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第51回(1978年)アカデミー賞

第51回(1978年)アカデミー賞

51回アカデミー賞作品賞「ディア・ハンター」第51回アカデミー賞trivia
〜 会場前に「ディア・ハンター」への抗議デモ〜

★ ウォーレン・ベイティは『天国から来たチャンピオン』で作品、監督、主演男優、脚本の4部門にノミネートされた。ベイティは製作者としてもクレジットされているため、前年のウディ・アレンや『市民ケーン』のオーソン・ウェルズを上回る記録となったが『天国から来たチャンピオン』は美術賞のみの受賞に終わり、ベイティはオスカーをひとつも獲得できなかった。

★ 『ディア・ハンター』が9部門、『帰郷』が7部門にノミネートされ、それぞれ5部門、3部門を受賞し、ベトナム戦争映画イヤーとなった。"『ディア・ハンター』はベトナム戦争の事実をゆがめている"という声は映画公開時からあったが、作品賞受賞によりいっそう批判は強まった。監督のマイケル・チミノは「ドラマを盛り上げるためにつくった。私はドキュメンタリーを作ったわけではない」と反論している。授賞式会場前には"作品賞候補『ディア・ハンター』がベトナム戦争の真実を描いていない"と主張するアメリカ復員兵グループがデモを繰り広げており、その夜13人が逮捕された。また「絶対に私たちは立ち去らない」委員会は、映画の中で、ベトナム人が行うロシアン・ルーレット場面を「ベトナム人に対する人種差別攻撃」だと強く非難した。また、この映画をアメリカ人を罪のない犠牲者として描き、戦争問題を無視しているという声もあった。"反戦を訴えた"つもりだったチミノはこれらのデモに衝撃を受けたといわれている。ソ連や東ヨーロッパなどの共産圏は、"ベトコンの行為をゆがめ、人間以下のサディストとして描いている"とこの映画を批判。世界中に波紋を広げた作品であった。



★ベトナム反戦をとなえ、製作もかねた『帰郷』でジェーン・フォンダが2度目の主演女優賞を獲得した。フォンダは手話でスピーチし、会場は感動でつつまれた。しかし授賞式の外では"デモの参加者は「私の友人」。『帰郷』がもっとも優れた作品であり、『ディア・ハンター』は人種差別映画でペンタゴンのベトナム観を代弁している。」と(受賞スピーチではないが)ライバル作品を批判した。



★ 『地獄の黙示録』が完成直前だったフランシス・フォード・コッポラが監督賞のプレゼンターとして登場。一足先に完成した同テーマのライバル作品『ディア・ハンター』のマイケル・チミノに監督賞を手渡すことになった。チミノはこの後大作『天国の門』を製作したが、興行的大失敗により製作会社ユナイテッド・アーテスツを倒産に追い込んでしまったのはよく知られた話である。

★ 前年の授賞式で、司会のボブ・ホープが「オスカーの夜に、デューク(ジョン・ウェイン)がいないのはさみしい」と語ったビデオが流された後、作品賞のプレゼンターとしてジョン・ウェインが登場したときには観客は皆驚いた。ウェインは3ヶ月前、胃と胆嚢癌の手術を受けたばかりだったのだ。ウェインは周囲の反対を押し切って授賞式出席を決め、夫人を舞台袖に待機させていたという。ウェインは「これ以上の良薬はない。私とアカデミー賞の共通点は同じ年に仕事をはじめたこと。年をとってくたびれたが当分がんばる」と語った。超タカ派で知られ、ベトナム戦争を支持していたウェインは黙って『ディア・ハンター』にオスカーを手渡した。2ヶ月後、ウェインは帰らぬ人となった。

★ イングリッド・バーグマンが『秋のソナタ』の奔放なピアニスト役で主演女優賞にノミネートされていた。『秋のソナタ』はスウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマン監督作品。バーグマンにとって祖国スウェーデン映画出演は何と40年ぶりのことだった。ベルイマンは「バーグマンこそ真の女優。もっと早くから彼女と一緒にたくさん仕事がしたかった」と語り、バーグマンも自伝の中で「(『秋のソナタ』で)初めて演技らしい演技をさせてもらえた。私の女優人生はこれで完結したと思えた」と記している。バーグマンは病気により授賞式は欠席。『秋のソナタ』が最後の映画となり3年後に亡くなってしまった。

★ 助演女優賞を受賞したのは『カリフォルニア・スイート』のマギー・スミス。彼女が演じた役はアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたので、授賞式出席のためロンドンからはるばるハリウッドにやってきたが、落選してしまう女優。オスカーに落選した役を演じ実際には受賞してしまうというユニークな現象が起こった。



★ サミー・デイヴィスとスティーヴ・ローレンスが「ノミネートなんかされなくても」と歌うパフォーマンスを行った。『雨に唄えば』にはじまり、オスカーから無視された曲たちを並べたパロディソング。ところがアカデミー音楽部会から「それらの曲がオスカーを受賞しなかったのは曲が悪かったからではない。そんな歌を歌ってくれるな」と抗議があったそうだ。



その後、『42番街』のヒロイン、ルビー・キーナーが歌曲賞のプレゼンターで登場した。"Last Dance" winning Best Original Song Oscar®
ちなみにこの年の歌曲賞は"ディスコの女王"ドナ・サマーが歌った『ラストダンス』。
気位の高いアカデミーらしからぬチョイスだが、懐のひろいところを見せたかった?



