映画のメモ帳+α

音楽映画、アカデミー賞関連の記事に力を入れています。
ゾンビ、スタートレック、ヒッチコック監督作、ドキュメンタリー映画のカテゴリーもあり。
映画300字レビュー、はじめました。
※TB、コメントともに承認制とさせていただいております

<< サイコ (1960) | TOP | ハッシュパピー バスタブ島の少女 >>

第85回(2012年)アカデミー賞

第85回(2012年)アカデミー賞

第85回(2012年)アカデミー賞「アルゴ」第85回アカデミー賞trivia
〜「アルゴ」監督賞ノミネート漏れで作品賞受賞!〜

毎年、アカデミー賞授賞式の会場となっていた「コダック・シアター」はコダック社の倒産により2012年5月より「ドルビー・シアター(Dolby Theatre)」に変わった。その「ドルビー・シアター(Dolby Theatre)」名ではじめて行われたアカデミー賞授賞式。毎年話題となる視聴者数は前年比19%増の4030万人。だが、これは事前に予想できたことだった。作品賞ノミネート9作品のうち6作品が興行収入1億ドルを突破、ヒット映画が多くノミネートされていたからだ。人気映画をとりこむため、作品賞ノミネート数5枠固定をとっぱらった試みがはじめて成功した。また、人気アニメ「ファミリー・ガイ」のクリエイターで、「テッド」の監督、脚本で知られるセス・マクファーレンの司会が若者層の関心を引きよせたことを指摘する人も多くいた。だが、視聴者数がアップしたからといって授賞式の評判がよかった、というわけではなかった。セス・マクファーレンの性差別、宗教差別、人種差別にからめた"ジョーク"は賛否両論となり、視聴者や人権団体からも抗議が殺到した。The New Yorker誌は「攻撃的で醜悪、男尊女卑の授賞式」と酷評する有様だった。

授賞式冒頭、セスが男性コーラス隊を引き連れて"We saw your boobs!"(おっぱい見ちゃった!)と歌うビデオが流される。過去、映画でヌードになった女優の名と作品を次々とあげ、おっぱいみちゃったと歌う。原則、女優ひとりにつき1作品なのだが、ラストのケイト・ウィンスレットだけは7作品を並べ、あら彼女はたくさん脱いでるねというオチである。高校生のガキレベルのギャグだが、まだこれはマシなほう。

ちなみに、このビデオを見ながらナオミ・ワッツはわざとらしく驚き、シャーリーズ・セロンはしかめ面をしています。でも、アフター・パーティでは、セスとセロンはいちゃいちゃしていたそうです。セスの次回監督作にシャーリーズの出演が決定している模様。シャーリーズのしかめ面は"仕組まれた茶番"なのです。だまされないように!



また、セスはマーク・ウォールバーグと一緒に登場したテッドの声で
「ここに座っている人たちはみんな、授賞式の後に誰とエッチするかで頭がいっぱいだろ〜? 隠すなよ〜!」
「アカデミー賞授賞式のあとは、すっげえ乱交パーティーがあるって聞いたぜ!どこでやるの?」マーク「ジャック・ニコルソンの家だよ」
「ダニエル・デイ=ルイス、ホアキン・フェニックス、アラン・アーキンに、3人ともユダヤ人だよね。ハリウッドで成功するにはユダヤ人じゃないとね! 俺も実はユダヤ人なの!仕事ちょうだいね〜」

ウィットのかけらもない、レベルの低い"ジョーク"が続く。

・ダニエル・デイ=ルイスは撮影中は役になりきっている。駐車場につながれているドン・チードルをみて"解放しなきゃ"と言った。
・昨年、主演男優賞を受賞したジャン・デュジャルダンに対し、「アカデミー賞を受賞すれば一生生きていける。今年は至るところでジャンを見かけたでしょう?」とその後、ぱっとした話題がない彼を皮肉る。
・プレゼンターにサルマ・ハエックが登場した際、「彼女やペネロペ・クルス、ハビエル・バルデムは(英語をしゃべっても)何を言っているかわからないので、プレゼンターは誰でもいいんだけどね」→非映画圏俳優の英語力を馬鹿にしている!
・そして授賞式最後には「LOOSER(敗北者)」という変え歌を歌った後、
「才能はみんなあるんだ。トム・クルーズには彼の背の高さに似会う才能がある」

例えば、ハリウッドがユダヤ人社会であることを皮肉るにしてもやり方がある。ロビン・ウィリアムズは4年前の授賞式に登場した際、ユダヤ人ハンターの役を演じたクリストフ・ヴァルツの話をした後、「ほーら、持ってけ!」と手で客席を包み込むようなリアクションをして、笑いをとった。ここ(=アカデミー賞授賞式の客席)にユダヤ人がいっぱいいるぞ!という意味なのだが、もちろん言葉には出さない。これがプロの腕だと思うのだが。「ハリウッドで活躍し続けるためにはユダヤ人じゃなきゃね」なんてはっきり言うだけでは芸も何にもない。

サルマ・ハエックやジャン・デュジャルダン、トム・クルーズのくだりはただの悪口だ。昨年、一昨年ゴールデン・グローブ賞の司会をしたリッキー・ジャーヴェイスのときも思ったが、単なる悪口と"ジョーク"の区別すらつかない人が今、アメリカでもてはやされるのか?セスは"ブラック・ユーモアとして消化できていない、ただの悪口"を連発しているくせに客席の反応はやたら気にしていて、メル・ギブソンのネタで笑いが全く起きなかった際、あせって「彼の味方は多いのかな?」とごまかしたりした。

ショー全体もミュージカル・パフォーマンスが多かったが、「レ・ミゼラブル」出演者による「One Day More」、歌曲賞受賞アデルと、シャーリー・バッシーぐらいしか見ごたえはなかった。

