映画のメモ帳+α

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メリー・ポピンズ リターンズ

メリー・ポピンズ リターンズ (2018 アメリカ)

メリー・ポピンズ リターンズ(2018)原題   MARY POPPINS RETURNS
監督   ロブ・マーシャル
原作   P・L・トラヴァース
原案   デヴィッド・マギー ロブ・マーシャル ジョン・デルーカ
脚本   デヴィッド・マギー
撮影   ディオン・ビーブ
音楽   マーク・シェイマン
出演   エミリー・ブラント リン=マヌエル・ミランダ ベン・ウィショー
     エミリー・モーティマー ジュリー・ウォルターズ ピクシー・デイヴィーズ
     サナニエル・サレー ジョエル・ドーソン ディック・ヴァン・ダイク
     アンジェラ・ランズベリー コリン・ファース メリル・ストリープ

第91回(2018年)アカデミー賞作曲、歌曲(“THE PLACE WHERE LOST THINGS GO”)、美術、衣装デザイン賞ノミネート

あの『メリー・ポピンズ』(1964)続編が製作されると聞いたときは驚いた。50年以上前の作品、リメイクじゃなくて続編なんて前代未聞じゃね?ハリウッドのネタ不足(リメイク、続編、原作もの...オリジナルではなく、ある程度基盤のある題材を手掛けリスクを避けようとする傾向)は半世紀前まで遡るか...。でも『ウォルト・ディズニーの約束』(2013)を観たあと、続編製作に50年超かかった理由が何となくわかった。『メリー・ポピンズ』はミュージカル映画史上、『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)につぐメガヒット。原作のメアリー・ポピンズシリーズは8作あるため、ネタにも困らない。オリジナル公開後、すぐ続編の企画が舞い上がったが、原作者P・L・トラヴァースが続編製作に許可を与えなかった。彼女は晩年、かろうじてブロードウェイ舞台化を認めたが、映画化に首を縦にふらぬまま1996年に死去。ディズニーは『ウォルト・ディズニーの約束』(2013)を経てこの作品を思い出したか(『ウォルト〜』はディズニーが発案した作品ではない)、続編製作が正式発表されたのはトラヴァース死去20年後、2016年4月。そして2018年12月、54年の時をへて続編『メリー・ポピンズ リターンズ』が公開されました。



この映画をみて思い出した作品がある。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)である。ご存知の通り、スター・ウォーズシリーズがディズニー配給になった最初の作品だが、物語がエピソード4と酷似していることが話題となった。この『メリー・ポピンズ リターンズ』は続編というふれこみだが、ほとんどリメイクに近い作り。これがディズニーのやり方か?まあ、苦境にある家族のもとにメリー・ポピンズがやってきて問題が立ち去ったら消えるという決まり事がある以上、水戸黄門的ノリになるのはある程度仕方ないことではありますが。

物語は前作の25年、大恐慌時代のロンドン。前作では"お父さんの成長物語"にするため、時代設定が1910年に変更されていたため、この続編でようやく原作の時代設定と重なった。

大人になったマイケル(ベン・ウィショー)は結婚して3人の子供に恵まれてるが、妻がなくなり失意の日々。かつ家を担保に借金をしており返済が滞っていたため、自分がつとめている(マイケルの父ジョージがつとめていた)銀行から自宅差し押さえされ、家を失う危機に扮していた。そこへメリー・ポピンズが現れ...という物語。マイケルの父も母もなくなっており、妻もなくなる。物語の都合とはいえ、たった25年のあいだに人殺しすぎじゃね?

物語は前作へのオマージュにあふれ...というよりはリメイクに近い形で展開します。
一番よかったのはアニメとの共演場面。当初、ディズニーはCGでいくつもりだったが、ロブ・マーシャル監督は前作へのオマージュとノスタルジアをこめて、昔ながらの手書きアニメでいくことを主張。監督の粘り強い主張にとうとうディズニーが根負けしたという。ここが3Dアニメとかだったら最悪ですね。70名以上(引退していた人含む)を総動員して作り上げたという。ただ、アニメ自体、背景がいかにも絵、って感じだし前作のクオリティを超えていない気がするのが残念。まあ、ここは手書きアニメでやることに意味があったのでしょう。

懐かしの?ペンギンと共演。この場面は好き。「本は表紙じゃわからない」"A Cover is Not the Book"


