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第70回(1997年)アカデミー賞

第70回(1997年)アカデミー賞

70回アカデミー賞作品賞「タイタニック」第70回アカデミー賞trivia
〜ジェームズ・キャメロンが"I'm the king of the world!"と雄叫び〜

★ 史上最大のヒットとなった『タイタニック』が14部門で候補となり、作品賞の大本命とされていた。授賞式当時も週間興行成績N0.1をキープしていたこともあり、アカデミー賞授賞式のTV視聴者は過去最高の5725万人(推定)にのぼった。これは測定がはじまった1970年以来最大の数字であり、今なお破られていない。やはり授賞式の視聴率は小手先の話題つくりよりノミネート作品?司会は6回目となるビリー・クリスタル。この授賞式の司会によりエミー賞(Primetime Emmy Award for Individual Performance in a Variety or Music Program)を獲得している。クリスタルは第63回(1990年)第64回(1991年)の司会でも同賞を得ており、3度目の受賞となった。

★ 前哨戦ではカーティス・ハンソン監督『L.A.コンフィデンシャル』が圧倒的な強さを誇ったが、アカデミー賞ではあくまでもメガヒット作『タイタニック』が絶対視され、14部門中何部門受賞できるか?が関心の的となっていた。結果は主演女優賞、助演女優賞、メイクアップ賞以外の11部門を受賞。第32回(1959年)の『ベン・ハー』と並ぶ記録となった。第76回(2003年)に『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』も11部門受賞をはたしている。

★ 作品賞ノミネート『タイタニック』の紹介役としてアーノルド・シュワルツネッガーが登場。「友人であるジェームズ・キャメロンと私は3本の映画を一緒につくりました。『トゥルー・ライズ』、『ターミネーター』、『ターミネーター2』...もちろんこれらはキャメロンの初期低予算芸術映画時代の作品です」と切り出して笑いをとった。『タイタニック』は当時としては破格の2億ドルの制作費が話題となっており、もしコケたら映画史上最悪の大災害となることは必須だった。ちなみにシュワルツネッガーがあげた3作の制作費は『ターミネーター』こそ640万ドルですが、『ターミネーター2』は1.02億ドル、『トゥルー・ライズ』は1.15億ドルと言われてマス...。

★ 監督賞を受賞したジェームズ・キャメロンは"I'm the king of the world!" と雄叫びをあげた。映画でのレオナルド・ディカプリオのセリフをそのままである。また、作品賞受賞で再びステージにあがった際「忘れてはならないのは、1912年に大勢の人が亡くなった事実。ここで犠牲者1,500人をしのんで黙祷したい」と観客にも黙祷を強要。メガヒット&オスカー受賞作を率いた鬼将軍に対して、観客も命令に従うしかなかった。また、『タイタニック』大ヒットの立役者である主演男優レオナルド・ディカプリオのノミネート漏れが物議を醸していた。ディカプリオは授賞式を欠席。作品が大量受賞しているのに肝心の主演男優の姿がないという奇妙な事態となった。ディカプリオ本人は出席すべきかどうか悩んでいたらしいが、レオママが「授賞式なんか行く必要ない」と一喝したため欠席することにしたらしい...。





★ 『タイタニック』一色になりつつあった授賞式で気をはいたのが主演賞を両方もぎとった『恋愛小説家』。主演男優賞のジャック・ニコルソンが対抗馬といわれていたピーター・フォンダに対し「バイク仲間のフォンダ」(ニコルソンの出世作『イージー・ライダー』で共演している)と穏やかに語りかけていたのが印象的だった。また、主演女優賞のヘレン・ハントは、人気テレビドラマ"Mad About You”でエミー賞を獲得済でお茶の間ではお馴染みの人気スターだったが、映画での実績は乏しかった。だが、作品の大ヒット、かつ彼女以外の4人の候補者はいずれもイギリス人であったことなどが有利に働いたのか、見事オスカーを獲得。ハントも「『Queen Victoria 至上の恋』の演技が素晴らしかったので、私は3回も観たんですよ」と彼女らしい生真面目さでライバルと目されていたジュディ・デンチを称えた。
ところでこの2役、当初はジョン・トラボルタとホリー・ハンターにオファーがあったらしい。なぜ断った?





