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第40回(1967年)アカデミー賞

第40回(1967年)アカデミー賞

40回アカデミー賞作品賞「夜の大捜査線」第40回アカデミー賞trivia
〜黒人映画がニューシネマを蹴散らす!〜

★ 前年の9月、アメリカ映画協会会長ジャック・ヴァレンティが映画倫理自主規定を改定し、観客の年齢を基準としたレーティング・システムを採用したためアメリカ映画は暴力やセックスを自由に描けるようになった。『俺たちに明日はない』はアメリカよりもロンドンで大反響を呼んだ。Time誌が"これまでのハリウッド映画になかった斬新さをもつ"として特集をくむほどであった。「俺たちに〜」は9部門ノミネートされていたが、結局助演女優賞、撮影賞の2冠に終わった。同じくニュー・シネマとして話題になっていた『卒業』は作品賞の本命と呼ばれていたが、マイク・ニコルズの監督賞のみの受賞となった。ニュー・シネマは保守的なハリウッドで簡単には受け入れられなかった。

★ この年のアカデミー賞は1968年4月8日に開催される予定だった。だが4月4日にマーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺される事件が起こった。プレゼンターとして登場予定のシドニー・ポワチエなど数人が葬儀に参列することを受け、授賞式は2日延期されることになる。当時のアカデミー会長はグレゴリー・ペック。『アラバマ物語』で黒人差別と取り組んだ弁護士を演じたペックらしい対応であった。

★ この年は黒人映画が猛威をふるった年だった。『夜の大捜査線』は人種差別意識が根強く存在する南部の町で起こった殺人事件に白人所長が黒人刑事に頭を下げて協力を要請する作品。また『招かれざる客』は娘が個人と結婚すると聞いて動揺する白人の親を描いた内容であった。『夜の大捜査線』は作品・主演男優・脚色賞など5部門、『招かれざる客』は主演女優、脚本の2部門と黒人映画が主要部門をかっさらっていった。この年、上記2作と『いつも心に太陽を』の3本に主演していたシドニー・ポアチエが票割れによりノミネートされないという不可解なことが起こった。ポアチエが主演女優賞のプレゼンターとして登場すると盛大な拍手が巻き起こっている。

★ そのグレゴリー・ペック会長の尽力もあり、演技賞候補20人のうち18人が出席した。欠席は『招かれざる客』で久しぶりの共演となったキャサリン・ヘプバーンスペンサー・トレイシー。トレイシーは『招かれざる客』の撮影直後に急死しておりヘプバーンはフランスで『シャイヨの伯爵夫人』の撮影中だった。受賞の連絡を受けたヘプバーンは「受賞は非常に喜ばしいことですが、まったくの驚きでした。仲間たちから大きな愛情のこもった抱擁をされたように思います」とアカデミーに電報を打った。その後インタビューで「彼らは私のような老女に対して普通このようなことはしないものですよ」と語っている。ヘプバーンは当時59歳であった。

★ 過去5度の監督賞ノミネートを受けながらいずれも受賞を逃してきたアルフレッド・ヒッチコック監督にアーヴィング・G・タルバーグ賞が贈られた。ヒッチコックは「私は"殺しすぎた男"だから監督賞はもらえないのでしょう」と挨拶した。アーヴィング・G・タルバーグ賞は現役製作者の功績を称えるための賞だったが、次第に今回のような「オスカーに無縁だった人のための慰め賞」的な色合いが濃くなってゆくことになる。ちなみにヒッチコックはアカデミー賞について聞かれると「毎年、皆が欲しがる賞なのに前年の受賞者のことは誰も覚えていない」「オスカー受賞を私の場合にたとえていうなら、花嫁の介添え役を何度もやらされているけど、自分は売れ残ってしまった哀れなオールド・ミスのようなもんだよ」と辛らつな答えをしている。



★ 1963年度の外国語映画賞ノミネート『古都』と同じコンビ中村登監督・岩下志麻主演『智恵子抄』が再び同賞にノミネートされたが、2年前の『怪談』(小林正樹監督)と同じくチェコスロバキア映画に敗れてしまった。


第40回(1967年)アカデミー賞ノミネート一覧

 マークは受賞作品。リンクは原則としてamazon

作品賞
  「夜の大捜査線
   「俺たちに明日はない
   「ドリトル先生不思議な旅
   「卒業
   「招かれざる客

主演男優賞
 ロッド・スタイガー 「夜の大捜査線」
   ウォーレン・ビーティ 「俺たちに明日はない」
   ダスティン・ホフマン 「卒業」
   ポール・ニューマン 「暴力脱獄
   スペンサー・トレイシー 「招かれざる客」