バーブラ・ストライサンドが「IN MEMORIAM」のコーナーの後、名曲「追憶」を歌った。彼女がアカデミー賞のステージで歌うのは36年ぶり。目玉企画のひとつだったが、歌声が粘っこくて溜めが多く、老いは隠せなかった。



出演者は豪華たったが、全体的に安っぽく散漫な印象だけを残す、"見かけは豪華、中身は空虚"な授賞式だった。オスカーナイトのベスト・ツイートとして「あと2時間も客席に座っていなければならないロバート・デ・ニーロがかわいそう」「ジェームズ・フランコ、カムバック!」らが選ばれている。アカデミー賞授賞式の視聴率は、ノミネート作品の知名度で決まる。司会者が誰なんて関係ないのだ。せめて、アカデミー賞授賞式が世界中で放映されていることをきちんと認識している司会者を選んで欲しい


第85回(2012年)アカデミー賞演技賞受賞者

 主演男優賞は下馬評どおり「リンカーン」のダニエル・デイ=ルイス。過去、オスカーを3度受賞した男優は過去2人だけ。ウォルター・ブレナンは3度とも助演。ジャック・ニコルソンは主演2回、助演1回だったので、3度とも主演というのはダニエル・デイ=ルイスが初めてである。3度めからは壁が極端に高くなるアカデミー賞において彼はかなり不利なはずだった。しかし、今回ライバルが弱すぎた。本来、強力な対抗馬となるはずだったホアキン・フェニックスは「アカデミー賞なんてクソだ」という発言や偽ドキュメンタリー「容疑者、ホアキン・フェニックス」(俳優を引退してラッパーに転身→実はヤラセだったという内容)などが顰蹙を買って自滅。全米俳優組合賞ではノミネート漏れしてしまう有様だった。メリル・ストリープから名前を呼ばれたダニエルは「不思議ですね。僕はマーガレット・サッチャーを演じるつもりで、スピルバーグのリンカーン役筆頭候補はメリルだったのに。3年前役を交換することになったんだよ。そのバージョンも見てみたいですよね。また、スピルバーグは僕にリンカーン役をやれと説得する必要はなかったが、僕がスピルバーグに「リンカーン」をミュージカルにしないように説得する必要がった」とスピーチ。あまりジョークを飛ばすイメージがないダニエルの言葉に会場は沸いた。スティーヴン・スピルバーグ監督作品からの演技賞受賞も実はこれが初めて。スピ様もうれしそうです。



ミュージカルうんぬんは前作「NINE」でノミネートされなかったことに対する自虐かと思いきや、"ライバル"ヒュー・ジャックマンが、トーク番組でリンカーン風の帽子と髭面で登場し「ダニエル・デイ=ルイスにこれができるか」といって、リンカーン大統領のゲティスバーグ演説の冒頭をミュージカル風に歌い、笑いをとったことがネタ元だったらしい。

実際のところダニエルは"荷が重すぎる"とリンカーン役を引きうけるのをかなり躊躇したと言われている。そして、1年間の役作り期間を条件に受諾。リンカーンの関連書籍や本人が書き残したものに目を通したのはもちろん、19世紀の生活になれるため、妻役のサリー・フィールドと当時の文体で4カ月にわたって文通したという。(サリー・フィールド...だてにオスカー2回受賞のオンナじゃない!お疲れ様)

それにしてもダニエルさんにオスカーを渡したプレゼンターは、1回目はジョディ・フォスター、2回目はエリザベス女王(ヘレン・ミレン)、3回目はサッチャー元首相(メリル・ストリープ)超大物ばかりですな〜。ちなみに、プレゼンターのメリル・ストリープが候補者を読み上げ終わったとき、既に彼女は封をあけており間髪いれずにダニエル・デイ・ルイスの名を発表したことが「あまりにも味気ない」と不満の声も聞かれた。これは落選者がTVにさらされる時間を最小限にしてあげようとするメリルの優しさだろう。何せ彼女は14回の落選経験をもっているんですから!まあ、個人的にはこの年度の主演男優賞は「愛・アムール」のジャン=ルイ・トランティニャンがいいと思いますけどね...。

 主演女優賞は早い段階からジェニファー・ローレンスジェシカ・チャステインの一騎打ちとみられていた。ジェニファー・ローレンスは第83回(2010年)「ウィンターズ・ボーン」以来、22歳の若さにして2年ぶり2度目の主演女優賞ノミネート。主演映画「ハンガー・ゲーム」もメガヒットとなり、まさに大ブレイクの1年だった。一方のジェシカ・チャステインも昨年 「ヘルプ 心がつなぐストーリー」で助演女優賞にノミネート。他にも「ツリー・オブ・ライフ」、「テイク・シェルター」といった話題作に立て続けに出演、つい最近も「MAMA」というホラー映画に主演しスマッシュヒットさせた。まさに、"今が旬"の女優対決。若手スター女優×演技派女優、立ち位置も対称的だった。だが、ジェシカ・チャステインは出演作「ゼロ・ダーク・サーティ」へのネガティブ・キャンペーンの影響でやや後退、ジェニファーやや有利か、という状勢だった。だが、直前になって、エマニュエル・リヴァのBUZZが急騰、リヴァは勢いにのって英国アカデミー賞主演女優賞を獲得し、三つ巴の混戦となった。だが、受賞者は当初の予想どおりジェニファー・ローレンス。主演女優賞はスター女優が受賞するというジンクスは今年も破られなかった。今年、「ハンガー・ゲーム」の続編公開が控えているジェニファー・ローレンス。ハリウッドは彼女に"投資"したのだ。ジュリア・ロバーツ、サンドラ・ブロック、リーズ・ウィザースプーンに続く"マネーメイキング女優"をハリウッドがいかに欲しがっているかがよくわかる。彼女が受賞した瞬間、立ち上がったのに駆け寄ってもらえず、その後つまらなさそうにひじをついているロバート・デ・ニーロが個人的にツボでした。



