映画のメモ帳+α

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ピアノ・レッスン

ピアノ・レッスン (1993 オーストラリア)

ピアノ・レッスン(1993)原題   THE PIANO
監督   ジェーン・カンピオン
脚本   ジェーン・カンピオン
撮影   スチュアート・ドライバーグ
音楽   マイケル・ナイマン
出演   ホリー・ハンター ハーヴェイ・カイテル サム・ニール
     アンナ・パキン ケリー・ウォーカー ジュヌヴィエーヴ・レモン
     タンジア・ベイカー イアン・ミューン ホリ・アヒペーン

第66回(1993年)アカデミー賞主演女優(ホリー・ハンター)、助演女優(アンナ・パキン)、脚本賞受賞。作品、監督、撮影、衣装デザイン、編集賞ノミネート。第46回(1993年)カンヌ国際映画祭パルムドール、女優賞(ホリー・ハンター)。



19世紀半ば、エイダは9歳の娘とともに写真結婚でニュージーランドの森林地帯へやってきた。エイダは6歳から口がきけず、ピアノが彼女の"言葉"だった。エイダはベインズという粗野な男に"ピアノ・レッスン"を施すことになるが...。海底に包まれているような映像の色彩、ホリー・ハンターの強い眼差し、ハーヴェイ・カイテルの肉塊と呼びたくなる存在感、マイケル・ナイマンによる"心をかき乱されるような"音楽。"世の中に聞く価値のある音は少ない"といわんばかりに、心の奥底に沈む衝動だけを静かにかつ激しく描く。海底にピアノと一緒に引っ張られて沈み込んだエイダが奇跡的に救われるラストが物語の骨格を見事に表現している。
☆☆☆☆★★
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 本作公開時期、筆者はビデオで昔の名作映画ばかり見ており、"今、上映されている映画なんてくだらない"と何の根拠もなく思い込んでいた。ある時、淀川長治氏の講演を聞きに行ったとき、『ピアノ・レッスン』をほめていたため、何となく劇場に足を運んだ。見終わった後の衝撃はすごかった。過去の名作映画に勝るとも劣らない出来。"リアルタイムでこんなにすごい映画が公開されているんだ。私が間違っておりました"と心を改め、それ以降劇場で映画をたくさん見るようになりました。個人的に思い入れの深い作品。物語というよりも映像のワンシーン、音楽、色彩が今でも忘れがたい印象を残す。これぞ映画って感じですね。公開当時、"男が全く描かれていない"という批判もあったが、本作は"普段は心の奥底に沈んでいる人間の衝動が、ふと引き上げられるとき"を描いたもの、男どころが女も描いていない、というより男だ、女だと区分していないと思います。ちなみに昔、映画ファンの人に、「『ピアノ・レッスン』とか好き?(嫌いそうだよね)』と聞かれ、大好きと答えたら意外そうな顔をされました(^^;。何故?

 マイケル・ナイマンが手掛けた映画音楽も大変な話題となり、映画サントラは世界中で300万枚売れたとか!ナイマンはホリー・ハンターに実際にあい、彼女がピアノをひくのをイメージしながら曲づくりをしたという。



 映画公開時、監督のジェーン・カンピオンは39歳。"この若さでこんな名作を物にしたら後が続かないのではないか"と危惧する声がみられましたが、実際、その通りになってしまい、彼女は本作を超える作品をその後発表できていない。ちなみにヴェネツィア国際映画祭で北野武監督『HANA-BI』が金獅子賞を受賞したときの審査委員長はジェーン・カンピオン。『HANA-BI』は主人公の妻がほとんど話せないという設定だった。『ピアノ・レッスン』に通じるものをカンピオンは感じたのかもしれませんね。

 エイダ役ホリー・ハンターはカンヌ国際映画祭女優賞を皮切りに、アカデミー主演女優賞まで、この年の主演女優賞を文字どおり"総ナメ"した。エイダは"背の高い、目もくらむような美人"という設定で、筆頭候補はシガニー・ウィーバー。イメージとあまりに違うホリーは眼中になかったらしい。ホリーはピアノをひいたビデオを送り、熱心に売り込んで役を獲得した。今も活躍を続ける彼女だが、この一本で映画史に残る名女優としての地位を確立したといってよい。でも、この役がシガニーだったら...こっちのほうが考えられない(笑)。ホリーの陰に隠れてしまった感もあるハーヴェイ・カイテル。スコセッシやタランティーノ監督作など暴力的な役柄のイメージが強い俳優ですが、個人的にはそうじゃない役のほうが彼の特異な存在感が生きる気がします。ハーヴェイ・カイテルの代表作は『ピアノ・レッスン』、『ユリシーズの瞳』(1995)、『スモーク』(1995)の3本だと信じて疑わない自分は少数派でしょうか?『パルプ・フィクション』(1994)のやたら冷静な"掃除屋"もよかったけど。1993〜1995年はハーヴェイ・カイテルの絶頂期でしたね。

 本作は公開当時、かなり話題となっていた。筆者も公開初日、新宿の映画館でレイト・ショーで見ました。結構、大きな劇場だったのにほぼ満員。この手の映画としては異例のことでしょう。余談ですが、自分の斜め前の席にある若手男優が座っていました。明かりが消えたころにこっそり入ってきた。連れもおらず、ひとりで話題作を公開初日にみにくる、"ああ、ちゃんと勉強しているんだな"と好感をもった。上映が終わり、帰りのエレベーターでも彼と一緒になったのですが、2月の夜なのにサングラス、派手なオレンジ色のジャンパー、いやでも目をひきます。周りの人もみんな気づいていたようです。(声をかける人はいませんでしたが)やっぱり有名人って"気づいてほしい"んでしょうね。

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2019.05.21 Tuesday | 00:18 | - | - | - |

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