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第84回アカデミー賞ノミネート予想!

いよいよ1月24日に迫った第84回アカデミー賞のノミネート発表。今年もやります!アカデミー賞ノミネート予想。何と7回目なんです。大した需要もないのに...継続は力なり?

例年どおり当確候補者の話題はスルーし(受賞予想記事までネタをとっておかないといけないので)、当落線上にいる候補者を中心に話をすすめていきます。死ぬほど退屈だった昨年。今年も派手な話題に欠けるのですが、去年よりは面白い...というか面倒臭い。

それは、
★アカデミー賞と投票母体が重なる製作者、監督,俳優などの各全米組合賞で有力候補がノミネート漏れするサプライズが多発し、

かつ
★当落線上には
・アカデミー賞常連の大物候補がずらり。
・アカデミー会員が大嫌いなカンヌ国際映画祭の受賞者もまざっている

からであります。

では早速本題に入りましょう!

 名称の前の印は以下のような意味です、
 当確 (まず落ちることはないでしょう)
○ 有力 (ノミネート漏れの危険はゼロとはいえないが、ほぼ確実)
△ 微妙 (当落線上) 
× 大穴 (可能性はかなり低いが、ひょっとすると?)

 作品名に貼られているリンクをクリックすると予告編動画(youtube)に飛びます。記事内に張り付けてある動画の選考基準は"ノミネートされそうにない映画"です(笑)



[作品賞]
アーティスト
ファミリー・ツリー
ヒューゴの不思議な発明
○「ヘルプ 心がつなぐストーリー」
○「ミッドナイト・イン・パリ」
○「ドラゴン・タトゥーの女」
△「ツリー・オブ・ライフ」
△「マネーボール」
×「別離」


runner-up
△「戦火の馬」
△「ドライヴ」



[監督賞]
ミシェル・アザナヴィシウス 「アーティスト」
アレクサンダー・ペイン 「ファミリー・ツリー」
マーティン・スコセッシ 「ヒューゴの不思議な発明」
○ウッディ・アレン 「ミッドナイト・イン・パリ」
△デヴィッド・フィンチャー 「ドラゴン・タトゥーの女」


runner-up
△テレンス・マリック 「ツリー・オブ・ライフ」
△ニコラス・ウィンディング・レフン 「ドライヴ」
△スティーヴン・スピルバーグ 「戦火の馬」
△ベネット・ミラー 「マネーボール」
×テイト・テイラー 「ヘルプ 心がつなぐストーリー」

既報のとおり、今年から作品賞ノミネート方法が変わりました。
アカデミー会員は作品賞にふさわしい映画を順位つきで投票し、総投票数の5%以上が1位に選んだ作品が5〜10作の範囲でノミネートされます。何本が作品賞にノミネートされるかは発表まで誰もわからない。ちなみに、先日アカデミー賞会員に向けて発送された投票用紙には作品賞の記入枠は5つ。アカデミー賞会員の多くは、自分たちが5〜10作品の範囲で投票する、と勘違いしていたらしく、早速、混乱が起こっているようです。(電子投票は見送られたみたいですね→来年度から実施される模様)

アカデミー賞候補選出の新ルールにアカデミー会員たちが大困惑!

全体の5%以上が1位に選んだ作品だけがノミネートされる
この報道を字面どおりに受け取ると、

・好き嫌いがはっきり分かれる作品は有利(5%の熱狂的支持があれば、残り95%に嫌われてもOK)
・多くの人が(1位ではなく)2〜5位に選ぶような、幅広い層に受け入れられるタイプの作品は不利。

になる。"手堅い"映画よりは"賛否両論"タイプが好きな自分としては、良いことじゃと密かにほくそ笑んでいたのですが...。

うーん、投票用紙に5作品記入させるということは、単純に1位票のみを集計して5%ではなく、作品賞決定方式と同様、"死票を調整し、繰り上げて1位とみなす"つまり調整済み投票を含めて5%以上ってことなんでしょう。何のこっちゃよくわからない文章ですね。ここの下のほうを読んでいただければ意味がわかるかもしれません。ここでは便宜上「全体の5%以上が1位に選んだ作品だけがノミネートされる」とシンプルに 考えて話をすすめていきます。今年も決定的な作品に欠けるため、票がばらつく→ノミネート数は多くなり、7〜9の間に落ち着くと思っています。