 2012年度演技賞ノミネートの特徴は、受賞経験者がやたら多いこと。20人中、9人が受賞経験者。7人がノミネート経験者、新顔はわずかに4人だった。しかも新顔はすべて主演部門。助演部門では初ノミネート者ゼロという異例の事態であった。その傾向がもっとも顕著だったのは助演男優賞。何とノミネート5人全員が受賞経験者!これでは、受賞予想も盛り上がらず、強いて言えば「リンカーン」のトミー・リー・ジョーンズがやや優勢、フィリップ・シーモア・ホフマンクリストフ・ヴァルツが後を追う展開だった。直前になって、ロバート・デ・ニーロを推す声も強くなってきたが、これはおそらくハーヴェイ・ワインスタインの印象操作でしょう(笑)。そして、オスカーはクリストフ・ヴァルツの手に渡った。第82回(2009年)以来、4年ぶり2度目の受賞。ヴァルツは批評家賞こそ苦戦していたが、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞を受賞して勢いに乗っていた。受賞作は前回同様、根強い人気を誇るクエンティン・タランティーノ監督作品。全員が受賞経験者というハイレベルな争いになると、受賞者は"人気"で決まるのだ



 「レ・ミゼラブル」でアン・ハサウェイが演じたフォンティーヌ役は
アカデミー賞を受賞しやすい要素をこれでもか、といわんばかりに揃えていた。

・演じるのは娼婦(オスカーを受賞しやすい役)
・髪をばっさり切り、体重を11キロ減量(アカデミー賞はスターの肉体改造が大好き)
・吹替えなしで歌を披露(歌手だと歌えて当然とみなされるが、俳優が自分の声でしっかり歌った場合は、必要以上に評価が高くなる)
・わかりやすい熱演

ゆえに、助演女優賞はかなり早い段階でアン・ハサウェイの受賞が確実視されていた。2012年9月に結婚、話題作「ダークナイト・ライジング」のキャット・ウーマン役も射止め、アン・ハサウェイのキャリアは順調そのもの。オスカーも受賞確実...それゆえ世間が彼女に対して、嫉妬交じりの"厳しい目"を注ぐであろうことに彼女は気付かなかったようだ。

「目立ちすぎ、でしゃばり、わざとらしい...」。アン・ハサウェイの"アンチ"は猛烈な勢いで増えていった。
まず、2012年12月の『レ・ミゼラブル』のプレミア上映で、ノーパンの下半身が激写されてしまった。(おまえはブリトニー・スピアーズやパリス・ヒルトンか!)かつ、各映画賞で助演女優賞を受賞し、スピーチをするたびに「わざとらしい」「周到に準備してある」とアンチが増えていった。「FOR YOUR CONSIDERATION 」なるパロディ動画もつくられてしまいました。歌うは、プロの歌手エマ・フィッツパトリック。アンより歌がうまいです。(笑)




動画ではスペイン語の字幕がついているので、英語で歌詞を掲載します。
参照 Anne Hathaway Dreamed a Dream of Winning an Oscar, Got That?

Consider me on Oscar night, Anne Hathaway, "Les Miserables"
I played a prostitute who died, her life was really sad and awful
But I was bold and unafraid, I let them give me this new haircut
And I lost half my body weight, but then they never did a wide shot
And I sang the vocals live - no, they did not re-record them
And I coughed and wheezed and cried in every scene until I died
I sang a song about my woes, my hopes and fears, my dreams and wishes
And though I had to blow my nose, I did it all in one take, bitches!
And now I pray you'll vote for me; I'll stand up when I hear you clapping
And I already have my speech - 'Oh God, is this really happening?'
And now I know this role will be my ticket to a Best Supporting
Members of the Academy, please don't forget Anne with an "E"

(筆者訳)
どうか私にオスカーを!「レ・ミゼラブル」のアン・ハサウェイよ
私は死んでしまう娼婦を演じたの。彼女の人生は本当に悲惨でひどいものだった。
そんな役を私は恐れずに演じたわ。
(監督は反対したんだけど、アカデミー会員によりアピールしやすいように)髪も切らせてもらったわ。
体重も半分に落としたのに、何で映画では全身ショットがなかったのかしら
歌も撮影現場で生で歌ったわ。後でレコーディングなんかしていないわよ。
死ぬまでの全ての場面で咳き込んで息をぜーぜーいわせて泣き叫んだわ。
苦難、希望、恐れ、夢、願いについて歌ったの。
鼻水もじゅるじゅるさせながら、1テイクですべてを出し切ったわ。どや!
後は、あなたが私に投票してくれるのを願うばかりよ。
喝采を浴びて私は立ち上がる!
もうスピーチは準備してあるの
"あら、夢のようだわ”
実は、この役を演じれば助演女優賞が転がり込むのは(前もって)わかっていたんだけどね。
アカデミー会員の皆様!(受賞者名を表示するときには)アン(ANNE)の名前の最後、Eをつけるのを忘れないでね!
(※ アン・ハサウェイはブロードウェイ批評家協会賞で受賞した際、画面に映し出された自分の名前を見て、開口一番スペルが間違っているわ、とコメントしたことを皮肉った歌詞)

