映画のメモ帳+α

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2019.10.20 Sunday | | - | - | - |

ドライ・クリーニング

ドライ・クリーニング(1997 フランス・スペイン)

「ドライ・クリーニング」原題   NETTOYAGE A SEC
英題   DRY CLEANING
監督   アンヌ・フォンテーヌ
脚本   ジル・トーラン
撮影   カロリーヌ・シャンプティエ
出演   ミュウ・ミュウ シャルル・ベルラン
      スタニスラス・メラール マチルデ
      ナヌ・マイスター ノエル・プリーガー
      ミシェル・ボンポワル クリストファー・キング
      ジェラール・ブランシュ ベティ・ペトリスティ 
      ボビー・パシャ コリーン・ネーマン

第54回(1997年)ベネティア国際映画祭金オゼッラ賞(脚本に対し)

ドライ・クリーニング』は映画史上最強の"魔性の男"映画である。
ストーリーはピエル・パオロ・パゾリーニ監督の『テオレマ』を連想させるが、スタニスラス・メラールはテレンズ・スタンプよりもいっそう繊細で、かつ妖しげな雰囲気を撒き散らしている。フランス公開時、大変な話題となり、お堅いル・モンド紙までがスタニスラスの特集を組むほどだった。



スイスとフランス国境の小さな街でクリーニング店を営む夫婦ジャン・マリー(シャルル・ベルリング)とニコル(ミウ=ミウ)。ひょんなことからロイック(スタニスラス・メラール)という青年が住み込みで働くことになる。親に捨てられ、姉と2人で"夜の女王"ショーで生計をたててきたロイック。その姉にも見捨てられてしまったことから、夫婦のもとにもぐりこんだのだ。

スタニスラス・メラールこの怪しき"捨て猫"は美しさゆえ周囲をかき乱していく。彼は「君たちは、僕のはじめての家族だ」と無邪気に言い放ち、はじめて家にとめてもらった次の朝、バス・タオル1枚で朝食が用意してあるテーブルに現れる。「これじゃ」といって彼は2人の目に入るところでバス・タオルをとりバック・ヌードを披露。Gパンだけをはき、上半身裸のままテーブルに戻ってくる。「ああ、ここは快適だ」

夜、ロイックは裸のままベッドで本を読んでいる。ニコルはブランデーをとる名目で彼のいる部屋に立ち寄り、毛布の下にある彼自身に触れる。無邪気に喜ぶロイック。ジャン・マリーも寝ている彼の裸の背中にドキマキさせられる。このときのシャルル・ベルリングの演技はさすがにうまい。カバンからピストルが発見されたことをきっかけに「僕は邪魔だろ」といってロイックは出て行く。引き止めるジャン・マリー。「君は有能だから」が表向きの理由だが...。ロイックは彼を迎えにきたジャン・マリーに向かって「勃っちゃったよ」と言い放つ。彼はニコルと関係をもち、ジャン・マリーにまでモーションをかけていた。


ニコルはロイックを「私たちの生活の一部」と呼び、彼に耽溺していた。ニコルの浮気を知ったジャン・マリーは彼をクビにして夫婦でカナダ旅行をしようと提案する。ところが地下室でジャン・マリーとかちあったロイックは「君とやりたい」と言って、強引にジャン・マリーのズボンを脱がす。「ほうら、勃っている。体は正直だ」「僕を愛しているんだろ、愛しているといえよ」と叫び、ジャン・マリーを強姦する。取り乱したジャン・マリーは...。彼は自分自身の道徳観念から逃れられなかった。その結果、愛するものを殺してしまう。ロイックに何かしらの打算があったわけではない。彼は"ひたすら愛されたがっている妖しい捨て猫"にすぎなかったのだ。この魔性の男ロイックをスタニスラス・メラールは圧倒的な存在感で演じきっている。スカウトされて、この映画でデビューした彼はこれが地ではないか、と思うくらい自然な演技。彼なしでは映画は成り立たなかっただろう。監督のアンヌ・フォンティーヌは「夫婦という関係をどこまでも突き詰めてみたかった」と語っているが、夫婦レベルをはるかに超え、人の心に潜む欲望を奥底からえぐり出してしまった。『ドライ・クリーニング』はヨーロッパ映画らしい凄みを感じる作品である。
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 『ドライ・クリーニング』をはじめ、『ブロークバック・マウンテン』、『ラスト、コーション』など良質な作品を数多く手がけた日本の映画配給会社ワイズポリシー(旧シネマパリジャン)が6億円の負債をかかえ2009年4月22日破産手続開始決定を受けました。"ミニ・シアター冬の時代"は本当だった...。ショックです。

2009.05.10 Sunday | 02:31 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0) |

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2019.10.20 Sunday | 02:31 | - | - | - |

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