチコックにとっては例外的な作品だから。

『三十九夜』、個人的には、ヒッチコック映画の中でもかなり上位に入る。英国時代最良の作品と言われるのもうなづける傑作!
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1000 Frames of The 39 Steps (1935)

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2017.07.23 Sunday | 00:22 | - | - | - |

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