・作品、監督とも当確は3つ。またスター不在にもかかわらず、全米興行収入約1.7億ドルの大スリーパーヒット(こんな言い方あるのか?)となった「ヘルプ 心がつなぐストーリー」も作品賞ノミネートはほぼ当確。ただし、「ヘルプ〜」は"作品の出来はそこそこだけど、心がほっこりする"タイプの映画らしく、監督賞ノミネート(テイト・テイラー)はなさそうな気配デス。

・逆に、監督賞ノミネートが先に決まり、作品賞までなだれこんできそうなのが、ウディ・アレン監督「ミッドナイト・イン・パリ」。パリを舞台に、人気スター、オーウェン・ウィルソンを主演にむかえた当作はここ10年でのアレン映画のベスト、と評価も高く、全米興行収入も5,000万ドルを超え、アレン映画最大のヒットとなっている。まあ、これは単純な金額比較での話で、物価調整をすれば7番目のヒットになってしまうんですけどね...このページ下部Adjusted for Ticket Price Inflationを参照→Woody Allen Movie Box Office Results

・前哨戦を見る限り、"やや落選モード"だったデヴィッド・フィンチャー監督「ドラゴン・タトゥーの女」。全米製作者組合賞に続いて、全米監督組合賞でもノミネートを受け、一気に"ほぼ当確"まで上り詰めてしまいました。これはビックリですね〜。大きな不安材料が2つもあり、フィンチャー自身も「この作品でアカデミー賞受賞はまずない」と言い切っていたのに!

・昨年をみれば、デヴィッド・フィンチャー監督がハリウッドで嫌われていることは明白
・あまりに早すぎるリメイク。何しろオリジナル主演のノオミ・ラパスは昨年、主演女優賞ノミネートの下馬評にのぼっていた!

デヴィッド・フィンチャーの監督賞ノミネートは依然当落線上ですが、ノミネートさえ勝ち取れば(昨年のお詫びの意味を兼ねて)フィンチャーの受賞もありえると思います。まあ、続編が想定されているのがひっかかりますが。(フィンチャーは上映時間をめぐってソニー・ピクチャーズと対立。続編降板の噂もあり)

さてここからが面倒くさくなってきます。
当落線上に大物監督作品が2つもあるからです。

ひとつめは「ツリー・オブ・ライフ」(テレンス・マリック監督)。2011年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品。観念的すぎるつくりでカンヌ受賞時ですら、賛否両論真っ二つ。批評家賞を見渡してみても、ある賞では作品賞、監督賞ともに受賞、別の賞では完全無視...といった極端な傾向がみられました。全米製作者組合賞、全米監督組合賞ともに落選、この流れを素直に受け止めた場合「ツリー・オブ・ライフ」はアカデミー賞でも....。し・か・し。ハリウッドでテレンス・マリック信者が多いのは周知の事実。作品賞に関しては"5%の1位票"をとれるくらいの底力は十分あると思われます。そう、たとえ残り95%に嫌われてもね(笑)「ツリー・オブ・ライフ」に関しては作品賞、監督賞両方INか、両方OUTどちらかっぽいですが、それでも作品賞IN、監督賞OUTの予想にしときます。監督賞ノミネートしたってどうせ会場に来ないんでしょ。授賞式欠席はウディ・アレンひとりで十分(爆)。

