映画のメモ帳+α

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さらば、わが愛/覇王別姫

さらば、わが愛/覇王別姫 (1993 香港)

さらば、わが愛/覇王別姫(1993)原題   覇王別姫
監督   チェン・カイコー
原作   リー・ピクワー
脚本   リー・ピクワー
撮影   クー・チャンウェイ
音楽   チャオ・チーピン
出演   レスリー・チャン チャン・フォンイー
     コン・リー グォ・ヨウ

第66回(1993年)アカデミー賞外国語映画、撮影賞ノミネート。第46回(1993年)カンヌ国際映画祭パルムドール、FIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞。



遊郭の母に捨てられ、京劇養成所に入所した子豆。淫売の子だと虐められる子豆をかばいつづける石頭。2人は"程蝶衣"、"段小樓"として京劇界のスターに成長する。なかなか女になり切れなかった子豆がそれを克服したとき、石頭への恋心を隠せなくなってゆく。だが、彼は女郎の菊仙と結婚し....。日中戦争、共産党政権、文化大革命、1922年から1977年に及ぶ中国激動の時代を描く。蝶衣を演じるレスリー・チャンの妖艶さが一際目を惹く。終盤の自己批判場面、保身に終始する石頭、菊仙を淫売と罵る子豆、絶望を超えた放心状態の菊仙の表情はやるせないが、物語よりも京劇"覇王別姫"を軸とした時の流れの無常さが大きな余韻を残す。
☆☆☆☆★
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 文化大革命下の弾圧、同性愛、自殺を描いた本作は中国で上映禁止となる。北京オリンピック実現への宥和作として2000年に解禁されたが、内容は大幅に検閲されたものであった。本作がアカデミー外国映画賞を受賞できなかったのはアカデミーが中国に"忖度"した結果と言われている。(アカデミー賞ではよくあることデス。政治的に物議を醸した作品はノミネートのみで受賞はさせない...)

 本作の日本公開時、筆者は東京に住んでいた。ミニシアター全盛期、上映館はいつも満員。なかなか観ることができず、年末、実家に帰ったときようやくご鑑賞の運びとなった記憶があります。パルムドール同時受賞の『ピアノ・レッスン』とともに、現代の映画のレベルの高さを痛感した思い出の作品。子豆は淫売の子としていじめられたにもかかわらず、他人を淫売となじる悲しきアイロニー。自身を投影して弟子に迎えた小四に裏切られ...脚本も練りぬかれている。伝統芸能、京劇の隆盛から文化大革命による弾劾、4人組追放による復権、50年におよぶ時の流れの描写は映画ならではの感覚。「日本人は私の体に指一本触れなかった」中国よりも"敵国"日本人のほうが鑑賞態度がよかったことを語り、自分を不利な立場に追い込む役者馬鹿、子豆。日本人のお行儀の良さを世界に伝えてくれます。天晴、大傑作!

お行儀よく拍手しています。


 主演のレスリー・チャンは泣く子も黙る香港の大スター。歌手として山口百恵の『さよならの向こう側」(風繼續吹)、吉川晃司の『モニカ』(Monica)のカバーをヒットさせている。既に『欲望の翼』(1990)は公開されていたもののアイドル的イメージが強かったレスリーがこの役を演じたことに驚いた。まさにはまり役で俳優レスリー・チャンの代表作となる。チェン・カイコー監督とは『花の影』(1996)でもタッグを組み、コン・リーとも再共演。(レスリーは山口百恵の大ファンだったという。"中国の百恵ちゃん"と言われてたコン・リーと共演したのはそのため?)。『花の影』撮影時、"俺がこんなに美しいから"と全裸場面を撮りたがり、チェン・カイコー監督を悩ませたという。ナルシスト全開ですな。2003年4月1日自殺。真相は今なお謎に包まれている。"加齢による容色の衰えが耐えられなかったから"という見方もあった。

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2019.01.16 Wednesday | 01:30 | - | - | - |

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