映画のメモ帳+α

音楽映画、アカデミー賞関連の記事に力を入れています。
ゾンビ、スタートレック、ヒッチコック監督作、ドキュメンタリー映画のカテゴリーもあり。
映画300字レビュー、はじめました。
※TB、コメントともに承認制とさせていただいております

<< リッチ・アンド・ストレンジ | TOP | ウィーンからのワルツ >>

第十七番

第十七番(1932 イギリス)

第十七番原題   NUMBER SEVENTEEN
監督   アルフレッド・ヒッチコック
脚本   アルフレッド・ヒッチコック アルマ・レヴィル ロドニー・アックランド
撮影   ジャック・コックス
出演   レオン・M・ライオン アン・グレイ
      ジョン・スチュアート ドナルド・カルスロップ
      ドナルド・カルスロップ バリー・ジョーンズ

アルフレッド・ヒッチコックの映画で最低の作品と言えば、本人がいうとおり『シャンパーニュ』を思い浮かべるが、脚本の出来に絞って考えて観たら『シャンパーニュ』といい勝負になりそうな映画がある。『第17番』である。『シャンパーニュ』に関しては世間知らずの娘をきたえるため働かせてみる、とシンプルでドラマ性のない物語がだめなのだが、『第17番』に関してはその逆で、とにかく話がわかりにくい。物語に無駄な仕掛けが多く、この話を1回観ただけで全部理解できる人はほとんどいないだろう。

『第17番』は、ジェファーソン・ファージョン原作で、当時の人気舞台俳優だったレオン・M・ライオンのためにかかれた戯曲の映画化である。ライオンは映画版でも同じ役を演じている。ライオンは主演扱いであり、配役序列もトップ。だが映画を観る限り、彼が演じた役は主演というより助演に近い役どころ。じゃあ、主演は誰?物語を観る限り、フォーダイト(実はバートンだった...)役のジョン・スチュワートなのだろうが、ライオンが舞台そのままのオーヴァーアクトでかなり目立つため、ジョン・スチュワートは主演というには影が薄い。かつヒロインも、最初階段からおちてきたローズ役のアン・カッソンかと思いきや、物語がすすむにつれて、悪党の女ノラ(アン・グレイ)であることがわかる。要は、ノラがフォーダイトに恋をして寝返った、ってところなんでしょうけど。こんな調子では観客は誰の目線でストーリーを追えばいいのかわからない。かつ、シェルドレイクは誰か?ローズの父は誰か?そしてバートンとは誰か?みたいな登場人物の素性を混乱させるようなつくり。ラストはどんでん返しのつもりでしょうが、かえって戸惑うだけ。訳わからん。助けて!

たった60分強の上映時間なのに、この映画のストーリーがいかにわかりにくいか...日本語、英語いくつかの本やサイトでこの映画のストーリー紹介をみてまわったが、詳細に述べているものがほとんどない。ヒッチコック研究の著名な某書でも思いっきり間違えてるし。(^^; この記事で物語紹介を省略している理由は単純明快。自分も間違えそうな気がするからです。一番詳しく書いているのが Wikipediaの英語版なんだけど...Number Seventeen(Wikipedia)。これが映画と同じくらいわかりにくい文章。オマエの英語読解力に問題があるんだろーと言われそうだが、ちゃんとページ冒頭に"Wikipediaのクオリティ基準に達してません。clean upしてください!"と警告されている。まあ、誰もやらないでしょうけど(笑)。

実はこの作品、×年前に一度観ています。当時は映画を観はじめて日が浅かったこともあり、"ストーリーがよくつかめなかったのは、自分の頭が悪いから"と思っていました。でも今回、再見してみてこれは脚本が悪いんだ!と考え直しました(爆)。

こーいうのって、ヒッチコックが一番嫌うパターンじゃないかな。トリュフォーに「ストーリーがごちゃごちゃしすぎてますね」と言われると、ヒッチコックも「最低だね」とひとこと。ヒッチコックはこの作品はやりたくなかったが、前作『リッチ・アンド・ストレンジ』が興行的に大失敗したため強く出れず引き受けざるをえなかった模様。ちなみにヒッチコックは、この映画の舞台である空家を野良猫のすみ家という設定にしたかったらしく、銃性が鳴り響くたびに猫が数十匹階段を上り下りするという場面をとりたかったようです。(観たかった!)実際、撮影をしてみましたが、猫が階段をのぼらずあちらこちらに逃げてしまい撮影不可。泣く泣く諦めたそうです。ヒッチコックは猫の習性を知らんのか。猫がそんなに従順なら散歩させられるわい!(笑)今ならCGで出来るんでしょうけどね。

まあ『第17番』、この脚本ですから批評家にも観客にも当然不評でした。でも短所ばかりじゃありません。見どころはラストの貨物列車とバスの追跡場面!この映画は低予算を強いられたらしく、この列車もバスもみるからにミニチュア。素人でもはっきりわかります。でも、そこに目をつぶればちゃんと迫力のあるアクション場面になっているんです。ミニ・カー使ってこんな撮影できるんだ!と感動しました。

第17番 貨物列車追跡シーン

『第17番』は興行的に失敗し、ヒッチコックの黒歴史となっていました。でも、映画公開から約40年後、高名な映画歴史家にこの追跡シーンをほめられた!ヒッチコックは歓びのあまり彼のところに出向き、どうやって撮影したかを説明してあげたそうです。何ともほほえましい話だ。まあ、この映画、ラストだけ確認するくらいの軽い気持ちで観るのは悪くないと思います。脚本のひどさ、そしてラストのミニチュア追跡シーン、ヒッチコックファンどうしで話のネタにする分には結構盛り上げるのではないでしょうか?
人気blogランキングこの記事が参考になりましたら左のバナーにクリックお願いします!

1000 Frames of Number Seventeen (1932)

スポンサーサイト


2017.03.29 Wednesday | 00:13 | - | - | - |

コメント

コメントする









この記事のトラックバックURL

http://moviepad.jugem.jp/trackback/604

トラックバック

▲top