ちなみにカンヌ監督賞受賞のニコラス・ウィンディング・レフン監督「ドライヴ」も前哨戦を見渡すと「ツリー・オブ・ライフ」同様、両極端な評価がなされています。ただ、こちらはアカデミー賞タイプでないこともあり、作品・監督賞ともに届きそうもない。各組合も完全無視で、全米俳優組合賞では助演男優賞最有力とみられていたアルバート・ブルックスがまさかのノミネート漏れ。アカデミーからすれば、カンヌ受賞作なんてひとつでもノミネートしたくないのに、2つも3つも入れてたまるか!ってトコでしょうか?(現時点での作品賞本命「アーティスト」はフランス映画かつカンヌ国際映画祭男優賞受賞作のWハンディキャップ。さあ、どーなることやら、楽しみですね〜)



ふたつめはおなじみスティーヴン・スピルバーグ監督「戦火の馬」。早い段階でのアカデミー賞予想では「戦火の馬」が本命とみられていました。しかし、いざ映画がお披露目されると、まずまずの評価に落ち着いてしまい、作品・監督賞とも当落線上に没落。

「戦火の馬」は2007年に初演され、トニー賞最優秀作品賞を受賞した戯曲『軍馬ジョーイ』の映画化。オスカー狙いの臭いがぷんぷんします。でも、スピルバーグはオスカー2つもってるし、もうあげなくていいでしょ!これ以上スピルバーグに「俺はドラマもイケる」という勘違いをさせてはいけません。「ミュンヘン」はよかったんだけどね....「戦火の馬」は良くも悪くもわかりやすい"スピルバーグドラマスタイル"に戻っちゃったらしいです、はい(^^;

「戦火の馬」はスピルバーグ作品にしては珍しく技術賞の大量ノミネートがのぞめそうになく、監督賞も落選濃厚。作品賞にかろうじてひっかかる?といったところでしょうか。

さて、残りの2作品です。

まずは「マネーボール」。日本でも公開済のため、観た人も多いでしょう。
明らかに映画向きではない題材を実にうまく扱っていました。

当初、スティーヴン・ソダーバーグ監督で映画化が発表されていましたが、スタジオが脚本に難色を示しクランクイン3日前に制作中止。2009年12月、「カポーティ」のベネット・ミラー監督で再始動したイワクつきの作品。この手のトラブルが伝えられた作品は駄作と相場が決まっているのですが、さすがベネット・ミラー!「マネーボール」は作品評価も良好なのですが、賞レース受けする題材ではなく、興行的にもそこそこのヒットで終わってしまったため当落線上。個人的にも大好きな映画でぜひノミネートを勝ち得てほしいのですが...「マネーボール」は"多くの人が(1位ではなく)2〜5位に選ぶ"典型的タイプなんだな...。5%の1位票はきついかも。困ったものです。

さて、最後は"5%の人が1位に選ぶ"かもしれないけど、残り95%は誰もみてなさそうな「別離」。なんとイラン映画なんです!第61回ベルリン国際映画祭で金熊賞(作品賞)・銀熊賞(男優賞・女優賞)など5冠受賞!前哨戦において多くの外国語映画賞を獲得、アメリカでも昨年末に公開され、批評家支持は100%。観客支持も94%と2011年公開映画中、トップレベルの評価を獲得しています。
A Separation (2011) rottentomatoes

アメリカで最も影響力をもつ映画評論家ロジャー・エバートが年間ランキング第1位に選んだことも大きな後押しになりそうです。

The Best Films of 2011 - Roger Ebert's Journal

外国語映画賞にもイランからエントリーされているのですが、悪名高きアカデミー外国映画賞選定委員会、イラン映画ってだけでノミネートすらしない可能性があります。それを危惧した"良識あるアカデミー会員"に期待したいところです。まあ、この映画を観た人が5%い・れ・ば...の話ですけどね。




[主演男優賞]
ジョージ・クルーニー 「ファミリー・ツリー」
ジャン・デュジャルダン 「アーティスト」
ブラッド・ピット 「マネーボール」
△マイケル・ファスベンダー 「SHAME シェイム」
×オーウェン・ウィルソン 「ミッドナイト・イン・パリ」

runner-up
△デミアン・ビチル 「A Better Life」
△レオナルド・ディカプリオ 「J・エドガー」
△ライアン・ゴズリング 「ドライヴ」
△マイケル・シャノン 「テイク・シェルター」
△ゲイリー・オールドマン 「裏切りのサーカス」