アン・ハサウェイは映画賞を受賞し、わざとらしいスピーチを披露するたびに、ネズミ講のようにアンチが増えた。そのため、アカデミー賞を前に受賞スピーチの練習に余念がないと報道されていた。だが、本番でもやっちまった!スピーチではなく、衣装で。
アカデミー賞授賞式で、アン・ハサウェイはヴァレンチノのドレスを着ると言われており、ヴァレンチノ側からもアナウンスがされていた。だが、実際、彼女が着たのはプラダのドレスであった。直前、「レ・ミゼラブル」の共演者アマンダ・セイフライドが同じようなドレスを着ると情報をつかんだため、急遽変更したのだ。アンはヴァレンチノ・ガラバーニと長年の友人だったこともあり、公式謝罪コメントを出した。アンが着用予定だったドレスを観た人は、「確かにアマンダのドレスと似てはいるが、同じものではないし、わざわざ変更する必要はあったのか?」と疑問の声が多くあがったという。しかもそのドレスは乳首がくっきりとみえる生地だったため、ツイッターで炎上した。

アン・ハサウェイは、HATHAWAY(ハサウェイ)とhate (ヘイト 憎む)をかけて“hathahate ハサヘイト”という言葉が生まれるほど、アメリカでは嫌われてしまい、 CNN、ニューヨーク・タイムズ誌、ニューヨーカー誌などの大手メディアが特集を組む騒ぎとなった。

・驚きと謙虚さが作り物。誠実さに欠ける
・リアクションがKYすぎる
・準備していたくせに、受賞スピーチで大げさに驚く。すべてが芝居がかっていて、わざとらしい。
・真面目に見せようとする、その必死さが嫌

など散々な言われよう。自分をよく見せたいという思いが強すぎて、つい演技過剰となってしまい、それを視聴者に見透かされたパターンですね。うーん、スターには多かれ少なかれある要素で、そんなに叩かれることかな?ちょっと理不尽だな、と思いますが...。個人的には"自然体"のスターなんて退屈極まりない。大げさなリアクションで笑わせて楽しませてくれたほうがよっぽどいい。"ハサヘイト"の皆さまも、本当のところ、楽しんでるんでしょ。



アン・ハサウェイは激しいバッシングにひどく落ち込んでおり、ネット・サーフィンをしては自分が嫌われる理由を探ろうとして、その結果さらに気が滅入る状態だという。友達には「女優を引退して、ブリジット・バルドーのように人目につかないところで暮らしたい」とまで語っていると言われていた矢先!クリストファー・ノーラン監督の最新作『Interstellar』に出演が決まったと報道が...。こーいうところが嫌われるのかな。ネット社会においてアカデミー賞の栄誉とひきかえに失うものも大きいようで...。アン・ハサウェイよ!リベンジするには来年のアカデミー賞で司会に再チャレンジすることだ!ハサヘイトの皆さまが一挙一動食い入るように見てくれるから視聴率は爆上げ!


 脚本賞は『ジャンゴ 繋がれざる者』のクエンティン・タランティーノ第67回(1994年)「パルプ・フィクション」以来、18年ぶり2度目の受賞。タランティーノは「俳優たちに感謝しまず。彼らがうまく演じてくれたので私がここに立っているのです。もし、自分の映画が30年後も観られているのなら、それは私が作り出したキャラクターのおかげ。これからもずっと生き続けるキャラクターをつくるためには適切なキャスティングが不可欠。今回、私はそれに成功したのです。ありがとう、みんな。また、今年この賞を受賞できたのはとても名誉なことです。脚本賞、脚色賞にノミネートされた作品はどれもみな素晴らしい!(「フライト」も...?)今年は脚本家の年です。競い合うのは好きですよ」とスピーチした。

Quentin Tarantino winning Best Original Screenplay for "Django Unchained"

アルフレッド・ヒッチコックが第40回(1967年)アーヴィング・G・タルバーグ賞を受賞したとき、「私は"殺しすぎた男"だから監督賞はもらえないのでしょう」とスピーチしたことがあったが、タランティーノが映画の中で殺した人数は下の図表のとおり。脚本賞ならいくら殺してもOK?

 画像クリックで拡大します。
タランティーノ映画での死者数


 悪評ぷんぷんだったアカデミー賞歌曲賞ノミネートルールが変更された。昨年まではスコアリングシステムと呼ばれる方式で、アカデミー協会音楽部門メンバーたちが候補曲に10点満点で点数をつけ、平均8.25点以上獲得した楽曲が2〜5曲の範囲でノミネートされるシステムだった。その結果、昨年第84回(2012年)はとうとうノミネートが2曲のみ。今回からは単純に5曲まで投票することができ、票数の多い曲から順に5曲固定でノミネートを受けることができるようになった。

今年のアカデミー賞歌曲賞は下馬評どおり、人気歌手アデルが"skyfall”で受賞。アデルは最初、「私は体験をもとに曲を作っているから」と依頼を断ったそうですが、それでもいいと強く説得されて引き受けたそうです。

"Skyfall" from "Skyfall" winning Best Original Song

アデルは授賞式の衣装代に何と8800万円をかけたとか(そのうちハリー・ウィンストンのダイヤイヤリングが8400万円を占めていますが) アデルといえば第54回グラミー賞で最優秀レコード、最優秀アルバム賞を含む6部門を獲得し、押しも押されぬ人気歌手。アカデミー賞の授賞式が産休後、初のステージだった。アデルの起用が「007 スカイフォール」の興行的大成功につながったとして、「007」製作サイドは次回作も主題歌はアデルに依頼することを検討中。かつてのシャーリー・バッシーのようにボンド映画主題歌といえばアデルというイメージをつくりあげたいと考えているという。



 アデル バーブラ・ストライザンド シャーリー・バッシー「007 スカイフォール」で50回となった007シリーズ。それを記念して授賞式ではトリュビートが行われた。過去の007映像の後、シャーリー・バッシーが「ゴールドフィンガー」を貫禄たっぷりに歌い上げた。このトリュビート企画ではかつての007俳優が勢ぞろいすると噂された。だが、その噂について聞かれたピアース・ブロスナンが「一人、出ない人がいるよ」がうっかり口をすべらせたため、憶測が飛び交った。そのひとりとは健康上の問題でここ10年ほど表舞台から姿を消しているショーン・コネリー?それとも年齢を理由に007を降ろされたことを今でも逆恨みしていると言われるピアース・ブロスナン本人か?結局、007スターそろい踏みは実現せず。ということはやっぱりショーン・コネリーか?コネリーがいないとやっぱり...。





