映画のメモ帳+α

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魅惑の巴里

魅惑の巴里 (1957 アメリカ)

魅惑の巴里(1957)原題   LES GIRLS
監督   ジョージ・キューカー
原作   ヴェラ・キャスパリー
脚本   ジョン・パトリック
撮影   ロバート・サーティース
音楽   コール・ポーター アドルフ・ドイッチ
出演   ジーン・ケリー ミッツィ・ゲイナー ケイ・ケンドール
     タイナ・エルグ ジャック・ベルジュラック

第30回(1957年)アカデミー賞衣装デザイン賞受賞。美術監督・装置、録音賞ノミネート。

魅惑の巴里』は『上流社会』のプロデューサー、脚本家、作曲家が再び結集して作り上げた作品だ。原作はヴェラ・キャスパリーの小説。黒澤明監督『羅生門』(1950)のようにひとつの出来事が複数の人物によって語られ、何が真実かを探るスタイルをとっている。コール・ポーター最後の映画音楽であり、ジーン・ケリーにとっても最後のMGMミュージカル映画出演(18本目)となった作品である。



アンジェル(タイナ・エルグ)、シビル(ケイ・ケンドール)、ジョイ(ミッチー・ゲイナー)はアメリカの舞踏家バリー・ニコルズ(ジーン・ケリー)座長とのもとヨーロッパを巡演しているダンサー仲間であった。やがて一座は解散、アンジェルはピエール(ジャック・ベルジュラック)、シブルはジェラルド・レン卿(レスリー・フィリップス)と結婚していた。

シビルが自叙伝を発表し、ダンサー時代の思い出として"アンジェルがピエールと婚約していたにも関わらず、バリーと恋仲になり三角関係に悩んで自殺を図った"と記載したため、アンジェルがシビルを名誉棄損で訴えたことから映画は始まる。まず自叙伝著者であるシビル、そして原告アンジェル、そして座長バリー、それぞれが証言台に立つが3者3様言い分が全く違っていた。さて真実はどこ?というのが物語構成である。

 第一日目 被告シブルの証言
シブルは以下のように証言する。
「自叙伝は事実。私たちは"ニコルズとガールズ"という公演をしていた。アンジェルは新入りで未熟だったため、公演後、バリーから個別に稽古をつけてもらっていた。そこで彼女はバリーにほれた。ある日のショー、彼女は客席に婚約者ピエールが両親を連れて見に来ているのを発見。ダンサーをしていることを婚約者に隠していた彼女は逃げ出してしまいバリーに恥をかかせる。彼女がピエールからもバリーからも嫌われたと思い込んだ。私がアパートに戻ると彼女が自殺未遂をしていたのを発見した」

アンジェロが加入した直後、回想ステージ場面でバリー座長とアンジェル、シブル、ジョイ3人の女たちにより歌われるのが"Les Girls "。本作原題と同じタイトル。英語のgirlsにフランス語の定冠詞lesをつけるというしゃれたもの。ちなみにバリーとジョイはアメリカ人、シブルはイギリス人、アンジェルはフランス人という設定です。

"僕はダンサー。ニュージャージーから日本まで世界を旅している。でもどこの国にいっても僕が一番楽しんだのは女性、女性たちだ。帽子、ストッキング、何もかも素敵だ。つま先から髪の毛のカールまで。女性を崇拝しているんだ"と歌う。続いて3人が"女はすてきなのよ"と答える。



その後、新入りのアンジェルは居残り訓練させられる。
ここで"The Rope Dance ”。


これをきっかけに2人は恋仲になる。
アンジェル、シブル、ジョイの3人は一緒のアパートに住んでいる。2人をあざむき、(騙さされていない、2人は感づいているのだが)アンジェロはバリーとデート。

ヨットに乗った2人。

アンジェル「私のハートは感じると音楽を奏でる。あなたのハートはどうかしら。
バリー「火災報知器が鳴っている」
アンジェル「シビルにも鳴らしたことあるの」
バリー「ボヤさえ出ない」
アンジェル「ジョイには?」
バリー「マッチもつかない」
アンジェル「そんなこと信じないわよ」
バリー「信じるとは思ってなかったよ」

