映画のメモ帳+α

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バタリアン

バタリアン(1985 アメリカ)

バタリアン原題   THE RETURN OF THE LIVING DEAD
監督   ダン・オバノン
原案   ジョン・ルッソ ルディ・リッチ ラッセル・ストライナー
脚本   ダン・オバノン
撮影   ジュールス・ブレンナー
編集   ロバート・ゴードン
音楽   マット・クリフォード
出演   クルー・ギャラガー ジェームズ・カレン ドン・カルファ
      トム・マシューズ ビヴァリー・ランドルフ ジョン・フィルビン
      リネア・クイグリー ジュエル・シェパード ブライアン・ペック
      ミゲル・A・ヌネス・ジュニア マーク・ヴェンチュリーニ  
      ジョナサン・テリー キャスリーン・コーデル

バタリアン」は「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」が実話だった...という前提で作られたホラー・コメディ映画です。原題はTHE RETURN OF THE LIVING DEAD、そうバタリアンは日本でBattalion(大隊や大群)をヒントに?日本で勝手につけた題名です。20年ほど前の流行語「オバタリアン」はこの映画のタイトルが語源となっていることはよく知られています。ちなみにオバタリアンは、"無神経で周りに迷惑をかける、図々しく横暴な中年女性"という意味。世間に対して、ゾンビもそんな存在なのでしょうか?



まず、冒頭の掴みはばっちり!
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」は実話なんだ」
フランク(ジェームズ・カレン)という倉庫係のおっさんがバイト兄ちゃんフレディ(トム・マシューズ)にこう語りかけます。
まるでゾンビのような口調です。
「1969年ピッツバーグの軍人病院での事件。ある薬品(トライオキシン245…フランクいわく"麻薬か何かのスプレー剤"だそうです)が流出して、それが全部遺体安置所に流れた。すると死体が皆、生きているように飛び跳ねはじめた。ダロウ製薬が陸軍用に開発中だった薬品だ。その連中が映画屋に警告した。もし事実どおりに映画化したら告訴する。だから話を変えざるをえなかったんだ。陸軍は薬品によって汚染されたゴミや死体を極秘に始末した。汚染死体は製薬会社に送られるはずだったが、手違いでここに送られた。その死体がここの地下室にある。14年置きっぱなしだ」

ゾクゾクする物語設定ですねえ。
ゾンビ映画ってラストのゾンビ大群さえしっかり描けばファンは満足すると思うのか
ファースト場面は雑なことも多いんですが、(ショートコントみたいな始まり方をする「死霊のしたたり」は例外)
これは嫌でもひきこまれます。

そして、タンクをのぞくと
中にゾンビが...そう、これがタールマンと名付けられたゾンビです!
タールマン1

上半身だけの老女ゾンビオバンバ
日本公開時のCMでは「あたしオバンバ、あなたの脳味噌食べさせて」というキャッチコピーが使われていましたね。
オバンバいわく、「人を食べるのではなく、脳味噌を食べる。痛みを消すために脳味噌を食べる」らしいです。
オバンバ

単なる黄ラバータイツマン(笑)ハーゲンタフ
ハーゲンダフ

映画「バタリアン」の魅力はイラストレーターWilliam Stoutによるきめ細かいゾンビデザイン!
ひとりひとりに名前をつけ、メイン以外のゾンビはグアナファトのミイラを参考にデザインしたそうです。


タールマン2オバンバ2

beardoboggyecjawsrebspecs

ところで...この映画、タイトルの「バタリアン」ですらそうなんですが
オリジナルにない名前をゾンビたちに勝手をつけて、日本公開時の翻訳にぶち込んでいるのです!誤訳の確信犯!
タールマンだけは元からつけられていた名前のようですが...
まあ、この映画が好きな人なら、皆さんご存じでしょうけど(笑)

もう、強引すぎる。例えば  (以下表記の記載方法:オリジナル台詞(本来の意味)→日本語字幕の翻訳)
"We just got to destroy it completely until there's nothing left"
(黄ラバーゾンビの死体を跡形もなくなるまで破壊しなければならない)
→全くハーゲンタフだ

"It's dead people screaming."(あれは死人の叫びだ)
→バタリアンだよ

"You can hear me?" "Yes"(「私の声が聞こえるか?」「はい」)
→「名前は?」「オバンバ」

たいしたことない台詞の隙間を狙って、勝手につけた名前を翻訳にぶちこみ
それを宣伝に利用するという商魂すさまじさ!

