映画のメモ帳+α

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ギャラクシー・クエスト

ギャラクシー・クエスト(1999 アメリカ)

ギャラクシー・クエスト原題   GALAXY QUEST
監督   ディーン・パリソット
原案   デヴィッド・ハワード
脚本   ロバート・ゴードン デヴィッド・ハワード
撮影   ジャージー・ジーリンスキー 
音楽   デヴィッド・ニューマン
出演   ティム・アレン シガーニー・ウィーヴァー アラン・リックマン
      トニー・シャルーブ サム・ロックウェル ダリル・ミッチェル
      エンリコ・コラントーニ ロビン・サックス パトリック・ブリーン
      ミッシー・パイル ジェド・リース ジャスティン・ロング
      コービン・ブルー レイン・ウィルソン

パロディ映画は数多くありますが、スター・トレックのパロディ映画『ギャラクシー・クエスト』はその最高峰に位置する作品ではないでしょうか?"本家スター・トレックよりスター・トレックらしい映画"と評判を呼び、興行的にも成功しました。2000年にはヒューゴー賞映像部門を受賞し、Reader's Digest誌が選ぶ最も愉快な映画100本リスト(list of The Top 100+ Funniest Movies of All Time)の一本にも選出されるなど作品は高い評価を獲得。「スター・トレック」(2009)の監督であるJ・J・エイブラムスをして「最高のスター・トレック映画のひとつ」と言わしめるなど、劇場公開から10年以上たった今もカルト的人気を誇っている作品です。



物語
1979年から4年間放送された人気SFテレビシリーズ『ギャラクシー・クエスト』は今も人気が衰えず、ファンイベントは"クエスタリアン"と呼ばれる熱狂的なファンでいっぱいだった。主要キャストはその後、ぱっとせずサイン会やイベント出演を生活の糧としていた。ある日のイベントで宇宙船プロテクター号タガート艦長役のジェイソン(ティム・アレン)の前に、グレーのボディースーツを着た変わった4人組が登場。彼等は宇宙人“サーミアン”でネピュラ星雲からはるばる地球にやって来た。悪者宇宙人サリスとの戦争に勝つため、タガート艦長にアドバイスを求めてきたのだ。サーミアンは嘘の概念がないため、『ギャラクシー・クエスト』の電波を自星で受信し、歴史ドキュメンタリーと信じて見ていたのだった。ジェイソンは宇宙に連れて行かれた。彼等はTVシリーズを参考に文明を立て直し、宇宙船プロテクター号も完全に再現していた。ジェイソンは「とにかく攻撃しろ」とテキトーな指示を出し、「攻撃の後始末はどうするんですか?」という声にも耳をかさず、地球に戻る。だが再びサーミアンが交渉にきた。そこでジェイソンはドクター・ラザラス役のアレックス(アラン・リックマン)、マディソン少佐役のグエン(シガーニー・ウィーヴァー)、名砲手ラレド役のトミー(ダリル・ミッチェル)、技術主任チェン役のフレッド(トニー・シャローブ)を誘う。そしてTV俳優5人は宇宙の平和を守るため、本物の宇宙船でエイリアンと戦うはめになる

監督のディーン・パリソット(ディック&ジェーン 復讐は最高!』 の監督でもあります。センスあるんだね。最新作「REDリターンズ」は不評みたいですが...)によると、最初はもっとダークで暴力的な作りだったのですが、テスト試写を重ねていくうちにコメディ色を強めていったと言います。仕上がった作品は"ダークで暴力的"な要素なんてほぼ皆無。よくここまで残滓を消し去ったものです。

映画『ギャラクシー・クエスト』はスター・トレックを観たことがない人でも楽しめますが、それなりに観たことがある人にとっては終始笑いが止まらない。「あの艦長、それで人気者だと思い込んでる。仲間も嫌っている。皆で奴の悪口を言ってた」ファンの陰口をトイレで聞くジェイソン。もろにウイリアム・シャトナーを連想させます。ジェイソンの椅子の座り方はもろにカークだし、悪役の声の出し方...その他もろもろスター・トレックの何かで観たようなシチュエーションでいっぱいです。