ゴールデン・グローブ賞のノミネート発表を受けて「クルーニー、ブラピ、レオ3大スターの激突!」なんて記事が多数の見出しを飾っていました。でもね♪アカデミー賞はそううまくいきそうにない。ジョージ・クルーニーとブラピはノミネート確実だけど、レオ君はちょっと危ないので。

レオナルド・ディカプリオがあのクリント・イーストウッド監督作でFBI初代長官ジョン・エドガー・ フーヴァーを演じると聞いたとき「これで来年のオスカーはレオかな」と誰もが思ったでしょう。

何しろ、2003年から2009年の7年間で、イーストウッド監督作品は9人もの演技賞ノミネートを排出(受賞4人を含む)俳優にとって夢の監督と言われたフレッド・ジンネマン、ひと昔前のウディ・アレンばりのすさまじさ。だが、その後の作品は評価が伸び悩み、2009年の「インビクタス 負けざる者たち」は10枠あった作品賞にノミネートされない有様。それでも2人の俳優をノミネートさせたことで面目を保ったが....昨年の「ヒアアフター」は主要部門に全くからまず、クリントの神通力低下を感じさせました。 (←と書いてはいますが、実は「インビクタス 負けざる者たち」も「ヒアアフター」も個人的お気に入り。マット・デイモンはいい役者になったな〜。「ヒアアフター」みたいな映画が評価されるようになるといいんだけど...)

レオナルド・ディカプリオの出演作「J・エドガー」は、レオの演技こそ好評だが、肝心の作品はラジー賞候補が噂されるほど作品評価が伸び悩み。レオの足を大きくひっぱっている。前哨戦をみても全米俳優組合賞、ゴールデン・グローブ賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞の大きな賞ではノミネートを勝ち得たが、その他批評家賞の多くはノミネート漏れ状態です。

レオナルド・ディカプリオとアカデミー賞と言えば、「タイタニック」での主演男優賞ノミネート漏れの印象が強く、"レオはアカデミーに嫌われているのでは?"という印象をもつ人も少なくない。だが、競争の激しい男優部門において30代半ばで3度ノミネートは立派。嫌われてはいないと思われます。ただ、過去の実績をみた場合、第75回(2002年)での「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」第81回(2008年)「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」で下馬評にのぼりながら落選してしまったように、劣勢をはねのけてまでノミネートされるパワーはなさそう。クリント・イーストウッド監督作品、実在の人物役という強力な後ろ盾をもってしても今回は厳しい。

「SHAME シェイム」のマイケル・ファスベンダーはセックス中毒の男をフル・フロンタルヌードも辞さぬ熱演で、批評家賞をにぎわした。ノミネートは確実で受賞も狙えると思われていましたが、全米俳優組合賞でまさかのノミネートもれ。一気に当落線上に下がってしまいました。

考えられる理由としては

・セックス中毒の男の話なんて(ハリウッドでは身に覚えがある人が多そう)観たくもない。
・まして男のフリ○ンなど....

ということで作品そのものを観ていない人が多いと思われます。しかし、批評家賞の大部分でノミネートを獲得、いくつか受賞もはたしていることから無視するのは困難。何とかノミネートまではこぎつけそうです。



当確3人集とマイケル・ファスベンダーは決まりとなると、レオ君も参戦する最後のひと枠争いがなかなか熾烈であります。

・まずは全米俳優組合賞でサプライズノミネートを受け、一気に注目をあびた「A Better Life」のデミアン・ビチル。WHO?と思う人も多いでしょうが「チェ 28歳の革命」でカストロを演じた俳優といえば、日本の映画ファンならわかるかな。肝心のアメリカ人はまずわかりません。「チェ〜」はアメリカ人誰も観てませんから。「A Better Life」で取り上げられている不法滞在はアカデミー賞好みのテーマだが(最近では「扉をたたく人」で主演男優賞にノミネートされたリチャード・ジェンキンスが記憶に新しい)、作品が他の部門にからみそうにないし、他の候補に比べて知名度も圧倒的に劣る。天下のアカデミー賞ノミネートはちときつい?可能性ゼロではないと思いますが...。



