映画のメモ帳+α

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ザ・ギフト 〜夢の贈りもの /スーザン・ボイル

イギリスの公開オーディション番組"Britain's Got Talent"への出演場面がyoutubeで記録的なアクセス数をえたのをきっかけに一躍時の人となったスーザン・ボイル。2009年11月に発売されたデビューアルバム『夢やぶれて』は全世界で900万枚を超える売り上げをたたきだした。それから1年。スーザン・ボイルの新アルバム『ザ・ギフト 〜夢の贈りもの』が発売された。前作の路線を踏襲しながらもボイルの声の良さをよりひきだしたクリスマスアルバム。発売されるやいなやまたしても英米でアルバムチャートN0.1に輝いた。一年以内に2枚のアルバムを英米両国でN0.1獲得はザ・モンキーズ、ザ・ビートルズに続く3組めの快挙である。

2度も来日しているにもかかわらず、日本では今ひとつ盛り上がりに欠けているSuBo(スーザン・ボイルの愛称)人気。今ひとつ話題も聞こえてこなかったのですが、英米ではまだまだ"時の人"で話題を提供しつづけています。

スーザン・ボイルは今もなお、急激な環境の変化になじむごとができず精神的に不安定だと言われ、たびたび奇行が報じられている。そういえば、例の"Britain's Got Talent"で優勝を逃したときも、大声でわめいたり周囲の人に水をかけたりと錯乱状態になり警察に保護され、その後一時入院している。昨年末、日本の紅白歌合戦に出演してから約2週間後の2010年1月12日(現地時間)ロンドンのヒースロー空港でいきなりモップをマイクに見立てて大声で歌い踊り、卑猥な言葉を叫び警備員に取り押さえられた。

また、ボイルは急に人気スターになったためか昨年11月にニューヨーク、今年2月には英ヒースロー空港で倒れている。4月にオーストラリアで開催予定だったコンサートも、過労を理由にキャンセル。そんな彼女を心配した実兄2人が雑誌のインタビューで「彼女はマネージメント会社にコントロールされ、激務を強いられている」と語ったところなんとボイルは兄2人をプライバシーの侵害として訴えた!親族間で金銭トラブルがあるとも言われている。

彼女はスコットランドの市営住宅を離れる気はないと宣言していたが熱狂的なファンがたびたび訪れ、不審者の侵入が相次いだこともあり周囲の説得により春に引っ越し。といってもハリウッドスターのような豪邸ではなくスコットランドのウエスト・ロージアン州の普通の一軒家。超リッチになったはずの彼女ですが.8月、実兄のジェリー・ボイルに「ギャラの全てをマネージメント・チームに厳しく管理され、。週に300ポンドしか(約4万円)しか支給されず今もイギリスのスーパーマーケットで激安服を買い、移動も公共バスを利用。また、クレジットカードも所持しておらず購入した新居の家具も購入できないため、今もなお市営住宅での生活を余儀なくされている」と「News of The World紙に暴露された。スーザンはお金の管理を専門家に依頼しているが、彼女の精神状態が不安定であることを理由に使えるお金を制限してしまったという。彼女の口座には数億円のお金がたまっているらしいが。マネージメント筋の情報筋は「週給制度を提案したのはスーザン本人。資産も自由にコントロール可性。新居の家具はほとんど揃っており、必要ならばいつでも大金を引き落とすことができる」「スーパーで服を購入するのも、バスに乗るもの彼女の自由」だと強調したそうだ。スーザンが未だにセレブっぽい振る舞いができないのはそういう事情?