一瞬、カークさんかと思いましたよ。
ギャラクシー・クエスト デッキ

もちろん、危機な未知の惑星には艦長自ら率先して訪れますし、保安部員は悲劇の死をとげますし、危機的状況のときは転送装置がなかなか作動しません。敵が消えたとうろたえたり、宇宙船のスピードが落とせなくなったりもします。それにしてもオメガ13の心臓部の映像には笑った!見覚えがありすぎるビジュアル。

キャスティングも本家より豪華です。ます主演は『サンタクロース』を全米で大ヒットさせ、「トイ・ストーリー」のバズ・ライトイヤーの声をつとめ、勢いに乗っていたティム・アレン。英国の演技派俳優アラン・リックマン、そして「エイリアン」「ゴーストバスターズ」の主演でぐいぐい言わせたシガーニー・ウィーヴァー!よくこの役引き受けたもんだ。フットワークが軽すぎる大女優(爆)。

この映画の特筆する点は、スター・トレックだけでなく、彼等のファン、いわゆるトレッキーにもあたたかい視線が注がれているところです。スター・トレックには熱狂的なファンがついており番組が終了するたびに抗議活動がおこっていました。「宇宙大作戦」終了時には100万通を超える抗議文が寄せられ、特に1960〜1970年代のアメリカTV業界においては無視できない団体だったそうです。映画の冒頭で描かれたような"ファン・ミーティング"は実際よく行われており、その熱狂ぶりは「トレッキーズ スター・トレック万歳!」、「トレッキーズ2 ~スター・トレックはやめられない! 」とドキュメンタリー映画が2本も作られたほどです。映画は残念ながら未見ですが、紹介されるトレッキーたちは"すごい"を通り越して"きもい"レベルに到達しているとか...。↓『ギャラクシー・クエスト』の場面じゃありませんよ!リアルです。

   

トレッキーという言葉は否定的な意味合いで使われることが多いため、"スター・トレックの熱狂的なファン"は自分たちをトレッキーと称するのをあまり好まないそうです。でも映画はトレッキーを否定的な目で観ていない。「TVと現実は違うんだ。目を覚ませ」といったありきたりな訓示で終わらせたりしません。コスプレしたファンに見えたサーミアン星人たちはだんだん可愛く見えてきますし、オタッキーな少年は的確なアドバイスで俳優たちを救う、つまり宇宙の危機を本当に救ってしまうのです。そしてラスト...もう最高ですね。宇宙船に乗ってファン・ミーティングに突入する俳優たち。今までと違い、誇りをもって堂々とファンの前に現れます。リアルで敵を倒す実演ショーのおまけつき。百貨店の屋上で行われる仮面ライダーショーなどとても太刀打ちできないド迫力です。ラスト、"18年の時を経てギャラクシー・クエストが帰ってきました"とアナウンスが流れますが、18年とはスター・トレック宇宙大作戦が終了した1969年から新スター・トレックが始まった1987年までの年月にかけたもの。こういう細やかな気配りもファンには嬉しいでしょう。

『ギャラクシー・クエスト』はスター・トレックの出演者、スタッフ、そしてファンいずれにも好評、関係者みんながハッピーになれる理想的なパロディ映画です。パトリック・スチュワートは「この映画は観たいと思わなかったけど、ジョナサン・フレイクスから強く勧められたので観に行ったら...映画館で私は他のどの観客よりも声高に、長々と笑っていたよ。ファンにトリビュートをささげているのが素晴らしいね」とコメントしています。『ギャラクシー・クエスト』こそ最高のスター・トレック映画と称する人がいるのもうなずける傑作です。
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2013.07.30 Tuesday | 19:52 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0) |

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2024.03.19 Tuesday | 19:52 | - | - | - |

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