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第29回(1956年)アカデミー賞

第29回(1956年)アカデミー賞

29回アカデミー賞作品賞「80日間世界一周」第29回アカデミー賞trivia
〜バーグマン復活!脚本部門は大騒動〜

★ イタリアに去って8年がたったイングリッド・バーグマンはハリウッド復帰作『追想』で2度目の主演女優賞を受賞した。周囲の反対を押し切ってバーグマンの起用を決めたダリル・F・ザナックは宣伝力を駆使して「輝かしいキャリアを犠牲にしてまで愛を貫いた女性」のイメージをつくりあげていった。映画はヒットし、いかに観客がバーグマンの復帰を待ち望んでいたかが証明されることになった。授賞式のときバーグマンはパリの舞台にたっており姿を現さなかった。ケーリー・グラントが代理でオスカー像を受け取り「親愛なるイングリッド、君はラジオで僕の声を聞いているだろうか。ここにいる君の友人はみんな君に、おめでとうと、愛と、賛美と親愛の情を送っているのだよ」と呼びかけた。バーグマンはフランス語による再放送を聴いて涙したという。




★ バーグマンと『追想』で共演したユル・ブリナーが『王様と私』で主演男優賞に輝いた。「これが間違いでなければと思います。どんなことがあろうとも、これを返すつもりはありませんよ」と語り笑いを誘った。

★ 『風と共に去る』のドロシー・マローンは明らかに主演であったが、製作会社パラマウントが強敵の多い主演を避け、助演でプッシュした。この戦略は見事に的中し彼女はオスカーを獲得したが、これでは助演賞を設けている意味がないと批判がわきおこった。そこでアカデミーは主演と助演の格付けをスタジオまかせにせず、スタジオからの資料をもとにアカデミーが最終決定をするという方針を打ち出した。ただし、同様のことはその後もたびたび起こっているのが現状である。

★ この年は脚本部門に問題が山積みだった。
 原案賞ノミネート『上流社会』は、1940年度脚本賞受賞の『フィラデルフィア物語』の焼き直しであると異議がとなえられたため、最終投票では受賞対象とされなかった。 脚色賞ノミネート『友情ある説得』は、ノミネート者の名前がなく「アカデミーの規定により、候補者として資格がないライター」と発表された。『友情ある説得』の脚本を書いたのはマイケル・ウィルソン。1951年に『陽のあたる場所』でオスカーを受賞しており、翌年『五本の指』でもノミネートを受けたが"赤狩り"のブラックリストに乗ってしまい、ハリウッドから追放されている。ウィルソンがこの脚本を書いたのは追放される前で、ウィルソンは自分の名前をクレジットするように要請したが製作会社に拒否された。ウィルソンは脚本家組合の仲裁委員会に提訴し、委員会はウィルソンの言い分を支持したが、結局製作会社アライド・アーティスツは彼の名前をクレジットに載せなかった。それでも同業者たちは彼に投票したため困惑したアカデミーが受賞資格なしとしたのである。

原案賞受賞の『黒い牡牛』はロバート・リッチがクレジットされていたが、ハリウッドの人間が誰も知らない名前だった。"ハリウッド・テン"のひとり、ダルトン・トランボではないかとの噂がひろまったがトランボはその疑問に答えず、オスカー像は結局本部の棚に保管されることになった。やはりトランボであったことは後に判明。アカデミーは彼が肺がんを患っていることを知り彼の名を刻んだオスカー像を1975年にトランボに贈った。翌年トランボは亡くなったが、その直前、1953年『ローマの休日』で原案賞を受賞したイーアン・マクレラン・ハンターたる人物もトランボであったことが判明した。トランボは実際のところ2度めの受賞だったのだ。ただし、これはハリウッドでは公然の事実だったといわれている。トランボは1960年『スパルカタス』より実名で仕事を再開、『栄光の脱出』(1960),『パピヨン』(1973)などを手がけ、自ら原作を手がけた『ジョニーは戦場に行った』(1971)では監督もつとめている。


第29回(1956年)アカデミー賞ノミネート一覧

 マークは受賞作品。リンクは原則としてamazon

作品賞
  「80日間世界一周
   「友情ある説得」
   「ジャイアンツ
   「王様と私
   「十戒

主演男優賞
 ユル・ブリンナー 「王様と私」
   ジェームズ・ディーン 「ジャイアンツ」
   カーク・ダグラス 「炎の人ゴッホ
   ロック・ハドソン 「ジャイアンツ」
   ローレンス・オリヴィエ 「リチャード三世」

主演女優賞
  イングリッド・バーグマン 「追想
   キャロル・ベイカー 「ベビイドール」
   キャサリン・ヘプバーン 「雨を降らす男」
   ナンシー・ケリー 「悪い種子
   デボラ・カー 「王様と私」