 「ゼロ・ダーク・サーティ」バッシングで失速
今回、初めて電子投票が導入され、ノミネート発表は例年より約2週間早い1月10日になった。その影響かどうかは定かでないが、2012年度のアカデミー賞は、監督賞で、受賞を争うとみられていたベン・アフレックキャスリン・ビグローが揃ってノミネート漏れという大波乱が起こった。

キャスリン・ビグロー監督「ゼロ・ダーク・サーティ」は、まだ記憶に新しいビン・ラディン暗殺事件を描いたため、映画公開前から激しいネガティブ・キャンペーンにさらされた。「ゼロ・ダーク・サーティ」はもともと、2012年10月12日公開予定だった。しかしオバマ政権の最大の実績が"ビン・ラディン暗殺"だったため、共和党は「11月6日にアメリカ大統領選を控えるオバマ陣営の宣伝になる」と批判が続出。12月に公開延期を余儀なくされた。かつ「拷問を正当化している」「映画製作者に機密情報漏洩がされたのでは」などと訴え、共和党関係者から執拗な嫌がらせが続いたため、キャスリン・ビグローの落選は、共和党がアカデミー会員に圧力をかけたのでは?という見方もあった。ハリウッド内における女性監督への偏見もあいまって、ビクローの落選はかなり後味の悪い余韻を残した。

ビクローは前作「ハート・ロッカー」で3年前に作品・監督賞をとったばかりだったため、もともとアカデミー賞では苦戦が予想されていた。そのためかビグローの落選は(政治的圧力・女性監督への偏見などの要素を含むにもかかわらず)さほど話題にならなかった。「ゼロ・ダーク・サーティ」が作品賞レースから大きく後退した印象を与え、「ゼロ〜」の作品賞受賞を予想する人はほとんどいなくなった。
アカデミー賞授賞式前のレッドカーペットで「loser face(負けた瞬間の表情)をやってみてください」と言われ、ビクローは「always(いつもよ)」と答えている。オスカー監督になった今も、彼女はまだ見えない敵と戦い続けている。



 「アルゴ」作品賞!監督賞ノミネート漏れが追い風に
キャスリン・ビグローの落選は理由が推測しやすかったが、ベン・アフレックの場合はやや不可思議だった。何〜に、昔の"クレイジー・スター"ぶりが同業者に嫌われたんだろう、と考えるのは早計。オスカー直後に発表された"同業者が選ぶ賞"全米製作者組合賞、全米監督組合賞、英国アカデミー賞では受賞をはたしている。かつ「アルゴ」はゴールデン・グローブ賞、ブロードウェイ批評家映画賞などの大きな賞も制覇。この結果だけをみると「アルゴ」は作品・監督賞とも大本命となるはずだった。だが、監督賞ノミネートもれにより、その基盤が揺るぎ始める。

「アルゴ」はベン・アフレックの監督3作目。前2作もまずまずの評価で、かつ「ゴーン・ベイビー・ゴーン」ではエイミー・ライアンに助演女優賞、「ザ・タウン」ではジェレミー・レナーに助演男優賞ノミネートをもたらすなど、オスカーにしっかりからんでいる。ベン・アフレックの監督としての力量を疑う者はまずいなかったはずだ。

アカデミー賞の監督賞は、ノミネートまでは監督部会に属する会員だけが投票権を持ち、受賞は会員全員が権利をもつ。ということは、ベン・アフレックは同業者全体というより"監督仲間"に嫌われた、ということになる。なぜ?

これは推測でしかないが、ベン・アフレックのキャリア設計が嫌われたのではないかと思う。
ベン・アフレックは、第70回(1997年)「グッドウィル・ハンティング」での脚本賞受賞をきっかけに花開いた。ここがスターとしての地位を確立した後、監督業に進出した他の俳優兼監督と大きく違うところだ。"先行投資"の意味でオスカーを与えられたにもかかわらず、ベン・アフレックは脚本賞受賞者とは思えない、大味なハリウッド大作へ連続出演、私生活でもスキャンダルにまみれ"クレイジー・スター"の仲間入り。ベン・アフレックへの投資は不良債権と化した。こいつにアカデミー賞を与えたのは間違いだった...。そう思った人も多いだろう。

人気凋落したベン・アフレックも結婚後はおちつき、監督業に進出した。だが、その監督作というのがデビュー作にしてベストセラー作家デニス・レヘインのミステリー小説が原作。最初から商業映画路線であり、かつ2作目以降は自分が主演。アーティストとしてではなく、低迷している俳優としてのキャリアを立て直す手段として監督業に進出したと思った人が多かったのかもしれない。また、ベン・アフレックは熱心な民主党支持者として知られており、政治家転身の噂を本人も否定していない。(ただし、今出馬すると過去のスキャンダルをむしかえされるため、当分お預けだそうだ)どちらにしろ、ベン・アフレックの監督業進出の"動機"は俳優としてのキャリアの立て直しor政界進出のためのイメージアップ作戦?少なくても"アーティスト"としてのこだわりではなさそうだ。他の賞はあげるけど、アカデミー賞だけはだめ!また悪用しかねない。"監督仲間"からはそう思われたのかもしれない。

ベン・アフレックの監督賞ノミネート漏れはメディアに大きな批判を浴びた。同業者からも疑問の声が多数出た。ノミネート漏れ以降、どの映画賞を受賞してもベン・アフレックは謙虚なコメントに終始。アカデミーへの恨み節は一切こぼさず、アン・ハサウェイと違って(笑)好感度をあげていった。その結果、「アルゴ」は作品賞を受賞。監督賞ノミネート漏れしたことが、混戦模様の作品賞レースでは逆に追い風となった。