楽曲はマーク・シャイマンと共同作詞者のスコット・ウィットマンによって9つのオリジナル曲が作られている。
前作の「ひとさじの砂糖(A Spoonful of Sugar)」をほうふつさせる"Can You Imagine That?"、メリル・ストリープが歌った「ひっくりカメ」"Turning Turtle”は前作の「笑うことが好き(I Love to Laugh)」のような位置づけでしょう。"「小さな火を灯せ」(Trip a Little Light Fantastic")はもろに前作の煙突掃除人たちのダンス「踊ろう、調子よく(Step in Time)」のオマージュですね。



ちなみにアカデミー歌曲賞にノミネートされた「幸せのありか」"The Place Where Lost Things Go "、不覚にもワタクシめ、映画館でこの曲聞いてません(; ;)。中盤ダレ気味だったせいか、ちょっとうとうとしていたようです。メリルの濃〜い歌で目が覚めました(笑)。

何といっても圧巻はこれ!前作のバート役ディック・ヴァン・ダイクのカメオ出演。さすがにあの独特の足上げはありませんが、元気すぎる93歳!彼は実年齢より若くみえるため、93歳の俳優に対して老けメイクをほどこしたとか!ディック・ヴァン・ダイクといえば、前作でコックニー英語があまりに下手くそだと評されてしまいましたが(アメリカ人だからね)、本作でバート役に相当する新役ジャックを演じたリン=マヌエル・ミランダはヴァン・ダイクに敬意を示して?わざと下手にコックニー英語を話したとか。小さな親切、大きなお世話...。



ちなみにラスト、風船おばあちゃん(前作の鳩の餌売りおばあちゃんのオマージュですね)に扮したアンジェラ・ランズベリーも93歳。ディック・ヴァン・ダイクより2か月年上でディズニー映画出演女優の最年長記録だそうです。このおばあちゃん役、当初はジュリー・アンドリュースにオファーがあったそうですが、「エミリーの映画にしてほしい」という理由で辞退。アンドリュースはエミリー・ブラントのキャスティングが決まると「素晴らしいわ」と好意的なコメントを出して、エミリーを感激させている。

本作でメアリー・ポピンズ役を射止めたエミリー・ブラント。若い時から演技力に定評があり、メリル・ストリープは『プラダを着た悪魔』(2006)のあと、「私が最近共演した若手女優の中で最も演技力がある」と絶賛している。(ということはアン・ハサウェイやエイミー・アダムスよりも...ってことですね)だが、どこか地味な存在だったが、ようやくつかんだビッグ・ロール!役が決まったとき、あまりに有名なキャラクターを演じることに恐怖を感じたという。役づくりは原作を読み込むのみ。アンドリュースの物まねにしないため、前作は見返さなかった。そのかいあって、エミリーが演じたメアリー・ポピンズはアンドリュースよりも原作のイメージに近いと評されている。アンドリュースは"ナニー(乳母)にしては笑いすぎ"と言われてましたからね、ナニーは一般的にもっと厳格なのだそーです。キャスティングに関しては声をかけて俳優皆、即OKだったとか。1964年版のネームバリューは50年以上たった今も健在。

『メリー・ポピンズ リターンズ』はまるで前作のリメイクを見ているかのような展開で、安心感があります。少しくどくてだれるのも前作と一緒(笑)。ディズニーのつくる実写ミュージカルって全盛期のミュージカルとも『ウエスト・サイド物語』(1960)以降のドラマ主体のミュージカルとも一味違う、ディズニーミュージカルとしかいいようがない独特の雰囲気がある。物語は超絶ご都合主義だし。これはお約束事なのでいちゃもんつけるのは野暮です。本作も、時計の針を戻すとか、2ペンスを投資したら...とか正気では理解不能な展開が待っています(笑)。楽曲は粒ぞろいですが、前作の「チム・チム・チェリー(Chim Chim Cher-ee)」や「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス(Supercalifragilisticexpialidocious)」のように一回聞いただけで耳に残る、インパクトのある曲がないのが残念。とはいえ、ミュージカル映画らしい、非現実的で楽しい映像の連続は思わず顔がほころびます。最近のミュージカル映画はそーいうのがほとんどないので。ロブ・マーシャル監督もエミリー・ブラントも続編に意欲を見せている。全米興行収入は申し分ないが、世界興収、DVDの売り上げしだいでしょうね。何しろ製作費も莫大なので。個人的にはエミリー演じるメアリー・ポピンズ、非現実で華やかな映像にあふれるミュージカル、また見たい!
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2019.02.02 Saturday | 20:31 | ミュージカル映画 | comments(0) | - |

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2019.10.20 Sunday | 20:31 | - | - | - |

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