主演女優賞
  キャサリン・ヘプバーン 「招かれざる客」
   アン・バンクロフト 「卒業」
   フェイ・ダナウェイ 「俺たちに明日はない」
   イーディス・エヴァンス 「哀愁の旅路」
   オードリー・ヘプバーン 「暗くなるまで待って

助演男優賞
  ジョージ・ケネディ 「暴力脱獄」
   ジョン・カサヴェテス「特攻大作戦
   ジーン・ハックマン 「俺たちに明日はない」
   セシル・ケラウェイ 「招かれざる客」
   マイケル・J・ポラード 「俺たちに明日はない」



助演女優賞
 エステル・パーソンズ 「俺たちに明日はない」
   キャロル・チャニング 「モダン・ミリー
   ミルドレッド・ナトウィック 「裸足で散歩
   ビア・リチャーズ 「招かれざる客」
   キャサリン・ロス 「卒業」



監督賞
 マイク・ニコルズ 「卒業」
   リチャード・ブルックス 「冷血
   ノーマン・ジュイソン 「夜の大捜査線」
   スタンリー・クレイマー 「招かれざる客」
   アーサー・ペン 「俺たちに明日はない」

Mike Nichols winning the OscarR for Directing "The Graduate"

脚本賞
<脚色>
  「夜の大捜査線」
   「暴力脱獄」
   「卒業」
   「冷血」
   「ユリシーズ」

<オリジナル脚本>
 「招かれざる客」
   「俺たちに明日はない」
   「DIVORCE, AMERICAN STYLE」
   「戦争は終った
   「いつも2人で

撮影賞
 「俺たちに明日はない」
   「キャメロット
   「ドリトル先生不思議な旅」
   「卒業」
   「冷血」

美術監督・装置賞
  「キャメロット」
   「ドリトル先生不思議な旅」
   「招かれざる客」
   「じゃじゃ馬ならし
   「モダン・ミリー」

音響賞
 「夜の大捜査線」
   「キャメロット」
   「特攻大作戦」
   「ドリトル先生不思議な旅」
   「モダン・ミリー」

編集賞
  「夜の大捜査線」
   「ビーチレッド戦記」
   「特攻大作戦」
   「ドリトル先生不思議な旅」
   「招かれざる客」

特殊視覚効果賞
  「ドリトル先生不思議な旅」
   「トブルク戦線」

音響効果賞
  「特攻大作戦」
   「夜の大捜査線」

作曲賞
 「モダン・ミリー」
   「暴力脱獄」
   「ドリトル先生不思議な旅」
   「遥か群衆を離れて」
   「冷血」

編曲賞
 「キャメロット」
   「ドリトル先生不思議な旅」
   「招かれざる客」
   「モダン・ミリー」
   「哀愁の花びら

歌曲賞
  「動物とおしゃべり」 Talk to the Animals (ドリトル先生不思議な旅)
   「ベアネセシティ」The Bare Necessities (ジャングル・ブック
   「The Eyes of Love」 (夜の誘惑)
   「恋の面影」 The Look of Love (007/カジノ・ロワイヤル
   「Thoroughly Modern Millie」 (モダン・ミリー) 

衣装デザイン賞
 「キャメロット」
   「俺たちに明日はない」
   「最高にしあわせ」
   「じゃじゃ馬ならし」
   「モダン・ミリー」

短編賞
<カートゥーン>
 「箱」
   「HYPOTHESE BETA」
   「WHAT ON EARTH!」

<実写>
 「A PLACE TO STAND」
   「PADDLE TO THE SEA」
   「SKY OVER HOLLAND」
   「STOP,LOOK AND LISTEN」


ドキュメンタリー映画賞
<短編>
 「THE REDWOODS」
   「MONUMENT TO THE DREAM」
   「A PLACE TO STAND」
   「SEE YOU AT THE PILLAR」
   「WHILE I RUN THIS RACE」

<長編>
 「アンダーソン・プラトーン」
   「FESTIVAL」
   「HARVEST」
   「A KING'S STORY」
   「A TIME FOR BURNING」

外国語映画賞
 「厳重に監視された列車」(チェコ)
   「恋は魔術師」 (スペイン)
   「ジプシーの唄をきいた」(ユーゴ)
   「パリのめぐり逢い」(フランス)
   「智恵子抄」(日本)

名誉賞
 アーサー・フリード
   (アカデミーへの貢献と6回に及ぶ高視聴率授賞式中継番組の製作)

アーヴィング・G・タールバーグ記念賞
 アルフレッド・ヒッチコック

ジーン・ハーショルト友愛賞
 グレゴリー・ペック

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2009.01.27 Tuesday | 22:28 | アカデミー賞の軌跡 | comments(0) | - |

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