映画のメモ帳+α

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ドライヴ

ドライヴ(2011 アメリカ)

ドライヴ 映画原題   DRIVE
監督   ニコラス・ウィンディング・レフン
原作   ジェイムズ・サリス
脚色   ホセイン・アミニ
撮影   ニュートン・トーマス・サイジェル
音楽   クリフ・マルティネス
出演   ライアン・ゴズリング キャリー・マリガン
      ロン・パールマン オスカー・アイザック
      アルバート・ブルックス クリスティナ・ヘンドリックス
      ブライアン・クランストン


第64回カンヌ国際映画祭監督賞受賞。第84回(2011年)アカデミー賞音響編集賞ノミネート

ある映画賞では作品・監督賞受賞、別の映画賞では完全無視...。2011年の映画賞において両極端な評価がされた映画があった。『ツリー・オブ・ライフ』(テレンス・マリック監督)と『ドライヴ』(ニコラス・ウィンディング・レフン監督)である。『ツリー〜』は映画を観ればその理由は明白。世俗の生活と信仰の間で揺れ動き、結局は世俗に流されてしまう人間の運命の哀しさを描いた作品だが、余白が多く、観客の想像力が試される作品。前半の、ヒーリングもしくは何かの洗脳ビデオみたいな映像(個人の内宇宙、もしくは神に関連した表現だと思いますが...)にうんざりした人も少なくないはず。『ツリー・オブ・ライフ』は第64回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。いかにもカンヌ好み、好き嫌いがはっきりわかれそうな作品だ。(僕は好きですけどね)だが、今から話をするこの『ドライヴ』はやや勝手が違う。当作もカンヌ監督賞受賞作なのだが、ストーリーはシンプル、テーマもそんなに小難しいものではなく、カンヌというよりむしろハリウッドテイストな作品。激しい暴力描写はあるが、それを除けば"好き嫌いが分かれる"ほどのアクの強さはない。某サイトをみるとcrime thriller romance filmだそうだ。何のこっちゃ?ではなぜ『ドライヴ』は評価が分かれたのか?感覚的に"わかる人はわかる"タイプの映画だからだろう。そう、『ドライヴ』はいわゆるカルト映画の香りがする作品だ。

〜ストーリー〜
ドライバーと呼ばれる男(ライアン・ゴズリング)。彼は抜群の運転テクニックを持っていて、昼は小さな自動車修理場、もしくはハリウッドのスタント運転手、夜は銀行強盗の手伝い(金を奪った後、車で逃げるときの運転手)をして生計をたてている。友達もなく孤独な男だが、同じアパートに住むアイリーン(キャリー・マリガン)と仲良くなり、彼女の子供とも遊んでやるようになる。やがてアイリーンの夫スタンダード(オスカー・アイザック)が刑務所から出所して戻ってくる。スタンダードは裏組織に支払わなければならない上納金のことで悩んでいた。彼の苦境を救うため、ドライバーは質屋強盗の手助けをするが...。



原作はジェイムズ・サリスの同名小説。文庫本にして200P足らず。無駄に分厚いものが主流となりつつある昨今のミステリー小説において、感動的なくらい薄い(笑)。この原作同様、映画も無駄を極力そぎ落としたシンプルな仕上がりだ。




映画化が発表されたのは2008年。当初、ニール・マーシャル監督、ヒュー・ジャックマン主演で企画が進められたが頓挫。製作サイドは巻きなおしとして、まずライアン・ゴズリングに出演オファーを出した。ゴスニングには監督選択権が与えられたため、彼はかねてから注目していたデンマーク出身のニコラス・ウィンディング・レフンに監督を依頼した。


 タイトルは『ドライヴ』だけど...。

『ドライヴ』という題名を聞くと、カーチェイス場面ばりばりのアクション映画を想像する。まずは冒頭の強盗場面。ドライバーは依頼主の強盗に対して「5分だけ待つ」とクールに言い放つ。そして強盗が仕事を終えて車に飛び乗ると、ドライバーはテクニックを駆使し、颯爽と逃げ去っていく。おお、やってる!やってる!...だが、その後しばらくドライバーの孤独な日常とアイリーンとの出会いなどの場面がえんえんと続く。ハリウッドのスタント運転手の仕事をする場面もあるが、比較的あっさりしたもの。まるでインディペント映画のノリじゃないか!そう、『ドライヴ』は金のないインディペント映画なのである。カーチェイス場面ですらCGは一切使っていない。それゆえ臨場感は抜群だが、車がバンバン衝突して火を噴いたり、大きなビルに突撃したりといったハリウッド映画のど派手なアクション場面を期待すると肩透かしをくう。アクション映画というよりむしろドラマである。それゆえか?ミシガン州のある女性は宣伝に偽りありと映画料金の返還を求める訴えを起こした、らしい。彼女は映画が反ユダヤ的だとも批判しており、集団訴訟も計画中だとか。とほほ...。まあ、こんなドライブよりいいでしょ♪←いい曲ですよ!

