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イントゥ・ザ・ワイルド

イントゥ・ザ・ワイルド(2007 アメリカ)

「イントゥ・ザ・ワイルド」公式サイトにリンク原題   INTO THE WILD   
監督   ショーン・ペン   
原作   ジョン・クラカワー 『荒野へ』(集英社)   
脚色   ショーン・ペン      
撮影   エリック・ゴーティエ                  
音楽   マイケル・ブルック  カーキ・キング
      エディ・ヴェダー               
出演   エミール・ハーシュ マーシャ・ゲイ・ハーデン
      ウィリアム・ハート ジェナ・マローン
      キャサリン・キーナー ヴィンス・ヴォーン
      クリステン・スチュワート ハル・ホルブルック

第80回(2007年)アカデミー賞助演男優(ハル・ホルブルック)、編集賞ノミネート。

1992年夏、アラスカ山脈の、うらびれたバスの中でひとりの青年が餓死状態で発見された。彼の名はクリス・マッカンドレス。裕福な家庭に育ち、優秀な成績で大学を卒業したばかり。前途洋々な未来が待っていたはずなのに、彼はほぼ全財産を捨てアラスカへと旅立ったあげくの悲劇だった。そんな彼の生き方に迫ったジョン・クラカワーのノンフィクション小説『荒野へ!』はたちまちベストセラーとなった。この小説を映画化したのが『イントゥ・ザ・ワイルド』である。監督としてもキャリアを重ねている名優ショーン・ペンはこの小説にほれこみ、マッカンドレスの両親を10年かけて説得し映画化権を獲得。2007年に全米で公開されるやアカデミー賞をはじめ数多くの映画賞をにぎわせた作品だ。

映画『イントゥ・ザ・ワイルド』予告編



マッカンドレスが旅の途中で出会う人たちは皆魅力的だ。"物資的な世界"に住んでいない彼らはマッカンドレスの"若気の至りにしか見えない行動"を頭ごなしに否定したりしない。話に耳を傾けつつも、彼が親に何の連絡もしていないことに対して、さりげなく苦言する。

だが、この映画はいわゆる"ロードムービー"とは趣を異にする。
旅の途中で出会う人々によって、主人公の人生観が変わったりしないからだ。

マッカンドレスが目指すものは、"究極の自由"すなわち孤独である。
彼の好きな作家であるヘンリー・デイヴィッド・ソローは『ウォールデン-森の生活』(1854年)の中で森での2年2ヶ月もの間、一人で過ごしたことを書き綴っている。マッカンドレスの旅は、文明に毒されずに生きようとした、というよりは、一定期間孤独に浸ることが目的だったという見方のほうが強いようだ。



孤独な時間を過ごすのは決して悪いことではない。
だが、その期間が長すぎると、往々にして悲劇が待ち受けている。

マッカンドレスの両親は子供が行方不明になってはじめて自分たちの諍いが、いかに彼の心を傷つけていたかを理解した。そしてマッカンドレスもバスの中で苦しんでようやく"人は一人では生きていけない、人生の喜びは誰かと分かち合うことではじめて得られる"ことに気づく。
人は何かを成し遂げて得ることよりも何かを失ってはじめてわかることのほうが多い。
哀しいことに、気づいたときにはもう手遅れであることが大半だ。
マッカンドレスは当時23歳。十分やり直しがきく年齢だったのだが...。

マッカンドレスの物語は『荒野へ!』の出版をきっかけに全米で注目を浴び、映画『イントゥ・ザ・ワイルド』のほか、ドキュメンタリー映画 『The Call of the Wild』(2007)、TVシリーズ"Millennium"などで数多く紹介された。大部分がマッカンドレスに好意的な内容だ。だが、アラスカ住民は"地図もコンパスも持たずに旅をするのは無謀そのもの。準備不足としかいいようがなく、彼の行動は実質的な自殺行為"と醒めた目で見ているという。ショーン・ペンは彼の行為を肯定も否定もしない静謐なタッチで描いている。

上映時間148分の映画だが、まるで10時間観ていたかのような感触が残る。
ひとつひとつの場面が示唆するものが多く、厚手の純文学を1冊読了したようなボリュームがある。

『イントゥ・ザ・ワイルド』は一度観ると、心の"荒野"を何かしら刺激する。
10年後、20年後にもう一度観ると印象が変わってくるかもしれない。
時々、見直してみたい作品である。
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参考 Christopher McCandless (Wikipedia 英語)

イントゥ・ザ・ワイルド@映画生活

2008.09.06 Saturday | 21:06 | 映画 | comments(4) | trackbacks(15) |

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2019.09.05 Thursday | 21:06 | - | - | - |

コメント

moviepadさん

おはようございます♪
コメントありがとうございますー

そっか、説得するのに時間かかって、、、
映画化されるまでにはそういう背景あったのですね。

この映画、長いんだけどじっくり時間をかけて撮ったというショーンペンの思い入れが伺えますよね、
ラストがあんなことになるって分かってなかったのですごく衝撃的でした、、、、
ほんとにありえることだけにリアルで怖いです、、、、。
2008/09/07 9:09 AM by mig
migさん、こんばんわ

僕はこの映画はフィクション小説の映画化だと思っていたので、
実話と知ったときには驚きました。
ラストは...予想どおり。当たってほしくなかったんですが(^^;

主人公クリスに感情移入できないという人も結構いるみたいですね。
僕はばっちりOKでした。
クリスの心理を分析しようとすると泥沼にはまりかねないので
記事に書くのは控えた...
というか、はっきり言うと逃げたんですが(笑)

何はともあれ今年の収穫の1本です!
2008/09/07 7:26 PM by moviepad
私もこの作品を観ました。
Happiness is only real When Shared
この言葉、非常に気に入ってます。

自分のブログにも書いたのですが、クリスに若かりし日の自分を思い出していたのか、クリスのように行動に移せなかった自分を思い出していたのかはわかりませんが、感情移入は十分にできていました。
本当に良い作品だと思います。

観る人の年代や価値観でも違いが出ると思いますね。

いつも、素晴らしい情報をありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
2008/09/08 8:24 AM by
亮さん、こんばんわ

僕はクリスの行動に感情移入はできたのですが共鳴したわけではありません。
クリスの行動における、(おそらく本人は自覚していなかったであろう)ネガティブな側面をふくめて
よくわかる!という意味なんです。

立派な大義名分をかかげているけど潜在意識の中で
やはり何かから逃げているんです。
僕はナマケ者なので、クリスのような旅はしたことがないのですが
"もっともらしい大義名分のもと、実は...が嫌だっただけ"
という行動パターンを時折やっちゃうんで(^^;

わかりにくいコメントですいません(汗)
2008/09/08 11:14 PM by moviepad

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