東宝東和さん、やってくれます。
ちなみにHalf-Corpse" zombieと言えば、海外の人にもオバンバのことだとわかりますよ!
タールマンはtarmanでOK。ハーゲンタフは不明(笑)。

この企画、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」で脚本を手掛けたジョン・A・ルッソ
創作性の違いからジョージ・A・ロメロと袂をわかちた後、持ち込まれた企画。
内容はもろに「ナイト・オブ・ザ・〜」の続編でかなりシビアなものだったという。
ロメロと同じパターンで勝負したくなかったダン・オバノン監督は、コミカルな味付けを加え
原型をほとんどとどめないくらい変えてしまった。

ちなみに「バタリアン」製作チームは何度もロメロにコンタクトをとろうとしたのですが、無視されたという。
理由は不明ですが、まあルッソとの仲が原因なんでしょうね。

「バタリアン」は「ナイト〜」へのオマージュっぽい場面もいくつかありますが
ゾンビ像がロメロとはかなり異なります。

「バタリアン」でのゾンビは
・そこそこ話はでき、感覚はある
・普通に走る。(人間と同じです。最近の高速ゾンビではない)
・人肉を食うのではなく、(苦痛をやわらげるために)脳味噌を食う。

など。
また、ゾンビになりきる前に死を選ぶフランクのようなキャラはロメロ映画には出てこないですね。ただ、元々はフランクもゾンビになって群れに混ざる予定でしたが、演じるジェームズ・カレンが難色を示し、代替案を提案。それをダン・オバノン監督が受け入れた結果だそうです。ゾンビになれるチャンスなんてめったにないのに...もったいない(爆)。でも、こっちのほうが物語に幅が出ていいですよね。

また、最後、ロメロ映画のように命からがら、ヘリで逃げ出すのではなく核兵器をぶちこまれる...
まあ、一定の範囲でのみゾンビが繁殖しているという設定だから使えるオチですが、ゾンビに襲われて逃げ場所がなくなるというパターンよりある意味ではこわい。

「バタリアン」はこの手の映画には珍しく女性客も多かったそうです。ダン・オバノン監督はかなり驚き、「こんなことなら、女性へのサービスとしてフレディのヌード場面も作っておくべきだった」と述懐しています。別に脱がなくてもフレディ君のゾンビ演技は最高だったのに!「キャー、セクシーゾンビ!私を噛んで」...脳味噌をかじられてもたいして影響がなさそうな女性ならそう思ったでしょう♪


ホラー映画の音楽といえばどうしても「サイコ」もどきになりがちです。ロメロの「ゾンビ」ではシンセっぽい音を使っていましたが、「バタリアン」では45 GRAVEの"PARTYTIME"をはじめとするパンクロック。そのためか?この映画のサントラではテーマソングというべき「トライオキシンのテーマ」が収録されていないという不思議。

  

「バタリアン」はシリーズ化され、続編が5まで作られました。でも...監督や脚本家がそれぞれ違うのですから仕方がないのかもしれませんが、2作目は続編というよりリメイク、3作目はシビア、4〜5作目は青春物と迷走を続け、続編を作れば作るほどレベルが下がる、ホラー映画シリーズの宿命のような末路をたどっています。

「バタリアン」はゾンビ・コメディとしては「ブレインデッド」ほどテンポは良くなく、「死霊のしたたり」ほど暴走していない。まあ、ほどよいバランス感覚のゾンビ映画です。無個性が売りのゾンビにキャラつけするのはどうかと思いますが、タールマンやオバンバは好きだな。関係ないけど、完全な歯のままで死ぬ人がインドにはたくさんいるって本当?
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2013.05.28 Tuesday | 00:00 | ゾンビ映画 | comments(2) | trackbacks(0) |

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2017.04.17 Monday | 00:00 | - | - | - |

コメント

ハーゲンタフの本名は『yellow cadaver』(黄色い死体)だそうですよ。
2016/08/06 2:08 PM by TNT
そうなんですか!
何のヒネリもないネーミング。
ハーゲンタフのほうが...よくないか(笑)
2016/08/06 7:15 PM by moviepad

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