監督賞ノミネート漏れ作品が作品賞をとったのは第62回(1989年)の『ドライビング Miss デイジー』以来、23年ぶり4回目。しかも他の2回は第1回(1927〜1928年)第5回(1931〜1932年)とアカデミー賞がまだ軌道に乗っていない初期のことであり、実質的には2回目である。映画の出来は最終的に監督の手腕で決まる。ほぼありえない珍事と言ってよい。

そのベン・アフレックがノミネート漏れした監督賞では、最多12部門ノミネートで一躍本命に躍り出た「リンカーン」のスティーヴン・スピルバーグが有力視されたが、オスカーは美しい3D映像が絶賛された「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」のアン・リーに渡った。アン・リーの受賞はサプライスと称され、ベン・アフレック落選に憤慨する会員が棚ぼたで本命に躍り出たスピルバーグに反発し、こぞって、アン・リーに投票したことが受賞原因と噂された。

個人的には、アン・リーの受賞は極めて妥当だと思う。自然の奥行きを深める意図で使われた3D映像は圧巻で、映画を観終わった後、なぜこれが"本命"ではないのだろう?といぶかしく思った。ベン・アフレックやキャスリン・ビクローがノミネートされていたとしても、監督賞はアン・リーの手に渡ったはずだ。名前を呼ばれたアン・リーは立ち上がって祝福するキャスリン・ビグローにも軽く手をふり壇上に向かう。ビグローも「受賞すべき人がちゃんと取ったんだから仕方ないわね」と思ったのか(笑)



 "旧きもの"にされてしまったスピルバーグ...
"2強"が監督賞ノミネート漏れしたことにより、作品賞本命の座に繰り上げられたのがスティーヴン・スピルバーグ監督「リンカーン」。
最多12部門ノミネート、アカデミー賞好みの風格、興行的にも成功(全米に限って言えば、興行成績はノミネート作品中トップの実績)受賞の条件はそろっているように思われた。だが、「シンドラーのリスト」で作品・監督賞を受賞するまで、"アカデミー賞に冷遇されている"代表格だったスピルバーグゆえ、事はそう簡単に運ばない。結果として主演男優賞、美術賞の2部門の受賞にとどまり、ハリウッドには"アンチ・スピルバーグ"はまだまだ多いことが露呈してしまった。

しかも、スピルバーグは過去の自分が体験したことをライバルたちに追体験される、そして自分は、今回、かつての"敵"の立場に立つという奇妙な現象が起こった。No.1ヒットメーカーとして称賛と嫉妬を浴び続けたスピルバーグも66歳。自分が"旧世代"に分類されている現実を痛感しただろう。

・スピルバーグの「カラーパープル」(1985)はアカデミー賞との直結率が高い全米監督組合賞で受賞まではたしながら、第58回(1985年)アカデミー賞で監督賞ノミネートを逃した。今回、「アルゴ」はこれと全く同じパターン。「カラーパープル」は結局、11部門全敗...一方、「アルゴ」は作品賞、脚本、編集賞受賞。ライバルは自分と同じ憂き目には逢わなかった。

第55回(1982年)「E.T」が記録的ヒットとなり、作品賞にノミネート。だが、"立派な人を描いた立派な映画"「ガンジー」に受賞をさらわれてしまった。今回はスピルバーグ自身が"立派な人を描いた立派な映画"「リンカーン」で勝負に出たが、受賞はできなかった。

・監督賞を受賞したアン・リー。「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」は3D映像が高い評価を受け、撮影賞、視覚効果賞を受賞。親玉あっての技術、ではその親玉=監督にも賞をあげましょう、という受賞パターン。これは第71回(1998年)戦闘シーンのリアリティが評価された「プライベート・ライアン」でスピルバーグがたどった監督賞受賞と同じパターンである。今回、スピルバーグはライバルの"技術の親玉受賞パターン"の前に破れた。

ダニエル・デイ=ルイスにひざまずくスピルバーグスピルバーグにとって、決して悪いことばかりではなかった。スピルバーグ監督作品は、作品賞に7回もノミネートされているにもかかわらず、これまで演技賞受賞者がひとりもおらず、彼が「人間を描けない」証拠のように言われていた。この、嬉しくない記録は、ダニエル・デイ=ルイスの主演男優賞受賞でついにStop。だが、助演男優賞有力と言われていたトミー・リー・ジョーンズは受賞を逃してしまった。

かつて、若きヒットメーカーとして嫉妬され、アカデミー賞では冷遇されていたスピルバーグ。その冷遇キャラはもはや、クリストファー・ノーランに引き継がれてしまった感があります。いつの間にか、スピルバーグは、かつて自分が戦っていた"体制側"、"保守側"の立場に変わっていた。だが、立場は変わっても、"アンチ・スピルバーグ"の芽はまだ残っていた...。スピルバーグにとって第85回(2012年)アカデミー賞授賞式は、「カラーパープル」の時以上につらいものだったかもしれない。「リンカーン」はスピルバーグの映像作家としての資質と題材が見事にマッチングした作品。「アルゴ」が受賞するくらいなら「リンカーン」のほうがずっとよかった!