9月8日、出世番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』の姉妹番組「アメリカズ・ガット・タレント」に出演し、ニューアルバム『ザ・ギフト〜夢の贈り物』の1曲目に収録されているルー・リードの名曲「パーフェクト・デイ」(映画『トレインスポティング」で使われた曲としても有名)を歌う予定だった。ところが、直前になってルー・リード側が歌う許可を与えず、「他の曲を歌う心の準備ができていない」ことを理由に出演をキャンセル。許可を与えなかったのはルー・リードが"スーザン・ボイルのファンではない"ためだと言われた。スーザンは「彼はなぜ私を嫌うの!」とヒステリックに泣き叫び、帰路につくロサンゼルス空港のファーストクラスラウンジで泣きながら周囲にピーナツをまき散らす大錯乱。まあその後、ハーブティー2杯とジンジャービスケットで、すっかり落ち着いたらしいですが(笑)。世界の歌姫、スーボちゃんを泣かせた極悪人とされたルー・リード側は慌てて?「曲が使えなかったのは好き嫌いの問題ではなく、「パーフェクト・デイ」のアメリカでの曲の使用権利がクリアになっていなかったため」と釈明。その後、この曲のPVをルー・リードが監督するというヘンテコな成り行きに...。
※↓コレがソレです




まあ、こんなきなくさい話ばかりではありません。9月16日にはローマ法王も出席するイギリス、グラスゴーでの野外ミサでパフォーマンスを披露。だが、その前日のリハーサルで「当日、バックステージでローマ法王に会えることになったよ」と告げられると感激のあまり気を失ってしまった...。そしてその数日後、スーパーのカフェでパイナップル・タルトを喉につまらせ窒息しかける...参照

10月には自伝『The Woman I Was Born to Be: My Story 』を発売。11月には2枚目のアルバム『ザ・ギフト〜夢の贈り物』発売。前述のとおり、英米アルバム・チャートで初登場N0.1。アメリカではまたしてもミリオンヒットが確実視されており、"一発屋疑惑"を完全に返上。CDが売れない今、スーザン・ボイルの快進撃は若者中心の音楽市場に衝撃を与えている。




そして...11/30のTV番組で「オー・ホーリー・ナイト(さやかに星はきらめき)」を歌唱中、喉をつまらせ生放送であったにもかかわらず、途中で歌うのをやめ、「もう一度歌いなおしてもいい?」と尋ねるご乱心(笑)。「ときどき蛙がのどに入るようね」と司会のウーピー・ゴールドバーグにからかわれた。(パイナップル・タルトじゃないんですね)プロの歌手としてあるまじき行為だが、ブーイングが起こるどころが観客は拍手。ファンは未だにどこか素人くさいスーザンのリアクションを愛しているんですね〜。あ、これをオチにしちゃいけません。ハイ、12月1日に発表された第53回グラミー賞では前作『夢やぶれて』が最優秀ポップ・アルバムにノミネート!ぱちぱちぱち。




ところで...これって何の記事でしたっけ?このまま終わると『錯乱!スーザン・ボイル 奇行大全集』にタイトルを変えなきゃいけなくなります。はい、ここからが本題です。長すぎる前置きを失礼。


一聴しての印象は前作の延長戦上だな〜、しかも前作より一層トラディッショナルな要素が増している。ほとんどスーザン・ボイルクリスマス讃美歌集!これはやや意外だった。スーザン・ボイルにはあのレディー・ガガをはじめ、50セント、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、スヌープ・ドッグなどコラボ希望のラブ・コールが相次いでいたのだ。デビュー作ほどの話題性は望めないこともあり、前作よりポップスよりになるだろうと予想していたのだが...結果はその逆だった!やってくれますね、スーボちゃん!

といっても前半は前作同様ポップス系の曲でまとめられている。でもアレンジがどこかtraditional!ポップスに聞こえないのであります。1曲目は前述の「perfect day」だがコーラスなんか入っているしとてもオリジナルがロックアーティストのものとは思えません。そして2曲目の「ハレルヤ」。個人的にはこの曲が一番のお気に入り。スーボのボーカルが一番さえているのもこの曲。とくに2番ちょっと歌いあげにかかってサビで内省的な歌唱に戻る、この落差がここちよい。やや荒削りだった前作にくらべ、スーボは確実に歌唱テクを身につけている。この曲、どっかの国の民謡じゃないかと思っていたらなんとカナダのシンガー・ソングライター、レナード・コーエンの曲で既に多くのアーティストがカバーしているらしいし、映画『バスキア』や『シュレック』にも使われている。(忘れてました)うー、無知まるだしだ。レナード・コーエンは現在76歳、ロックの殿堂入りもはたしている大ベテランだが、その名が幅広く知られるようになったのは50歳をすぎてからだという。歌は決して上手くないがなかなか味わい深い。詩人、小説家でもあるので歌詞を味わう魅力もある。コーエンを聞いてみたくなりました。彼の存在を知っただけでもこのアルバムを買った価値あり!



