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第46回(1973年)アカデミー賞

第46回(1973年)アカデミー賞

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〜 「エクソシスト」悪魔の声に祟られる〜

★ 前年度主演女優賞のライザ・ミネリが登場。20人のダンサーを従え、トップハット姿で♪Everybody loves ya oscar Everybody wants you oscar♪と歌いだす華やかなオープニングとなった。会場の外には「最優秀サウンド賞および編集賞ニクソン」と書いたプラカードを掲げた観客の姿も見受けられた。もちろんウォーターゲート事件にからめたネタである。

★ 助演男優賞は『ペーパー・チェイス』で大学教授を演じた71歳のジョン・ハウスマンに贈られた。ハウスマンはそれまで映画出演は2本しかなかったが、オーソン・ウェルズのマーキュリー劇団を手がけたり、『ジュリアン・シーザー」(1953)などのプロデュース、ニューヨークのジュリアード演劇学校の講師など多彩なキャリアの持ち主であった。一方助演女優賞は『ペーパー・ムーン」のテイタム・オニール。10歳(出演時は9歳)での受賞は史上最年少記録である。なお、監督のピーター・ボグダノビッチによると「脅したりすかしたり、えらい苦労だった。綿菓子をなめすぎて気持ちが悪いといいだしたりね。あれがオスカー女優だなんて信じられないよ」とのことです。



★ テイタム・オニールのライバルは『エクソシスト』の少女リンダ・ブレアであった。
『エクソシスト』はセットが原因不明の火事で焼け落ちたり、作品の中で殺されてしまう映画監督役のジャック・マッゴーランが撮影直後に急死するなど製作の過程でミステリアスな事故が相次いでいたが、結果として社会現象になるほどのメガヒットとなった。今までのホラー映画と違い、お金をかけ一流の俳優を起用したところにも目新しさがあった。

ワーナーは『エクソシスト』にオスカーをとらせるべく大キャンペーンを張った。特に力を入れていたのがリンダ・ブレアの助演女優賞。少女から悪魔に変身する演技は見事であったが、肝心の声はオスカー女優マーセデス・マッケンブリッジによる吹替であった。しかし監督のウィリアム・フリードキンは彼女の名前をクレジットせず、ワーナー映画社もポスターに彼女の名前を入れなかった。ひとえにリンダ・ブレアにオスカーを受賞させるためである。たまりかねたマッケンブリッジはジャーナリスト、チャールズ・ハイアムに真相を暴露した。

「映画の中で使う宝石の所有主すらクレジットされるのにフリードキンは私をクレジットしてくれなかった」「私は悪魔の声を出すためにあらゆる努力をした。ネクタイで首を絞めて、殺されそうな声を出した。リンダ・ブレアが緑の液体を吐き出す場面では生卵18個を飲んであの声を出した。それなのに...」

この告白によりマッケンブリッジに同情が集まった。大ヒットへの嫉妬も加わり『エクソシスト』は8部門ノミネート中、脚本、音響の2部門受賞に終わってしまった。業界紙はこれを"悪魔の声の祟り"と書きたてている。

★ マーヴィン・ハムリッシュが『追憶』で劇映画作曲賞と歌曲賞、『スティング』で編曲賞と音楽賞3賞を独占した。さすがに3回めのスピーチでは言葉につまり「サンキュー」の一言で切り上げてしまった。この『追憶』のテーマソング、個人的にはいたくお気に入り。数多い映画主題歌のなかでも5本の指に入る名曲だと思う。バーブラの顔が思い浮かばなければもっといいんだけど(笑)

Barbra Streisand - The Way We Were (1975)



