映画のメモ帳+α

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ジャンゴ 繋がれざる者

ジャンゴ 繋がれざる者(2012 アメリカ)

ジャンゴ 繋がれざる者原題   DJANGO UNCHAINED
監督   クエンティン・タランティーノ
脚本   クエンティン・タランティーノ
撮影   ロバート・リチャードソン
編集   フレッド・ラスキン
出演   ジェイミー・フォックス クリストフ・ヴァルツ
      レオナルド・ディカプリオ サミュエル・L・ジャクソン
      ドン・ジョンソン ジョナ・ヒル ウォルトン・ゴギンズ
      デニス・クリストファー ローラ・カユーテ M・C・ゲイニー 
      クーパー・ハッカビー ドク・デュハム ジェームズ・ルッソ 
      トム・ウォパット ジェームズ・レマー マイケル・パークス フランコ・ネロ

第85回(2012年)アカデミー賞助演男優(クリストフ・ヴァルツ)、脚本賞受賞。作品、撮影、音響編集賞ノミネート

映画サイトとやらを7年もやっていて、秘かに気にしていたことがある。
クエンティン・タランティーノ監督作品の記事を1回も書いたことがないな...。
嫌いな監督の作品ならまだしも、タランティーノは結構好きなのに。
理由は単純明快、書きにくいからである。タランティーノの映画の面白さって音楽の使い方とかいろいろあるけど、文字に表しにくい。奇抜なストーリーをたどるだけだとネタバレになるし、気にいったセリフを引用するのも芸がない。ああ、面白かったですますのも癪にさわる。(笑)
もうひとつ、(こっちのほうが重要かも)タランティーノの映画はご存じのとおり、過去のB級映画を下敷きにしている事が多い。キャパシティの広さは並の映画ファンではとても太刀打ちできない。下手に参戦すると火傷しそ。ああ、面倒くせえ、記事書くのや〜めた!になってしまうのであります。結局タランティーノの映画が公開されるたびに、自称B級映画オタクが勝ち誇ったようにウンチクを披露するのを指をくわえて眺めているだけなのでした、はい。さて、タラちゃんの新作は「ジャンゴ 繋がれざる者」。同じ日に観た別の映画があまりにひどかったので、しぶしぶこっちを記事にすることにしました。映画の内容からやや脱線気味です、悪しからず。

さて、文字数を稼ぐために(笑)、MYタランティーノ歴を簡単に記します。
レザボア・ドッグス」、「パルプ・フィクション」あたりの頃は"タランティーノってちょっと過大評価されているんじゃないか"と思っていた。
タランティーノが一躍有名になったのは、言うまでもなく「パルプ・フィクション」が第47回(1994年)カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞してから。劇中に"f××k"という言葉が250回以上も出てくるお下劣な作品なのに、おハイソなカンヌでパルムドールが獲れたのは、審査委員長だったクリント・イーストウッドが強く推したためと言われている。さすが、イーストウッドですね〜。




「パルプフィクション」でブレイク後、「トゥルー・ロマンス 」などいくつかの脚本、原案作品が公開、またよせばいいのに、俳優としてもちょろちょろ出てきて、正直いって(嫌いじゃないけど)うざかった(笑)。オムニバス映画「フォー・ルームス」のタラ作品がひどくつまらなかったこともあり、"タランティーノって意外と引きだしがせまいんじゃないか?”と感じていた。だが、「ジャッキー・ブラウン」(1997)を見て、その考えを改めた。パム・グリア、ロバート・フォスターを主役級で使う大胆さ、そしてせつないラスト場面...。タラちゃんやるじゃん!その頃は一時期のブームも落ち着いていたこともあり(軽い)タランティーノアレルギーはもうなくなっていた。続く「キル・ビル Vol.1」は漫画チックなアホ臭さが気に入り、もうすっかりタラちゃんLOVEに...なりかけたんですけどね。「キル・ビル Vol.2」が今イチ。だめだよ、こんなに真面目に作っちゃ(爆)。
ところでタランティーノ映画作品は、デビューから一貫してあの"ハリウッドの悪魔"ハーヴェイ・ワインスタインが関わっている。ワインスタインは興行的な影響を考え、長すぎる映画を監督に無断で勝手に編集して短くしてしまう"シザーハンズ"として悪名高いが、タランティーノは"治外法権"。やりたい放題でOK!その理由としては(ワインスタインが以前所属していた)ミラマックス社が軌道に乗ったのは「パルプ・フィクション」のおかげだから、だそうな。「キル・ビル」はさすがに長すぎたから2つにわけられたんですね〜。



