映画のメモ帳+α

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フィリップ、きみを愛してる!

フィリップ、きみを愛してる!(2009 フランス)

フィリップ、きみを愛してる!原題   I LOVE YOU PHILLIP MORRIS
監督   グレン・フィカーラ ジョン・レクア
原作   スティーヴ・マクヴィカー
脚色   グレン・フィカーラ ジョン・レクア
撮影   ハビエル・ペレス・グロベット
音楽   ニック・ウラタ
出演   ジム・キャリー ユアン・マクレガー
      レスリー・マン ロドリゴ・サントロ

2011年アメリカ脚本家組合賞脚色賞ノミネート

king of con(詐欺の王様)、フーディーニ...。スティーヴン・ラッセル(Steven Jay Russell)のことを人はこのように呼ぶ。スティーヴンは詐欺、脱獄を幾度となく繰り返したため、懲役144年を科せられ、現在もテキサスの刑務所に服役中。IQ163を誇るというこの天才詐欺師を描いた映画が『フィリップ、きみを愛してる!』。スティーヴン・ラッセル役にはジム・キャリー、"恋人"フィリップにはユアン・マクレガーが扮する。すべてスティーヴンの証言に基づく実話の映画化です。

原作は、当時新聞記者だったスティーヴ・マクヴィカーの小説。
マクヴィカーは刑務所にいるスティーヴ本人に取材してドキュメンタリー小説を書き上げたが
取材は困難を極めたという。理由は、映画を観た人ならば容易にわかります。
何せ、スティーヴン・ラッセルは"natural-born liar (生まれつきの嘘つき)"なのですから!


      
映画化もイバラの道。"ゲイの脱獄映画"と聞いただけで映画会社は顔をゆがめた。
それでも、脚本のグレン・フィカーラ ジョン・レクアが"ノーギャラで脚本を書く"という条件で企画は進行。まず、スティーヴン役の第一候補だったジム・キャリーに脚本を手渡した。
ジムは「製作費を出してでも出演したい」と出演を即決。ジム・キャリーの提案で脚本家の2人が監督も兼ねることになりました。ジム・キャリーと面識があったリュック・ベンソンが製作総指揮を担当。製作費は推定2000万ドルです。『フィリップ、きみを愛してる!』はジム・キャリー&ユアン・マクレガー主演にもかかわらず、"おフランスのインディペント映画"なのです。なんとも贅沢な低予算映画!にもかかわらず"描写がどぎつすぎるため"、アメリカでは配給先が決まらず、何とDVDスルーの可能性もあったとか!ハリウッド有数のマネー・メイキングスター、ジム・キャリー主演なのに...。ソフトに編集しなおしてようやく劇場公開決定。ただし、全米での劇場公開日は日本よりも遅い、2010年4月30日限定公開。うーむ...。まあ、この映画はヒットするでしょうけど。

 追記 7月30日に延期されたようです。作品は好評みたいです。→さらに10月に延期。賞狙い?それとも結局..."もっとも呪われた映画"とまで言われ始めたこの作品、ついに12/3全米公開が決定!遅れに遅れた理由は配給会社のカネにまつわるトラブルである模様。

さて、映画の内容です。客席は予想通り、若い女性多し。ただねぇ、顔芸のしすぎで?シワが増えたジム・キャリーと、イモ兄ちゃんの面影を残しつつも、やっぱり老けてきたユアン・マクレガー...。いわば、オヤジ同士の恋愛物ですから、腐女子が興奮するタイプの映画ではないでしょう。ジム・キャリーはとてもゲイには見えませんが、これは納得。何せスティーヴンは結婚していて、子供もいる。しばらくの間、"良き人"を装い続けていたのですから。人間、死にそーになると人生観が変わるといいますが、スティーヴンもそのひとり。交通事故後、"自分らしく生きる"ためにゲイをカミングアウトし、結果として詐欺師の道を歩むことになるのであります。

↓ 映画よりコッチのほうがはるかにキモイ(笑)



スティーヴンが現在も刑務所に服役中ゆえ、ジム・キャリーは本人と会うことはできなかった。面会を許されていた原作者のスティーヴ・マクヴィカーが、彼のために本人の様子を録画してくれたため、そのビデオをもとに役つくりをしました。もちろん、スティーヴンは映画を観ることはできないのですが、googleを通していくつかの映像をダウンロード。ジム・キャリー、そして相方役ユアン・マクレガーに対して、"話し方、癖、衣装いずれも非常に正確だ!"と驚いていたそうです。

