映画のメモ帳+α

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悪い男

悪い男(2001 韓国)

「悪い男」映画チラシ英題   BAD GUY  
監督   キム・ギドク      
脚本   キム・ギドク         
撮影   ファン・チョリョ                  
音楽   パク・ホジュン               
出演   チョ・ジェヒョン ソ・ウォン
      チェ・ドンムン キム・ユンテ
      キム・ジョンヨン

2001年福岡アジア映画祭グランプリ 

2002年ベルリン国際映画祭で上映されるやいなや「愛と憎悪における寓話」と絶賛される一方、「これは愛ではない」という批判も浴び、観客からもラスト場面に関して「これはないんじゃないか」という声が数多く聞かれた。韓国のメディアは主にフェミニズムの観点から批判を繰り広げた。文字通り賛否両論を沸き起こした作品である。

「自分には理解できないものを理解するために映画を作っている」
監督のキム・ギドクはこう語る。
日本公開時の、宣伝コピーは” 誠心誠意、君を傷つけ、そして愛す。”
だが、この愛の形を100%素直に受け止められる人はいないだろう。

売春街を仕切るヤクザの頭であるハンギ(チョ・ジェヒョン)はソナ(ソ・ウォン)という女子大生に目を奪われる。自分を見つめるハンギに軽蔑のまなざしを向けた後、ソナは恋人のもとに走り去る。そのときハンギはソナの唇を強引に奪う。周囲は唖然とし、ハンギは取り押さえられ、ソナからは「最低な奴」と唾を吐きかけられる。

深い屈辱感を味わったハンギは、策略によってソナを売春宿に売り飛ばしてしまう。
娼婦となり、見ず知らずの男に抱かれるソナの姿をハンギは毎日マジックミラー越しに眺め続ける。

ハンギの子分の不注意な一言で、ソナはハンギが自分を罠にはめたことを知り激怒するが自分の周辺をガードするハンギを100%拒絶することはできない。

ある日、ハンギは宿敵ダルス派の襲撃を受ける。ハンギの子分ジョンテは、復讐のためにダルスを殺す。ハンギは、ジョンテの代わりに出頭し、刑務所に送られる。ハンギは初犯ではなくこのままでは死刑は確実だ。ソナはジョンテと一緒に、刑務所へ面会に訪れる。
ハンギの目の前で、「私をこんなにしておいてあんただけ勝手に死ぬの」と泣き叫ぶソナ。愛と憎しみは紙一重とはよくいうが、それが最大限に混ざり合ったこの場面は圧巻だ。

多くのキム・ギドク作品同様ハンギはほとんどしゃべらない。
言葉を発しないのは、過去における何らかのトラウマが言葉を押さえつけているのだろう。
ハンギは暴力でしか自分を表現できない。怒りを感じればガラスをかち割り、好きな女にはいきなりキスをする。

ハンギはソナに直接暴力をふるっているわけではない。
だが、彼の行為が彼女を肉体的にも精神的にも痛みつけている。
わざと傷つけているわけではない。結果的にそうなってしまっている。
それでもハンギはソナを愛している。その不可解な連鎖は物議をかもしたラスト場面まで続く。
こういう愛の表現があることを少しでも考えたことがあるかどうかによって、この映画の好き嫌いははっきりわかれるだろう。

激しい愛、という一言ではとても語りつくせない作品。
2人が心の奥底で通じ合っていれば愛のかたちに決まりはない。
そんなことをじわりと教えてくれる映画である。
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悪い男@映画生活


2008.05.07 Wednesday | 00:06 | キム・ギドク | comments(0) | trackbacks(0) |

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2017.07.23 Sunday | 00:06 | - | - | - |

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