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第69回(1996年)アカデミー賞

第69回(1996年)アカデミー賞

69回アカデミー賞作品賞「イングリッシュ・ペイシェント」第69回アカデミー賞trivia
〜キューバ・グッディング・Jr大爆発!ジュリエット・ビノシュは究極のKYスピーチ〜

★ 今年度は作品賞ノミネート5作品のうちトム・クルーズ主演『ザ・エージェント』をのぞく4作品はいわゆる低予算映画であり、"インディペンド映画の年"と評された。そして受賞は下馬評どおりマイケル・オンダーチェのブッカー賞受賞作の映画化作品『イングリッシュ・ペイシェント』。12部門ノミネート中、作品、監督賞など9部門を制した。その圧倒的な勢いは、『エビータ』で歌曲賞を受賞したアンドリュー・ロイド=ウェバーが「『イングリッシュ・ペイシェント』に歌がなくてよかったよ」と笑いのネタにするほどであった。『イングリッシュ・ペイシェント』はスター女優を起用していないという理由で(フォックスはデミ・ムーアの主演を考えていた)、21世紀フォックス社から撮影予定1週間前に中止を言い渡されている。あせったプロデューサーのソウル・ゼインツが奔走した結果、ミラマックスが製作を引き受けたため無事撮影に入ることが出来たという逸話が残っている。ケチをつけられた主演のクリスティン・スコート・トーマスも主演女優賞ノミネートを受け、ソウル・ゼインツの熱意が実を結んだ結果となった。






★ 主演男優賞は下馬評どおり『シャイン』のジェフリー・ラッシュの手にわたり、オーストラリア人初の演技賞受賞となった。『シャイン』は実在する天才ピアニスト、デヴィット・ヘルフゴットの半生を描いた作品。96年のサンダンス映画祭で上映されるやいなや大反響を巻き起こし、評判を聞きつけたスティーヴン・スピルバーグが監督のスコット・ヒックスに直接プリントを見たいと申し出るほどであった。作品を観たスピルバーグが「10年に1本の作品。来年のアカデミー賞の作品、監督、主演男優賞はこれで決まり」と太鼓判を押したことから、作品評価はうなぎのぼりとなっていた。デヴィット・ヘルフゴット役は3人の俳優によって演じ分けられており、ジェフリー・ラッシュが演じたのは最後のパート。ピアノ演奏を吹き替えなしで行ったとはいえ部分的演技により、大スタートム・クルーズを抑えて無名のオーストラリア俳優が受賞したことは"昔のハリウッドでは考えられないこと"と称された。まさに"インディペンド映画の年"を象徴する結果である。ジェフリー・ラッシュはこの後、主に脇役としてハリウッド映画で活躍することになる。また、授賞式において、モデルとなったデヴィット・ヘルフゴットがサプライズ・ゲストとして登場。巧みなピアノ演奏を披露して喝采をあびた。



★ 助演女優賞は『マンハッタン・ラブソディ』のローレン・バコールが功労賞の意味合いもあり、絶対視されていた。「The look(目線)」というニックネームをつけられた上目遣いの表情とハスキー・ボイスが特徴で、あのハンフリー・ボガートと25歳の年齢差を乗り越えて結婚したことも話題となった。『エビータ』で歌われた"Rainbow High"という曲で、"So Lauren Becall me(私をローレン・バコールみたいにして)"と歌われていることからもその人気はよくわかる。1960年代以降は主に舞台で活躍し、1970年にはトニー賞を受賞。1979年に出版した自伝『私一人』はベストセラーとなっている。バコールは当時72歳で、アカデミー賞はなんと初ノミネート!ゴールデン・グローブ賞、全米俳優組合賞の助演女優賞も受賞し、遅すぎる初受賞に王手をかけていた。

プレゼンターはケヴィン・スペイシー。司会のビリー・クリスタルに乗せられ、クリストファー・ウォーケンの物真似を披露する大サービスの後、彼が読み上げた名前は『イングリッシュ・ペイシェント』のおフランス女優ジュリエット・ビノシュ!!! ソフィー・シボンがデザインしたドレスで珍しくファッショナブルな衣装のビノシュは「ローレン・バコールが受賞するとばかり思っていたので、スピーチなんて用意してません。ローレンはオスカーにふさわしい。ローレン・バコールさん、どこにいるんですか?」とコメント。その時、悲しみをこらえているバコールの姿がカメラに大写しにされてしまった...。ビノシュはその後アンソニー・ミンゲラ監督らに感謝し、「これはフレンチ・ドリームね」といってステージを後にした。悪気はないとはいえ、さすがにこれは無神経。この様子を生中継で見ていた評論家のおすぎ氏は憮然とし「何これ?スピーチ用意してませんだって。してないわけないわよ、あの女が!」と切り捨てた(笑)。バコールは「ビノシュを恨んではいない」とコメントしたが、アフターパーティで「もうオスカーは一生取れないかもしれない」と泣き崩れたという噂もある。何年か後に名誉賞が贈られると思っていたが、一向にその気配なし。ローレン・バコールといえば歯に衣着せぬ発言で知られており、敵も多いということか?



