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ゼロ・グラビティ

ゼロ・グラビティ(2013 アメリカ)

ゼロ・グラビティ原題   GRAVITY
監督   アルフォンソ・キュアロン
脚本   アルフォンソ・キュアロン ホナス・キュアロン
撮影   エマニュエル・ルベツキ
編集   マーク・サンガー アルフォンソ・キュアロン
音楽   スティーヴン・プライス
出演   サンドラ・ブロック ジョージ・クルーニー
      (以下声のみ)エド・ハリス ファルダット・シャーマ
      エイミー・ウォレン バシャール・サヴェージ

第86回(2013年)アカデミー賞監督、撮影、編集、視覚効果、録音、音響効果、作曲賞受賞。主演女優(サンドラ・ブロック)、美術賞ノミネート

広い宇宙にたった一人ほおり投げられたら...もう、想像もつかない世界だが、まさにそれを描いた映画がアルフォンソ・キュアロン監督『ゼロ・グラビティ』。今回がスペースシャトル初の搭乗となる女性エンジニア、ライアン(サンドラ・ブロック)。スペースシャトルの修理作業にいそしんでいたが、ロシアが自国の衛星を爆破したことにより大量の破片が軌道上に散乱。その衝撃でベテランエンジニアコワルスキー(ジョージ・クルーニー)とともに宇宙の無重力状態にほおりだされる。絶望的な状況の中、ライアンが地球に生還するまでを描くシンプルなストーリー。2013年10月全米で劇場公開されるや、興行収入2.5億ドルを超えるメガヒット。内容的にもスティーヴン・スピルバーグ、ジェームズ・キャメロンが大絶賛、アカデミー賞でも大量ノミネートが確実視されている話題作です。




飛行機嫌いな人はクリエイティブな仕事をしている人に結構多い。有名人の中でちょっと思いついただけでもSF作家の筒井康隆、"神秘の丘"などのヒット曲で知られるケイト・ブッシュ、変態変人で知られる映画監督ラース・フォン・トリアーなどがあげられる。彼等によると「飛行機は必ず落ちるもの」なのだそうだ。重力の感知力が常人の何倍もあるんですね(笑)。とはいえ、飛行機の窓から外を眺め、ふと下を見ると怖くなって目をそらした...そんな経験のある人は多いでしょう。映画『ゼロ・グラビティ』はそんな感覚をぞんぶんに呼び起こしてくれる作品。その原動力はやはり3D映像。『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』からの流れをくみ、この作品での3Dも"飛び出す絵本"的効果よりはむしろ映像の奥行きを深める意味合いで使われている。よって目が疲れることもなく、3D映像を観ている気があまりしない。だが、ふと背後をみると...宇宙の広さがいやおいなく表現されていて、"ここに人間がほおりだされることの怖さ"を体感させてくれます。驚いたのはこの映画で3Dカメラが使われていないこと。いわゆる2D-3D変換というやつ。『アバター』以降の3D映画ブームにあやかろうとこの手の安易な3D映画もどきが市場に氾濫、3D映画の価値を著しく没落させた。"3D映画は料金が高いだけ。2Dで十分"と思っている人も多いだろう。『ゼロ・グラビティ』でも一見3Dじゃなくてもよさそうに見える。だが、背後の宇宙を見渡すと....絶対3Dで見たほうがいい映画ですね!今回の撮影方法について詳しくはこちらを→「ゼロ・グラビティ」に見る新しい3D映画の可能性 “3Dカメラを一切使っていない”3D映画とは?

さて、主演はあのサンドラ・ブロックである。この映画の企画をはじめて聞いた時、"サンドラ・ブロック主演の宇宙映画なんて...しかもほぼ一人芝居。そんなにラジー賞が欲しいのかしらん?"と思ったが、サンドラさんあやまります。貴女の演技はとってもよかったです。またサンドラに会えると思っていたラジー賞スタッフもがっかりしたでしょう。(爆)