・「テイク・シェルター」で核シェルターつくりに取りつかれた男を演じたマイケル・シャノン。第81回(2008年)「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」で助演男優賞ノミネート(役得でのノミネートといった印象があります。演技自体はそんなによかったかな?)経験があるのが強い。でも地味...。前哨戦では受賞もあり健闘しているが、アカデミー賞において他の候補者を押しのけるパワーはなさそう。



・ノミネートは1回きりだが、すっかり下馬評常連となり、若手演技派男優No.1の座を固めつつあるライアン・ゴズリング。(髪の生え際はやばいですが)出演作がカンヌ国際映画祭監督賞受賞作の「ドライブ」なんですよ。にもかかわらず、「ドライブ」は全米監督組合賞はおろか、当確とみられていた助演のアルバート・ブルックスですら俳優組合賞にノミネート漏れし、アカデミー賞でも候補入りが確実とまではいえない状態。ライアン・ゴズリングまでお鉢が回ってくるとはとても思えない。「スーパーチューズデー 正義を売った日」(ジョージ・クルーニー監督)との票割れも予想され、ゴスニングは今年もノミネート漏れの憂き目にあいそうです。

・性格役者として知られているゲイリー・オールドマン。今までオスカーに全く縁なし。記事を書いている今、現在、出演作「裏切りのサーカス」は全米興行成績ランキングでベスト10入りしており、その勢いに乗りたいところだが...。知名度・実績は申し分ないため、逆転候補入りの可能性は十分残っている。



厳しいだの、勢い不足だの、パワーがないなど...最後の一枠、一体だれが入るんじゃ!とお怒りのアナタ、最後の一名を発表します。「ミッドナイト・イン・パリ」のオーウェン・ウィルソンです。前哨戦をクマなくチェックしているアカデミー賞マニアの皆さまの中には「コイツは寝言を言っているのか!」とお思いの方もいるでしょう。前哨戦でのオーウェンはスターなら誰でもノミネートするゴールデン・グローブ賞くらいしかノミネート実績がないじゃないの?コメディのイメージが強すぎるし...。

混戦を勝ち抜くのに一番強みを発揮するのが出演作の作品力!凡作での素晴らしい演技より良作でのそこそこの演技が勝ってしまった例は枚挙にいとまがない。オーウェンは何と言っても、アカデミー賞において絶大なブランド力をもつウディ・アレン監督作品であることが強み!アレン監督作としては久しぶりに作品、監督賞にノミネートされそうなほど作品評価も高い。アレン映画の評価のされ方としては1脚本2俳優の演技3監督4作品の順でまわっていると思われ、1、3、4が確実なのに、2の"俳優の演技"がすっとばされるとは考えにくいのであります。「ミッドナイト・イン・パリ」の興行的成功はオーウェンのネームバリューによるところが大きい。知名度・ハリウッドの貢献度は申し分なし。

ほとんどの候補者の演技がまだ観ることができないので、「俳優個人の知名度・実績」+「出演作品のパワー」で判断した場合、最後の1枠、当落線上候補俳優リストを何度ながめてもオーウェン・ウィルソンという結論になってしまいます。一応、大穴扱いですが、それほど奇をてらった予想とは思っていません、はい。アカデミー賞におけるアレン爺さんの後光はハンパじゃないんです!ちなみに、オーウェンって一応オスカーノミネート経験者なんですよ。第74回(2001年)「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」で盟友ウェス・アンダーソンとともに脚本賞にノミネートされています。その頃のオーウェンは既に俳優として売れっこになっていたため、実際の脚本はウェス・アンダーソンひとりで書いたようですが、”彼と一緒にアイデアをつくりあげた”ため、オーウェンをクレジットからはずさなかった。いわば、棚ボタノミネートです(笑)。



