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ジュノーと孔雀

ジュノーと孔雀(1930 イギリス)

ジュノーと孔雀原題   JUNO AND THE PAYCOCK
監督   アルフレッド・ヒッチコック
原作   ショーン・オケイシー
脚本   アルフレッド・ヒッチコック アルマ・レヴィル
撮影   ジャック・コックス
出演   バリー・フィッツジェラルド メイア・オニール
      エドワード・チャップマン シドニー・モーガン
      セーラ・オールグッド ジョン・ローリー デイヴ・モリス
      キャスリン・オリーガン ジョン・ロングデン


(日本劇場未公開)

アルフレッド・ヒッチコック監督の『ジュノーと孔雀』、かなり昔、NHKBSで一度観ているんだけど、ほとんど内容覚えていない。"暗くてつまらなかった"くらいの印象。ちなみに、筆者にとって映画が"暗い"という表現は悪口ではない。当時は映画を観はじめて日が浅かったので、今見直したらヒッチコックだし新たな発見があるかもしれない、と思いながら再見す。

 以下の記事はネタバレしています。未見の方はご注意ください。

物語
アイルランド内戦中のダブリンで、自称"船長"のボイル(エドワード・チャップマン)は、働きもせず呑んだくれてばかり。妻ジュノ(セーラ・オールグッド)は、娘メアリー(キャスリン・オリーガン)と戦争で片腕を失ったジョニー(ジョン・ローリー)をかかえ、ひとりで家庭を切り盛りしていた。そこに公証人チャールズ(ジョン・ロングデン)から1500ポンドの遺産相続があるという話がきた。やっと苦境から抜け出せると喜んだ一家だったが、手続きの不備で遺産は手に入らず。メアリーはチャールズの子を宿していたが逃げられ、それが原因で恋人ジェリー(デイヴ・モリス)からも捨てられる。ジョニーはIRAに殺された。残された家族は悲嘆にくれるばかりだった。

『ジュノーと孔雀』は、アイルランドの劇作家ショーン・オケイシーのヒット戯曲の映画化。ヒロインの名前ジュノはギリシャ神話に登場する女神ヘーラーの、ローマ神話における名前で、孔雀は女神ヘーラーの聖鳥。ヘーラーが絵画などで描かれる時、孔雀は目印といえる存在だ。タイトルの由来はこんなところか。映画は救いのない物語で、善人は母娘のみあとは悪人か変な奴という観ていて気が滅入る映画。それでも映画はヒットし、批評も高評価だった

物語の大部分がジュノ家の中ですすみ、予備知識がなくても"舞台の映画化"だな、とわかる。ほとんど台詞だけで進行していくため、"舞台の映像化"としては優れているが、映画としての魅力には乏しい。ヒッチコックも「物語は気にいったが、いくら読んでみてもこれを映画的な形式では描けない」と感じ、あまり気乗りしない企画だったようだ。「批評がよかったのはオケイシーの原作のおかげ。映画とは関係ないところばかりが絶賛されており、私はオケイシーの手柄を盗んだような気分になった」と語っている。ヒッチコックはこれまで何度も舞台の映画化をしてきており、ヒッチコックの映像技術をまったくいかせない題材も多々あったが、この『ジュノーと孔雀』はその中でも特に際立っている。ヒッチコックらしさはほとんどなく、彼はただ撮影しただけという印象すら受ける。

トリュフォーとの対談において、『ジュノーと孔雀』のような作品の話題になったとき、ヒッチコックは作品の話はそこそこに切り上げ、彼の映画論を語るケースが多い。『ジュノーと孔雀』の箇所は映画より面白い。内容をかいつまんで話すと、

・偉大な文学作品は映画化できない。他の人間の創造的作品だから。
・原作ものをやるときは、ストーリーを1回だけ読む。基本的なアイデアが気に入れば、あとは原作を忘れる。
・映画は長篇小説や舞台劇とは全く異なるもの。ただ、劇作家のほうが、観客をじかに相手にしている分だけ小説家よりは優れた映画脚本をかける可能性は高い。
・映画にいちばん近いものは短編小説。ひとつのアイデアですむし、中だるみもない。
・サスペンスとサプライズは全く異なる。サプライズは単なる不意打ちにすぎない。サスペンスをつくるのは観客に前もって状況を伝えておいたほうが効果的。

『ジュノーと孔雀』の中でサプライズはありませんでしたね。ヒッチコックの映画は気が付いたらどんどん作品世界に乗せられていくジェットコースター的魅力があるのですが、この『ジュノーと孔雀』に関していえば...もし劇場でこの映画を観たら何回も時計をみてしまうでしょう。作品の出来は良いです。ただ、映画としての魅力には乏しい。『ジュノーと孔雀』は"映画"というよりは"舞台の映像化"という言葉がよりしっくりくる作品。シリアスな舞台が好きな人は気に入るでしょう。
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1000 Frames of Juno and the Paycock (1930)

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2017.11.21 Tuesday | 18:15 | - | - | - |

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