映画のメモ帳+α

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ゾンビ大陸 アフリカン

ゾンビ大陸 アフリカン(2010 イギリス)

ゾンビ大陸 アフリカン原題   THE DEAD
監督   ハワード・J・フォード ジョン・フォード
脚本   ハワード・J・フォード ジョン・フォード
撮影   ジョン・フォード
音楽   イムラン・アーマド
出演   ロブ・フリーマン プリンス・デヴィッド・オシーア
      デヴィッド・ドントー

ゾンビは、もともとブードゥー教をルーツとするアフリカが霊魂の存在を信じていたことから生まれた概念である。そのアフリカを舞台としたゾンビ映画が「ゾンビ大陸 アフリカン」だ。走るゾンビ全盛の今、よろよろ歩く"古いスタイル"を保持したゾンビ像は好評で、多くのファンはここ15年におけるゾンビ映画ベストのひとつとみなしている。

物語
アフリカでゾンビとなった死者が蔓延、駐留していたアメリカ軍は撤退をはじめ、エンジニアのブライアン・マーフィー中尉(ロブ・フリーマン)も撤退機に乗っていたが、機内で乗客がゾンビとなったため墜落した。生き残ったブライアンはアメリカに帰国するため米軍基地を目指す。また、西アフリカ軍の兵士、テンベレ(プリンス・デヴィッド・オシーア)は家族が皆犠牲となったが、息子だけが奇跡的に助かったことを知り、息子を探そうとする。ブライアンとテンプレは偶然出会い、2人で協力して、ゾンビであふれかえるアフリカからの脱出を図ろうとするが...



この映画のいいところは台詞が少なく、極力、映像で語ろうとしている点だ。
冒頭、アフリカの砂漠をさまよう黒装束の男。少し離れた場所でゾンビがよたよたと歩きながら近づいてくる。
男はゾンビに銃を発射。男はその死体から何かを盗み出す。

ゾンビ大陸 アフリカン1

場面はうつりかわり、せまい航空機の中で死にそうな男がゾンビに変わる。狭い機内はパニックとなり、飛行機は緊急離陸。

そして、アフリカの夜、ゾンビが街を徘徊し、人々を食い散らかす。
頭を撃たれて吹きでる血ですら、まるで炎のように夜を照らす。
小さな子がトラックに逃げ込み、ゾンビの群れから逃れることに成功する。

飛行機が落下し、海に沈む人々。波におしあげられるように海岸にたどりつき、生き延びた男もいる。
だが、海岸の向こうからゾンビがゆっくりと歩きながら迫ってくる。
急いで銃をしまってある木箱をあけようとするブライアン中尉。
箱をあけるのに手間取っているあいだに仲間はゾンビの餌食となる。
ブライアンは畑に逃げ込むが、草の間を縫うようにゾンビがゆっくりと近づいてくる。

死骸のかけらが散らばっている砂の上を黒いブーツの男が歩く。
西アフリカ軍の兵士、テンベレである。テンベレは自宅に立ち寄るが、弱っている母親に遭遇。
母親がゾンビにかまれていることを知ると、テンベレは母親を撃ち殺してしまう。

ここまで説明は全くなし。この島に起こった異常な事態を映像だけで語っていく。
ブライアン中尉が乗っていた機内で一体何が起こっていたのか?
テンベレの家族に何が起こったのか?かなり後で簡単な説明はあるのだが
説明は不要なほど映像で物語を語り続ける。

美しい映像だってあるんです!
ゾンビ大陸 アフリカン 夕陽2ゾンビ大陸 アフリカン 夕陽1

主要な登場人物はブライアン中尉とテンベレのみ。2人は偶然出会い、駐在米軍と現地の兵士という立場の違いを超え、協力してこの土地を逃げ出すことを画策する。ゾンビ映画といえば、役者の演技力は褒められたものとはいえないのが定番だが、この2人を演じる役者はいずれも憂いを帯びた好演だ。

ゾンビ大陸 アフリカン2

この映画の撮影はトラブル続きだったようだ。機材の搬入が遅れ、撮影スケジュールが当初予定していた6週間が12週間に伸びたりしたが、最も大きなトラブルはブライアン中尉を演じたロブ・フリーマンが撮影途中、現地でマラリアを患い、死にそうになったこと。フリーマンは現地の病院で数日間、点滴をうったという。フリーマンの病状が皮肉にも演技に深みを与えた?

広大なアフリカの大地をゾンビがよたよたと歩き続ける。

ゾンビ大陸 アフリカン 夜のゾンビたち
 この場面は「私はゾンビと歩いた!」のヴードゥーゾンビみたいですね。

ゾンビが日常生活に蔓延し、当たり前のようにそこら中に歩き回っているという設定はそれほど珍しいものではない。
この映画でのゾンビは突然にょきっと現れる。一見、全然怖くないのだが、車が故障して動かなくなっているときですら、足を休めることなくよろよろと近づいてくるがら、馬鹿にしていると痛い目に会う。そっと忍びより、気が付いたら傍にいる。

ゾンビ大陸 アフリカン3

ゾンビに近づかれ、岩によじ登るブライアン中尉。何とかゾンビを巻いて、岩の上から大地全体を見渡すと...
あちらにもこちらにもゾンビがよたよたと歩いている。

やっとのことで米軍基地に逃げ込んだブライアン。だが、高壁の向こうにはゾンビの群れが...
ゾンビ映画の定番場面です(笑)。
ゾンビ大陸 アフリカン 壁に近づくゾンビたち

そしてついにゾンビはその壁を打ち破り...
ブライアンの横には、テンプレの息子がいた。

「ゾンビ大陸 アフリカン」はある種のロード・ムービーであり、ストーリーは比較的シンプル。
アフリカの広大な大地とよろよろと歩くゾンビたち。土地は広く、ゾンビはとろい。しかし、逃げ場所はない。その奇妙なアンバランスを映像で感じ取る映画だ。起承転結がはっきりしている物語や、インパクトのある映像が好きな人にはやや物足りないかもしれない。だが、今までありそうでなかった"アフリカ大陸にさまようゾンビ"たちがよろよろと歩く姿から、恐怖が少しずつしみこんでくる。ホラー映画に(良くも悪くも)漂うB級映画ムードは全くなし。アート映画ファンにも受け入れられそうな、クオリティの高い映像。「ゾンビ大陸 アフリカン」がここ数年でもっともすぐれたゾンビ映画のひとつであるという評価もうなづける。ゾンビ映画史に残すべき傑作だ。
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2013.06.16 Sunday | 00:04 | ゾンビ映画 | comments(0) | trackbacks(0) |

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2017.08.15 Tuesday | 00:04 | - | - | - |

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