心優しさと暴力性をあわせもつ男を演じたライアン・ゴズリングの演技は見事。あまりに孤独ゆえあんな小さな交流で舞い上がってしまい自分の命を危険にさらす、心優しさ純粋さ。その一方で長年"裏稼業"にたずさわる...。若くして世の中を達観したかのようなキャラクターだ。ゴズリングは大げさに演じわけたりせずに、これが同じ一人の人間による行為であることを自然と納得させることに成功している。

ラストでゴスニングと対決するバーニー・ローズ役のアルバート・ブルックスもいい。コメディのイメージが強い彼だが、涙などひとかけらもない非情な男の雰囲気をよく醸しだしている。ブルックスはニューヨーク映画批評家協会賞など多くの助演男優賞を受賞。アカデミー賞でも受賞が期待されたがノミネートすらされなかった。当作、アカデミー賞では音響編集賞にかろうじてノミネートされたのみ。ブルックスの演技評価は作品評価に連動してしまったようだ。

 実はサントラ映画?

映画『ドライヴ』は話もシンプルだし、別に斬新なところないじゃん....と思いかけて立ち止った。
何かが違う。そう、音楽の使い方が絶妙なのだ。手掛けたのは元レッド・ホット・チリ・ペッパーズのドラマ―で、その後、多くの映画音楽を手掛けているクリフ・マルティネス。監督のニコラス・ウィンディング・レフンがクリフによる『セックスと嘘とビデオテープ』の音楽を気に入っていたことによる起用だ。

無口な主人公の心情を代弁するかのように既存曲もいくつか使われている。イタリアの女優、歌手であるKatyna Ranieriが歌う"Oh My Love"のようにしっとりとした雰囲気を醸し出す曲もあるが(「ヤコペッティの残酷大陸」(1971)で使われた曲だそうです)その他は、全体的な雰囲気でいうなら80年代風のエレクトニック・ポップ(ヒューマン・リーグとかハワード・ジョーンズとか...)。他の3曲の歌詞は実にシンプル。同じ歌詞のリフレインが多い曲を採用している。

オープニングで流れる"Nightcall"は出だしのボーカルがヒップポップっぽいがフランスのミュージシャンKavinskyによるもの。You keep me under your spellが3回くりかえされる曲はDesireの"Under your spell"。そして、College の"A Real Hero" (feat. Electric Youth)。おいおい、A real human being, and a real heroなんて表現としてベタすぎるだろ...最初聞いたときは陳腐な印象を受けたがラスト、もう一度この曲が流れると不思議にハマってくる。主人公の一見無機質な感じとシンセサイザー・ポップ、そして裏も表もないようなシンプルな歌詞...なぜかしっくりくる。カルト人気の秘密はこの音楽の使い方にあった!

サントラのダイジェスト版をどうぞ↓宣伝っぽい動画ですが...。
DRIVE - Official Soundtrack Preview - Songs from the Film


映画『ドライヴ』の音楽の使い方があまりにうまいせいかパロディ動画まで作られちゃっています。

'Drive' to Shitty Music Trailer (映画「ドライヴ」の音楽がクソだったら...?)
'Drive' to Shitty Music Trailer - watch more funny videos


もし、こんなんだったら最悪ですね〜(爆)
音楽は映画のイメージを決めてしまいます。




この映画、ストーリーはシンプル、派手なカーアクション場面も少なく、特に斬新なところはないように見える。だが、主人公ドライバーのキャラクター(ライアン・ゴズリングの役作りのうまいこと!)とエレクトニック・ポップのうまい使い方!無理矢理一言でいうと"俳優の演技が達者すぎる長編ミュージック・ビデオ"(これ、褒めてるんですよ!)。出来のいいアメコミ映画を観たような感触もある。

2012年中には原作の続編"Driven"が出版予定。その内容次第では映画も続編が作られる可能性があるという。映画『ドライヴ』は一見の価値は十分にある快作!
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2012.03.28 Wednesday | 00:38 | 映画 | comments(0) | trackbacks(4) |

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2018.05.21 Monday | 00:38 | - | - | - |

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ドライヴ/Drive
表の顔はスタントマン、裏の顔は逃がし屋という凄腕ドライバーが、偶然知り合った女性を愛してしまったが故に思わぬトラブルに巻き込まれてゆく姿を描いたクライムアクション。主演は『ブルーバレンタイン』のライアン・ゴズリング。共演は『SHAME』のキャリー・マ
(LOVE Cinemas 調布 2012/03/28 1:18 AM)
ドライヴ
【DRIVE】 2012/03/31公開 アメリカ R15+ 100分監督:ニコラス・ウィンディング・レフン出演:ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、ブライアン・クランストン、クリスティナ・ヘンドリックス、ロン・パールマン、オスカー・アイザック、アルバート・ブルックス
(新・映画鑑賞★日記・・・ 2012/04/03 2:54 PM)
愛ゆえに・・・
4日のことですが、映画「ドライヴ」を鑑賞しました。 昼はカースタントマン、夜は強盗などの運転手として逃がし屋として働く男 ある女性に恋をし 助けるために事件 抗争に巻き込まれていく・・・ とにかく クールでカッコいい 主人公のドライバーに惚れてまうように
(笑う学生の生活 2012/04/11 4:31 PM)
ネオンを引き立てる暗闇 『ドライヴ』
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン出演:ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガンアメリカ映画 2011年 ・・・・・・ 7点
(映画部族 a tribe called movie 2012/06/19 6:19 PM)

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