映画のメモ帳+α

音楽映画、アカデミー賞関連の記事に力を入れています。
ゾンビ、スタートレック、ヒッチコック監督作、ドキュメンタリー映画のカテゴリーもあり。
映画300字レビュー、はじめました。
※TB、コメントともに承認制とさせていただいております

<< 第35回(1962年)アカデミー賞 | TOP | 第37回(1964年)アカデミー賞 >>

第36回(1963年)アカデミー賞

第36回(1963年)アカデミー賞

36回アカデミー賞作品賞「トム・ジョーンズの華麗な冒険」第36回アカデミー賞trivia
〜シドニー・ポアチエに黒人初の主演男優賞〜

★ 1963年11月22日、公民権法の実現に向けて動いていたケネディ大統領が暗殺された。
黒人問題をめぐって全米は緊迫状態であった。そんな社会情勢のなか、『野のユリ』のシドニー・ポアチエが主演男優賞を受賞。黒人の演技賞受賞は1939年度『風と共に去りぬ』で助演女優賞を受賞したハティ・マクダニエルに続いて2人目。主演賞受賞は黒人としてははじめてであった。「自分ひとりがもらったとは思っていない。ずっと努力を続けていた何百人もの黒人俳優の努力がいま実ったのだ」とポアチエは語った。ただポアチエは"ハリウッドが作り出した黒人の理想像"を演じているにすぎないと評され、黒人層の支持はなかなか得られなかった。



★ 音楽賞の発表でプレゼンターとして登場したのはサミー・デイヴィス・ジュニア。編曲賞候補を読み上げた後、間違って作曲賞候補の封筒を手渡されそのまま読み上げてしまった。「後のが速達できたようだね。NAACP(全米有色人種地位向上委員会)が黙っちゃいないぞ」と切り抜け作曲賞候補を読み上げた。もうみんな受賞者を知っている状態だったがサミーは「誰がもらうかあててみな」とジョークを飛ばし会場の爆笑を誘った。

★ "フリー・シネマ"の代表格といわれるトニー・リチャードソン監督の『トム・ジョーンズの華麗な冒険』が大ヒットし作品評価も高かった。ついに完成した『クレオパトラ』や初のシネラマ劇映画『西部開拓史』らのハリウッド大作とわたりあい、作品、監督、脚色、作曲の4部門を獲得した。『クレオパトラ』も4部門獲得したが主要賞はゼロ。お騒がせのエリザベス・テイラー&リチャード・バートンはノミネートもされなかった。

★ 演技賞候補20人のうち、8人が英国俳優であったが受賞は助演女優賞のマーガレット・ラザフォードひとりだった。72歳のラザフォードはアガサ・クリスティのキャラクター、ミス・マーブルを4回演じており人気を博していた。受賞作『予期せぬ出来事』でもおとぼけ婆さんぶりを発揮して、見事に受賞をはたした。ラザフォードはロンドンにいて授賞式は欠席したが「感激した。私みたいな歳の人間がこんなこと言うのは恥知らずかもしれないけど、これが私の映画人生の再出発になってくれたらと願っている」と語った。ラザフォードはその後4年ほど映画出演を続け1972年に亡くなっている。

★ 助演男優賞は『TWILIGHT OF HONOR』のニック・アダムスが最有力と呼ばれていた。アダムスは1時間半も前に会場入りし終始落ち着かない様子だった。殺人犯に間違えられる役でのノミネートだったが、受賞を逃した瞬間のアダムスはまるで殺人犯のようだったとコラムに書かれてしまった。また助演男優賞には『枢機卿』でジョン・ヒューストンがノミネートされていた。彼は『黄金』で監督賞を受け、父親のウォルター・ヒューストンに助演男優賞をもたらしている。受賞を逃しても「偉大な俳優は一家に一人いれば十分」とニタニタ笑っていた。ジョン・ヒューストンはこの後、娘アンジェリカ・ヒューストンにもオスカーをもたらすのだが...。

★ この年のスポンサーはホンダとP&G社だった。「ホンダ、ホンダ、世界のホンダ」の大キャンペーンでアメリカ・マーケットでの地位を築いた。


第36回(1963年)アカデミー賞ノミネート一覧

 マークは受賞作品。リンクは原則としてamazon

作品賞
  「トム・ジョーンズの華麗な冒険
   「アメリカ アメリカ」
   「クレオパトラ
   「西部開拓史
   「野のユリ」

主演男優賞
 シドニー・ポワチエ 「野のユリ」
   アルバート・フィニー 「トム・ジョーンズの華麗な冒険」
   リチャード・ハリス 「孤独の報酬
   レックス・ハリソン 「クレオパトラ」
   ポール・ニューマン 「ハッド

主演女優賞
  パトリシア・ニール 「ハッド」
   レスリー・キャロン 「THE L-SHAPED ROOM」
   シャーリー・マクレーン 「あなただけ今晩は
   レイチェル・ロバーツ 「孤独の報酬」
   ナタリー・ウッド 「マンハッタン物語」