アンジェル「本物の恋を教えてほしい?」
バリー「頼むよ」
ここでバリーがアンジェルにキス

アンジェル「キスしたら話せないじゃない」
バリー「話したらキスできない」

なかなか粋な台詞ですね。ミュージカル、しかも怪しげな?証言内容の再現場面だからコミカルでよい。
大真面目なドラマでこれをやられるとちと困りますが...。
ここでアンジェルが歌います。"Ca c'est l'amour "

恋をするのは待ち焦がれた人に出会ったとき
それが恋。彼も私を愛してくれる
悲しみの日がはじまり、彼は去っていき
すべてが終わったと感じるの
でも彼は戻りまた私を愛するの
そして私も強く彼を抱きしめる
それが恋 それが恋なの

という内容。"Ca c'est l'amour”とフランス語で気取って歌いますが歌詞はたいした内容ではありません。
アンジェル役のタイナ・エルグはセクシーで妙におかしい。歌は吹替えですが。



情事から戻ると婚約者のピエールが待ち構えていた。
アンジェロは彼には看護婦をしていると嘘をついていたが、既にばれている。
明日、母親をつれて劇場にいくと告げる。
"最低のショーよ!"あせるアンジェル。

アンジェルはバリーに出演辞退を申し出るが受け入れられない。

ステージ上で"ガールズ"は"Ladies in Waiting ”を歌う。

"私たちは王様に使える女官。王様にすべてをささげるの"と
白いドレスでパンティーをもってはしゃぐ。背中をむけるとTバック!?
パフォーマンス中、ピエールが両親ときていることを告げられたアンジェロは動揺し、かつらがずれ曲の終わりとともに舞台から逃げる。


そして部屋に戻りガス自殺を図っているのをシビルが発見したというところで証言は終わる。
証言台に立つケイ・ケンドールのおすましビッチ演技が良い。

 第2日目 原告アンジェルの証言
2日目は原告であるシビルが証言台に立つ。

シビルは大富豪のレン卿から愛されたいたが、彼女はアル中だった。
彼女は"私はタバコ売りよ。男はみんな私のタバコをほしがる"とうそぶいたあと
オペラ「カルメン」の"ハバメラ"を歌う。ラ・ムール♪ラ・ムール♪ラ・ム―ル♪
困り果てるアンジェロとジェイ。
そこでバリーが登場。けいこがあるのにもかかわらず、酔払っている彼女にあきれ果て降板させるという。
そこでアンジェルがバリーに「シビルはあなたに恋しているの。優しくしてあげて」と告げる。
バリーは舞台を継続するため仕方なく?彼女のご機嫌をとりはじめる。

その後、彼は酒をやめ、3人のガールズたちにもそれを強要した。
ツアーの前日、シビルは彼の荷造りを手伝いに行った。
ここで2人はできてしまい、歌うのは"You're Just Too Too! "

君は魅力的ですばらしい女性
あなたは完璧で一流の人
zだからこんなに愛しているんだ
君はすばらしいと言わずにいられない

"輝くばかり。まばゆいばかり、欠点がひとつもない"eteとお互いをひたすら称え合う歌です。


だが、ジェラルド・レン卿はシブルにつきまとう。ジェラルトはシブルにロンドンに帰るよう説得するが「楽しみを奪わないで」と拒絶。だが、バリーとジェラルドが顔を合わせたとき、バリーは「彼女は僕の恋人じゃない」と言い放つ。「私の妻になる人になんてことを」とジェラルドがバリーを殴る。バリーは真相をシビルに告白。シビルはその後アル中に戻り、酔払ってステージに出るようになる。バリーはシビルに降板を言い渡す。シブルはバリーの心が自分にないことを悟り、部屋に帰って自殺未遂を図った、と。このインチキな本が出るまで幸せだった...アンジェルはの証言は第1日目のシビルと全く正反対だった。2人はお互い、相手がバリーにふられて自殺未遂をしたと主張したのだ。

