映画のメモ帳+α

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暗殺者の家

暗殺者の家(1934 イギリス)

暗殺者の家原題   THE MAN WHO KNEW TOO MUCH
監督   アルフレッド・ヒッチコック
原作   チャールズ・ベネット
脚本   エドウィン・グリーンウッド A・R・ローリン D・B・ウィンダム
撮影   クルト・クーラン
音楽   アーサー・ベンジャミン
出演   レスリー・バンクス エドナ・ベスト
      ピーター・ローレ ノヴァ・ピルブーム

アルフレッド・ヒッチコック監督は『リッチ・アンド・ストレンジ』、『第十七番』、『ウィーンからのワルツ』と3作連続で興行的に失敗したため、『恐喝(ゆすり)』の大成功を思い出し、サスペンスのジャンルに戻ることに決めていた。そして手掛けた『暗殺者の家』は興行的に大成功をおさめ、以降ヒッチコックは映画の題材を自由に選べるようになる。過去にも『恐喝(ゆすり)』のほか、『下宿人』、『殺人!』などのサスペンス映画はあるが、スリラー専門となったのはこの作品からである。

暗殺者の家 メモ物語
イギリス人夫婦、ボブ(レスリー・バンクス)と妻ジル(エドナ・ベスト)は、娘ベティ(ノヴァ・ピルブーム)を連れて、スイスを旅行していた。そこで仲良くなったフランス人のルイ(ピエール・フレネ)がホテルの舞踏場で射殺される。ルイは死ぬ間際、一緒に踊っていたジルに自室のカギをわたし、自室にある秘密メモをイギリス領事館に届けてくれるように頼んだ。ボブはそのメモを発見した後、警察から事情聴取を受ける。その最中、「知っていることを話したら2度と娘に会えないだろう」というメモが届けられた。ベディは、アボット(ピーター・ローレ)を首領にする国際的なカルト集団に誘拐されていた。彼等はロンドンにいる英国大使を暗殺する計画をたてており、ボブが手にしたメモにはその暗殺実行の場所と時間が記されていたのだ。娘を救い出し、暗殺を決行させまいとするボブとカルト集団との攻防がくりひろがられる

物語は、ロンドンで1910年末から1911年初頭におこった、シドニー街の銃撃戦(Siege of Sidney Street)と呼ばれる事件を題材にしている。ピーター・ピアトコフ、通称"ペンキ家ピーター"と呼ばれたアナーキストが一軒の家に閉じこもって、警官が犯人をつかまえるのにてこずった事件である。映画の中で暗殺団が中年の女性を逃げ出さないようにするためにスカートを脱がせる場面があるが、これはシドニー街の銃撃戦で実際にあったエピソード。実際の事件ではこの女主人が逃げ出したために警官が攻撃を開始したのだが、映画ではエピソードとして描かれているだけ。ヒッチコックが実在の事件をモチーフにつくったことは過去何回かあるが、いずれも大雑把に設定を借りた程度で、後は大胆に脚色してしまっている。ヒッチコック映画において、実在の事件と映画内容を比べることにほとんど意味はない。本作では、最後の暗殺団と警官の銃撃戦をとりたかったようで、事件の写真と酷似した場面が出てくる。実際、事件を意識して撮影したらしい。だが、その描写は残念ながら事件を知っている当時の人でないと楽しめない。

この映画が広く名をあげたのは、アルバート・ホールのコンサート場面!時折、不穏にカーテンが揺れ、曲の盛り上がりとともに、"いつ暗殺されるか"というサスペンスをじっくり味あわせてくれる。台詞など一切なしですすむシークエンス。ジルの緊張感を表現するかのように画面がぶれ、銃口が映し出され、シンバルが手にとられたとき.....。
暗殺者の家 オーケストラ場面

映画の冒頭でジルが射撃が上手いことを示す場面が出てきます。単なる導入かと思いきや...そう、ラストがご都合主義と言われないように伏線をはっているんですね。射撃場面は要注意です(笑)。この場面で使われているカンタータはアーサー・ベンジャミンが映画のために書き下ろしたオリジナル曲。1956年のリメイク『知りすぎた男』でも同じ曲が使われている。

キャストで印象的なのは、暗殺団の長アボットを演じたピーター・ローレ。フリッツ・ラング監督『M』(1931)で名をなし、『暗殺者の家』出演のあと、ハリウッドにわたる。ヒッチコックが"絶対に使いたかった俳優"と語っている。そのくせ、『M』は観たけど、内容はよく覚えていないとうそぶく。絶対ウソ(笑)。ちなみにローレは『間諜最後の日』にも出演しているが、こっちのローレはうるさいだけで今ひとつ。

アルフレッド・ヒッチコックに与えられた"サスペンスの神様"という称号は、この『暗殺者の家』からはじまったといってもよい。ヒッチコックもこの題材に思い入れが強いのだろう。1956年には『知りすぎていた男』としてヒッチコック唯一のセルフリメイクも行っている。個人的にはリメイク版より本作のほうが好みです。『暗殺者の家』、ヒッチコックを語るうえで絶対に外せない傑作!
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1000 Frames of The Man Who Knew Too Much (1934)


2014.07.17 Thursday | 00:03 | A・ヒッチコック | comments(0) | trackbacks(0) |

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2017.09.24 Sunday | 00:03 | - | - | - |

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