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第33回(1960年)アカデミー賞

第33回(1960年)アカデミー賞

33回アカデミー賞作品賞「アパートの鍵貸します」第33回アカデミー賞trivia
〜露骨な宣伝が逆効果となった「アラモ」〜

★ ジョン・ウェインが私財を投入し製作・監督・出演をかねた『アラモ』。ウェインは『風と共に去リぬ』を手がけた凄腕宣伝マン、ラッセル・バードウェルを雇い、業界紙に露骨な宣伝を繰り広げた。映画の宣伝というより明らかにオスカーを取るための宣伝であった。「ハリウッドは愛国的題材を扱った『アラモ』を表彰するべきである」「今年のオスカーは世界に何を告げるだろうか?それはオスカー次第だ」「『アラモ』に投票しない人間は愛国者ではない」「史上最高の映画」...あまりにも露骨な宣伝文句のオンパレードに「ジョン・ウェインはオスカーを金で買おうとしている」という批判の声があがった。おまけに助演のチル・ウィリスまで「われわれ「アラモ」の出演者は、テキサス人がアラモで生きながらえたいと思った以上に、チル・ウィリスが受賞することを切望している」という広告を出して大顰蹙をかった。ウェインは脇役であるウィリスが目立とうとしたのに腹を立て、公式の場でウェインを批判するという茶番まで引き起こした。とうとうアカデミー理事会は「あからさまで、俗悪かつ行過ぎた票集め」を自粛するように呼びかけた。それでも宣伝のかいあって『アラモ』は作品賞を含む6部門にノミネートされた。ウィリスは助演男優賞にノミネートされたが、ジョン・ウェインは監督賞にも主演男優賞にもノミネートされなかった。結局、派手な宣伝は災いとなり受賞は音響賞だけという地味な結果に終わってしまった。

★ 主演男優、助演女優、脚色賞という主要部門を受賞した『エルマー・カントリー』は『アラモ』とは対照的にほとんど宣伝費を使わなかったといわれている。主演男優賞を受賞したバート・ランカスターが出した広告は「投票の前に私の映画を観てください」というシンプルきわまるものだった。

オスカー像を手にするエリザベス・テイラー★ この頃はエリザベス・テイラーが毎年のようにスキャンダル爆弾をはなっていた。夫の死から1年もたたないうちにデビー・レイノルズからその夫エディ・フィッシャーを横取りし結婚した。その騒ぎがやっと収まったとおもったら大作『クレオパトラ』の撮影中に肺炎となり、生死をさまよった。撮影は一時中断し3月に再開されたが、再び肺炎にかかり手術が行われた一時は「リズ死す」のニュースが全米をかけめぐったほどである。3月27日に退院し、授賞式の4月17日、はじめて公に姿を表した。4年連続のノミネートだったことと大病への同情票が集まり、ついにリズは主演女優賞を受賞した。リズはエディ・フィッシャーに支えられ、よろめくようにステージにあがり小声で「ありがとうございます」と言うのが精一杯だった。対象作『バターフィールド8』はリズがコールガールの役を嫌がり、脚本を書き直させてやっと出演した作品。リズ自身この映画が嫌いで「オスカーをもらえたのは肺炎で死にそうになったから」「前にノミネートされた作品(『熱いトタン屋根の猫』『去年の夏突然に』)の演技のほうがずっといい」「アカデミー賞をもらったのは嬉しかったけど、完成後一度も観ていない」と語っている。





★ 前年11月、クラーク・ゲーブルが急死し、この4月にはゲーリー・クーパーに重体説が流れていた。アカデミーは彼に名誉賞を贈り、その功績をたたえた。代理でステージにあがったジェームズ・スチュワートが涙ながらに「クープは私たちの誇りです」と弔辞のようなスピーチを行ったため重体説は真実味を帯び、2日後クーパーが癌に侵されていることが公表された。約1ヵ月後の5月13日、クーパーは帰らぬ人となっている。


33回(1960年)アカデミー賞ノミネート一覧

 マークは受賞作品。リンクは原則としてamazon

作品賞
  「アパートの鍵貸します
   「アラモ
   「エルマー・ガントリー/魅せられた男
   「息子と恋人」
   「サンダウナーズ」



主演男優賞
 バート・ランカスター 「エルマー・ガントリー/魅せられた男」
   トレヴァー・ハワード 「息子と恋人」
   ジャック・レモン 「アパートの鍵貸します」
   ローレンス・オリヴィエ  「寄席芸人」
   スペンサー・トレイシー 「風の遺産

主演女優賞
  エリザベス・テイラー 「バタフィールド8」
   グリア・ガーソン 「ルーズベルト物語」
   デボラ・カー 「サンダウナーズ」
   シャーリー・マクレーン 「アパートの鍵貸します」
   メリナ・メルクーリ 「日曜はダメよ」