★ 助演男優賞は、『ブギーナイツ』のバート・レイノルズが前哨戦で強さを発揮したが、アカデミー賞では下馬評どおり『グッドウィル・ハンティング』のロビン・ウィリアムズの手に渡った。ロビンは「生まれてはじめて言葉を失いそうだ」と興奮気味に語っている。また、脚本賞はその『グッドウィル・ハンティング』の若手コンビ、ベン・アフレックマット・ディモンが受賞したことも大きな話題となった。それにしてもマット・ディモンはジミー大西にしか見えない...。





オスカー像を手にするキム・ベイシンガー★ 助演女優賞は功労賞の意味合いから『タイタニック』のグロリア・スチュアートを予想する声もあったが、下馬評どおり『L.A.コンフィデンシャル』のキム・ベイシンガーに渡った。ベイシンガーは満面の笑みでステージにあがり、「今まで出会った総ての人に感謝しなければいけません」と言って笑いをとった後、声をふるわせながらカーティス・ハンソン監督の名を3度くりかえし最後は自分に演技や歌を教えてくれた父親にオスカーを捧げた。

ベイシンガーがハンソンの名を思い入れたっぷりに3度も連呼したのには理由がある。特定の俳優をイメージして脚本を書くことはないと語っていたカーティス・ハンソンだが、『L.A.コンフィデンシャル』の女優ヴェロニカ・レイクにそっくりの高級娼婦役には当初からキム・ベイシンガーを念頭においており、ジェイムズ・エルロイの原作では20代後半の設定になっていた役をベイシンガーの実年齢に見合うように脚本を書き換えたほどであった。早速ベイシンガーに脚本を送ったが、当時育児休暇中であり、かつセクシー女優のレッテルから脱皮したかったベイシンガーは「娼婦の役なんか絶対やらない!」とあっさり断った。彼女のエージェントが「脚本をもう一度よく読め」と説得し、ようやく引き受けたというイキサツがある。カーティス・ハンソンは自身も脚色賞を獲得したにもかかわらず「キム・ベイシンガーが助演女優賞を受賞したのが人生最高の出来事」と語っている。また、ハンソンは人気ラッパー、エミネムの半自伝映画『8 mile』を手がけるときに、エミネムから「自分の母親役にはきちんとした女優を起用してほしい」と要請を受けたことをうけ、キム・ベイシンガーをキャスティングしている。とてもオスカー女優が演じるような役ではないのだが、さすがのベイシンガーも"オスカーをくれた大恩人"の頼みは断れなかった?




またハンソンといっしょに脚色賞を受賞したブライアン・ヘルゲランドは壇上で「実は前日にラジー賞もらってしまってね...」と自嘲的に語っている。その栄えある?ラジー受賞作はケヴィン・コスナー監督『ポストマン』。対象作は違えど同一人物が同年度にアカデミー賞とラジー賞をW受賞するのは珍しいことであろう。まさに天国と地獄が一度にやってきたって感じ?

★ 歌曲賞のプレゼンターはマドンナ。胸はあらわに二の腕は筋肉ばっちり。歌と違ってプレゼンターは気が楽なのかエラソーです。(笑)マドンナは封筒をあけるとWhat a shocker! (これは驚いた)と無感情にはき捨てた後、大本命であった『タイタニック』の"My Heart Will Go On" の名を読み上げた。ところで筆者には一瞬、"Shit"と聞こえました(笑)

★ 名誉賞には『雨に唄えば』(1952)、『掠奪された七人の花嫁 』 (1954)、『シャレード 』(1963)などを手がけたスタンリー・ドーネン監督。ドーネンはスピーチの途中で歌とタップダンスを披露。作品イメージそのままの軽妙なスピーチで観客をわかせた。