特権に甘え過ぎていると、いつかツケがまわってきます。「デス・プルーフ in グラインドハウス」(2007)が製作費6700万ドルにして全世界興行収入が2500万ドルと記録的な大コケとなり、タラちゃんもちょっと考えたようです。「イングロリアス・バスターズ」(2009)ではブラッド・ピット、当作「ジャンゴ 繋がれざる者」ではレオナルド・ディカプリオと、タランティーノ映画に似会わないスターを起用するようになりました。その結果、「イングロリアス〜」は全米興行収入1.2億ドル、「ジャンゴ〜」は全米興行収入1.6億ドルを超え、次々と自己最高記録を更新。(それまでの最高は「パルプ〜」の1.07億ドル) クエンティン・タランティーノは一般的にも人気監督になりました。といっても「イングロリアス・バスターズ」で山岳映画のアーノルド・ファンクなんて会話が出てきて(いい意味で)呆れた!自分は「レニ」(1993)を通して名前は知っていましたが、一般人は99.9%知らないと思います。



さて、ようやく映画館に入ります(笑)。


冒頭から、昔風のクレジットでスタート、いきなり「続・荒野の用心棒」のテーマソング"Django"からスタート。元ネタはコレですと高らかに宣言しています。(笑)



タランティーノは相変わらず音楽の使い方がマニアックでしかも上手い!
今回は「真昼の死闘」(1970)から""Sister Sara's Theme"を使っています。巨匠エンニオ・モリコーネの曲。何と"Ancora Qui"というエンニオの書きおろし曲もある!他、イタリアのマカロニ・ウェスタン「Lo chiamavano King」から"His Name Was King",「ラスト・アメリカン・ヒーロー」(1973)からJim Croceの"I Got a Name" 、「怒りの荒野」から"I Giorni Dell'ira (Days of Anger)"



ラストはイタリアのスパゲティ・ウエスタン"They Call Me Trinity"より"Trinity (Titoli)"



ああ、タランティーノの映画記事書くのって面倒臭い(爆)
今回はなかなか粋なオリジナル曲もあるんですよ!
アンソニー・ハミルトン(Anthony Hamilton)とエレイナ・ボイントンの“Freedom”はお気に入り。映画では少ししか流れないのが残念。 Richie Havensの"Freedom"はサントラに収録されていないみたいですが。ジェイミー・フォックスプロデュースのリック・ロス"100 Black Coffins”,ラスト、ジェイミー・フォックスが××を決める場面で流れるジョン・レジェンドの“Who Did That To You?”そして映画のテーマソングのような"Unchained"はジェイムス・ブラウンの“The Payback”+2パックの“Untouchable”からのラップを加えた曲!



タランティーノもB級映画マニア御用達監督から、人気監督に格上げされてしまったせいか、奴隷制度を描いたこの「ジャンゴ 繋がれざる者」も史実と違う、とかごちゃごちゃクレームがついているみたいです。そんなこと言ってたら「イングロリアス・バスターズ」はどうなるのさ(爆)。
タラちゃん映画を眉間にシワ寄せて観るなんて...だせえ〜。

まず "nigger" 及びそれに準ずる言葉が110回以上出てくることに顔をしかめる方もいるようです。(誰が数えたのさ)。また、スパイク・リーは映画を観るつもりはないと断ったうえで「私の先祖に対して失礼。アメリカの奴隷制はセルジオ・レオーネのマカロニ・ウエスタンではない。ホロコーストだ。」とつぶやいた。同じフィルムメーカーなのに映画を観ないで語るのは失礼だと思いますが...。また、奴隷どおしがお互いに殺し合って見世物にした場面は歴史的な根拠がないと批判されている。タランティーノの映画をこんなに大真面目にみる人がいるなんて...。
タラちゃん、出世したなあ(遠い目)。まあ、日本のメディアのように、タラちゃんに「バレンタインの思い出は?」なんて聞くよりましかも...。