I love you Phillip Morris: a conman's story (本人写真あり)

でもそれもそのはず。その相方フィリップ・モリス本人(タバコ会社とは一切関係ありません)がこの映画のアドバイサーをつとめているのです。フィリップは映画にもカメオ出演。どこに出ているのか?と思いきやここ↓のようです。

フィリップ・モリス

ユアンはもちろん本人に会って役作り。このオッサンがあんなに可愛いの?(爆)

映画のチラシによると、スティーヴンの詐欺行為は以下のとおり。

"自分で撒いたサラダ油で転び、賠償金を得る"
"高級時計を窃盗、転売"
"クレジットカード偽造"
"粗悪なトマトを最高級品として販売"
"会社資金の巨額横領"
"居住するアパートへの不当クレーム"

これはほんの一部です。いくら実話を元にしているといっても面白すぎるこの物語、どこかに映画ならではの脚色があるに違いない!と思いきや、全部本当みたいです。脚本家はむしろ、どのエピソードを削るかに苦心した模様。一番の見所はスティーヴンが"最後の賭け"をする場面。ここで終わるはずはないよな、と思いつつも涙したりしたのですが...オチでこんなに笑ったのも久しぶり。これが実話なんて反則です(爆)。

 その"最後の賭け"を報じた記事。映画未見のヒト、英語のわかるヒトは事前に読むべからず!
Lubbock State Region Journal

この映画、音楽の使い方が実にいいんです!
スティーヴンの脱獄シーン、言葉による説明は一切なく、エスニックな音楽に乗せて映像だけで見せる。なかなか粋な演出です。マイケル・マクドナルドの"I Keep Forgettin”に似たメロディもありました。あ、そんなことどーでもいいですね(^^;

スティーヴンが詐欺行為を山ほどしたといっても、暴力に訴えることは一切していない。
彼が詐欺行為を行うのは、好きな人にプレゼントを買うための費用稼ぎ。
そうしないと、好きな人をつなぎとめておくことができないのではないか?
養子に出されたことによるトラウマを感じさせる哀しさがあります。

映画を観た人なら誰しも疑問にもつことがあります。
あんなに巧妙に脱獄できる人がなぜ、いとも簡単に捕まるのか?
答えは簡単です。

脱走した後の、行き先がいつも同じだから。

映画では触れられていなかったように思いますが、脱獄する曜日もいつも同じだったそうです。
13日の金曜日。そう、フィリップの誕生日です。

愛してると一言いうために、懲役167年。
この宣伝文句に偽りは...あるかもしれません。どの英語メディアを見ても懲役144年と書いてあるんですが、なぜ日本では167年になっているのでしょう?ちなみにスティーヴンのIQも日本のチラシでは169となっているのですが、英語メディアでは163と記載されています。まあ、どっちにしろ大した違いではありませんが(爆)。

フィリップはスティーヴンのとばっちりを受けて、7年も刑務所にぶちこまれました。にもかかわらず彼を恨んではいないようで、2人は今でも文通を続けているとか。フィリップいわく「あんなに自分のことをわかってくれた人は他にいない」

スティーヴン・ラッセル(Steven Jay Russell)は1957年9月14日生まれ。現在52歳です。もう10年以上脱獄はしていない。天才詐欺師もさすがに運命を受け入れたのでしょうか?それとも、フィリップに迷惑をかけないため自粛しているだけでしょうか?23時間監視下に置かれているとしてもスティーヴンなら脱獄できそうな気がするのですが(笑)

『フィリップ、きみを愛してる!』はテンポもよく、こんなに実話が面白いならフィクションなんてもういらない!と言ってしまいたくなる仕上がり。前半は出来事の羅列ですが、スティーヴンの"最後の賭け"以降、俄然活気を帯びてきます。ジム・キャリーユアン・マクレガーのケミストリーも抜群。2人とも(映画が無事に公開されれば)来年のアカデミー賞候補が狙えるでしょう。(結局カスリもしませんでした。アカデミー賞もこういう演技を評価するようになってほしいものです)。観て損は絶対にない作品!それにしてもこれが実話なんて今でも信じられない。事実は映画よりも奇なり!

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2010.03.14 Sunday | 20:20 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0) |

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