★ 短編映画賞(実写)には政府の命令に逆らって、6000人のユダヤ難民を救うため2000枚のビザを発行した"日本のオスカー・シンドラー"杉原千畝氏の実話を映画化した『ビザと美徳』が受賞。舞台で主演したクリス・タシマが監督・主演を兼ねた作品である。

"Visas and Virtue" trailer



第70回(1997年)アカデミー賞ノミネート一覧

 マークは受賞作品。リンクは当サイト記事もしくはamazon

作品賞
  「タイタニック
   「恋愛小説家
   「フル・モンティ
   「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
   「L.A.コンフィデンシャル

主演男優賞
 ジャック・ニコルソン 「恋愛小説家」
   ロバート・デュヴァル 「The Apostle」
   マット・デイモン 「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」
   ピーター・フォンダ 「木洩れ日の中で」
   ダスティン・ホフマン 「ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ

主演女優賞
  ヘレン・ハント 「恋愛小説家」
   ヘレナ・ボナム=カーター 「鳩の翼
   ジュリー・クリスティ 「アフターグロウ
   ジュディ・デンチ 「Queen Victoria 至上の恋
   ケイト・ウィンスレット 「タイタニック」

助演男優賞
  ロビン・ウィリアムズ 「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」
   アンソニー・ホプキンス 「アミスタッド
   グレッグ・キニア 「恋愛小説家」
   バート・レイノルズ 「ブギーナイツ
   ロバート・フォスター 「ジャッキー・ブラウン

助演女優賞
 キム・ベイシンガー 「L.A.コンフィデンシャル」
   ジョーン・キューザック 「イン&アウト
   ミニー・ドライヴァー 「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」
   ジュリアン・ムーア 「ブギーナイツ」
   グロリア・スチュアート 「タイタニック」

監督賞
 ジェームズ・キャメロン 「タイタニック」
   ピーター・カッタネオ 「フル・モンティ」
   ガス・ヴァン・サント 「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」
   カーティス・ハンソン 「L.A.コンフィデンシャル」
   アトム・エゴヤン 「スウィート ヒアアフター

脚本賞
<オリジナル脚本>
 「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」
   「恋愛小説家」
   「ブギーナイツ」
   「地球は女で回ってる」
   「フル・モンティ」

<脚色>
  「L.A.コンフィデンシャル」
   「フェイク
   「スウィート ヒアアフター」
   「ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ」
   「鳩の翼」

撮影賞
 「タイタニック」
   「アミスタッド」
   「クンドゥン
   「L.A.コンフィデンシャル」
   「鳩の翼」

美術監督・装置賞
  「タイタニック」
   「ガタカ
   「クンドゥン」
   「L.A.コンフィデンシャル」
   「メン・イン・ブラック

音響賞
 「タイタニック」
   「エアフォース・ワン
   「コン・エアー
   「コンタクト
   「L.A.コンフィデンシャル」

編集賞
  「タイタニック」
   「エアフォース・ワン」
   「恋愛小説家」
   「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」
   「L.A.コンフィデンシャル」

作曲賞
<ドラマ>
 「タイタニック」
   「アミスタッド」
   「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」
   「クンドゥン」
   「L.A.コンフィデンシャル」

<ミュージカル/コメディ>
 「フル・モンティ」
   「アナスタシア
   「恋愛小説家」
   「メン・イン・ブラック」
   「ベスト・フレンズ・ウェディング

歌曲賞
  「My Heart Will Go On」 (タイタニック)
   「Go the Distance」 (ヘラクレス
   「How Do I Live」 (コン・エアー)
   「Journey to the Past」 (アナスタシア)
   「Miss Misery」 (グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち) 