[主演女優賞]
ヴィオラ・デイヴィス 「ヘルプ 心がつなぐストーリー」
メリル・ストリープ 「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
ティルダ・スウィントン 「少年は残酷な弓を射る
ミシェル・ウィリアムス 「マリリン 7日間の恋
△キルスティン・ダンスト 「メランコリア」

runner-up
△グレン・クローズ 「アルバート・ノッブス」
△エリザベス・オルセン 「Martha Marcy May Marlene」
△ルーニー・マーラ 「ドラゴン・タトゥーの女」
×シャーリーズ・セロン 「ヤング≒アダルト」
×オリヴィア・コールマン 「ティラノサウルス」


今年の主演女優賞は正真正銘"華より実"の候補者が出そろいそうです。4人は既に当確。いずれもオスカー受賞・ノミネート経験者。最後の一枠を受賞・ノミネート経験者とフレッシュな若手、その他で熾烈な争いがくりひろげられそうです。

 話はそれますが、この記事ひどくない?サッチャー首相だって...サッチャーさんはまだご存命です。勝手に殺すな!

まずは受賞・ノミネート経験者2人から

素直に考えるなら、最後の一枠はお久しぶりのグレン・クローズになります。

グレン・クローズといえば、「危険な情事」に代表されるような悪女役を得意とし、1982年から1988年までの7年間で5度のオスカーノミネート。グイグイきてたのが災いして?あのキャサリン・ヘプバーンから、メリル・ストリープと並んで大嫌いな女優と名指しされました。(公の場でいったわけではなく、キャサリンの死後公開された日記より明らかになったもの。好きな女優はオードリー・ヘブバーンとジュリア・ロバーツだって...要は自分と同じように演技力で勝負する女優が嫌いで、華のある女優が好きってだけ。ちなみにメリルとグレンは仲よし。器が小さいぜ、キャサリン)その後映画はディズニー映画「101」、「102」のクルエラ・ド・ヴィル役が印象に残るくらいで、メインを舞台やTVドラマにうつしていく。既にトニー賞、エミー賞は獲得済み。「アルバート・ノッブス」プロデュース、脚本、歌曲製作までタッチした渾身の作品。男と偽ってホテルの執事で働く女性を演じ、満を持してアカデミー賞に参戦したのですが...。レオナルド・ディカプリオと同様、もしくはそれ以上に作品評価がよくない。グレン・クローズも一時は"本命"のひとりとみなされていましたが、当落線上にずり落ちてしまいました。メリル・ストリープVSグレン・クローズ、泣く子も黙る大激突が期待されていましたが、ちょっとあてが外れたようです。グレン・クローズのノミネートが実現すれば23年ぶり。ブランクを全く感じさせない存在感キープは見事です。



お次は受賞済の美人女優シャーリーズ・セロン 。ジェイソン・ライトマン監督、脚本は"元ストリッパー"ディアブロ・コーディ。そう「JUNO/ジュノ」コンビの作品『ヤング≒アダルト』で勝負。作品評価は良好なのですが、「JUNO/ジュノ」、「マイレージ、マイライフ」と違って主要部門にからみそうにないため、シャーリーズ・セロンもそのまま黙殺されそー。まあ、「主演女優賞だからひとりくらいキレイどころを入れとかんと、授賞式が盛り上がらんのお」と日本のエロ親父的発想がまかり通れば、ノミネートもありうるかも。


さて若手女優編です。

まずはサンダンス映画祭で話題となった 「Martha Marcy May Marlene」で参戦のエリザベス・オルセン。WHO IS SHE?名前をよくみてください。そう、彼女はあのオルセン姉妹の妹なのです。姉のセレブ路線とは一線をひき、女優として活動するためじっくり作品を選んでいたといいます。前哨戦では5番手に属する健闘で、受賞した賞もあるのですが、やっぱり...「オルセン」の名前によるレッテル張りは避けられなかったかゴールデン・グローブ賞、全米俳優組合賞という大きな賞でノミネート漏れし、失速。可能性は残っていますが...彼女がグレン・クローズに勝てるのは若さだけ?(笑)