 政治の影が濃すぎる...
今年のアカデミー賞の特色をひとことでいうと「政治色が濃すぎる」ということ。
「アルゴ」、「ゼロ・ダーク・サーティ」、「リンカーン」...受賞を争ったのは皆、政治映画である。

通常、ネガティブキャンペーンというのはライバル作の映画配給会社によって行われるものだが、「ゼロ・ダーク・サーティ」に関しては共和党から行われた。CIAがキャスリン・ビグローと脚本を手掛けたマーク・ボールへ、不適切な情報の提供があったではという疑惑のもとアメリカ上院情報特別委員会が調査を行ったのは映画作品に対する政治の介入としては常軌を逸している。

1979年のイランアメリカ大使館人質事件を題材とした「アルゴ」に関しては、ゴールデン・グローブ賞受賞時に、イランから「事実をわい曲している」と批判があり、対抗する映画を独自に製作する旨の発表があったが、派手なバッシングにあっていた「ゼロ〜」の影に隠れる形となった。だが、いざ「アルゴ」が作品賞を受賞すると「アルゴ」への批判が一気に噴射した。

イラン側は
・「CIAの宣伝」であり、かつシオニスト(ユダヤ主義者)の陰謀だ
・事件に関与したイラン人学生や市民が暴力的に描かれ、その一方で米外交官やCIAが英雄とされていることを「まったく事実に反する」と批判。

また、アメリカのメディアからも当事者への取材を党して、空港でのサスペンス場面や、イラン防衛隊の車が、滑走路を並走して大使館員らを乗せた航空機を追跡する場面など映画のクライマックス場面が全く史実にないことと批判された。また、カナダの役割が相当軽視され、全部主人公の手柄になっているという指摘もあった。

作品賞のプレゼンターとしてミシェル・オバマ大統領夫人が登場したことも怒りに火を注いだ。
これはかのハーヴェイ・ワインスタインとその娘のアイデアだったという。
「リンカーン」が受賞すると思っていたから頼んだんでしょうねぇという能天気な見方もあったが(リンカーンは共和党なんですけど...)、イランではなぜ「反イラン映画の受賞発表のときだけ」ミシェルが現れたのか、という少しうがった見方もされた。個人的には何でワインスタインがアカデミー賞授賞式の演出にまで口を出す権利があるのか?のほうが気になりますが...ワインスタインは、再選を目指すオバマ氏に多大な資金協力をしていた。ちなみに、ワインスタインは「世界でひとつのプレイブック」(個人的見解を述べさせてもらえば、「世界〜」は作品賞ノミネート9作中、ぶっちぎりの最下位。この手の作品を過大評価するのは心底やめてほしい。邦題は意味不明)にオスカーをとらせるため、オバマの選挙キャンペーンでコンサルタントをつとめたStephanie Cutterを雇っていたという。もう、何これ???

保守派ジャーナリストのミシェル・マルキンは「教会と国家の分離はもちろんだが、ハリウッドと国家の分離こそ必要だ」と語っている。

「アルゴ」を観たとき、個人的には「これって事実をネタにしただけの、よくある救出劇じゃん。何でこんなに高評価なの」と疑問に思ったが、高評価の影には、純粋な映画評価だけでない、何らかの政治的な思惑があったのかな、と勘ぐらざるをえなかった。

「アルゴ」高評価の、もうひとつの理由は、ベン・アフレックというスターに関する思いこみの強さである。クレイジー・スターという偏見を捨てきれないアカデミー監督部会は彼をノミネートから外した。(まあ、映画と政治との関与が深まるのを危惧して、ベン・アフレックとキャスリン・ビグローをあえて落とした、という"好意的な"見方も成り立ちますが)復活劇が大好きなメディアと一般の映画ファンは、"あのベン・アフレックが立ち直って、ここまでの映画を作った!" 良くも悪くも監督ベン・アフレックの名前に影響され、作品評価を上乗せしてしまったという印象を受けた。ベン・アフレックの演出は非常にオーソドックスで、"ベン・アフレックスタイル"というべき個性はまだみられない。「アルゴ」の売りは中盤から後半にかけてのサスペンス演出だが、このレベルなら過去いくらでもあったような...。「アルゴ」は別に嫌いじゃないけど、これが2012年のNo.1映画って...?

不作の年ならともかく、2012年は、比較的、豊作だった。緻密なドラマなら「愛・アムール」、エポック性なら「ゼロ・ダーク・サーティ」、斬新な映像なら「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」、テーマの大きさや風格を重視するなら「リンカーン」、娯楽性を買うなら「ジャンゴ 繋がれざる者」や「レ・ミゼラブル」、物語の独自性と力強さなら「ハッシュパピー 〜バスタブ島の少女〜」(これ、すごい映画ですよ!)、「アルゴ」より優れたor面白かった映画がこんなにある!要は「世界でひとつのプレイブック」を除く全部が「アルゴ」より...(笑)

もし、監督賞にベン・アフレックとキャスリン・ビグローがきちんとノミネートされていれば、"同情票"という要素が省かれた分、作品賞は違った結果になったかもしれない。前哨戦の結果を観る限り、「アルゴ」の受賞は下馬評どおりだが、個人的には納得がいかない結果だった。

アカデミー作品賞を受賞すれば、映画史に残る。作品テーマの是非とか、スターのネームバリューとか、変な裏事情に左右されず、純粋に作品の質だけで評価してほしい。まあ、その手のゴシップ要素が影響する点が、アカデミー賞ウォッチングの面白さでもあるんですけどね。
人気blogランキングこの記事が参考になりましたら左のバナーにクリックお願いします!


