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第65回(1992年)アカデミー賞

第65回(1992年)アカデミー賞

65回アカデミー賞作品賞「許されざる者」第65回アカデミー賞trivia
〜巨匠フェリーニに名誉賞!ティム&スーザン政治発言!〜

★ 授賞式はアカデミー新会長ロバート・レーメの挨拶からはじまった。「今年は36人の女性が候補になっています。まさに女性の年。そこで、女性を称えることを今回のテーマに打ち出しました」作品賞のプレゼンターは昨年監督賞候補漏れしてしまったバーブラ・ストライザンド。「今夜のテーマは女性ですが、将来そんなテーマがなくなるよう願います」とコメントした後、『許されざる者』のクリント・イーストウッドにオスカー像を贈った。クリントは39年のキャリア、監督デビューから22年にして初のアカデミー賞ノミネートで作品賞、監督賞の2冠に輝いた。「商業映画とはいえない作品が、これほどの支持を受けるとは思わなかった」と語り、オスカーを自分の母親に捧げた。





★ 主演男優賞は 『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』のアル・パチーノが7度目のノミネートにしてようやく受賞した。「おかげで連続候補記録がストップしてしまった」と笑わせた後は生真面目なスピーチに終始した。



★ 助演女優賞のプレゼンターはジャック・パランス。「5人の候補はみんな外国人。『いとこのビニー』のマリサ・トメイもブルックリン出身です」と言って笑わせた。ジュディ・デイヴィスがオーストラリア人で他の候補はみなイギリス人である。結局、受賞は"ブルックリン出身"マリサ・トメイだった。同様の状況は第70回(1997年)の主演女優賞でヘレン・ハントが受賞したときにも起こっている。アカデミー賞はアメリカの映画賞。アメリカ人候補が1人だけだとつい肩入れしたくなる?



★ ジーン・ハーショルド友愛賞には授賞式の2ヶ月前に亡くなったオードリー・ヘプバーンに贈られた。プレゼンターは『ローマの休日』の共演者グレゴリー・ペック。「映画以上にユニセフ活動で輝いて見えた」と語り、オードリーの息子ショーン・フェラーにオスカー像を手渡した。なお、エリザベス・テイラーもエイズ撲滅キャンペーン活動が評価され、同賞を受賞している。






★ 名誉賞は外国語映画賞は4度受賞しているものの、個人としては脚本賞8度、監督賞4度ノミネートも受賞がなかったイタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニに贈られた。フェリーニがアカデミー賞授賞式に姿を見せるのはこれがはじめてのこと。ステージにあがったフェリーニは「全ての人に感謝することはできないので1人だけに。ジュリエッタ、泣かないでおくれ!」テレビカメラは大粒の涙をこぼす妻ジュリエッタ・マシーナの姿を映し出した。個人的に『道』や『魂のジュリエッタ』をビデオ鑑賞した直後だったため、この場面は無茶苦茶感動しました!アカデミー賞史上に残る名場面だと思います。フェリーニは当年10月、ジュリエッタは翌年4月に亡くなっている。



★  編集賞のプレゼンターとして登場したティム・ロビンススーザン・サランドンは30秒間の放送枠を買い取り、難民としてフロリダに入ろうとした266名のハイチ人HIV患者をアメリカ政府が受け入れず、グァンタナモ米軍基地に監禁していることを批判した。堂々たる政治発言は大問題となり、2人はオスカーから永久追放処分を受け、(のちに許可がおりる)山ほど脅迫状を受け取ることになる。

★ 外国語映画賞ではウルグアイ作品としてノミネートされていた『ア・プレイス・イン・ザ・ワールド』(日本未公開)がアルゼンチン作品ではないか?とクレームがついたため候補から外されてしまった。(アカデミー賞ではノミネート発表後、ライバルを蹴落とすためか?この手のクレームが時々おこる)監督は復活をもとめて訴訟したが、認められなかった。受賞したのはフランスからエントリーされた『インドシナ』である。

★ 歌曲賞には日本でも大ヒットしたケヴィン・コスナー、ホイットニー・ヒューストン主演の『ボディガード』から2曲ノミネートされていたが受賞は逃した。ちなみにテーマ曲「I Will Always Love You」がノミネートされていないのは、この曲はドリー・パートンのカバーであり、映画のためのオリジナルではないからである。それにしてもボーイ・ジョージが歌った「クライング・ゲーム」がノミネートされていないなんて...。話はそれますが『氷の微笑』の編集賞ノミネートは悪い冗談としか思えない。足を組みかえる場面の編集が評価された?(笑)


第65回(1992年)アカデミー賞ノミネート一覧

 マークは受賞作品。リンクは原則としてamazon

作品賞
  「許されざる者
   「クライング・ゲーム
   「ア・フュー・グッドメン
   「ハワーズ・エンド
   「セント・オブ・ウーマン/夢の香り

主演男優賞
 アル・パチーノ 「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」
   ロバート・ダウニー・Jr 「チャーリー
   クリント・イーストウッド 「許されざる者」
   スティーヴン・レイ 「クライング・ゲーム」
   デンゼル・ワシントン 「マルコムX