助演男優賞
  メルヴィン・ダグラス 「ハッド」
   ニック・アダムス 「TWILIGHT OF HONOR」
   ボビー・ダーリン 「ニューマンという男」
   ヒュー・グリフィス 「トム・ジョーンズの華麗な冒険」
   ジョン・ヒューストン 「枢機卿」

助演女優賞
 マーガレット・ラザフォード 「予期せぬ出来事」
   ダイアン・シレント 「トム・ジョーンズの華麗な冒険」
   イーディス・エヴァンス 「トム・ジョーンズの華麗な冒険」
   ジョイス・レッドマン 「トム・ジョーンズの華麗な冒険」
   リリア・スカラ 「野のユリ」

監督賞
 トニー・リチャードソン 「トム・ジョーンズの華麗な冒険」
   フェデリコ・フェリーニ 「8 1/2
   エリア・カザン 「アメリカ アメリカ」
   オットー・プレミンジャー 「枢機卿」
   マーティン・リット 「ハッド」

脚本賞
<脚色
  「トム・ジョーンズの華麗な冒険」
   「ニューマンという男」
   「ハッド」
   「野のユリ」
   「シベールの日曜日」

<オリジナル脚本>
 「西部開拓史」
   「アメリカ アメリカ」
   「8 1/2」
   「祖国は誰のものぞ」
   「マンハッタン物語」

撮影賞
<白黒>
 「ハッド」
   「THE CARETAKERS」
   「野のユリ」
   「マンハッタン物語」
   「THE BALCONY」

<カラー>
 「クレオパトラ」
   「枢機卿」
   「西部開拓史」
   「あなただけ今晩は」
   「おかしなおかしなおかしな世界」

美術監督・装置賞
<白黒>
  「アメリカ アメリカ」
   「8 1/2」
   「ハッド」
   「マンハッタン物語」
   「TWILIGHT OF HONOR」

<カラー>
 「クレオパトラ」
   「枢機卿」
   「ナイスガイ・ニューヨーク」
   「西部開拓史」
   「トム・ジョーンズの華麗な冒険」

音響賞
 「西部開拓史」
   「おかしなおかしなおかしな世界」
   「クレオパトラ」
   「ニューマンという男」
   「バイ・バイ・バーディー」

編集賞
  「西部開拓史」
   「枢機卿」
   「クレオパトラ」
   「大脱走
   「おかしなおかしなおかしな世界」

特殊視覚効果賞
  「クレオパトラ」
   「

音響効果賞
  「おかしなおかしなおかしな世界」
   「ミサイル空爆戦隊」

作曲賞
 「トム・ジョーンズの華麗な冒険」
   「クレオパトラ」
   「北京の55日
   「西部開拓史」
   「おかしなおかしなおかしな世界」

編曲賞
 「あなただけ今晩は」
   「バイ・バイ・バーディー」
   「パリが恋するとき」
   「シベールの日曜日」
   「王様の剣

歌曲賞
  「Call Me Irresponsible」 (パパは王様)
   「シャレード」 Charade(シャレード
   「It's A Mad,Mad,Mad,Mad World」 (おかしなおかしなおかしな世界)
   「モア」 More(世界残酷物語
   「So Little Time」 (北京の55日) 

衣装デザイン賞
<白黒>
 「8 1/2」
   「マンハッタン物語」
   「七月の女」
   「欲望の家」
   「WIVES AND LOVERS」

<カラー>
 「クレオパトラ」
   「枢機卿」
   「西部開拓史」
   「山猫
   「パリが恋するとき」

短編賞
<カートゥーン>
 「THE CRITIC」
   「AUTOMANIA 2000」
   「遊び」
   「MY FINANCIAL CAREER」
   「PIANISSIMO」

<実写>
 「ふくろうの河
   「THE CONCERT」
   「HOME-MADE CAR」
   「SIX-SIDED TRAINGLE」
   「THAT'S ME」

ドキュメンタリー映画賞
<短編>
 「CHAGALL」
   「THE FIVE CITIES OF JUNE」
   「THE SPIRIT OF AMERICA」
   「THIRTY MILLION LETTERS」
   「TO LIVE AGAIN」

<長編>
 「ROBERT FROST:A LOVER'S QUARREL WITH THE WORLD 」
   「THE LINK AND THE CHAIN(LE MAILLON ET LA CHAINE)」
   「THE YANKS ARE COMING」

外国語映画賞
 「8 1/2」(イタリア)
   「水の中のナイフ」 (ポーランド)
   「バルセロナ物語」 (スペイン)
   「夜霧のしのび逢い」(ギリシャ)
   「古都」(日本)

アーヴィング・G・タールバーグ記念賞
 サム・スピーゲル

人気blogランキングこの記事が参考になりましたら左のバナーにクリックお願いします!
2009.01.25 Sunday | 23:15 | アカデミー賞の軌跡 | comments(0) | - |

スポンサーサイト


2017.05.25 Thursday | 23:15 | - | - | - |

コメント

コメントする









▲top