この映画、よくよくみると、サンドラの出世作『スピード』の宇宙バージョンじゃん!と思った人も多いでしょう。まさにサンドラ・ブロックはこういう危機的なシチュエーションで活きる女優です。親しみやすいキャラクターで知られる彼女だが、その御顔をよくよく見るとかわいいというよりはクール・ビューティ。近寄りがたいタイプのルックスなのです。キャラクターとルックスの落差が人気の秘訣で、コメディでは高ピーな女を演じることが多いのもそのせいでしょう。また、彼女の演技は(ルックスからくる印象も大きいでしょうが)繊細というよりはむしろ大味で、やや硬くみえる。だから、『スピード』や『ゼロ・グラビティ』のような映画だとその大味さ、硬さが"そこそこの冷静さ"を保っているように見えるんですね。キャスティングがサンドラ・ブロックに決まるまでは紆余曲折あったようですが、落ち着くべきところに落ち着いた印象。成功する映画はこういう運をもっている。

ストーリー的にはシンプル極まりないので、それほど述べることはないのですが、ラストに近づくにつれ不安にさいなまれてきました。こういう終わり方だったら最悪だな、というのが2パターンあって...。ネタバレになるのでそれが何かは書きませんが。そのひとつが登場してきました。わあ、最低!糞ハリウッド!と心の中で舌うちしましたが、ああ、よかった、あれは幻だったんですね(謎)。もうひとつの危惧はライアンが無事、地球に帰り着き、皆が大歓迎で向かい入れ、マスコミが騒いでチャンチャンと終わるというパターン。(あ、書いちゃった(^^;) 大丈夫です。それではありません。そんな終わり方だと余韻が冷めちゃうんだよね。話はちとそれますけど「悪い予感がする」というスター・ウォーズの定番セリフが何回か出てきたのは偶然?意図的?

ドラマ的には絶望的な状況に追い込まれた主人公に自分の何かを重ね合わせ、感情移入ができるウェル・メイドなつくり。もし生き残ったとしても娘は死んでおり、孤独な身。生き残っても...「生き残っても、死んでもこれは最高の旅よ!」サンドラ扮する主人公はそう語ります。"最高"と感じるは、この経験から得られた"カタルシス"ゆえでしょう。例え、目の前の現実は変わらなくても、カタルシスを得た。そのカタルシスはこれからの人生においてささやかな励みになる。映画『ゼロ・グラビティ』はそんなことをさりげなく感じさせてくれる傑作です。でも、一番の余韻はやっぱり"宇宙の深み"。うっ、怖いよ〜。
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2013.12.14 Saturday | 00:08 | 映画 | comments(4) | trackbacks(5) |

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2020.06.29 Monday | 00:08 | - | - | - |

コメント

こんちは。

サンドラ・ブロック姉御は、『幸せの隠れ場所』とか良かったから、割とちゃんと演技できるってイメージはありました。あと、顔立ちはおバカタレントのスザンヌにもちょっと似てるんで、決して親しみづらい顔でもないと思います。
2013/12/18 10:40 PM by ふじき78
ふじき78さん、お久しぶりです。

>サンドラ・ブロック姉御は、『幸せの隠れ場所』とか良かったから、割とちゃんと演技できるってイメージはありました。

そうですか...でも演技できるイメージのある人がラジー賞はもらわない WWW

>決して親しみづらい顔でもないと思います。

まあ、これは好みというか感覚の違いですね。
サンドラのキャラクターイメージを完全に忘れて <ここが重要!
真顔の静止画像の彼女を観たら、かわいいというよりは美人。
良く見るとかなり美人。
あんまり可愛くない美人って近寄りがたくないですか(笑)。
2013/12/18 11:05 PM by moviepad
サンドラブロックをシルベスタースタローンと共演したデモリションマンで見たときは、何年かしたら、消えてしまいそうだなと思っていましたが、まさかアカデミー賞を受賞したり、活躍する女優さんに成長するなんて思ってもみませんでした汗。
今後も第一線で活躍してほしいです☆
今のサンドラ・ブロックの立ち位置を事前に予想できた人は誰もいないと思います。あ、サンドラ本人はいずれこうなると思っていたのかも(笑)。
2015/07/25 6:33 PM by moviepad

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ゼログラビティ
鑑賞映画館:TOHOシネマズなんば スクリーン4 鑑賞日時:12月31日 評価:A- 原題:Gravity 製作:2013年 アメリカ 監督:アルフォンソ・キュアロン 出演: サンドラ・ブロック ジョージ・クルーニー エド・ハリス 映画生活  ※ネタバレを含む場合があります。
(零細投資家映画記録 2014/01/08 9:43 PM)

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