映画のメモ帳+α

音楽映画、アカデミー賞関連の記事に力を入れています。
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ネイキッド

ネイキッド (1993 イギリス)

ネイキッド(1993)原題   NAKED
監督   マイク・リー
脚本   マイク・リー
撮影   ディック・ポープ
音楽   アンドリュー・ディクソン
出演   デヴィッド・シューリス カトリン・カートリッジ レスリー・シャープ
     グレッグ・クラットウェル クレア・スキナー
     ピーター・ワイト ユエン・ブレムナー

第46回(1993年)カンヌ国際映画祭監督賞、男優賞(デヴィッド・シューリス)

脚本がぼとんどない、独自の演出法で知られるマイク・リー監督。そんな彼の日本劇場公開作品がこの『ネイキッド』。1993年のカンヌ国際映画祭において監督、男優賞を受賞した作品だ。自分は本作、六本木の映画館のレイトショーで見た。マイク・リーの名前も知らず、ポスターの雰囲気からエロ映画かなと思いながら...。見終わったあと、何とも言えない、イラついた、陰鬱な、もやもやした余韻が残り、六本木の夜がいつも以上に淀んで見えたことをよく覚えている。

↓こんな音楽のイメージじゃないんだけど...。


ストーリーはあってないがごとし。ジョニー(デヴィッド・シューリス)は昔の恋人イーズ(レスリー・シャープ)を訪ねてあるアパートへ行く。(単に居場所を探していただけかもしれない)。このジョニーという男、世の中を斜めに見ている大学生といった風情。地に足が離れっぱなしで、実に胡散臭く青臭い会話をする。(27歳という設定)。

ルイーズは不在だったが、同居人ソフィー(カトリン・カートリッジ)がいた。2人は大麻を吸い、セックス。
ルイーズが帰宅するも険悪な雰囲気となり、ジョニーは部屋を出る。

浮浪者ジョニーはひたすらロンドンの街を彷徨う。もちろん行く当てなどありはしない。頭のいかれた男に話しかけてみる。ひたすら女の名を叫び続ける。男は街の片隅で女を待っていたのだ。そして女がやってくる。女はジョニーにきく「年はいくつ?」ジョニーが27歳と答えると、女は吐き捨てるように「嘘でしょ」と言い捨てる。あんなイカれた男と付き合っているくらいだから、この女もイカれているに違いない。そんな女に「嘘でしょ」と吐き捨てられるこの場面は痛い。

その後、ジョニーはあるガス会社の玄関前へ。たまりかねた夜警ブライアン(ピーター・ワイト)が彼を中に入れる。ジョニーは夜警に聖書の終末論をふっかけたあげく、彼に向って「あんたはロンドンで最低の仕事についたな」とうそぶく。にもかかわらず、それなりに相手になってやる夜警。2Fから向かい側のアパートをのぞくジョニー。女がひとりで踊っていた。ジョニーはその女のところに出向く。遠くからみると若くみえたば、実は中年。女はベッドに腰かけ服を脱いでいく。ジョニーは女の髪をつかみ、抱こうとする。乳房をつかむが、女の脚に入れ墨をみつけると行為をやめ「できねえよ」「お袋とやっているみたいだ」「ファックすれば若返ると思っているのか」となじる。女が寝てしまうと、女のアパートにあった本を3冊拝借して立ち去る。

ジョニーはことあるごとに「俺は本など読まない」「本をいくら読んでも世の中には見えないこともある」とうそぶく。だが、彼は大学出のインテリ(心理学はAだったとか)であった。彼自身、本の世界から一歩も出ていないことは明らかである。

夜警の帰りを待ち伏せ、朝食をごちそうになる。夜警は「人生を無駄にするな」と言い捨て立ち去っていく。

ジョニーはカフェの店員についていき、部屋に潜り込む。1週間ぶりに風呂へ入ったあと、例によってウダウダとくだをまく。女は「帰って」と叫ぶ。ジョニーは「お雨は今日俺の夢を見る」「お前の産む子は不幸を背負う」という極めて月並みは台詞を残して立ち去る。

そのあと、ジョニーはポスター張りの男にくっついていく。彼はジョニーの戯言に耳を貸さず、黙々と仕事に励む。ジョニーに「やってみるか」と声をかける。ジョニーは「こりゃいい。冗談の種になる」といったが、不手際。ポスター張りの男はすかさずやり直す。ジョニーはなお彼についていこうとするが、一発殴られ、男は車にのって次の現場へ。ジョニーのかばんは彼の車に置いたままだった。

その後、ジョニーは街の若者集団にリンチを受ける。全く意味もなく。27歳はオヤジ狩りの対象となる年齢か?

ソフィーが部屋に戻ると、(留守中の)看護婦サンドラを待っているというジェレミー(グレッグ・クラットウェル)という男が入り込んでいた。ジェレミーはアパートの大家だと名乗ると、ソフィーに変態的セックスを強要。その後も彼は黒ビキニパンツ一枚で部屋をうろつく。そこにジョニーがやってくる。翌朝、サンドラが帰宅すると、自分の部屋のありさまをみて素っ頓狂な声を上げ続ける。相変わらず黒ビキニ一枚でうろつき続けるジェレミーにルイーズがしびれをきらしナイフをつきつけ、ジェレミーを追い出す。サンドラは戸惑いながらも傷だらけのジョニーの介抱をする。現実に生きる看護婦の強みだ。ジョニーはサンドラと一緒に故郷マンチェスターの歌を歌う。けがをして心が弱ったのか、ジョニー唯一のまともなリアクション。

ジョニーとルイーズは和解。ルイーズは仕事をやめてマンチェスターに帰るが、ジョニーに一緒にくるかときく。
「連れて行ってくれるか。金はないぞ」「わかっている」

ジョニーに恋をしていたソフィーは失意のもと立ち去る。彼女は女ジョニーのような道を歩むのだろうか。
ルイーズが会社に辞表を出しているあいだに、ジョニーは片足を惹き釣りながら、ひとり街へ...。
画面が真っ暗になりEND。

本作を見ている最中、イライラしどうしだった。それでも最後まで見てしまう。本作は日本で(記事執筆時点で)DVD化されていないが、DVDで見たら途中でやめてしまうでしょう。

実に身につまされる。世の中を斜めに見ていて、くだらぬ優越感をもっている。実際はポスター張りひとつできないのに。世間的にまっとうといわれている生き方から、何の根拠もなく抜け出したがっている者たちにとって、これは自分の明日、もしくは過去の姿だったかもしれないと見せつけてくる。夜警がジョニーに優しく接していたのは、夜警自身むかしはジョニーのようだったからかもしれない。naked(ありのままの、むき出しの)な心では世の中渡っていけないのだ。

20年以上前にみた、こんなに不快極まる映画なのに、今でもイメージは強烈。何かいやなことがあったとき、ふとこの映画を思い出し、このまま感情に身を任せてしまったら、ジョニーのようになってしまうのではないかと思うことがある。潜在意識に思いっきり悪影響を及ぼしそうな内容だが、多くの人にとって"認めたくはないが心当たりのある感覚"がまぶされていたからこそ、映画『ネイキッド』は高い評価を獲得したのだろう。ああ、こんな作品とっとと忘れたい。でも時々思い出すんだろうな。感覚をおとしこむという意味で、実に映画らしい作品。
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2018.12.18 Tuesday | 00:53 | 映画 | comments(0) | - |

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2019.09.05 Thursday | 00:53 | - | - | - |

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