映画のメモ帳+α

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ファントム・スレッド

ファントム・スレッド (2017 アメリカ)

ファントム・スレッド(2017)原題   PHANTOM THREAD
監督   ポール・トーマス・アンダーソン
脚本   ポール・トーマス・アンダーソン
衣装デザイン マーク・ブリッジス
音楽   ジョニー・グリーンウッド
出演   ダニエル・デイ=ルイス レスリー・マンヴィル ヴィッキー・クリープス
     カミーラ・ラザフォード ジーナ・マッキー ブライアン・グリーソン
     ハリエット・サンソム・ハリス ジュリア・デイヴィス
     フィリス・マクマーン サイラス・カーソン リチャード・グレアム

第90回(2017年)アカデミー賞衣装デザイン賞受賞。作品、監督、主演男優(ダニエル・デイ=ルイス)、助演女優(レスリー・マンヴィル)、作曲賞ノミネート



1950年代、ロンドン。レイノルズ・ウッドコックは英国婦人ファッション界で確固たる地位を築く仕立屋であった。ある日、若いウェイトレスのアルマに出会い、彼女を新しいミューズとして迎え入れる。だが、それによりウッドコックの"静かで規則正しい生活"が崩れはじめ…。原題は「見えない糸」という意味。仕立屋とミューズという主従が明確な関係において、アルマは"自分が主導権を握るため"驚愕の行動をとる。アメリカ人監督らしからぬ欧州風味。細部まで気を配った脚本だが、物語的には"余白が多い"と受け取るか"描写不足"とみなすか評価が分かれるかも。名優ダニエル・デイ=ルイスの"引退作"。職人肌の役柄は彼自身と重なる。
☆☆☆★★★
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 脚本は一見、緻密に計算されているように見える。
アルマが料理する際、彼の嫌がるチーズをあえて使い、上から音をたてて水をつぐ場面は女のいやらしさが露骨。
"俗の極み"のようなカウントダウン・パーティからウッドコックが彼女を連れ戻しに来る場面は、2人の価値観の違いをはっきり描く、実に映画的な描写。

その一方、疑問もかなりあるのだ。
・冒頭、アルマのインタビュー場面はどこまで効果をあげているのか。これによりある程度物語の先が見えてしまう。アルマが彼を殺したのでは?と見せかけて、裏をかくように物語は2転、3転するのだが結局は同じ描写(普通の恋愛を楽しみたいアルマと静かで規則正しい生活を好むウッドコックの価値観の違い)の繰り返し。

・ウッドコックに"サプライズのディナー”を仕掛けるというおバカ丸出しのアルマが、彼が毒キノコをもっても医者を呼ばないだろうことがなぜ予想できたのか。ちなみに日本の映画会社はこの"毒キノコをウッドコックに盛る"箇所をネタばれしないようメディアに依頼していたらしい。伏せねばならぬほどの内容かね?そもそも本作、ミステリーじゃないし。物語を追うタイプの作品じゃない。

・ウッドコックのマネージャーのようなシリルは一体何者なのか?彼女の"犯行"に気づいているフシもあるし、「彼女が好きよ」と言ってみたり...。『レベッカ』(1940)のダンヴァース夫人をイメージさせる役柄だが、あんなに怖くありません(笑)。

・大口顧客のために作ったウエディング・ドレスを"彼女にはふさわしくない"と結婚式当日、脱がして取り戻す場面には笑ったが、ちょっとデフォルメしすぎかも。

・音楽はレディオヘッドのジョニー・グリーンウッド。序盤にジャズ・スタンダードの"my foolish heart”が流れるが、歌詞の内容を考慮したのか、メロディラインだけで選んだのか...。ラスト、音楽が突然強くなるのも妙。

・本作、"余白の多い物語"なのか、"お互い理想の愛の形を押し付け、一方通行を繰り返すだけのペラッペラ物語"なのかよくわからない。
サブ・カルチャーの旗手的イメージで登場したポール・トーマス・アンダーソン監督。そんな彼が"サブカル族が最も嫌うタイプの作品"を作ったことに時の流れを感じる。その対比は、本作のウッドコックとアルマのよう...。

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2018.10.14 Sunday | 10:12 | - | - | - |

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