第51回(1978年)アカデミー賞ノミネート一覧

 マークは受賞作品。リンクは原則としてamazon

作品賞
  「ディア・ハンター
   「帰郷
   「天国から来たチャンピオン
   「ミッドナイト・エクスプレス
   「結婚しない女

主演男優賞
 ジョン・ヴォイト 「帰郷」
   ウォーレン・ベイティ 「天国から来たチャンピオン」
   ゲイリー・ビューシイ 「バディ・ホリー・ストーリー」
   ロバート・デ・ニーロ 「ディア・ハンター」
   ローレンス・オリヴィエ 「ブラジルから来た少年



主演女優賞
  ジェーン・フォンダ 「帰郷」
   イングリッド・バーグマン 「秋のソナタ
   エレン・バースティン 「セイム・タイム、ネクスト・イヤー」
   ジル・クレイバーグ 「結婚しない女」
   ジェラルディン・ペイジ 「インテリア

助演男優賞
  クリストファー・ウォーケン 「ディア・ハンター」
   ブルース・ダーン 「帰郷」
   リチャード・ファーンズワース 「カムズ・ア・ホースマン」
   ジョン・ハート 「ミッドナイト・エクスプレス」
   ジャック・ウォーデン 「天国から来たチャンピオン」

助演女優賞
 マギー・スミス 「カリフォルニア・スイート」
   ダイアン・キャノン 「天国から来たチャンピオン」
   ペネロープ・ミルフォード 「帰郷」
   モーリン・ステイプルトン 「インテリア」
   メリル・ストリープ 「ディア・ハンター」

監督賞
 マイケル・チミノ 「ディア・ハンター」
   ウディ・アレン 「インテリア」
   ハル・アシュビー 「帰郷」
   ウォーレン・ベイティ、バック・ヘンリー 「天国から来たチャンピオン」
   アラン・パーカー 「ミッドナイト・エクスプレス」

脚本賞
<オリジナル脚本>
 「帰郷」
   「秋のソナタ」
   「ディア・ハンター」
   「インテリア」
   「結婚しない女」

<脚色>
  「ミッドナイト・エクスプレス」
   「愛の断層」
   「カリフォルニア・スイート」
   「天国から来たチャンピオン」
   「セイム・タイム、ネクスト・イヤー」

撮影賞
 「天国の日々」
   「ディア・ハンター」
   「天国から来たチャンピオン」
   「セイム・タイム、ネクスト・イヤー」
   「ウィズ

美術監督・装置賞
  「天国から来たチャンピオン」
   「ブリンクス
   「カリフォルニア・スイート」
   「インテリア」
   「ウィズ」

音響賞
 「ディア・ハンター」
   「バディ・ホリー・ストーリー」
   「天国の日々」
   「グレートスタントマン
   「スーパーマン

編集賞
  「ディア・ハンター」
   「ブラジルから来た少年」
   「帰郷」
   「ミッドナイト・エクスプレス」
   「スーパーマン」

作曲賞
 「ミッドナイト・エクスプレス」
   「ブラジルから来た少年」
   「天国の日々
   「天国から来たチャンピオン」
   「スーパーマン」

編曲・歌曲賞
 「バディ・ホリー・ストーリー」
   「プリティ・ベビー
   「ウィズ」

歌曲賞
  「ラスト・ダンス」 Last Dance (イッツ・フライデー)
   「愛すれど悲し」 Hopelessly Devoted to You (グリース
   「The Last time I Felt Like This」 (セイム・タイム、ネクスト・イヤー)
   「愛に生きる二人」 Ready to Take a Chance Again (ファール・プレイ)
   「ラッシーのテーマ」 When You're Loved (ラッシー) 

衣装デザイン賞
 「ナイル殺人事件
   「キャラバン」
   「天国の日々」
   「スウォーム」
   「ウィズ」

短編賞
<アニメ>
 「SPECIAL DELIVERY」
   「OH MY DARLING」
   「RIP VAN WINKLE」

<実写>
 「TEENAGE FATHER」
   「STRANGE FRUIT」
   「A DIFFERENT APPROACH」
   「MANDY'S GRANDMOTHER」

ドキュメンタリー映画賞
<短編>
 「THE FLIGHT OF THE GOSSAMER CONDOR」
   「THE DIVIDED TRAIL:A NATIVE AMERICAN ODYSSEY」
   「AN ENCOUNTER WITH FACES」
   「GOODNIGHT MISS ANN」
   「SQUIRES OF SAN QUENTIN」

<長編>
 「SCARED STRAIGHT!」
   「THE LOVERS'WIND」
   「MYSTERIOUS CASTLES OF CLAY」
   「RAONI」
   「WITH BABIES AND BANNERS:STORY OF THE WOMEN'S EMERGENCY BRIGADE」

外国語映画賞
 「ハンカチのご用意を」 (フランス)
   「ガラスの独房」 (東独)
   「ハンガリアン」 (ハンガリー)
   「VIVA ITALIA!」 (イタリア)
   「黒い耳の白い犬」 (ソ連)

名誉賞
 ウォルター・ランツ
   (世界中に喜びと笑いをもたらした独創的なアニメ映画)
 近代美術館映画部門
   (人々に映画を芸術として認識させた貢献)
 ローレンス・オリヴィエ
   (重厚な演技と全キャリアの独創的な功績、生涯にわたる映画芸術への貢献)
 キング・ヴィダー
   (映画創造者、革新者としての比類なき功績)

特別業績賞
<視覚効果>
 レイ・ボウイ、コリン・チルバーズ、デニス・コープ、ロイ・フィールド、デレク・メディングス、ゾーラン・ベレイシック(スーパーマン)

ジーン・ハーショルト友愛賞
 レオ・ジャフェ

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2009.02.01 Sunday | 22:09 | アカデミー賞の軌跡 | comments(0) | - |

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