映画のメモ帳+α

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ブルーノ

ブルーノ(2009 アメリカ)

ブルーノ原題   Brüno
監督   ラリー・チャールズ
脚本   サシャ・バロン・コーエン アンソニー・ハインズ
      ダン・メイザー ジェフ・シェイファー
撮影   アンソニー・ハードウィック
      ウォルフガング・ヘルド
音楽   エラン・バロン・コーエン
出演   サシャ・バロン・コーエン
      グスタフ・ハマーステン

アリ・G』、『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』に続くサシャ・バロン・コーエンの新作タイトルは、Bruno: Delicious Journeys Through America for the Purpose of Making Heterosexual Males Visibly Uncomfortable in the Presence of a Gay Foreigner in a Mesh T-Shirtであるという情報が一時期飛び交った。ブルーノ:メッシュTシャツをきたゲイの外国人。異性愛の男を不快にするため、アメリカ中を旅した男の記録 とでも訳すべきだろうか?何しろ、前作『ボラット〜』も長ったらしいタイトルだったため、かなり信憑性がありそうだがこれは誤報。タイトルはシンプルに『ブルーノ』だった。ブルーノとはアリ・G,ボラットに続くサシャ・バロン・コーエンが生み出したキャラクターの名前。オーストリア人のゲイのファッションレポーターという触れ込みである。映画の内容は上記の”誤報タイトル”どおりなのだが、あえて付け加えるなら、”注目を浴びるためなら手段を選ばない”現代セレブ風刺の映画でもある。

日本人はもともとブラック・ユーモアを解さない傾向がある。サシャ・バロン・コーエンの人気が日本で盛り上がることはおそらくないだろう。洋画コメディは(大ヒット作であっても)DVDスルー率がかなり高いのですが、『ブルーノ』よく劇場公開してくれました!



サシャは映画のプロモーションでもブルーノに成り切って大活躍!2009MTV映画賞において、ブルーノの尻丸出しの衣装で登場。宙吊りでステージに向かう途中、エミネムの席に落ちた。エミネムの目の前にブルーノの生尻が…。エミネムは激怒して会場から立ち去った。だが、これは打ち合わせ済の”ヤラセ”であり、エミネムはホテルに戻り笑い転げていたという。このターゲット、第一候補はパリス・ヒルトンだったが、彼女が断ったため、エミネムにお鉢が回ってきたらしいデス。



PR中、別のトラブルが起こった。6月25日ハリウッド「ウォーク・オブ・フェイム」の星印のすぐ近くにあるチャイニーズシアターで「ブルーノ」のプレミア上映が予定されていた。だが、その日、マイケル・ジャクソンの死亡が報道され、その直後から彼の名前が刻まれたハリウッド「ウォーク・オブ・フェイム」の星印にファンが殺到していた。マイケル追悼モード一色だったこともあり、プレミアは中止されると予想されていたがサシャは予定通りプレミアを実行。戦車に乗って派手に登場し、マイケルファンの神経を逆撫でした。<サシャ・バロン・コーエンが中止するわけねーじゃないの(笑)



しかも、映画には、ブルーノがマイケル・ジャクソンの物まねをしながら、ラトーヤ・ジャクソンからマイケルの携帯番号を聞き出そうとするシーンが含まれていた。あわてた映画会社はプレミア前にラトーヤ・ジャクソンの出演場面を全部カットしてしまった。日本での公開バージョンにもラトーヤの場面は収録されていない。だが、アメリカで発売されているDVDには収録されている模様である。

ブルーノ姐さんは、エミネムを怒らせ(?)、マイケル・ジャクソンのファンを怒らせ、そしてあのマドンナをも怒らせてしまった。マドンナは『ミュージック』のビデオでサシャをアリ・Gキャラで起用。このおかげでサシャの知名度は飛躍的にアップした。サシャにとってマドンナは恩人とも呼べる存在。にもかかわらずサシャはこれまでもマドンナをさんざんネタにしてきたが、マドンナ様は聖母のように寛容な態度を示していた。だが、「マドンナもアンジェリーナも持ってる。だから、ブルーノも(養子を)手に入れたの」という場面に、さすがのマドンナも激怒。あせったサシャはマドンナに対し「怒らないでください」と花束を添えて手紙を贈ったという。サシャ・バロン・コーエンに怖いものはない。マドンナが自分の”味方”だからといって容赦などしないのである。まあ、マドンナも”他人を怒らせること”でスターになったんですからねぇ…。

この映画、ある程度、海外芸能ゴシップに通じていないと意味がわかりにくい描写がある。
といってもそう難しいものではない。例えば、養子につけた名前がO.J。はい、誰から取ったかは明らかですね。バイクに養子を乗せて危ない走行をするあたりは、ブリトニー・スピアーズとかマイケル・ジャクソンあたりのスキャンダルをおちょくった?