助演男優賞
  ピーター・ユスティノフ 「スパルタカス
   ジャック・クラスチェン 「アパートの鍵貸します」
   サル・ミネオ 「栄光への脱出
   チル・ウィルス 「アラモ」
   ピーター・フォーク 「殺人会社」

助演女優賞
 シャーリー・ジョーンズ 「エルマー・ガントリー/魅せられた男」
   グリニス・ジョンズ  「サンダウナーズ」
   シャーリー・ナイト 「階段の上の暗闇」
   ジャネット・リー 「サイコ
   メアリー・ユーア 「息子と恋人」




監督賞
 ビリー・ワイルダー 「アパートの鍵貸します」
   ジャック・カーディフ 「息子と恋人」
   ジュールス・ダッシン 「日曜はダメよ」
   アルフレッド・ヒッチコック 「サイコ」
   フレッド・ジンネマン 「サンダウナーズ」

Billy Wilder winning the OscarR for Directing "The Apartment"

脚本賞
<脚色>
  「エルマー・ガントリー/魅せられた男」
   「風の遺産」
   「息子と恋人」
   「サンダウナーズ」
   「TUNES OF GLORY」

<オリジナル脚本>
 「アパートの鍵貸します」
   「THE ANGRY SILENCE」
   「よろめき珍道中」
   「ヒロシマモナムール(二十四時間の情事)」
   「日曜はダメよ」

撮影賞
<白黒>
 「息子と恋人」
   「アパートの鍵貸します」
   「よろめき珍道中」
   「風の遺産」
   「サイコ」

<カラー>
 「スパルタカス」
   「アラモ」
   「バタフィールド8」
   「栄光への脱出」
   「ペペ」

美術監督・装置賞
<白黒>
  「アパートの鍵貸します」
   「よろめき珍道中」
   「サイコ」
   「息子と恋人」
   「底抜け宇宙旅行」

<カラー>
 「スパルタカス」
   「シマロン」
   「ナポリ湾
   「ペペ」
   「ルーズベルト物語」

音響賞
 「アラモ」
   「アパートの鍵貸します」
   「シマロン」
   「ペペ」
   「ルーズベルト物語」

編集賞
  「アパートの鍵貸します」
   「アラモ」
   「風の遺産」
   「ペペ」
   「スパルタカス」

特殊効果賞
  「タイム・マシン/80万年後の世界へ
   「最後の航海」

劇・喜劇映画音楽賞
 「栄光への脱出」
   「アラモ」
   「エルマー・ガントリー/魅せられた男」
   「荒野の七人
   「スパルタカス」

ミュージカル映画音楽賞
 「わが恋は終りぬ」
   「ベルズ・アー・リンギング
   「カンカン」
   「恋をしましょう
   「ペペ」

歌曲賞
  「日曜はダメよ」Never on Sunday (日曜はダメよ)
   「The Facts of Life」 (よろめき珍道中)
   「Faraway Part of Town」 (ペペ)
   「遙かなるアラモ」The Green Leaves of Summer (アラモ)
   「The Second Time Around」 (HIGH TIME) 

衣装デザイン賞
<白黒>
 「よろめき珍道中」
   「日曜はダメよ」
   「暗黒街の帝王レッグス・ダイヤモンド」
   「賭場荒し」
   「処女の泉

<カラー>
 「スパルタカス」
   「カンカン」
   「誰かが狙っている」
   「ペペ」
   「ルーズベルト物語」

短編賞
<カートゥーン>
 「MUNRO」
   「豆象武勇伝」
   「HIGH NOTE」
   「MOUSE AND GARDEN」
   「A PLACE IN THE SUN」

<実写>
 「DAY OF THE PAINTER」
   「THE CREATION OF WOMAN」
   「絶海の島々」
   「A SPORT IS BORN」

ドキュメンタリー映画賞
<短編>
 「GIUSEPPINA」
   「BEYOND SILENCE」
   「A CITY CALLED COPENHAGEN」
   「GEORGE GROSZ'INTERREGNUM」
   「UNIVERSE」

<長編>
 「金色の名馬ノーチカル号」
   「REBEL IN PARADISE」

外国語映画賞
 「処女の泉」 (スウェーデン)
   「真実」 (フランス)
   「THE NINTH CIRCLE」 (ユーゴスラヴィア)
   「MACARIO」 (メキシコ)
   「ゼロ地帯」 (イタリア)

名誉賞
 ゲイリー・クーパー
   (忘れえぬ演技と、個人として映画界にもたらした世界的貢献)
 スタン・ローレル
   (コメディ映画における創造的・先駆的業績)
 ヘイリー・ミルズ
   (「ポリアンナ」における子役演技)

ジーン・ハーショルト友愛賞
 ソル・レッサー

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2009.01.22 Thursday | 01:19 | アカデミー賞の軌跡 | comments(0) | - |

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