映画のメモ帳+α

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アース

アース(2007 ドイツ・イギリス)

「アース」公式サイトにリンク原題   EARTH   
監督   アラステア・フォザーギル マーク・リンフィールド   
脚本   デヴィッド・アッテンボロー
      アラステア・フォザーギル マーク・リンフィールド          
音楽   ジョージ・フェントン               
ナレーション パトリック・スチュワート/渡辺謙(日本語版)

(ドキュメンタリー映画)

氷が解けてしまった北極で、えさを求めて泳ぐホッキョクグマ。
トナカイの群れを付け狙うオオカミ。水を求めてさまよう象の群れ。ヒマラヤ山脈を越えるアネハヅル...。

これらの映像が次々と映し出される『アース』は、海洋ドキュメンタリー映画『ディープ・ブルー』を製作した英国BBCが、”北極から南極までの旅”という語り口で美しい大自然と、そこに生きる動物たちの生存競争の姿を描いたドキュメンタリー映画です。

この映画は『アース』というタイトルのもと、まさに地球横断の旅模様が綴られていくのですが、実質的には、動物ドキュメンタリーといったほうがよい仕上がりです。
アフリカ象ホッキョクグマザトウクジラをメインキャストに北極から南極へ、ハイビジョン映像による豪華絢爛?な動物絵巻が繰り拡げられていきます。

 この映画はまさに観てナンボ、の作品だと思いますので、以下全面的にネタバレしております。
気になる方はご注意ください。


 エサを求めて親子で大移動

ホッキョクグマが巣穴から飛び出しエサを求めて活動を開始する場面からこの映画はスタートです。
その後、子クマが2頭、巣穴から出てくる。
ここで生まれてはじめて太陽光をあびるわけです。
ずるずると滑り落ちる姿はとても可愛い。
大人のホッキョクグマは体長2.5メートル、体重も600キロ以上に成長するそうですが、
生まれたばかりの子グマはネズミくらいの大きさしかないそうです。
このホッキョクグマ、自発的に人間を襲う唯一の動物らしいので、
北極に旅をする予定のある方は要注意!

北極点より1600キロの地点。
トナカイの大移動の場面はまさに圧巻です。
子供は生まれたその日から走り出します。
そこをオオカミが付け狙う。
オオカミの標的は逃げ遅れる子トナカイ。
子供でも転ばずに走り続ければ、オオカミから逃げることは可能だそうですが...。

命をつなぐ水を求めてさまようスイギュウ
上空から撮影された、まるで航空写真が動き出しているかのようなスイギュウの群れの大移動。
この場面だけでも大スクリーンで見る価値がありそうです!

アフリカ象も水を求めて歩き続けます。
やっとの小象は目に砂が入ってしまい、前方が見えずに近くの小木にぶつかってしまいます。
旅の過酷さがよくわかる場面です。

方向を間違えて、群れからはぐれてしまった一頭の若い象。
ひとり黙々と歩き続けます。彼(彼女?)はいったい何処へ...。
上空から映し出されるその姿には、ひたすら哀愁が漂っています。

熱帯の海にいたザトウクジラも、子供を生むのにもってこい赤道地帯の浅い海から動き出します。
目的地は赤道から約6500キロ南。そこで主食のオキアミを大量にたいらげるためです。
赤道から4800キロあたりまでいくと海が荒れだします。ここではぐれたら一大事!
お互いにヒレを海面にたたきつけて激しい音をたてることで親子がお互いに自分の居場所を知らせあう。自然の過酷さを痛切に感じさせてくれます。ちなみにこのザトウクジラ、歌を唄うクジラとして有名らしいのですが、残念ながらこの映画ではその美声?は聞かせてはもらえませんでした。ドラムは叩いてくれましたけどね。

アムールヒョウ親子そろって行動する動物ばかりではありません。
北極から2900キロ、タイガ(世界最大の針葉樹林)で生きるオオヤマネコは、ひとりでエサを求めてさまよいます。ロシアの森林にすむアムールヒョウは、乱獲により絶滅寸前で現在は40頭未満しか生存していません。このアムールヒョウは、わずかに映し出される程度。もう少しじっくり見たかったですね。


可愛らしい場面もあります。
オシドリの雛の初飛行。まるでバンジージャンプみたいです。
洪水後、水の中をおっかなびっくりで歩き続けるヒヒ。手の動きが阿波踊りみたいで面白い。
カタカケフウチョウは奇妙な求愛ダンスをします。
この辺りはお子様にも大ウケでした。


 獲物を狙え!

