映画のメモ帳+α

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アリー/ スター誕生

アリー/ スター誕生 (2018 アメリカ)

アリー/ スター誕生(2018)原題   A STAR IS BORN
監督   ブラッドリー・クーパー
脚本   エリック・ロス ブラッドリー・クーパー ウィル・フェッターズ
撮影   マシュー・リバティーク
音楽監修 ジュリア・ミシェルズ ジュリアンヌ・ジョーダン
出演   ブラッドリー・クーパー レディー・ガガ
     アンドリュー・ダイス・クレイ デイヴ・シャペル サム・エリオット

第91回(2018年)アカデミー賞歌曲賞("Shallow")受賞。作品、主演男優(ブラッドリー・クーパー)、主演女優(レディー・ガガ)、助演男優(サム・エリオット)、脚色、撮影、録音賞ノミネート

『スター誕生』4回目のリメイクというニュースを目にしたのはかなり前だったと思う。監督はクリント・イーストウッド、主演はビヨンセ、共演がレオナルド・ディカプリオ。ビヨンセが妊娠したため企画は中断したが、代役はたてず彼女の復帰を待つという記事も見た気がする。それから話題を聞かなくなったので、中止と思っていた。それから数年後、2018年『アリー/スター誕生』が制作された。主演はレディー・ガガ、共演はブラッドリー・クーパー。クーパーは監督も兼ねる。この顔ぶれを見て、期待に胸を膨らませた人はあまりいないはず。だが、そんな周囲の不安をよそにトロント国際映画祭でプレミア上映されるや、作品は観客からスタンディング・オベーションで迎えられる大好評。2018年10月5日全米で劇場公開、批評は絶賛、興行成績も全米2億ドルに手が届くメガヒットとなっている。




うーん、困ったなあ。なぜ困っているかというと、"感想がない"からである。
そーいうときは通常、記事は省略するのだが、本作はアカデミー賞有力候補と言われているので...。

感想がない理由は明確。まず個人的に過去3回の映画化をすべて観ており、この物語に飽き飽きしていたこと。
そして、主演のレディー・ガガ、ブラッドリー・クーパーともに(嫌いではないが)自分の琴線に触れぬアーティストだったことが大きい。

ブラッドリー・クーパーは2012〜2014年度にかけて3年連続アカデミー賞にノミネートされているが、個人的にはどの演技も"何でこれでノミネートされたんだろう"と思っていた。特に『世界にひとつのプレイブック』(2012)での候補入りはハーヴェイ・ワインスタインのごり押し効果としか思えませんでしたワ。下手とは思わないが、特に巧いとも思わず。個人的には見てて面白くない、記憶に残らない演技をする人というイメージ。本作でも同様。少し訛りがわざとらしいなと感じた程度。

レディー・ガガについて知っていたことは生肉ドレスと"Born This Way"という曲がマドンナの"Express Yourself”に酷似していて、マドンナから未だに嫌味をいわれていることくらい。 マドンナさん、性格悪すぎです(笑)Madonna Express Yourself / Born This Way
他の歌は知らない。聞いても印象に残らない。歌声が(嫌いというわけではないが)好みではないのでしょう。筆者は最近、ジャズボーカルをよく聞き、レディー・ガガがトニー・ベネットとデュエットで出したJAZZアルバムをちょっと聞いてみたけど、"お上手ですね"以上のものは感じなかった。ただ、派手なパフォーマンスとうらはら、セレブにしてはまっとうな人というイメージもある。 感激してすぐ泣くし。東北大震災直後、即座にチャリティー用ブレスレットを製作して募金を集め、来日もしてくれたため彼女に好印象をもつ日本人は多いだろう。

上記のように好みとは言えない演者の共演ということでこの映画、あまり期待していませんでした。
たとえ絶賛評にあふれ、あのショーン・ペン様が「全然期待していなかったけど良かったよ」とのたまおうとも、1976年版の主演女優バーブラ・ストライザンド様が「すごくすごく良かった」とおおせられようとも。1954年版も1976年版も映画として良い出来とは思わなかったため、この物語をまたミュージカル(音楽)映画にしても...という危惧もあった。批評家絶賛、興行的にも大成功というミュージカル映画が概して自分の好みに合わないのも常。『シカゴ』(2002)とか『ラ・ラ・ランド』(2016)とか...。

まず、前2作がもっていた欠点ーシンプルな物語なのに、音楽とだらだらした描写で無駄に上映時間が長いーは今回も見事に継承されておりました。本作の前半、ひどく退屈でちょっと寝てしまいました。面白くない会話の羅列、カメラワークも工夫に乏しくあまり意味がなさそうなクローズアップの多用...。ブラッドリー・クーパーはこのあたりデヴィッド・O・ラッセルから学んだんでしょうね。