 2009.9.12追記。アカデミー協会はついにローレン・バコールへの名誉賞授与を発表しました。本年度からは授賞式内ではなく、別イベントでの表彰となるようです。授与予定日は11/14。congratulations!

一足お先にアカデミー賞名誉賞の授賞式


★ 助演男優賞は『真実の行方』でリチャード・ギアをかすませてしまい、『ラリー・フリント』にも出演していたエドワード・ノートンが有力視されていたが、オスカーは『ザ・エージェント』で落ち目のアメフト選手を演じたキューバ・グッディング・Jrにわたった。インパクトの強い役柄で作品中のセリフ"Show me the money!"が流行語になるほどだった。グッディング・Jrは最初は比較的神妙な面持ちでスピーチしていたが、退場を促す音楽が流れると急にエキサイトしはじめ、監督のキャメロン・クロウや共演のトム・クルーズほか多くの人に感謝しながら"I LOVE YOU"を大連発し、最後にはオスカー像をおいてジャンプするはじけぶり。アカデミー賞史上に残る爆発スピーチとなった。キューバ・グッディング・Jrはその後、駄作ばかりに出演を続け俳優としての評価を落とし、"オスカーの呪い"を受けたひとりとして数えられている。グッディング・Jr自身も「オスカー受賞後はすっかり舞い上がって勘違いしてしまった」とそのことを素直に認めているという。



★ 『エビータ』のマドンナが主演女優賞候補漏れしたことは大きな話題となっていた。それでも歌曲賞にノミネートされていた"You Must Love me"を歌うためマドンナは授賞式にやってきた。司会のビリー・クリスタルは「マドンナはノミネート有力といわれていましたが候補に入りませんでした。授賞式欠席の噂もありましたが、マドンナ本人からきちんと歌いたいと連絡がありました。"私のために泣かないで。(Don't Cry For Me Agentinaのもじりですね。)一生かけてアカデミーに復讐するわ"と言ってましたよ」と痛烈な枕詞のあと、"One And Only Madonna"と彼女を紹介した。マドンナは第63回(1990年度)同様、緊張気味で声も震えがちだったが、渾身の力を振り絞り歌い終えた。"You Must Love me"は見事、歌曲賞を受賞。大御所アンドリュー・ロイド=ウェバー、ティム・ライス作品ゆえ当然?彼女が歌う"You Must Love Me(私を愛して)"という歌詞がこのときはアカデミー会員にむけて懇願しているように感じたのは自分だけだろうか?

Madonna - You Must Love Me @ Oscar 97


★ 作曲賞のプレゼンターとしてデビー・レイノルズが登場。彼女は"Mother"の演技で主演女優賞の下馬評にあがっていたが候補入りしなかった。レイノルズは「ノミネート有力と言われていたので期待していたのですが、かないませんでした。そこで私と同じように有力と言われながらノミネートされなかった人は他に誰がいるだろうと思って調べてみたらマドンナ、コートニー・ラヴ、バーブラ・ストライザンド、ゴールディ・ホーン....何てわかりやすい人たち!」と朗読するようにいった後、「何このセリフ?」とうろたえ、そこで(台詞を書いたと思われる)娘の脚本家&レイア姫、キャリー・フィッシャーが登場するというオチがつく。客席にいたバーブラが憮然としていたのがおかしかった。ちなみにバーブラはブランアン・アダムスとデュエットした"I Finally Found Someone"(いい曲です)が歌曲賞にノミネートされていたが、(監督作の)『マンハッタン・ラプソティ』が作品賞にノミネートされなかったからという理由で受賞式での歌唱パフォーマンスを拒否、客席にいるにもかかわらず候補曲はセリーヌ・ディオンに歌わせるという女帝ぶりをしめした。こんなことするからアナタは監督賞にノミネートされない。バーブラは後日「別に歌ってもよかったんだけど」とコメント。ならば、つべこべ言わずに歌え!!!


第69回(1996年)アカデミー賞ノミネート一覧

 マークは受賞作品。リンクは原則としてamazon

作品賞
  「イングリッシュ・ペイシェント
   「ファーゴ
   「ザ・エージェント
   「秘密と嘘
   「シャイン

主演男優賞
 ジェフリー・ラッシュ 「シャイン」
   トム・クルーズ 「ザ・エージェント」
   レイフ・ファインズ 「イングリッシュ・ペイシェント」
   ウディ・ハレルソン 「ラリー・フリント
   ビリー・ボブ・ソーントン 「スリング・ブレイド

主演女優賞
  フランシス・マクドーマンド 「ファーゴ」
   ブレンダ・ブレシン 「秘密と嘘」
   ダイアン・キートン 「マイ・ルーム
   クリスティン・スコット・トーマス 「イングリッシュ・ペイシェント」
   エミリー・ワトソン 「奇跡の海