第85回(2012年) アカデミー賞ノミネート一覧

※ ★マークは受賞作品。リンクは当サイト記事もしくはamazon

作品賞
 「アルゴ
   「愛、アムール
   「ハッシュパピー バスタブ島の少女
   「ジャンゴ 繋がれざる者
   「レ・ミゼラブル
   「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日
   「リンカーン
   「世界にひとつのプレイブック
   「ゼロ・ダーク・サーティ

主演男優賞
 ダニエル・デイ=ルイス 「リンカーン」
   ブラッドリー・クーパー 「世界にひとつのプレイブック」
   ヒュー・ジャックマン 「レ・ミゼラブル」
   ホアキン・フェニックス 「ザ・マスター
   デンゼル・ワシントン 「フライト

主演女優賞
 ジェニファー・ローレンス 「世界にひとつのプレイブック」
   ジェシカ・チャステイン 「ゼロ・ダーク・サーティ」
   エマニュエル・リヴァ 「愛、アムール」
   クヮヴェンジャネ・ウォレス 「ハッシュパピー バスタブ島の少女」
   ナオミ・ワッツ 「インポッシブル

助演男優賞
 クリストフ・ヴァルツ 「ジャンゴ 繋がれざる者」
   アラン・アーキン 「アルゴ」
   ロバート・デ・ニーロ 「世界にひとつのプレイブック」
   フィリップ・シーモア・ホフマン 「ザ・マスター」
   トミー・リー・ジョーンズ 「リンカーン」

助演女優賞
 アン・ハサウェイ 「レ・ミゼラブル」
   エイミー・アダムス 「ザ・マスター」
   サリー・フィールド 「リンカーン」
   ヘレン・ハント 「セッションズ」
   ジャッキー・ウィーヴァー 「世界にひとつのプレイブック」

監督賞
 アン・リー 「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」
   デヴィッド・O・ラッセル 「世界にひとつのプレイブック」
   スティーヴン・スピルバーグ 「リンカーン」
   ミヒャエル・ハネケ 「愛、アムール」
   ベン・ザイトリン 「ハッシュパピー バスタブ島の少女」

オリジナル脚本賞
 「ジャンゴ 繋がれざる者」
   「愛、アムール」
   「フライト」
   「ムーンライズ・キングダム
   「ゼロ・ダーク・サーティ」

脚色賞
 「アルゴ」
   「ハッシュパピー バスタブ島の少女」
   「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」
   「リンカーン」
   「世界にひとつのプレイブック」

Chris Terrio winning Best Adapted Screenplay for "Argo"

撮影賞
 「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」
   「アンナ・カレーニナ
   「ジャンゴ 繋がれざる者」
   「リンカーン」
   「007/スカイフォール

"Life of Pi" winning Best Cinematography

美術賞
 「リンカーン」
   「アンナ・カレーニナ」
   「ホビット 思いがけない冒険
   「レ・ミゼラブル」
   「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」

"Lincoln" winning the Oscar® for Production Design

音響賞(録音賞)
 「レ・ミゼラブル」
   「アルゴ」
   「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」
   「リンカーン」
   「007/スカイフォール」

"Les Misérables" winning the Oscar® for Sound Mixing

編集賞
 「アルゴ」
   「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」
   「リンカーン」
   「世界にひとつのプレイブック」
   「ゼロ・ダーク・サーティ」

"Argo" winning Film Editing

作曲賞
 「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」
   「アンナ・カレーニナ」
   「アルゴ」
   「リンカーン」
   「007/スカイフォール」

Mychael Danna winning Best Original Score

歌曲賞
 「Skyfall」(007/スカイフォール)
   「Before My Time」(Chasing Ice)
   「Everybody Needs a Best Friend」(テッド
   「Suddenly」(レ・ミゼラブル)

衣装デザイン賞
 「アンナ・カレーニナ」
   「レ・ミゼラブル」
   「リンカーン」
   「白雪姫と鏡の女王
   「スノーホワイト

"Anna Karenina" winning the Oscar® for Costume Design

メイクアップ賞
 「レ・ミゼラブル」
   「ヒッチコック
   「ホビット 思いがけない冒険」

"Les Misérables" winning the Oscar® for Makeup and Hairstyling

視覚効果賞
 「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」
   「ホビット 思いがけない冒険」
   「アベンジャーズ
   「プロメテウス
   「スノーホワイト」

"Life of Pi" winning the Oscar® for Visual Effects

音響編集賞
 「007/スカイフォール」
 「ゼロ・ダーク・サーティ」
   「アルゴ」
   「ジャンゴ 繋がれざる者」
   「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」

"Skyfall" and "Zero Dark Thirty" winning the Oscar® for Sound Editing

短編賞
<アニメ>
 「紙ひこうき」
   「Adam and Dog」
   「Fresh Guacamole」
   「Head over Heels」
   「Maggie Simpson in "The Longest Daycare"」

Paperman" winning Best Animated Short Film

<実写>
 「リッチーとの一日」
   「Asad」
   「Buzkashi Boys」
   「Death of a Shadow」
   「Henry」

"Curfew" winning Best Live Action Short

ドキュメンタリー映画賞
<短編>
 「イノセンテ 〜ホームレスの少女が描く未来〜」
   「Kings Point」
   「Mondays at Racine」
   「Open Heart」
   「Redemption」

"Inocente" winning Best Documentary Short

<長編>
 「シュガーマン 奇跡に愛された男
   「壊された5つのカメラ パレスチナ・ビリンの叫び
   「The Gatekeepers」
   「How to Survive a Plague」
   「The Invisible War」

"Searching for Sugar Man" winning Best Documentary Feature

外国語映画賞
 「愛・アムール」 (オーストリア)
   「魔女と呼ばれた少女」 (カナダ)
   「NO」 (チリ)
   「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」 (デンマーク)
   「コン・ティキ」 (ノルウェー)

"Amour" winning Best Foreign Language Film

長編アニメ賞
 「メリダとおそろしの森
   「フランケンウィニー
   「パラノーマン ブライス・ホローの謎
   「The Pirates! Band of Misfits」
   「シュガー・ラッシュ

"Brave" winning Best Animated Feature Film

ジーン・ハーショルト友愛賞
ジェフリー・カッツェンバーグ

名誉賞
D・A・ペネベイカー
ジョージ・スティーヴンス・Jr
ハル・ニーダム
2013.04.23 Tuesday | 00:56 | アカデミー賞の軌跡 | comments(0) | - |

スポンサーサイト


2017.04.26 Wednesday | 00:56 | - | - | - |

コメント

コメントする









▲top