映画のメモ帳+α

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パコと魔法の絵本

パコと魔法の絵本(2008 日本)

「パコと魔法の絵本」公式サイトにリンク英語題  PACO and The Magical Book   
監督   中島哲也   
原作   後藤ひろひと   
脚色   中島哲也 門間宣裕      
撮影   阿藤正一 尾澤篤史                  
音楽   ガブリエル・ロベルト
主題歌  木村カエラ 『memories』              
出演   役所広司 アヤカ・ウィルソン
      妻夫木聡 土屋アンナ 阿部サダヲ 加瀬亮
      小池栄子 劇団ひとり 山内圭哉 國村隼 上川隆也
      

自分一代で会社を築き上げたワガママジジイ、落ちぶれた元有名子役、消防車に轢かれた消防士、ヤンキー看護婦、噂話が好きなオカマ、ピーターパン気取りの医者...。『パコと魔法の絵本』は変な人ばかりが集まっている病院を舞台に繰り広げられるファンタジー映画です。後藤ひろひとの戯曲『MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人』を、実写と3DCGを融合させて映画化しています。監督は『下妻物語』『嫌われ松子の一生』の中島哲也。ポップでカラフルな"中島ワールド"全開の作品に仕上がっています。
 



この豪華キャストによくもまあ、こんなに薄汚いメイクをほどこしたものです。
一目見て誰が演じているかわかったのは劇団ひとりアヤカ・ウィルソンくらい。(ほとんどメイクをしていないから) 小池栄子なんて顔を見ただけでは絶対にわからない。主役の役所広司サンはメイクに3時間かかるため誰よりも早く撮影現場入りしていたそうです。土屋アンナは『下妻物語』と似たようなメイクでした。『下妻〜』同様ドスをきかせた演技で、共演の妻夫木聡を威嚇していました。まあ、"可愛い演技"では妻夫木の足元にも及びませんが(爆)。あのイブシ銀役者國村隼のオカマメイク!「男はコーヒー、女はミルク、おかまはカフェオレ」には爆笑。欧陽菲菲の『ラヴ・イズ・オーヴァー』やジュディ・オングの『魅せられて』を歌うあたりに世代を感じます。
♪wind is blowing from the Aegean〜、女は海〜♪
どうせなら『魅せられて』を豪華映像にのせてフル・バージョン披露してくれればよかったのに!
でも、そういう必然性がないPVまがいな演出、中島監督はしないでしょうね。

オリジナルを知らない方のために。123.5万枚を売り上げ、日本レコード大賞も受賞した曲です!
ジュディ・オング 「魅せられて」



さて、舞台では役者が濃いメイクをするのは当然です。そうしないと後ろの席の人まで顔が見えませんから。逆に一番前なんかで芝居を見ると恐ろしいものを見るはめに....。

映画では大スクリーンですから濃いメイクなどする必要はありません。なのになぜ...。
また、舞台では大げさな芝居はつきものです。でも、あの演技は生で鑑賞するからいいものであってTVでの舞台中継などだと、ただ叫んでいるだけに見えることもあります。映画ではオーバーアクトは嫌われ、抑制のきいた演技がよしとされる傾向があります。この映画ではメイクは濃いは、演技は大袈裟....。日本を代表する映画俳優である役所サンにまであんなに叫ばせて...と思ったら案の定こういうことでした。中島哲也監督は次のように語っています。

「舞台を観た時に面白いと思ったことは全部取り入れようと思いました。確かに舞台と違って映像だとなかなか派手なメイクはしないけど、そういう常識みたいなものをとっぱらっちゃおうというのが、今回トライした部分。」

「戯曲の面白さを崩さないようにしたが、逆に舞台以上に芝居的に描いてやろうと決めました」

策士!(笑)

また実写と3DCGがひとつのシークエンスの中で見事に調和しています。
ラストは実写とCGがころころ入れ替わるのですが、全く違和感がない。CGの部分は、パコ(アヤカ・ウィルソン)が観ている世界なのですが、物語に沿って無理なく展開しているからでしょうね。

映像に懲りすぎる映画はPVのように見えてしまったり、製作者サイドの自己満足が鼻につくばかりで観客が置いてきぼりを食うことが大半です。『パコと魔法の絵本』はCG制作だけで10か月かかったそうですが、観客が不自然に感じないように細心の注意を払ったんでしょう。映像自体リアリティのかけらもない派手なもので、空、木、池...違う人が描いたかのように見えます。でも、それらのパーツがひとつになったとき見事な調和が生まれ、目に優しい映像になっている。中島哲也監督にしか作り出すことができない映像世界ですね。

さて、肝心の物語ですが、気味が悪いくらいストレートなファンタジーです。
前作でヒロインを苛め抜いた人が作ったとは思えないくらい(爆)
お前が私を知っているだけで腹が立つ」と抜かす偏屈ジジイが一日しか記憶が続かない不幸な少女の心に何かを残そうと芝居を計画する。病院中の嫌われ者・偏屈ジジイの提案なんか誰が乗るか〜とならないところがこの物語のよいところ。偏屈ジジイ大貫が、パコに絵本を読んで聞かせる姿をちょっと離れた場所から他の病人たちが見ていたからです。彼の気持ちが嘘でないことは既にわかっていた。「お前が私を知っているだけで腹が立つ」と他人を見下してきた偏屈ジジイが人間の弱さを認め、"涙の止め方"も覚えた。そして"知っているだけで腹が立つ"どころか、ひとりの少女の記憶に必死で残ろうとする。この素敵な矛盾!おそらくこの芝居だけはパコの記憶の中に残り続けたでしょう。

映像をぼーと眺めているだけでも十分に楽しめる作品。家族で鑑賞するのもピッタリでしょう。
そして自分が、自分たちの行動が他人の記憶に残り続けることの素晴らしさを教えてくれる良作。
豪華絢爛な、飛び出す絵本をめくり続けているような感触が残ります。ピカ一の一本!
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パコと魔法の絵本@映画生活


2008.09.19 Friday | 01:52 | 映画 | comments(2) | trackbacks(11) |

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2018.08.18 Saturday | 01:52 | - | - | - |

コメント

こんにちは☆

舞台以上に舞台風に?
そうなんですね〜、
めちゃくちゃ濃い面々でしたよね^^

わたしは阿部サダヲがニガテなので
最後までサダヲに笑えませんでしたけど
お話はとっても素敵でした♪
2008/09/22 10:36 AM by mig
migさん、こんばんわ

舞台っぽさと映画ならではの映像が織り交ざった不思議な作品でした。

サダヲが苦手ですか...
でも彼の登場場面は"笑うところ"じゃないですよ、多分(笑)

とにかく、この映画、派手なのにうるさくないという、映像の質感が好きです!
2008/09/22 7:15 PM by moviepad

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