水たまりで象とライオンがにらみ合いをする場面が出てきます。
昼は象が支配していますが、夜になると、力関係が逆転
象の目は暗闇に弱い。ライオンははっきり見えている

ライオンの獲物は群れから外れた子象です。
その気配を察した親象たちは子供を一箇所に集め、大人はそのまわりを囲む。
何とか突破口を探すライオン。
緊迫感がひしひしと伝わってくる映像です。
その後、なんとライオンは総勢30頭で一頭の象に襲い掛かります。
象専門のハンター達らしい。

オスのホッキョクグマはひとりえさを求めてさまよう。
前方にセイウチの群れを見つけます。
大人には牙があり、とても太刀打ちできない。
子供を狙うしかないのですが、大人のセイウチに威嚇されてしまいます。
その後、ホッキョクグマは餓死寸前に追い詰められない限り、通常ならとらない行動に出る...。
まさに弱肉強食の世界!動物たちのすさまじい生存競争は映画の中でたびたび映し出されます。
ラスト、今の地球環境を象徴しているとして、海の中を泳ぎ続けるホッキョクグマが映し出されます。
この調子で地球温暖化がすすんで氷がとければ野生のホッキョクグマは2030年には絶滅する。
今ならまだ間に合う。出来ることを探そう...。


 単なるTVドキュメンタリーの大スクリーン版?

映画『アース』は、製作に5年を費やし、全世界200箇所以上で撮影されました。
映画の上映時間は98分ですが、実際撮影された映像は1,500時間分だそうです。
もっとも撮影はこの映画だけのために行われたわけではなく、日本でもNHKで放送された『プラネット・アース』というテレビ・シリーズの撮影と並行して行われていました。映画用のストーリーは事前に用意しており、映画ではいっそう環境保護のメッセージを強めた、ということですが...。はっきりいうとこの映画、TVドキュメンタリー『プラネット・アース』のダイジェスト版を拡大して映画にしてみただけというイメージがあります。残念ながら『プラネット〜』は未見なので内容的なことはわからないのですが、語り口があまりにもTV的なのです。

確かに大スクリーンで見たほうが映像はより説得力をもちます。
ただ、TVと映画とは映像の語り方が根本的に違うはず。
以前、別記事でも引用したのですが、ある日本の映画プロデューサーがこんなことを言っていました。
部分的に見逃しても意味がわかるのがTVドラマ。一瞬でも見逃したらついていけなくなるのが映画
この作品はドラマではなくドキュメンタリーですが、はっきり言って途中から観ても十分楽しめます。
北極から南極への旅というガイドラインはありますが、観終わった後、全体のイメージがつながるということがない。そのためこの映画は一体何が言いたかったのかがよくわからず、もやもやとした気分が残る。最後のメッセージはまるで取ってつけたような印象すらあります。
“今ならまだ間に合う。出来ることを探そう。”といきなり言われてもですね、じゃあどうするんですか?『不都合な真実』をもう1回見直してみましょうか?という感じになってしまいます。

地球環境危機を示す映像をそのまま見せるのではなく、地球と動物たちの姿を美しく見せることにより、“この地球の環境を守りたい”という意思を観客に呼び起こす意図だと解釈できないこともありません。それでも観終わった後、"いくつかの動物ドキュメンタリー映像をつなぎあわせた"以上の何かを感じ取るのは困難でした。映画だからできる物語の語り方やメッセージにもう少しこだわってほしかった。

非常にハイクオリティな動物ドキュメンタリー映像で、一見の価値は十分にあります。
ただ、"ドキュメンタリー映画“として捉えた場合、かなり空腹感が残る仕上がりでした。
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アース@映画生活


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2019.09.05 Thursday | 03:23 | - | - | - |

コメント

お邪魔します!
私も多分moviepadさんと同じような感想を持ったようです。(ホッ)
大画面で観る自然の素晴らしさは言うまでもないのですが、今一歩この映画独自の良さを感じ切れなくて残念でした。

ところで、キサラギの方にもTBさせて頂きました。以前moviepadさんに面白いと教えて頂いたのですが、コチラで上映がなくて・・・先日レンタルで鑑賞しましたが面白かったです!!
gooの禁止ワードのせいで、TBが反映されないかと思いますが、ご報告までにお邪魔しました。紹介して下さってありがとうございました。
2008/01/14 1:12 PM by 由香
由香さん、こんばんわ!

この作品映像は本当にすごくて、
じっくり堪能させてもらったんですが...。
個人的にTV局が「ついでに映画にもしようか」みたいなノリで作った作品は嫌いです。
もちろん、"良い映画"に仕上がっていれば話は別で
この作品には期待してたんですけど...。

「キサラギ」のほうはちゃんと禁止ワード抜いてTBしますので、多分大丈夫です。
もちろんTB終了後は元に戻します(笑)
2008/01/14 6:30 PM by moviepad

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