衣装デザイン賞
 「タイタニック」
   「アミスタッド」
   「クンドゥン」
   「オスカーとルシンダ
   「鳩の翼」

メイクアップ賞
 「メン・イン・ブラック」
   「タイタニック」
   「Queen Victoria 至上の恋」

視覚効果賞
 「タイタニック」
   「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
   「スターシップ・トゥルーパーズ

音響効果編集賞
 「タイタニック」
   「フェイス/オフ
   「フィフス・エレメント

短編賞
<アニメ>
 「ゲーリーじいさんのチェス
   「Famous Fred」
   「Redux Riding Hood」
   「Rusalka」
   「老婦人とハト」

<実写>
 「ビザと美徳」
   「Dance Lexie Dance」
   「It's Good To Talk」
   「Sweethearts?」
   「Wolfgang」

ドキュメンタリー映画賞
<短編>
 「A Story of Healing」
   「Alaska: Spirit of the Wild」
   「Amazon」
   「Family Video Diaries: Daughter of the Bride」
   「Still Kicking: The Fabulous Palm Springs Follies」

<長編>
 「ロング ウェイ ホーム 遥かなる故郷 イスラエル建国の道
   「Ayn Rand - A Sense of Life」
   「Colors Straight Up」
   「4 Little Girls」
   「Waco: The Rules of Engagement」

外国語映画賞
 「キャラクター/孤独な人の肖像」(オランダ)
   「ビヨンド・サイレンス」(ドイツ)
   「Four Days in September」(ブラジル)
   「心の秘密」(スペイン)
   「パパってなに?」(ロシア)

名誉賞
 スタンリー・ドーネン
   (優雅さ、エレガントさ、知的さと斬新さに彩られた業績に対して)

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2009.03.07 Saturday | 02:48 | アカデミー賞の軌跡 | comments(2) | - |

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2017.08.15 Tuesday | 02:48 | - | - | - |

コメント

こんにちは。
今年の主演女優賞獲得「ケイト・ウィンスレット」つながりで「タイタニック」。
私、ジェームズ・キャメロン監督も大好きで、勿論「タイタニック」も好きな作品。
この年の作品賞は全て好きですね。
「恋愛小説家」のジャック・ニコルソンは激好きです!!
やっぱり、納得できないのは「レオナルド・ディカプリオ」のノミネート漏れ。彼は演技力あると思うのに。「ギルバート グレイブ」を見たときは凄い子が出てるなあーと思ったほど。
なんだか、可哀想です(笑)

2009/03/08 12:21 AM by zukka
zukkaさん、こんばんわ。

確かにこの年の作品賞候補はみな良作ですね。作品賞にノミネートされるくらいだから本来それは当たり前のことなんですが、そうじゃない年も少なくない。

この年のノミネート作品で特に好きなのは「L.A.コンフィデンシャル」、「鳩の翼」、「ジャッキー・ブラウン」、「スウィート ヒアアフター」、「クンドゥン」、「キャラクター/孤独な人の肖像」あたりでしょうか。
すいませんね、地味で(笑)

ディカプリオは元々演技力を認められていたのに(デ・ニーロがほめていたくらい)、「ロミオ+ジュリエット」あたりからアイドル扱いされはじめましたね。アカデミー会員のオジサマ方が彼の人気に嫉妬したんでしょう(笑)ただ、主演男優賞は最も若手に厳しいカテゴリー。このときレオは23歳くらい?
ノミネートされていたらむしろ快挙でしたね。

今年「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」がノミネート漏れしたこともあり(今回は下馬評でも厳しいと思われていた)、レオはアカデミーから嫌われているのでは?という声もあるようですが、それは違うと思います。34歳にして3度もノミネートされているのですから、むしろ好かれているといってもいいくらいです。

ところで、ケイト・ウィンスレットは「これからはレオと毎年共演したい」と言っているらしいです。
ところがケイトとの共演作でレオはいずれもオスカー落選。レオにとって毛糸は疫病神?(笑)
2009/03/08 1:34 AM by moviepad

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