助演男優賞
  アンソニー・クイン 「炎の人ゴッホ」
   ドン・マレー 「バス停留所
   アンソニー・パーキンス 「友情ある説得」
   ミッキー・ルーニー 「戦塵」
   ロバート・スタック 「風と共に散る

助演女優賞
 ドロシー・マローン 「風と共に散る」
   ミルドレッド・ダンノック 「ベビイドール」
   アイリーン・ヘッカート 「悪い種子」
   マーセデス・マッケンブリッジ 「ジャイアンツ」
   パティ・マコーマック 「悪い種子」

監督賞
 ジョージ・スティーヴンス 「ジャイアンツ」
   マイケル・アンダーソン 「80日間世界一周」
   ウォルター・ラング 「王様と私」
   キング・ヴィダー 「戦争と平和」
   ウィリアム・ワイラー 「友情ある説得」

脚本賞
<原案>
  「黒い牡牛」
   「愛情物語
   「ウンベルトD」
   「狂熱の孤独
   「上流社会」 最終投票から除外

<脚色>
 「80日間世界一周」
   「ベビイドール」
   「炎の人ゴッホ」
   「ジャイアンツ」
   「友情ある説得」 アカデミーの内規によりノミネート資格失効

<オリジナル脚本>
 「赤い風船
   「戦塵」
   「
   「マダムと泥棒
   「影なき恐怖」

撮影賞
<白黒>  
 「傷だらけの栄光」
   「ベビイドール」
   「悪い種子」
   「殴られる男
   「STAGECOACH TO FURY」

<カラー> 
  「80日間世界一周」
   「愛情物語」
   「王様と私」
   「十戒」
   「戦争と平和

美術監督・装置賞
<白黒>  
  「傷だらけの栄光」
   「七人の侍
   「誇りと冒涜」
   「純金のキャデラック」
   「TEENAGE REBEL」

<カラー> 
 「王様と私」
   「80日間世界一周」
   「ジャイアンツ」
   「炎の人ゴッホ」
   「十戒」

録音賞
 「王様と私」
   「愛情物語」
   「黒い牡牛」
   「友情ある説得」
   「十戒」

編集賞
  「80日間世界一周」
   「黒い牡牛」
   「ジャイアンツ」
   「傷だらけの栄光」
   「十戒」

特殊効果賞
  「十戒」
   「禁断の惑星

劇・喜劇映画音楽賞
 「80日間世界一周」
   「追想」
   「ならず者部隊
   「ジャイアンツ」
   「雨を降らす男」

ミュージカル映画音楽賞
 「王様と私」
   「THE BEST THINGS IN LIFE ARE FREE」
   「愛情物語」
   「上流社会」
   「ラスヴェガスで逢いましょう」

歌曲賞
  「ケ・セラ・セラ」Whatever Will Be,Will Be(Que Sera,Sera) (知りすぎていた男)
   「われ汝を愛す」Friendly Persuasion (友情ある説得)
   「Julie」 (影なき恐怖)
   「True Love」 (上流社会)
   「Written on the Wind」 (風と共に散る) 

衣装デザイン賞
<白黒>
 「純金のキャデラック」
   「七人の侍」
   「THE POWER AND THE PRIZE」
   「誇りと冒涜」
   「TEENAGE REBEL」

<カラー>
 「王様と私」
   「80日間世界一周」
   「ジャイアンツ」
   「十戒」
   「戦争と平和」

短編賞
<カートゥーン>
 「近目のマグー・海底旅行」
   「GERALD McBOING BOING ON PLANET MOO」
   「THE JAYWALKER」

<1巻>
 「CRASHING THE WATER BARRIER」
   「I NEVER FORGET A FACE」
   「TIME STOOD STILL」

<2巻>
 「外套」
   「COW DOG」
   「THE DARK WAVE」
   「民族と自然/常夏の楽園サモア」

ドキュメンタリー映画賞
<短編>
 「THE TRUE STORY OF THE CIVIL WAR」
   「A CITY DECIDES」
   「THE DARK WAVE」
   「THE HOUSE WITHOUT A NAME」
   「ディズニーの宇宙旅行」

<長編>
 「沈黙の世界
   「THE NAKED EYE」
   「WHERE MOUNTAINS FLOAT」

外国語映画賞
 「道」 (イタリア)
   「THE CAPTAIN OF KOPENICK」 (西ドイツ)
   「ビルマの竪琴」 (日本)
   「QIVITOQ」 (デンマーク)
   「居酒屋」 (フランス)

名誉賞
 エディ・カンター
   (映画産業への卓越たる奉仕)

アーヴィング・G・タールバーグ記念賞
 バディ・アドラー

ジーン・ハーショルト友愛賞
 Y・フランク・フリーマン


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2009.01.20 Tuesday | 00:17 | アカデミー賞の軌跡 | comments(0) | - |

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