主演女優賞
  エマ・トンプソン 「ハワーズ・エンド」
   カトリーヌ・ドヌーヴ 「インドシナ
   メアリー・マクドネル 「パッション・フィッシュ
   ミシェル・ファイファー 「ラブ・フィールド」
   スーザン・サランドン 「ロレンツォのオイル/命の詩



助演男優賞
  ジーン・ハックマン 「許されざる者」
   ジェイ・デヴィッドソン 「クライング・ゲーム」
   ジャック・ニコルソン 「ア・フュー・グッドメン」
   アル・パチーノ 「摩天楼を夢みて
   デヴィッド・ペイマー 「ミスター・サタデー・ナイト」



助演女優賞
 マリサ・トメイ 「いとこのビニー
   ジュディ・デイヴィス 「夫たち、妻たち
   ジョーン・プロウライト 「魅せられて四月
   ヴァネッサ・レッドグレーヴ 「ハワーズ・エンド」
   ミランダ・リチャードソン 「ダメージ

監督賞
 クリント・イーストウッド 「許されざる者」
   ニール・ジョーダン 「クライング・ゲーム」
   ジェームズ・アイヴォリー 「ハワーズ・エンド」
   ロバート・アルトマン 「ザ・プレイヤー
   マーティン・ブレスト 「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」

脚本賞
<オリジナル脚本>
 「クライング・ゲーム」
   「夫たち、妻たち」
   「ロレンツォのオイル/命の詩」
   「パッション・フィッシュ」
   「許されざる者」

<脚色>
  「ハワーズ・エンド」
   「魅せられて四月」
   「ザ・プレイヤー」
   「リバー・ランズ・スルー・イット
   「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」

撮影賞
 「リバー・ランズ・スルー・イット」
   「ホッファ」
   「ハワーズ・エンド」
   「愛人/ラマン
   「許されざる者」

美術監督・装置賞
  「ハワーズ・エンド」
   「ドラキュラ
   「チャーリー」
   「トイズ
   「許されざる者」

音響賞
 「ラスト・オブ・モヒカン
   「アラジン
   「ア・フュー・グッドメン」
   「沈黙の戦艦
   「許されざる者」

編集賞
  「許されざる者」
   「氷の微笑
   「クライング・ゲーム」
   「ア・フュー・グッドメン」
   「ザ・プレイヤー」

作曲賞
 「アラジン
   「氷の微笑」
   「チャーリー」
   「リバー・ランズ・スルー・イット」
   「ハワーズ・エンド」

歌曲賞
  「ホール・ニュー・ワールド」Whole New World (アラジン)
   「わが心のマリア」 Beautiful Maria of My Soul (マンボ・キングス/わが心のマリア
   「フレンド・ライク・ミー」 Friend Like Me (アラジン)
   「アイ・ハブ・ナッシング」  I have Nothing (ボディガード
   「ラン・トゥ・ユー」 Run to You(ボディガード) 

衣装デザイン賞
 「ドラキュラ」
   「魅せられて四月」
   「ハワーズ・エンド」
   「マルコムX」
   「トイズ」

メイクアップ賞
 「ドラキュラ」
   「バットマン リターンズ
   「ホッファ」

視覚効果賞
 「永遠に美しく…
   「エイリアン3
   「バットマン リターンズ」

音響効果編集賞
 「ドラキュラ」
   「アラジン」
   「沈黙の戦艦」

短編賞
<アニメ>
 「MONA LISA DESCENDING A STAIRCASE」
   「ADAM」
   「RECI,RECI,RECI...」
   「THE SANDMAN」
   「SCREEN PLAY」

<実写>
 「OMNIBUS」
   「CONTACT」
   「CRUISE CONTROL」
   「THE LADY IN WAITING」
   「SWAN SONG」  

ドキュメンタリー映画賞
<短編>
 「EDUCATING PETER」
   「AT THE EDGE OF CONQUEST: THE JOURNEY OF CHIEF WAI−WAI」
   「BEYOND IMAGINING: MARGARET ANDERSON AND THE 'LITTLE REVIEW'」
   「THE COLOURS OF MY FATHER:A PORTRAIT OF SAM BORENSTEIN」
   「WHEN ABORTION WAS ILLEGAL:UNTOLED STORIES」

<長編>
 「THE PANAMA DECEPTION」
   「CHANGING OUR MINDS:THE STORY OF DR.EVELYN HOOKER」
   「FIRES OF KUWAIT」
   「LIBERATORS:FIGHTING ON TWO FRONTS IN WORLD WAR II」
   「MUSIC FOR THE MOVIES: BERNARD HERRMANN」

外国語映画賞
 「インドシナ」(フランス)
   「ウルガ」(ロシア)
   「DAENS」(ベルギー)
   「SCHTONK」(ドイツ)

名誉賞
 フェデリコ・フェリーニ
   (世界中の観客を楽しませた、映画製作の業績に対して)

ジーン・ハーショルト友愛賞
 オードリー・ヘプバーン
 エリザベス・テイラー

ゴードン・E・ソーヤー賞
 エリック・カストナー

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2009.02.08 Sunday | 23:56 | アカデミー賞の軌跡 | comments(0) | - |

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