3曲目は「ドゥ・ユー・ヒア・ホワット・アイ・ヒア」は公開オーディション"スーザンズサーチ"(スーザンの恩返し)で数千人の中から選ばれたアンバー・スタッシとのデュエット。アンバーは3人の子をもつ救命士。スーザンと声が似ているため最初デュエットと気づかず、スーザン、この曲でこんなベタなポップス歌唱はヤバイんじゃないの?とか思っちゃいました。アンバーの歌い方、とくにサビのドゥ・ユー・ヒア・ホワット・アイ・ヒア♪の部分が耳障りなほど荒っぽく、曲の雰囲気をぶち壊している。アンバー本人は好感のもてそうな女性だが、いくらゲストとはいえレコーディングの際、もう少し歌唱指導すべきだったのでは?このアルバム中、一番残念な仕上がりだ。

続く4曲目は「ドント・ドリーム・イッツ・オーヴァー」いわずと知れたクラウディット・ハウスの世界的大ヒット。聞きやすいメロディと押しつけがましさのないメッセージ性でポップクラシックとなっている曲だが、スーザンのボーカルで聞くとまた違った味わいがある。スーザンいわく「みんなにパーティ気分になってもらいたくて収録した」そうですが、こんなにゆったりしたテンポでパーティ気分になるのは難しいですわん(爆)。前作の「デイドリーム・ビリーバー」のポジションにある曲。「デイドリーム〜」同様こんなにスローにしなくてもと思わなくもない。でもスーザンの声で「Don't Drema It's Over」(これで終わりなんて夢にも思わないで)と歌われるとグっときますな〜。

前作はポップスのカバーが中心だったが、今作のポップスパートはここで終わり。あとはクリスマスソングと讃美歌が続きます。うきょ〜、勘弁してくり〜と思う人も多いでしょうが、コレでいいのです。後述しますが、スーザン・ボイルの場合、彼女がどんな曲を歌うかはそれほど重要ではない。極端な話、彼女の声にあった曲なら何でもいいのであります。ポップスカバーは実質的には3曲(ボーナストラックを含めると4曲)ですが、その3曲が粒ぞろい。これでいいじゃありませんか!喫茶店などで営業時間終了前、客を追っ払うためのBGMでよく使われる「蛍の光」もスーザンの歌ならちゃんと聞く気になります。この中では「オー・ホーリー・ナイト」が一番いいかな。マライヤ・キャリーやセリーヌ・ディオンもレコーディングしている曲ですが、ヤツらよりスーザンのほうが歌い方に変な主張がないのでずっと心地よい!まあ、ライブではうまく歌えないようですが(笑)。

さて、お待ちかね?日本限定ボーナストラック「ひこうき雲〜Vapor Trail〜」です。いわずとしれたユーミンの荒井由実時代の曲。日本から50数曲の候補がスーザンのもとに送られ、その中から彼女がこの曲を選んだという。

話は少しそれるが、当方このアルバムを発売日の前日、11月9日にフライング・ゲットした。CDショップでこの新作ががなかなか見つからず、クラシックの棚にソレを見つけたときはやや違和感を覚えたが、まあそれはよいとして問題は値段である。輸入版1,500円、日本版2,800円...。「ひこうき雲」1曲に1,300円の価値があるだろうか?どちらを買うか悩みぬいたあげく、前作の日本限定ボーナストラック「翼をください」が素晴らしい出来だったこともあり、しぶしぶ日本版を購入した。

うーん、日本人しか聞かない曲と思うとスーザンも気張らずに歌えるのだろうか?ボーカルの出来はまたしてもアルバム中、1、2位を争う良い仕上がり。「翼をください」に比べるとインパクトにかけるが1,300円余計に払う価値は...人によって違うでしょうね。ワタシはYESともNOとも言い難いです。でもこの曲のスーザンの声、はてしなく優しい。