次は「ドラゴン・タトゥーの女」のルーニー・マーラ。デヴィッド・フィンチャー監督の前作「ソーシャル・ネットワーク」でも主人公の恋人役で出演。その縁で抜擢されたかと思いきや...この役はハリウッド中の若手女優が熱望した役。ナタリー・ポートマン、キーラ・ナイトレイ、キャリー・マリガン、アン・ハサウェイ、スカーレット・ヨハンソンなど錚々たるメンツがオーディションに参加したと言われています。彼女らを差し置いて選ばれたのだからたいしたアマです。まあ、デヴィッド・フィンチャー監督は「ソーシャル・ネットワーク」の段階でルーニー・マーラを気に入っていたので、最初から決めていた、という説もありますが。撮影現場は刑務所のようだ、と評されるフィンチャーに気に入られるのだからたいしたアマです。ただ、前述のとおり、「ドラゴン・タトゥーの女」はリメイクでオリジナルの主演女優ノオミ・ラパスは昨年下馬評にのぼっていた...同じ役のリメイク版をノミネート???不利は否めないトコロです。

最後は「その他」。

・はじめに「ティラノサウルス」の36歳の英国人女優オリヴィア・コールマン。「ティラノサウルス」は日本公開未定ですが、第24回東京国際映画祭で上映されているので観た人いるかな?前哨戦では英国のインディペンド系映画賞で受賞・ノミネートをはたしている程度ですが、Entertainment Weekly誌のアカデミー賞予想においてプッシュされたため大穴候補に浮上!Entertainment Weekly誌の予想記事はなかなか影響力があり、「マイ・ライフ、マイ・ファミリー」のローラ・リニーなどここでプッシュされたのをきっかけにノミネートを勝ち得た候補者も過去にいます。メリル・ストリープ主演「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」にも出ているのももプラスに働く?



・その他の最後を飾るのはカンヌ映画祭で女優賞獲得「メランコリア」のキルスティン・ダンスト。現在29歳。「若手にいれてあげて〜」と思う人もいるでしょうが、子役からのキャリアは20年以上に及んでおりもう大ベテランです。出演作は映画界きっての変人ラース・フォン・トリアー監督作。カンヌ映画祭の受賞常連で、女優賞に限ってみても、ここ10年でキルスティンを含めて3人もの受賞者を送り出しています。その一方、アカデミー賞では、「奇跡の海」でエミリー・ワトソンが主演女優賞にノミネートされたことがあるくらいで、ほとんど相手にされていない状態。(アメリカに行ったこともないのに、アメリカ批判映画を作ったりしますからね)過激な描写で毎回賛否両論がわれるトリアー監督作品ですが、今回は珍しくおおむね好評。不評なのは作品ではなく、トリアー監督個人のヒトラー擁護発言でした。まあ、これがキルスティンのノミネートに悪影響を及ぼすとは思えませんがね。カンヌで女優賞をとってもアカデミー賞では無視され続けたのですが、(エミリー・ワトソンはカンヌ女優賞とっていません)今までと違うのは主演女優がヨーロッパ女優ではなく、ばりばりのハリウッド女優だということ。これは有利です。

2012年アカデミー主演女優賞候補、最後のひとり誰にしようか、と考えたとき
・ノミネート経験者にすると5人全員がそれになってしまうし
・若手にしようとするとオルセンだのリメイクだの...

そう考えた場合、浮かび上がってくるのは...キルスティン・ダンスト。本予想記事、大穴3点セット(「別離」、オーウェン、キルスティン)の中で可能性が一番高いと思ってます。でもキルスティンがくるとなると、今年の主演女優賞はやっぱり"華より実"なのね。




助演賞はまとめて論じます。


[助演男優賞]
クリストファー・プラマー 「人生はビギナーズ
○ケネス・ブラナー 「マリリン 7日間の恋」
○アルバート・ブルックス 「ドライヴ」
△ジョナ・ヒル 「マネーボール」
△ニック・ノルティ 「Warrior

runner-up
△マックス・フォン・シドー「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
△アーミー・ハマー 「J・エドガー」
△パットン・オズワルト 「ヤング≒アダルト」
×ブラッド・ピット 「ツリー・オブ・ライフ」



