映画のメモ帳+α

音楽映画、アカデミー賞関連の記事に力を入れています。
ゾンビ、スタートレック、ヒッチコック監督作、ドキュメンタリー映画のカテゴリーもあり。
映画300字レビュー、はじめました。
※コメントは承認制とさせていただいております

<< 死霊のはらわた II | TOP | ブレインデッド >>

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀(1990 アメリカ)

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀原題   NIGHT OF THE LIVING DEAD
監督   トム・サヴィーニ
脚本   ジョージ・A・ロメロ
撮影   フランク・プリンツィ
音楽   ポール・マックローグ
出演   トニー・トッド パトリシア・トールマン
      ビル・モーズリイ ウィリアム・バトラー
      トム・トウルズ マッキー・アンダーソン
      ケイティ・フィナーラン ヘザー・メイザー

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀」はゾンビ映画の記念碑的作品「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」(1968)のリメイクです。原題はオリジナルとまったく同じNIGHT OF THE LIVING DEAD。邦題の死霊創世紀は意味不明ですが、あまり気にしてはいけません(笑)。この映画が普通のリメイクと違うのは製作総指揮、そして脚本(かなり変更されているので脚色といったほうがいいのか?)がオリジナルの監督ジョージ・A・ロメロだということ。また監督のトム・サヴィーニは、特殊メイクアーティストとして「ゾンビ」(1978) や「死霊のえじき」(1985 )などで既にロメロと仕事をしており、親分の監視のもとで、子分にリメイクの監督をさせたといったところでしょうか?トム・サヴィーニはオリジナルの撮影前、ロメロに売り込みを行っており、仕事をもらえそうでしたが、撮影直前にサヴィーニが従軍カメラマンとして徴兵されてしまったため、実現しなかったという因縁がある。そんな事情も考慮されてか?「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀」は良質なリメイクとして評価の高い作品です。



では、なぜわざわざリメイクを作ろうとしたのでしょうか?
まあ、そんなことだろうと思っていたら、案の定そんなことでした(笑)。
有名な"版権記載もれ問題"が原因でした。

オリジナルのタイトルは当初、“Night of the Flesh Eaters”で既に広告も作っていましたが、類似タイトルの作品が既に存在していたため(The Flesh Eaters (1964)のことですね)、変更。その変更手続きの際に、会社が版権の記載を忘れてしまった。"何とかしてオリジナルの版権を守りたい。勝手にリメイクされたら困る。"ということでリメイクの製作が決定され、トム・サヴィーニが監督に指名されました。(当初、ピーター・ハイアムズに監督を依頼したが「カナディアン・エクスプレス」の撮影のため、断られたらしいですが)

基本的なストーリーラインは同じ。大きな違いとしてはオリジナルでは"怯えてばかりの、か弱い女"だったバーバラが"強い女"に変身していること。この作品でバーバラを演じたパトリシア・トールマンはトム・サヴィーニと大学の同級生で、彼女の気質をみこんでキャスティングしたそうです。「エイリアン」でシガニー・ウィーヴァーが人気を博していた、当時の状況を考慮したものだとか。それにしても...ベン(トニー・トッド)がバーバラに向かって「君は強い女なんだ」と諭したり...。演出意図が露骨すぎて笑える。

物語の基本ラインはいっしょでも、脚本や細かいディテールは変更されていて、どれも今イチ。台詞はやや陳腐だし、俳優の演技は皆、オリジナルよりもオーヴァーアクト。みんな、がなっているだけです。ハゲ親父ハリー・クーパー(トム・トウルズ)はさらにウザいキャラになっています。

ああ、やっぱりリメイクはだめだなと思っていたら、最後のほうで挽回してきます。
ゾンビが家の中に大量になだれ込む場面は迫力ものだし、そしてラスト...
人間がゾンビをおもちゃにして遊ぶ人間たち。
ゾンビ同士を戦わせて楽しむ場面は「ジャンゴ 繋がれざる者」でも描かれた黒人どうしのファイトをほうふつさせるし(これは史実には全くないと主張する人もいます)、ゾンビを木につるしあげて楽しむ人間だち...
これはビリー・ホリディの「奇妙な果実」の世界そのもの!
これを見ながらバーバラは"They're us. We're them and they're us."とつぶやくのです。

この場面はトム・サヴィーニのベトナム戦争での体験が色濃く反映されていると言われています。
実際、DVDのコメンタリーでも
「(ベトナム戦争後)僕はゾンビになった。感情のない人間になった。」
「ベトナムで見たときと同じ表情を感じなければ死人の顔として不十分。あの経験が死の表現に影響している。」
と語っています。

といっても、この場面、実はオリジナルの脚本にあったのだそうです。
人種問題が緊迫化していた当時の情勢を考慮し、カットせざるをえなかったという。
となるとですよ、ロメロがオリジナルで黒人を主役にした理由をきかれたとき
「一番優秀な人を選んだら、たまたま黒人だっただけ。。脚本も(黒人に決まったからといって)一切治していない」というコメントが疑わしくなってきます。あの場面がオリジナルにあったのなら、黒人を主役にすえたのも何らかの意図があったと考えるほうが自然でしょう。

バーバラが生き残るという設定もオリジナルにあったそうです。
リメイクの理由として版権問題のほかに、オリジナルに近い形で撮ってみたいという主旨があったのでしょう。
”現代風”リメイクらしく、カラーで撮影していますが、トム・サヴィーニはこのリメイクも白黒で撮りたがっていたそうです。

人間によるゾンビいじめの場面がラストに挿入されたことで、この作品がとてつもなく重い余韻を醸しだしたのは確かです。ゾンビ見たさにこの映画のDVDを手にとった人は「こんな映画を観るはずじゃなかった...」と思うかもしれません。

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀」は、前半はどうしてもオリジナルにくらべて脚本、演技、演出...全体的なディテールが雑ですが(間が悪い)後半力づくで挽回し、オリジナルとは違う余韻を残した作品。既にオリジナルを観た人でも一見の価値は十分にあります。まあ、こんなこと言われなくてもゾンビ映画ファン、ロメロ信者はみ〜んな観ているでしょうけどね(笑)。
人気blogランキングこの記事が参考になりましたら左のバナーにクリックお願いします!

2013.05.31 Friday | 00:07 | ゾンビ映画 | comments(0) | trackbacks(0) |

スポンサーサイト


2019.08.18 Sunday | 00:07 | - | - | - |

コメント

コメントする









この記事のトラックバックURL

http://moviepad.jugem.jp/trackback/543

トラックバック

▲top