助演男優賞
 キューバ・グッディング・Jr 「ザ・エージェント」
   エドワード・ノートン 「真実の行方
   ウィリアム・H・メイシー 「ファーゴ」
   アーミン・ミューラー=スタール 「シャイン」
   ジェームズ・ウッズ 「ゴースト・オブ・ミシシッピー」

助演女優賞
 ジュリエット・ビノシュ 「イングリッシュ・ペイシェント」
   ジョアン・アレン 「クルーシブル
   ローレン・バコール 「マンハッタン・ラプソディ
   マリアンヌ・ジャン=バプティスト 「秘密と嘘」
   バーバラ・ハーシー 「ある貴婦人の肖像

監督賞
 アンソニー・ミンゲラ 「イングリッシュ・ペイシェント」
   ジョエル・コーエン 「ファーゴ」
   ミロシュ・フォアマン 「ラリー・フリント」
   マイク・リー 「秘密と嘘」
   スコット・ヒックス 「シャイン」

脚本賞
<オリジナル脚本>
 「ファーゴ」
   「ザ・エージェント」
   「真実の囁き」
   「秘密と嘘」
   「シャイン」

<脚色>
 「スリング・ブレイド」
   「クルーシブル」
   「イングリッシュ・ペイシェント」
   「ハムレット
   「トレインスポッティング

撮影賞
 「イングリッシュ・ペイシェント」
   「エビータ
   「ファーゴ」
   「グース
   「マイケル・コリンズ

美術監督・装置賞
  「イングリッシュ・ペイシェント」
   「バードゲージ
   「エビータ」
   「ハムレット」
   「ロミオ&ジュリエット

音響賞
 「イングリッシュ・ペイシェント」
   「エビータ」
   「インデペンデンス・デイ
   「ザ・ロック
   「ツイスター

編集賞
  「イングリッシュ・ペイシェント」
   「エビータ」
   「ファーゴ」
   「ザ・エージェント」
   「シャイン」

作曲賞
<ドラマ>
 「イングリッシュ・ペイシェント」
   「ハムレット」
   「マイケル・コリンズ」
   「シャイン」
   「スリーパーズ

<ミュージカル/コメディ>
 「エマ
   「ファースト・ワイフ・クラブ
   「ノートルダムの鐘
   「ジャイアント・ピーチ
   「天使の贈りもの

歌曲賞
  「ユー・マスト・ラブ・ミー」 You Must Love Me (エビータ)
   「アイ・ファイナリー・ファウンド・サムワン」 I Finally Found Someone(マンハッタン・ラプソディ)
   「フォー・ザ・ファースト・タイム」 For the First Time (素晴らしき日
   「ザット・シング・ユー・ドウ」 That Thing You Do (すべてをあなたに
   「ビコーズ・ユー・ラブド・ミー」 Because You Loved Me (アンカーウーマン) 

衣装デザイン賞
 「イングリッシュ・ペイシェント」
   「エンジェル&インセクト/背徳の館」
   「Emma エマ」
   「ハムレット」
   「ある貴婦人の肖像」

メイクアップ賞
 「ナッティ・プロフェッサー/クランプ教授の場合
   「ゴースト・オブ・ミシシッピー」
   「スタートレック ファースト・コンタクト

視覚効果賞
 「インデペンデンス・デイ」
   「ドラゴンハート
   「ツイスター」

音響効果編集賞
 「ゴースト&ダークネス
   「デイライト
   「イレイザー

短編賞
<アニメ>
 「QUEST」
   「CANHEAD」
   「LA SALLA」
   「WAT'S PIG」

<実写>
 「DEAR DIARY」
   「DE TRIPAS,CORAZON」
   「ERNST & LYSET」
   「ESPOSADOS」
   「WORDLESS」

ドキュメンタリー映画賞
<短編>
 「BREATHING LESSONS:THE LIFE AND WORK OF MARK O'BRIEN」
   「COSMIC VOYAGE」
   「AN ESSAY ON MATISSE」
   「SPECIAL EFFECTS」
   「THE WILD BUNCH:AN ALBUM IN MONTAGE」

<長編>
 「モハメド・アリ かけがえのない日々
   「THE LINE KING:THE AL HIRSCHFELD STORY」
   「MANDELA」
   「SUZANNE FARRELL:ELUSIVE MUSE」
   「TELL THE TRUTH AND RUN」

"When We Were Kings" winning Best Documentary Feature

外国語映画賞
 「コーリャ愛のプラハ」(チェコ)
   「シェフ イン ラブ」 (グルジア)
   「THE OTHER SIDE OF SUNDAY」(ノルウェー)
   「コーカサスの虜」(ロシア)
   「リディキュール」 (フランス)

名誉賞
 マイケル・キッド
   (映画におけるダンス芸術への奉仕)

アーヴィング・G・タールバーグ記念賞
 ソウル・ゼインツ

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2009.03.06 Friday | 20:52 | アカデミー賞の軌跡 | comments(0) | - |

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