また、タランティーノもその辺りを意識して妙に真面目なことを言い始めている。
「黒人奴隷は米国の恥部。西部劇という形で、これまで米国映画があまり触れたがらなかった奴隷制度の実態を、奴隷の立場から描いた」
「僕は"映画についての映画"をとっていると言われるけど、本当は違うんだ」 <違わねえだろ!
スピウバーグの「リンカーン」が同時期に公開されたことから
「スピルバーグに「奴隷制を扱う2つの映画がシネコンで並んで上映されているのは良い風景だね」と言ったら彼も同意してくれた」
えっ、これって社会派映画なの?
大好きなマカロニ・ウエスタンを元に映画を作ったぜえ!みんな楽しめや!Yeah!じゃないの?(爆)
もちろん、奴隷制度のような問題を安直にエンターティメントの素材として扱うべきではない。
だが、例外はある。きわめて才能のある監督ならば...タランティーノはその特例に該当する人だと思う。
彼から社会派みたいな言葉は聞きたくない。
まあ、こんなことも言っていました。
観客が外側から史実を学ぶような映画は作りたくない
ご安心ください。観客はそんなものアナタに望んでいません。そういうものは、あなたほど才能がない他の方がやることです。
そもそも西部劇というジャンル映画は、水戸黄門感覚で観ればそれでいいんです!
「許されざる者」(1992)とかに大真面目に感動している人って何なの?「許されざる者」を日本でリメイクするという恐ろしい話がありますが、あれは西部劇というジャンル映画の範囲内だから許される物語。イーストウッド扮する主人公は西部劇でなければ、ただの危ないオヤジ♪

タランティーノといえば、全然本編に関係ないマニアックな無駄話が出てくることがよくある。フツーの監督なら批判の対象となるが、タランティーノの場合、なぜか称賛される。タランティーノはそんな変な監督だ。

今回、無駄話はなかったが、よかったセリフをひとつ。
カルヴィン・J・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)がシュルツ(クリストフ・ヴァルツ)に向かって
「You sir are a sore loser」(おまえは潔くない負け犬だ」
シュルツは言い返す。
「And you are an abysmal winner」(おまえは底知れぬほどひどい勝者だ」

あ、気に行ったセリフを引用するだけじゃ芸がない、って書いたような...

やっぱタランティーノ映画って記事が書きにくい。こんなにだらだら書いたけど一言ですむ話だった。
ああ、面白かった!
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2013.03.02 Saturday | 02:27 | 映画 | comments(2) | trackbacks(2) |

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2019.09.05 Thursday | 02:27 | - | - | - |

コメント

わーお!moviepadさんが実はタランティーノ好きだったなんて、意外でした。
うるさ型の映画ファンやシネフィル気味の方は、基本タランティーノはまじめに取り合わない方だと思ったので。

しかし、さすがmoviepadさん、分かってるぅー!
なんて思ってしまいました。私も、タラちゃんを真面目に語る人、嫌い(笑)。
「映画って楽しいよねー!楽しもうぜー!」という感性が満載なところが、タラ作品の良さなのに。
さすがmoveipadさん!その辺のタランティーノに対する空気をしっかり掴んだ、素晴らしい論考だなあと思います。
2013/04/03 11:24 PM by とらねこ
とらねこさん、こんばんわ!

アカデミー賞とったり、奴隷制度が背景にあるからでしょうけど
「ジャンゴ〜」を妙に真面目に語っている人を多くみかけます。

そーいうものを読むたびに

あまり大きな声では言えませんが.....

このヒト頭おかしいんじゃないの?と。

タランティーノの映画って
基本的に、自分の好きなネタを使って遊んでいるだけなのに!

観客の立場からすると
そのネタにに乗れるか乗れないか?
(いい意味で)それが全て!

タラちゃんの映画を真面目に語るなんて、本当ダサイ(爆)
2013/04/04 2:30 AM by moviepad

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