 第3日目 座長バリーの証言
3日目は"謎を解く証人"座長バリーが証言台へ。彼はシブルやアンジェルと付き合っていたのかそれとも...。

「2人の女性の証言はどちらも真実とは言い難い。2人とも誤解をしているのです。私が愛していたのはシブルでもアンジェルでもなく、ジョイでした。彼女に結婚を申し込みましたが、私に心を開いてはくれません。一方、シブル、アンジェルの恋人たちは彼女たちを連れて故郷にかえりたがっていた。私はジョイの心を独占したい。3人がそれぞれその思いを成就するためには一座を解散するしかなかった。そこで私は心臓病を装って彼女たちが解散を決意するよう仕向けました。そのことを知ったジョイは私のもとから立ち去って行った。失望した私が彼女たちの部屋にいくと、アンジェルとシブルがガス管のゆるみで中毒して倒れていました。どちらも自殺ではありません。ガス管は前からゆるんでいましたから。2人はお互いにもう一人がガス管をひねったと思い込んでいたんでしょう」

心臓病を装う前のステージ場面として挿入されるのが"Why Am I So Gone (About that Gal)? "

酒場の女とギャングというシチュエーション。
"彼女に夢中で気が変になりそう。髪は茶色のほうが好きなのにこんなに夢中になってしまった。
彼女のダンスは詩情たっぷり。彼女は普通のロマンスなど望んでいない。
でも夢中になってしまった。一度夕食にさそってキスしようとしたら目から星が出た。
殴られたっていい、彼女に夢中さ"という内容の歌。

まず、ジーン・ケリーが歌い、その後ミッツィ・ゲイナーとのペアダンス。


歌はたいしたことありません。
ミッツィ・ゲイナーのダンス、詩情たっぷりというよりは、クールでしなやかでセクシー!

結局、アンジェルは告訴を取り下げ、裁判は終わり。
1、2回目と違い、騙されていたとしって起こる妻たちを夫がなだめる展開。
アンジェルとシビルは仲直り。
車に乗り込むバリーの横には妻となっていたジェロがいて
「とてもよかったわよ」「真実を言っただけだ」
「私たちの結婚はとてもうまくいっていたわ。」「いっていた?」
「2人の証言が全部ウソとは思えないもの...」「今度は俺たちか?」

結局、真実は明確にはならなかったものの一件落着。
ジョージ・キューカー監督ならではの大人のドラマですね。

当初、girlsは3人ではなく4人と発表されており、そのうちの3人はシド・チャリース、レスリー・キャロン、キャロル・ヘイニーと公表されていたが、結局は本作の3人に落ち着いた。ケイ・ケンドールは当時、レックス・ハリソンの愛人だったが白血病のため、2年後の1959年に死去。ハリソンはケンドールの死期が近いことを知ってリリー・パルマーと離婚し、ケンドールと結婚。本人は自分の病気を知ることなく亡くなった。

本作、アカデミー賞では主要部門ノミネートを逃したが、ゴールデン・グローブ賞(ミュージカル/コメディ部門)では作品賞、主演女優賞(ケイ・ケンドール)を受賞。タイナ・エルグもノミネートされている。だが、作品の評価としては微妙に終わり、興行的にも失敗した。コール・ポーター最後の映画音楽ですが、後にスタンダードとなるような人気曲は本作から生まれませんでした。ジーン・ケリー最後のMGMミュージカル映画作品(のちの"That's Entertainment!"を除く)でもある。いろいろと黄昏を感じる作品ですね。

『魅惑の巴里』は最後の展開に若干無理を感じるけど、結構面白い作品と思いますけどね。3人の女優がそろぞれ魅力的。時々ケイ・ケンドールとタイナ・エルグの区別がつかなくなって困りましたが...。ドラマメインで回想にミュージカル場面をはさむというのはよくあるパターンですが、"白黒はっきりしない結末"はアメリカ人好みでない?今、日本で本作を見る機会はあまりないかもしれませんが、埋もらせてしまうのはちょっともったいないなあ。
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2018.12.16 Sunday | 20:00 | - | - | - |

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