★ 主演女優賞のプレゼンターはチャールス・ヘストンとスーザン・ヘイワード。ヘイワードは前年から脳腫瘍に冒されていたが、元気な姿を見せ暖かい拍手を浴びた。だが1年後に亡くなってしまう。受賞者は『ウィークエンド・ラブ』のグレンダ・ジャクソン。事前予想では下位で本人も受賞できると思わなかったのか、2度目の受賞となる今回もロンドンから会場に現れることはなかった。このエピソードは『カリフォルニア・スイート』(1978)でイギリスから授賞式のためにわざわざやってきたのに受賞できなかった女優が「ああ来るんじゃなかった。グレンダなんかいつも欠席しているのに2度も受賞しているのよ」と嘆くセリフに使われている。敗れた『エクソシスト』のエレン・バースティンは舞台裏で大泣きし、スタッフがなだめてもなかなか泣き止まなかったという。



★ 司会者のデヴィット・ニーブンが作品賞のプレゼンター、エリザベス・テイラーを紹介しているとき、全裸のストリーカーがVサインをして舞台を横切るハプニングが起きた。会場は大うけ。続くリズも「あの人に続いて舞台に上がるのは難しい。嫉妬しちゃうわ」とクスクス笑っていた。このストリーカーはロバート・オバルという33歳の男。スダンダップ芸人としてナイトクラブに出演するようになるが、5年後自分が経営しているポルノ・ショップで死体が発見され、再びメディアを賑わせている。

 問題の場面を観たい方はをクリック。はじまって22秒頃に出てきます。



★ キャサリン・ヘプバーンがアーヴィング・G・タールバーク賞のプレゼンターとして登場したとき、会場はスタンディング・オベーションでこの大女優を迎えた。ヘプバーンはこれまで一度も授賞式に顔を出したことはなかったが旧友ローレンス・ウェインガーテンの表彰だということで出演を承諾。ただし、打ち合わせはアカデミー会長ウォルター・ミニッシュだけと行い、スピーチ原稿も自分で用意した。会場の到着に関しても「私の車は8時ちょうどに会場につきます。髪もメイクアップも自宅で整えておきますが、車の中で5分間のみ準備が必要です。そのときがきたらガードマンをこさせて会場に案内してください。衣装室で着替えをして舞台に立ちます。この予定は変更しないでください。もし変更したらそのまま車に乗って帰宅します」と指示する念の入れよう。相変わらずのパンツスーツ姿で登場したヘプバーンは「よかったわ。"今頃のこのこやってきて"といわれなくて」とコメント後、短いスピーチをした。役割を終えると裏口から姿を消し滞在時間は約10分。ヘプバーン、最初で最後の授賞式出演となった。うーん、こんなにエラソーなプレゼンターがいていいのだろうか。どっちが受賞者かわかりゃしない(爆)





第46回(1973年)アカデミー賞ノミネート一覧

 マークは受賞作品。リンクは原則としてamazon

作品賞
  「スティング
   「エクソシスト
   「ウィークエンド・ラブ」
   「アメリカン・グラフィティ
   「叫びとささやき



主演男優賞
 ジャック・レモン 「セイブ・ザ・タイガー
   マーロン・ブランド 「ラストタンゴ・イン・パリ
   ジャック・ニコルソン 「さらば冬のかもめ
   アル・パチーノ 「セルピコ
   ロバート・レッドフォード 「スティング」



主演女優賞
  グレンダ・ジャクソン 「ウィークエンド・ラブ」
   エレン・バースティン 「エクソシスト」
   マーシャ・メイソン 「シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛」
   バーブラ・ストライサンド 「追憶
   ジョアン・ウッドワード 「SUMMER WISHES,WINTER DREAMS」

助演男優賞
  ジョン・ハウスマン 「ペーパー・チェイス」
   ヴィンセント・ガーディニア 「バング・ザ・ドラム」
   ジャック・ギルフォード 「セイヴ・ザ・タイガー」
   ジェイソン・ミラー 「エクソシスト」
   ランディ・クエイド 「さらば冬のかもめ」

助演女優賞
 テイタム・オニール 「ペーパー・ムーン
   リンダ・ブレア 「エクソシスト」
   キャンディ・クラーク 「アメリカン・グラフィティ」
   マデリーン・カーン 「ペーパー・ムーン」
   シルヴィア・シドニー 「SUMMER WISHES,WINTER DREAMS」