「ひこうき雲」は若くして亡くなった女友達のことを歌った曲だが、スーザンの情感あふれる歌声を聴いているとひょっとするとスーザンは(彼女にオーディションを受けるよう勧め続けた)亡き母親のことを思いながら歌っていたのでは?と思ったりしました。それにしてもスーボのポップスカバー、元歌があまり上手くない人の曲を選ぶ傾向がありますな〜(爆)

さて、このアルバム、一聴すると"前作の延長線上"なのだが、前作とは大きな違いがある。気付いた人も多いだろうが"声"であり、"歌い方"である。前作はやはり出世作「夢やぶれて」の路線を意識したのか結構歌いあげるタイプの曲が多かったように思う。(「夢やぶれて」ほどスケールの大きな曲はなかったが)デビュー盤だから仕方ない部分もあるが歌い方も、荒削りというかやや硬さが目立った。だが、日本限定ボーナストラック「翼をください」を聴いてふとこんなことを思った。「(皮肉なことに)日本人しか聞けないことになっている「翼をください」がスーザンの声の良さを一番引き出しているし、彼女にあっている」(スーザンは紅白出演が決まったとき、この曲を練習していたというが...2曲歌ったもらえばよかったのに)

だが、新作「ザ・ギフト 〜夢の贈りもの 」を聞きおえたとき、ひょっとしてスーザンやその製作スタッフたちも同じことを考えたのでは?と感じた。このアルバム、曲もアレンジもそして歌い方も全体的に「翼をください」モードなのだ。音域は前作よりやや高めに設定され、熱唱モードは影をひそめ、力の抜けた聴きやすい歌い方に変わっている。前作は人によっては「思ったほどキレイな声じゃないな」と感じた人もいたようだが、新作を聞けば誰もがスーザン・ボイルの声質の良さを認めざるをえないだろう。「ザ・ギフト 〜夢の贈りもの 」を聞き終えた後、続けて前作「夢やぶれて」を聞くと少し歌い方がくどく聞こえたりもする。今回のほうがはるかに聴きやすいので、末永い愛聴盤になってくれそうだ。

スーザン・ボイルが注目を集めた理由は「外見と声のギャップ」だと多くの人は指摘した。だが、それだけでこんなに人気は続かない。外見は見慣れるものです(笑)。また大半の人は彼女を一発屋とみなしていた。だが、英米では今でも話題の人で、アルバムも1位を獲得。もう一発屋とは呼べなくなった。一体、彼女の何が世界中の人たちを惹きつけたのか?きっかけは"外見と声のギャップ"や"47歳の女性のシンデレラストーリー"だったのかもしれない。だがデビューから1年たった今、それらの要素はそぎ落とされ、"声の魅力"のみで勝負できる歌手となった。はっきり言ってスーザン・ボイルより歌の上手い歌手など山ほどいる。にもかかわらずなぜ彼女が大きな支持を得るのか?それは彼女の声のもつなんともいえない優しさである。youtubeなどのコメント欄をみると"She's my Angel"といった熱狂的な書き込みが今でも相次いでいる。ファンは彼女がどんな曲を歌うかはおそらくあまり気にしていない。彼女の声が聞ければ満足。だからこの「ザ・ギフト 〜夢の贈りもの 」のようにオリジナル曲が1曲もなくても別に不満はないのである。そういう意味ではスーザン・ボイルの存在感はクラシック歌手のそれに近いのかもしれない。彼女がその声を維持し続ける限り、ファンは彼女を支持し続ける。

ダウンロードが主体となりCDが売れなくなった時代、スーザン・ボイルはそのアンチテーゼのごとく登場。既存音楽ビジネスの常識をことごとく破壊した。音楽業界は"第2のスーザン・ボイル"探しにやっきになっているが、彼女の名前の前に"ONE AND ONLY”という枕詞がつく日もそう遠くないだろう。
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2010.12.15 Wednesday | 01:46 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0) |

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2017.03.26 Sunday | 01:46 | - | - | - |

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