それにしてもミリ・ヴァニリのミリに会いたいって…?ミリ・ヴァニリはロブ・ピラトゥスとファブリス・モーヴァンの2人組グループ。1990年にグラミー賞の最優秀新人賞を受賞するが、彼らが実際には歌っておらず、影武者がレコーディングしていたことが発覚。口パク歌手だった2人は賞を剥奪され、事実上音楽界から追放された。ミリ・バニリのミリとはロブ・ピラトゥスのこと。彼は1998年、薬物の過剰摂取で死去している。"替え玉シンガー"ミリ・ヴァニリ2人の人生はジェフ・ナサンソン監督・脚本で映画化されることが発表されている。

MILLI VANILLI (Grammy Awards 1990) もちろんコレは口パクです。



ブルーノのセレブインタビューで登場するポーラ・アブドゥルは洋楽好きの人なら知っているでしょう。ジャネット・ジャクソンの振り付け師などをへて、歌手デビュー。アルバム『あいつにノック・アウト』、(ちなみに自分も持ってます)『スペルバウンド』が連続全米N0.1の大ヒットとなるも3作目がこけて歌手活動を停止していた。だが、TVオーディション番組"アメリカン・アイドル"の審査員に抜擢されたことから人気が復活している。ちなみに彼女の出世作のなったシングル"Straight Up"のPV監督はあのデヴィット・フィンチャーです。映画では“男体盛り”でもてなされたポーラですが、彼女の登場場面もかなりカットされているらしい。

ところでブルーノがオーストリア出身という設定になっているのは何故だろう?
たぶん、「ヒットラー以来のオーストリア出身のスーパースターを目指す」という台詞ひとつのためでしょう。そのオーストリアではブルーノは概ね好意的に受け入れられている模様。これでオーストリアは注目を浴び、オーストラリアと間違えられずにすむ、と言う人もいるとか!このリアクションってこの映画が風刺している、まさにそのものでは?

前作『ボラット〜』もそうだったが、今回もモキュメンタリー風のつくり。超保守的な場所に出向いて神経を逆なでしている。こんなことしているといつか本当に殺されるのではないか?と不安になってくる。実際、サシャの家族もそれを懸念しているようだ。まあ、サシャは有名になりすぎているので、今後、どんなキャラクターを演じてもサシャだとばれる可能性は高いと思いますが。

コメディの一番の弱点は”予定調和”。ラストはハッピーエンドが決まりことなため、終盤に向かうと、妙にストーリーがベタついてくる傾向がある。だが、サシャ・バロン・コーエンの映画にはその法則はあてはまらない。一番の魅力は、(モキュメンタリー風であることもあるが)先が読めないことだ。そして、前述のとおり、”今度こそ本当にヤバイのではないか?”とヒヤヒヤさせられる。大統領選候補者ロン・ポールを"誘う"シーンまである。こんなこと本当、ようやるわ。まあ、ラストの"cage-fight match"は明らかに台本どおりですが、あまりのバカバカしさにかなり笑った。観客はまじめにブーイングしていたのだろうか?

劇中、イスラエルとパレスチナの教授へのインタビュー場面で歌われる"Dove of Peace"がラストを飾る。ここで超大物ミュージシャンが続々登場するのです。てっきりソックリさんだと思っていたのですがどうも本物のようです。U2のボノなんてサシャのネタにされそうな人ですけどね。

まさに命がけで笑いをつくっているサシャ・バロン・コーエン。映画『ブルーノ』は”有名になるためなら手段は問わない”という現代社会批判の要素もある。だが、ブルーノがゲイという設定であることから、お下劣表現に拍車がかかりすぎた。そればかりが目立ち、結果として毒が薄れてしまったキライもある。映画を観終わった後、アタマのネジが全部外れたような気分になった。

『ボラット〜』の大ヒットを受けた、サシャ・バロン・コーエンの新作『ブルーノ』。一般的には好意的見解がやや優勢。だが、「(前作と違って)今回は下品で不快なだけ」という批判も多い。ブルーノのゲイキャラクターがあまりにも典型的だという声もある。同性愛団体からも”イメージが悪くなる”とブーイング。そうブルーノたん、四方八方ブーイングまみれです。ただ、ブーイングこそが彼へのエール。”最低最悪”はサシャ・バロン・コーエンにとって最高の褒め言葉である。傑作なんていうのは失礼極まりない。だから自信をもって言う。映画『ブルーノ』は、決して誰にもオススメできない、FUCK&ASS HOLEな映画である。

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2010.03.24 Wednesday | 02:24 | 映画 | comments(2) | trackbacks(1) |

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2019.10.20 Sunday | 02:24 | - | - | - |

コメント

「Bruno: Delicious Journeys Through America for the Purpose of Making Heterosexual Males Visibly Uncomfortable in the Presence of a Gay Foreigner in a Mesh T-Shirt」の訳ですが「ブルーノ -- 素敵なアメリカ旅行、メッシュTシャツ姿のゲイ外国人がストレートの男たちのヒンシュクを買って楽しむ」っていうかんじじゃないでしゅか?
2010/03/29 12:50 AM by MAX
MAXさん、はじめまして。
「Bruno: 〜」。これ、意味をとるのは簡単だけど上手く訳そうとすると難しいタイトルですね。
MAXさんの訳のほうがポップで分かりやすい!

ただ、映画の内容に即して考えた場合、
ブルーノは行動がひたすら幼稚なだけで、
"不快にするため"でも"楽しんでいた"わけでもない。
その辺りまでこだわると訳はさらに難しくなります。
まあ、演じているサシャ・バロン・コーエンは楽しんでいたでしょうけど。

もし、このタイトルが本決まりになっていたら、邦題はどうなっていたでしょう?
面倒臭いから、結局"ブルーノ"だけになったかもしれませんが(笑)
2010/03/29 10:58 PM by moviepad

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