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コースト・ガード

コースト・ガード(2001 韓国)

「コーストガード」ポスター英題   Coast Guard
監督   キム・ギドク   
脚本   キム・ギドク     
撮影   ペク・トンヒョン                  
音楽   チャン・ヨンギュ               
出演   チャン・ドンゴン キム・ジョンハク
      パク・チア ユ・ヘジン

海兵隊員として南北軍事境界線の海岸を警備しているカン上等兵(チャン・ドンゴン)。ある夜、海岸で不審な男を見つけて射殺した。夜7時をすぎても海岸にいる不審人物は北朝鮮のスパイとみなして射殺してよいという掟にしたがったのだ。だが、殺した男は恋人との情事を楽しんでいた民間人だった。カン上等兵はたとえ人違いでも任務に忠実だったとして表彰され、その後休暇をもらう。殺された男の恋人ミア(パク・チア)は鉄柵周辺の男をみな死んだ恋人と錯覚しはじめる。そしてカン上等兵も精神的に追い詰められ、常軌を逸した行動をとるようになる...。

まず、鬼才と評されるキム・ギドク監督作品に大スター、チャン・ドンゴンが出演していることに驚く。
チャン・ドンゴンは歌手シン・スンフンの推薦で『鰐〜ワニ〜』(1996)を見て、ギドクの存在を知った。
だがこのときは映画は気に入ったものの自分はギドク・ワールドの住人ではないと判断したようだ。
その後『悪い男』(2001)を見てさらに触発され、次作(この作品『コースト・ガード』だと思われます)の脚本執筆中だったギドクを訪れ出演を志願した。ハリウッドのスター俳優が自分のキャリアアップのためインディペンド映画に低ギャラで出演するのは珍しいことではないが、韓国では前例のないことだったという。

ギドクのほうもチャン・ドンゴンのスター性を高く評価していた。何と『悪い男』はチャン・ドンゴンをイメージして書かれたという。脚本をドンゴンに見せたが、あまりにも内容が強烈だったためドンゴンが尻込みしてしまった。その『悪い男』を見てドンゴンはギドク作品出演を志願したというのは面白い話である。
脚本を読んだときと、出来上がった映画のイメージがいい意味で違っていたのだろう。
ギドクはチャン・ドンゴンのことを「大スターとは思えないほど謙虚で立派な人物」と評している。

ギドクは20歳で海兵隊に志願。「ずっと軍隊にいたかった」というほどその生活になじみ賞状もたくさんもらったという。ギドクは『コースト・ガード』についてこのように語っている。

「私が軍隊にいた頃、北のスパイが侵入してきた事もありました。その時は、そのスパイに対して、殺されて当然だと思っていました。しかし除隊してしばらく経った頃から、あの時のあのスパイも、同じ人間だったんだなあ、と思えるようになりました。スパイも人間なら、それを捕らえて殺すのも人間、そういう映画を作りたいですね。双方、加害者であると同時に被害者なんです。言ってみれば、イデオロギーの被害者。それが「コーストガード」という作品ですね。」引用元

正直いうと、この作品いつものギドク映画の冴えがみられない。予測不可能なストーリー展開が持ち味なのに、この映画では予想可能な範囲に着地してしまっている。ギドク作品の男優といえば、眼力の強さ、眼の表情の豊かさが特徴だ。チャン・ドンゴンの演技は悪くないのだが、他の作品の男優たちと比べると眼の表情がやや単調だ。ドンゴンの眼が大きくて丸すぎるためそう見えるのかもしれないが...。前述のようにギドクの個人的な軍隊体験が色濃く反映していると思われるだけに、単純に他の作品と比較して「ギドクにしては...」とほざくことはナンセンスなのかもしれない。

この作品から5年後につくられた『絶対の愛』(2006)を見たときにも感じたのだが、どうもギドクは現実的な、“地に足がついた”設定を用いると鋭さを失うようだ。やはり水に浮かんだ寺とか、空き家に入り込んでくつろぐ男とかじゃないとだめなのだろうか(笑)。面白いのは『コースト・ガード』と『絶対の愛』はラスト場面のシチュエーションが酷似していること。精神に異常をきたした主人公とそれを物見遊山でみつめる群衆...。 これが現実生活における自分の立ち位置であるとギドクは思っているのだろうか?

『コースト・ガード』は軍隊生活を描いた映画ということでギドクを語るうえでは外せない1本だが、それにもかかわらず(それだからこそ?)ギドクらしさが希薄である、という奇妙な作品である。
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コースト・ガード@映画生活


2008.05.12 Monday | 00:11 | キム・ギドク | comments(0) | trackbacks(0) |

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2018.11.12 Monday | 00:11 | - | - | - |

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