映画のメモ帳+α

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アウトブレイク

アウトブレイク(1995 アメリカ)

「アウトブレイク」原題   OUTBREAK
監督   ウォルフガング・ペーターゼン
脚本   ローレンス・ドゥウォレット ロバート・ロイ・プール
撮影   ミヒャエル・バルハウス
音楽   ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演   ダスティン・ホフマン レネ・ルッソ
      モーガン・フリーマン ケヴィン・スペイシー
      キューバ・グッディング・Jr パトリック・デンプシー
      ドナルド・サザーランド ゼイクス・モカエ
      マリック・ボーウェンズ スーザン・リー・ホフマン
      ベニート・マルティネス ブルース・ジャーチョウ
      デイル・ダイ

エボラ出血熱という言葉を聞いたことがある人も多いだろう。1976年のスーダンの村でエボラウイルスがはじめて発見され、その後、アフリカでのみ数回発生している。致死率が50%を超えることもある急性ウイルス性感染症である。そのエボラ出血熱をモデルにした映画が『アウトブレイク』。1995年3月に全米公開されたが、その約2ヶ月後にザイールでエボラ出血熱が発生した。日本公開は1995年4月29日ということもあり、"絵空事とは言えない"映画として大きな話題を呼んだ作品である。

〜物語〜
アフリカ・モタバ川流域でで、原因不明の伝染病が発生する。現地調査に赴いた米国陸軍感染症医学研究所(USAMRIID)のサム・ダニエルズ(ダスティン・ホフマン)は、アメリカに広がる恐れがあると判断。警戒態勢を敷くように上司であるフォード(モーガン・フリーマン)に進言するが却下されてしまう。その後、アフリカと同じ症状の患者がカリフォルニア州の町に出現。ウイルスは爆発的な勢いで蔓延し、全米をパニックに陥れる。スムはアメリカ疾病予防管理センター(CDC)で働く元妻、ロビー(レネ・ルッソ)らとともにウイルスの制圧にとりくむが...

現場に行って患者をみるやいなや慌てふためく研究員、離婚した夫婦が仕事で共演。だがその、"元妻"が感染し、といったヒューマン・ドラマの部分から自分の保身しか考えない高級官僚といった絶対的な悪の存在まで『アウトブレイク』のストーリーはイヤになるほどハリウッド映画のパターンに沿っている。同じウイルスは以前発見されており、米国の生物兵器開発のために保管されていた。これが蔓延してしまうとその"兵器"の価値は無くなってしまう。そこで軍はアメリカの村を"一掃”する作戦に出たが、主人公は正義のために立ち向かう...。ちょっとうんざりしますね。モーガン・フリーマンを100%悪役にはしないだろうと思っていたら案の定そのとおりだったし。そもそも、モデルとなったエボラ出血熱は宿主が未だに判明していない。(コウモリが有力視されているらしいが)まして宿主が見つかればすぐ血清を作り出すことができ、めでたく解決というのはハリウッドお得意のウルトラ・ファンタジーにすぎないようだ。

それでもこの映画はそれなりに楽しめる。監督が『U・ボート』のウォルフガング・ペーターゼンであることもあり、まるで戦争映画を彷彿させる映像の迫力。伝染病発生時、軍が出動することは違和感を感じたが、エボラ出血熱が発生したとき実際にあったことらしい。映画同様、治療支援ではなく、感染者をその地域のみに封じ込め感染拡大を防ぐためである。

こういう台詞が出てくる。

「命令にそむいて町に出たものは逮捕する」

うーむ、新型インフルエンザ対策のため休校となった関西の中高生がカラオケボックスに入ろうとしようものなら、自衛隊を出動させて逮捕すべきかもしれません(爆)

また、ダスティン・ホフマンレネ・ルッソモーガン・フリーマンらの俳優たちの存在感がこの映画を救っている。ダスティン・ホフマンは珍しく真っ直ぐな役。「商業映画にもちゃんと出演して名前を売っておかないと、本当にやりたい役がもらえなくなる」とホフマンは語っていたが、彼も年をとっていることが功を奏して?不思議なほどこの映画の世界に溶け込んでいる。そう、この映画にはホフマンをはじめ、オスカー俳優が4人も出演しているんですね。他の3人(モーガン・フリーマン、ケヴィン・スペイシーキューバ・グッティング.Jr)はいずれもこの映画公開より後、もちろん別の作品で受賞しているのですが。

そして何よりもディテールの描写である。研究員が感染してしまうというのは実際にもある話らしい。考えてみれば当たり前で、常に危険と向き合って仕事をしているのだから、ちょっとしたミスが文字通り"命とり"となる。

また、映画館で観客がくしゃみをしたことから"空気感染"がひろがるという描写がある。
2009年新型インフルエンザの対応を見ればわかるように、パンデミック(感染症が世界的に流行すること)のニュースが伝えられると何でもかんでも"空気感染"するようなイメージが拡がる。だが、今のところ2009年新型インフルエンザが空気感染するという確証はないようだ。飛沫感染であれば、咳やくしゃみをする人に近づかないようにすれば防げるはず。「とうとう空気感染のレベルになった」という台詞が映画にも出てくるが、空気感染は相当ひどい状態でしか起こらない。パンデミック報道にあたっては、現段階で飛沫感染レベルと推定されるのか空気感染レベルの危険性が高いのかをきっちり報道してほしいものだ。それがはっきりわからないからパニックになっているという状況は承知しているが、わかる範囲で詳しく伝えてほしい。ただニュースにおいて「感染ルートの特定を急いでいる」という決まり文句が出てくるが、宿主を特定することはこの映画のようにスムーズにいかないようだ。

『アウトブレイク』はあまりにもハリウッドチックな物語であるが、公開タイミングの良さ?も相まって、パンデミック報道がなされるたびに思い出してしまう不思議な映画である。『チャイナ・シンドローム』が公開されたあと本当に原発事故が起こったり、『ラベンダーの咲く庭で』の公開時、ピアノマンが現れたり...。時々、神業のようなタイミングで公開される映画が出現するのは興味深い。
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2009.05.23 Saturday | 00:17 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0) |

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2019.09.05 Thursday | 00:17 | - | - | - |

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