監督賞
 ジョージ・ロイ・ヒル 「スティング」
   イングマール・ベルイマン 「叫びとささやき」
   ベルナルド・ベルトルッチ 「ラストタンゴ・イン・パリ」
   ウィリアム・フリードキン 「エクソシスト」
   ジョージ・ルーカス 「アメリカン・グラフィティ」

脚本賞
<脚色>
  「エクソシスト」
   「さらば冬のかもめ」
   「ペーパー・チェイス」
   「ペーパー・ムーン」
   「セルピコ」

<オリジナル脚本>
 「スティング」
   「アメリカン・グラフィティ」
   「叫びとささやき」
   「セイブ・ザ・タイガー」
   「ウィークエンド・ラブ」

撮影賞
 「叫びとささやき」
   「エクソシスト」
   「かもめのジョナサン」
   「スティング」
   「追憶」

美術監督・装置賞
  「スティング」
   「ブラザー・サン シスター・ムーン
   「エクソシスト」
   「トム・ソーヤーの冒険」
   「追憶」

音響賞
 「エクソシスト」
   「イルカの日」
   「ペーパー・チェイス」
   「ペーパー・ムーン」
   「スティング」

編集賞
  「スティング」
   「アメリカン・グラフィティ」
   「ジャッカルの日
   「エクソシスト」
   「かもめのジョナサン」

作曲賞
 「追憶」
   「シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛」
   「イルカの日」
   「パピヨン
   「ウィークエンド・ラブ」

編曲・歌曲賞
 「スティング」
   「ジーザス・クライスト・スーパースター
   「トム・ソーヤーの冒険」

歌曲賞
  「追憶」 The Way We Were (追憶)
   「All That Love Went to Waste」 (ウィークエンド・ラブ)
   「Live And Let Die」 (007/死ぬのは奴らだ
   「Love」 (ロビン・フッド
   「You're So Nice to Be Around」 (シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛)

衣装デザイン賞
 「スティング」
   「叫びとささやき」
   「ルードウィヒ
   「トム・ソーヤーの冒険」
   「追憶」

短編賞
<アニメ>
 「FRANK FILM」
   「THE LEGEND OF JOHN HENRY」
   「PULCINELLA」

<実写>
 「THE BOLERO」
   「CLOCKMAKER」
   「LIFE TIMES NINE」

ドキュメンタリー映画賞
<短編>
 「PRINCETON:A SEARCH FOR ANSWERS」
   「BACKGROUND」
   「CHILDREN AT WORK(PAISTI AG OBAIR)」
   「クリストのヴァレー・カーテン」
   「FOUR STONES FOR KANEMITSU」

<長編>
 「THE GREAT AMERICAN COWBOY」
   「ALWAYS A NEW BEGINNING」
   「BATTLE OF BERLIN」
   「JOURNEY TO THE OUTER LIMITS」
   「WALLS OF FIRE」

外国語映画賞
 「映画に愛をこめて アメリカの夜」(フランス)
   「THE HOUSE ON CHELOUCHE STREET」 (イスラエル)
   「L'INVITATION」(仏/スイス)
   「THE PEDESTRIAN」(西ドイツ)
   「ルトガー・ハウアー/危険な愛」 (オランダ)

Francois Truffaut accepting Best Foreign Language Film for "Day for Night"

名誉賞
 アンリ・ラングロワ
   (映画芸術への献身、過去の映画保存の功績と将来への変わらぬ映画への忠誠)
 グルーチョ・マルクス   (喜劇映画におけるマルクス兄弟の比類なき功績とすばらしき創造性)

アーヴィング・G・タールバーグ記念賞
 ローレンス・ウェインガーテン

ジーン・ハーショルト友愛賞
 ルー・ワッサーマン

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2009.01.30 Friday | 21:28 | アカデミー賞の軌跡 | comments(0) | - |

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