・『スタア誕生』(1954)主演ジュディ・ガーランド、ジェームズ・メイソン。監督ジョージ・キューカー
・『スター誕生』(1976) 主演バーブラ・ストライサンド クリス・クリストファーソン。監督フランク・ピアソン


前作などと違う点もある。まず主人公2人の名前が変わっています。ノーマンはジャクソンに、エスターはアリーに...。あと男の兄が登場し、話を少し面倒くさくする。また、アリーを見出した若いマネージャーも新たに登場します。あとブラッドリーが監督であることから男性役の歌が増えている。1976年はバーブラばっかりだったからね。一番違和感あったのが、ブラッドリー・クーパー演じる男性歌手が前2作と違ってステージではきちんと歌っていることです。そのため、前半では彼はフツーにみえる。後半、急にアル中になりおもらしされたりしても戸惑うだけです。また、レディー・ガガ演じるアリー、自分を見出した恩人が壊れて自分の仕事に悪影響を与えるようになった、それでも愛しているから見捨てられない、そのニュアンスがあまり出せていない。ガガの演技、ナチュラルでよいのだけど、肝心のところが弱い。普通に話しているときも、困難に遭遇しているときもあまり変化が感じられない。男を愛しているどころか明日にでも見捨てそうに見える。よって、ラストで思い入れたっぷりに歌われても今ひとつ響いてこないのであります。

ここでメイン曲のご紹介。

Lady Gaga, Bradley Cooper - Shallow (A Star Is Born)


私たちは浅いところをつきぬけて深い絆で結ばれているという歌。この映画のテーマソング。
第61回グラミー賞では年間最優秀レコード賞、年間最優秀楽曲賞など4部門にノミネートされている。

Lady Gaga - Always Remember Us This Way


ジャクソンがアリーにステージであがるようけしかけてたあと、歌った曲。

Lady Gaga, Bradley Cooper - I'll Never Love Again


言うまでもなくラスト。

うーん、本作はミュージカルというより歌手役が持ち歌を歌う"音楽映画"なので仕方ないんだけど、同じような曲、同じような歌い方ばかり続くと辟易。ラスト、ヒロインが亡き夫を思いながら歌うのは1976年版と同じ演出ですが、ラストでひとりの歌手が仁王立ちして歌うだけって映画としてどうよ?こういうベタな演出が好きな人はたくさんいるんでしょうけど、必死で歌詞を追いかけて感動して涙すべき義務を負わされているようで個人的に苦手。ラストを歌で締めなかった1954年版は偉大だった(笑)。

ラスト、歌をフルコーラス聞かせるのなら、本来のミュージカル映画のように歌をメインに据えてドラマ描写はあっさりすませればいいのに。うじうじしたドラマを延々と魅せられたあとで、ラスト、思い入れたっぷりにフルコーラスで熱唱されると見ててしんどい。それに”I'll Never Love Again”、レディ・ガガのファルセット歌唱が気になる。演技として歌う場面なので美しい声を出す必要はない。少々音程が外れたって構わない、それが嫌ならキーを下げてでも地声で歌うべき。クライマックスでファルセットという技巧を使われるとしらける。ちなみにレディー・ガガが崇拝しているフレディ・マーキュリーは、ライブでファルセットを使わずにすむよう訓練していたそうだ。

『アリー/ スター誕生』はレディー・ガガの歌声が好きかどうかが評価の決め手になる作品。筆者のようにガガの歌声がいまいち響かない人には長丁場ゆえつらいかもしれません。(ガガに限らず、熱唱系の歌手は基本的に苦手。でも最近、そういう系ばっかりなんだよな...)ただし、制作サイドの熱意は十分に伝わってくる。『ラ・ラ・ランド』のようなあざとさは全くなかったことが救い。でも、アカデミー賞は...?

1937年のオリジナルから最初のリメイクが1954年。それから22年後の1976年に2回目、そして42年後、この『アリー/ スター誕生』で3回目。ということは次のリメイクは62年後の2080年?
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2018.12.23 Sunday | 01:34 | ミュージカル映画 | comments(2) | - |

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2019.09.05 Thursday | 01:34 | - | - | - |

コメント

<困っているかというと、"感想がない"からである。
<そーいうときは通常、記事は省略するのだが、本作は
<アカデミー賞有力候補と言われているので...。

御意! です!!!

なので、グラミーののみならずオスカーに至るまで、賞を選ぶ人たちの
基準が お祭りなのか 芸術なのか 2018年 なのか、をじっくり観察(笑)
2018/12/29 12:26 PM by onscreen
感想がない、のは過去3回の作品、全部見ていて物語に飽きているからなんです。物語とは別のところで面白いものがあればよかったんだけど...。

アカデミー賞、主要部門にノミネートされると思います。"Shallow"がグラミー賞にノミネートされてているので、そっちでとれば...と思うんですが。

アカデミーの選考基準なんて昔からあってないようなものです。最近はかなり批評家よりですが。
2018/12/29 6:49 PM by moviepad

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