[助演女優賞]
ベレニス・ベジョ 「アーティスト」
ジェシカ・チャステイン 「ヘルプ 心がつなぐストーリー」
オクタヴィア・スペンサー 「ヘルプ 心がつなぐストーリー」
○メリッサ・マッカーシー 「Bridesmaids
△シャイリーン・ウッドリー 「ファミリー・ツリー」

runner-up
△ジャネット・マクティア 「アルバート・ノッブス」
×キャリー・マリガン 「SHAME シェイム」

最近の助演賞は主演もはれるスター俳優が、オスカーを受賞したいがために格を下げて割り込み、本当の"助演俳優"がないがしろにされるケースが多かったのですが今回は久々に助演賞らしく地味〜な顔触れ。これはあるべき姿だと思います。助演賞は当落線上もそれほど混んでいないので詳しくは受賞予想記事で。

受賞も狙えるとみられていたアルバート・ブルックスシャイリーン・ウッドリーが全米俳優組合賞でノミネート漏れするというサプライズがありましたが、他の候補が弱いため、アカデミー賞では順当にノミネートされると思われます。まあ、ジャネット・マクティアキャリー・マリガンはノミネート経験者であるため、シャイリーン・ウッドリーがはじき出される可能性はあり。作品賞を狙う「ファミリー・ツリー」陣営としては何とかこの枠を確保したいところでしょうね。話はそれますが、「SHAME シェイム」の予告編を観ていて「誰だ、このブスは!」と思っていたら...キャリー・マリガンでした。



昨年はノミネートも受賞結果も全くサプライズがなかったアカデミー賞。そういう意味でみると今年は面白そうです。前哨戦の受賞結果もかなりバラけており、ほとんどの部門で強力な本命が不在。冒頭でも書いたとおり、正直なところ面白いっていうより...面倒くさい。受賞予想はより困難を極めそうです。作品賞ひとつとっても(今のところ本命っぽい)「アーティスト」はフランス映画だし、「ファミリー・ツリー」は地味、スコセッシは受賞したばかり....どれも受賞しない予感。(爆)昨年のように組合賞受賞者がそのままオスカーってことにもなりそうにない混沌ぶりデス。とりあえず1月24日のノミネート発表を待って、仕切り直すことにいたしましょう!例年どおりノミネート速報しますので、ぜひ当サイトへ遊びにきてください!
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2017.07.23 Sunday | 17:32 | - | - | - |

コメント

moviepad 様
>死ぬほど退屈だった昨年 
確かにそうでした(笑)。
新しい選考ルールというのを今一つ理解できない私ですが、今年は楽しめそうです。

ゴールデン・グローブ賞の結果を見ても、作品も人物も、“華も実も”というのは難しいのですね。

この数年、この季節、こちらに来るのが楽しくて!
ノミネート速報も期待しています。
2012/01/17 9:50 AM by パール
パールさん、こんばんわ♪

昨年はつまらなすぎて、ノミネート予想、能書きは作品賞ONLYという手抜きをしましたが、今年は通常モードに戻せました!

ゴールデン・グローブ賞はノーサプライズでした。"現時点での"本命が順当に勝ったという印象。ただ、これがアカデミー賞に直結するかというと...?

>“華も実も”というのは難しいのですね。

今年の主演女優賞なんて、最後のひと枠、グレン・クローズが入った暁にゃ、すさまじい顔ぶれになります。実はあり余るくらいあるんだけど(以下省略)

>この数年、この季節、こちらに来るのが楽しくて!ノミネート速報も期待しています。

ありがとうございます。
速報は24日、23:00頃に第一報が出せるかな、と思っております。(発表が例年、日本時間の22:30〜22:45頃くらいなので)今年はノミネート段階でサプライズが期待できそうな予感!
2012/01/17 8:10 PM by moviepad

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